もう一度キスしたかった・・・


その8







「・・・・・少しは落ち着いたか? 一体なにがあったんだ?」

ゾロは車を近くの公園の駐車場に停めると、そう言ってサンジの頭に軽く触れる。

「・・・ヒックッ・・・父さんが・・・父さんが・・・っ・・・」

「・・・・・・そうだったのか。 ごめんな、知らなくて・・・。」

サンジの言葉に、ゾロは全てを察して、助手席のサンジを抱きしめる。

「ゾロ・・・・俺・・・・俺・・・・どうしていいのか・・・・訳わからなくて・・・・ゾロに会いたくて・・・・

会っちゃいけないと・・・・そう思ってたのに・・・・気がついたら、ゾロん家の前にいて・・・・

俺・・・・・」

サンジは泣きじゃくりながら、ゾロの首に縋り付いた。

ふわっとサンジのシャンプーの香りがゾロの鼻を擽る。

柔らかなサンジの頬の感触に、ゾロは、我を失う。

「・・・・・・サンジ・・・。」

気がつけば、ゾロはサンジに口付けていた。

「んっ・・・・ん・・・・ん・・・ふ・・・・」

サンジのくぐもった甘い吐息に、ゾロはますます深く口付ける。

上下の唇を軽く甘噛みし、歯列を舌でなぞって軽く舌でノックする。

ゆっくりと開かれた歯の隙間から舌を挿し入れて、縮こまっているサンジの舌を吸い上げた。

「んっ・・・・んん・・・ん・・・・ふ・・・・」

甘い吐息とともに、おずおずとさし出されたサンジの舌を絡めとると自分の口内に招き、吸い

上げ、サンジの口内をくまなく蹂躙する。

ゾロの激しい口付けに、初めてのサンジはその息苦しさから思わず身を捩った。

「んっ・・・・・ゾロ・・・・あっ・・はぁ・・・・」

サンジから名前を呼ばれ、ゾロはハッと我に返る。

「ごめん、サンジ・・・。 俺・・・」

そう言って身体を離そうとしたゾロに、サンジは、頭を大きく横に振った。

「違う。 俺、嬉しいんだ。 嬉しくて・・・けど、初めてだから・・・・どうして良いのかわからなく

て・・・・・・恥ずかしくて・・・・」

サンジはそう言うと、自分からそっとゾロに身体を預ける。

「けど、俺は・・・・・・」

「良いんだ。 別に責任取れとか言わない。 全部承知の上だから。 今だけ・・・・一回だけ

で・・・・後は望まない。 俺を・・・・俺を、ゾロだけのものにして・・・・」




・・・・・・そう。

あの時・・・・キスされたときから・・・・

もう一度・・・・・

もう一度、キスしたかった・・・・。

こうやって・・・・・

こうしてゾロを・・・・感じたかった。




サンジはそう言うと、ゾロの唇に自分のを重ねた。

「・・・・・・サンジ。」

サンジに誘われるまま、ゾロは再びサンジの唇に深く口付ける。

ぴちゃぴちゃと濡れた音が車内に響いて、二人の耳を擽る。

好きな人に触れられる喜びに、サンジの瞳には涙が溢れ、頬を雫した。

ゾロは、その涙を唇で拭いながら、サンジの衣服を剥ぎ、そっとその肌に触れる。

ビクンとサンジの身体が、震えた。

「・・・・怖いか・・・?」

ゾロは、サンジの瞳を真っ直ぐに見てそう聞く。

「・・・・・怖くないと言ったら、嘘になる。 けど・・・・・ゾロなら・・・ゾロなら平気・・・。」

サンジはそう言うと、ゾロの首に回した腕を引き寄せた。

「・・・・・サンジ、好きだ。 ・・・・世界中の誰より、お前を愛してる・・・。」

ゾロはそう言って軽くサンジに口付けると、唇を少しずつ下方に動かしながら、赤い印を

サンジの首筋に刻んでいく。

キュッときつく吸われる度に、サンジはビクビクと小刻みに震えた。

そんな仕草さえ、ゾロにはいとおしくて堪らない。

「あっ・・・・はぁ・・ん・・・・ゾロ・・・・ああっ・・・!!」

胸の尖りを舌と指で愛撫され、サンジは思わず声を上げる。

「あっ・・・!! ダメ・・・ッ・・・・ゾロ・・・・俺・・・・・ん・・あっ・・・!!」

ツンと上向いた胸の尖りをゾロが触れるたびに、全身に甘い痺れが広がっていく。

初めて知る快楽の波がサンジの身体に押し寄せてくる。

「あっ・・・・ああっ・・・・ゾロ・・・・はぁ・・・ん・・・ヤッ・・・ゾロ・・・!!」

サンジは、ギュッとゾロの頭を自分の胸に引き寄せた。

胸の愛撫だけで、サンジの雄は頭を擡げ、その先端からは、透明な液が滲み出している。

ゾロは、空いている手をサンジの雄に添えるとゆっくりと上下に扱いた。

「んっ・・・・ああっ・・・・ヤッ・・・・・ゾロ・・・・ゾロ・・・・俺・・・・やぁ・・・・ああっ・・・!!」

胸と下半身を同時に愛撫され、サンジは堪らずにビクンと身体を大きく仰け反らせ、ゾロの手

の中に白濁の精を吐き出す。

ゾロは、その濡れた手をそのまま、そっとサンジの後口に挿し入れた。

「ふぁ・・・ん・・・・あっ・・・・!!」

挿し入れられた指の感触にサンジは戸惑いの声を上げる。

「・・・・・痛いか?」

「ううん・・・・痛くはない・・・ただ・・・・・ちょっと変な感じだ。」

「・・・・悪い、サンジ。 ・・・・極力痛くないようにしてやりたいけど・・・・」

「大丈夫。 ゾロだから・・・・俺、大丈夫だ。」

ゾロの言葉にそう言って微笑むサンジにゾロはゆっくりと唇を塞いで、丹念に内襞を指で解し

始めた。

やがて、指の数が2本、3本と増えて蠢かせるようになり、クチュクチュと内部から潤い出す。

ゾロは、サンジの内襞から前立腺を刺激する箇所を探るとその一点だけを何度も指でなぞ

った。

「あああっ・・・!!! ゾロ・・・・そこ・・・・ダメ・・・ヤァ・・・ゾロ・・・・ア・・・はぁ・・ん・・・!!」

ビクビクとサンジの身体が小刻みに震え、射精したばかりのサンジの雄がまた頭を擡げ始

める。

ゾロは、タイミングを見計らい指を抜くと、自分の雄を後口にあてがい、ゆっくりと挿入した。

「ヒッ・・・!!あっ・・・・ああ・・・あ・・・・!!!」

指とは違う圧倒的な圧迫感と内部から裂けそうな痛みに、サンジは思わず腰を引く。

ガクガクと身体を震わせ、血の気が失せていくサンジの顔に、ゾロは何度も口付けを繰り

返した。

「サンジ・・・・サンジ・・・・・愛してる・・・・サンジ・・・・」

そう囁きながら、ゾロはサンジの雄をもう一度片手で扱きながら、ゆっくりと腰を進める。

「ゾロ・・・・ゾロ・・・・俺も、好き・・・・ゾロ・・・・」

サンジも必死でゾロの名を呼び、気の遠くなりそうな痛みに耐えた。

程なく、ゾロの雄は全部、サンジの中に呑み込まれる。

ゾロは、サンジの雄を扱きながら、サンジが快感を追うのをじっと待った。

「あっ・・・・はぁ・・ん・・・・ゾロ・・・・も・・・大丈夫・・・・も・・・痛くない・・・」

ジンと結合部分から湧き上がる甘い疼きに、サンジはゾロの耳元でそう囁く。

「・・・・・動くぞ。」

ゾロは、サンジが頷いたのを確認してから、ゆっくりと腰を引いて挿入を繰り返した。

「あっ・・・はぁ・・・ん・・・・ゾロ・・・ああっ・・・ゾロ・・・ああっ・・・!!!」

ギシギシと車のシートが上下に揺れ、奥を突かれる度にサンジの身体に快楽の波が押し

寄せる。

ゾロは、先ほど指でなぞった箇所を、角度を変えて何度も突いた。

「あああっ・・!!ゾロッ・・!!・・・・・あっ・・・・ゾロ・・・・ゾロ・・・・ヤッ・・・あああっ・・・!!」

ビクンとサンジの腰が大きく揺れ、サンジは、自分の腹の上に白濁の精を吐き出す。

「ック・・・・サンジ・・・!!」

ほぼ同じくして、ゾロもサンジの中に白濁の精を叩きつけた。










「・・・・ごめんな、無理させて。」

後始末をして、力の入らないサンジをそっと胸に引き寄せて、ゾロはサンジにそう囁く。

「ううん。 俺の方こそ、我侭言って・・・。 ゾロ、ありがとう。 俺、幸せだ。 初恋って、絶対

に実らないってそう聞いてたけど・・・俺は、違ったから。」

サンジはそう言ってにっこりと笑った。

「・・・・サンジ。 俺、ずっと考えてたことがあるんだ。 俺・・・・もっとたくさんの人を助けた

いんだ。 そして・・・今は助からないと言われているような人達も助けたい。 こんな恵まれ

た環境の中の一部の人達じゃなくて。 本当に医者が必要な・・・いつも死と背中合わせで

生きていくしかない人達の中で、その中に飛び込んでいきたいと・・・。 最近、そう考えて

る。 サンジ・・・・俺について来てくれないか・・? くいなじゃなくて・・・・サンジ、お前に傍に

いて欲しい。」

ゾロは、サンジの瞳を真摯に見つめてそう言う。

「ゾロ・・・・。」

サンジは、嬉しかった。

婚約者のくいなよりも自分を選んでくれたゾロの言葉に、胸がドキドキと震えた。

すぐにでも、一緒に行きたいと、ハイと、言いたかった。

しかし・・・・・サンジは、言えなかった。

幸せそうな笑顔のクイナと最愛の人を失ったばかりのマキノの姿が脳裏から離れない。

「・・・・・ダメ・・・出来ない。 俺には、母さんがいる。 母さんには・・・・俺しかいないんだ。 

ゾロだって、そう。 くいなさんには・・・・ゾロしかいないんだ。 くいなさんなら、ゾロと一緒に

どこにだって行ってくれるよ。 俺は・・・・俺は・・・・行け・・・・ない・・・。」

サンジは、精一杯の笑顔でゾロにそう言った。

ゾロも、サンジの今の境遇を痛いほど理解していた。

シャンクスが手がけた事業は、ゆくゆくはサンジが受け継ぐべきもの。

その為にも、マキノの傍を離れるわけにはいかない事。

第一、心優しいサンジが、マキノ一人をおいて、自分についてくるわけが無いのだ。

ましては、サンジは、高校生。

自分の我侭で、前途ある未来を捨てさせるわけにはいかない。

サンジにとって、物理的にも精神的にも裕福な現状を、自分のエゴで失わせる事はしたくな

かった。

それが、サンジの幸せに繋がると・・・・・ゾロは、改めてそう思い直した。

「・・・・・そうか。 ・・・そうだよな。 ごめん、忘れてくれ。 ・・・・・お母さんが心配しているか

もしれない。 急いで帰ろう。」 

ゾロはそう言うと、サンジの家に車を走らせた。




・・・・・・・・もう、会わないほうが良いのかも知れない。

会えば、気持ちが・・・・・感情が抑えられない。

会えば・・・・・・別れが辛くなる・・・・。




互いに同じことを想いながら、ゾロとサンジはサンジの家に着く迄、無言だった。

「・・・・今日は、どうもありがとう・・・・・・そして・・・・バイバイ、ゾロ。」

サンジは、そう言って艶やかに微笑むと、そっとゾロの唇に触れて、車を降りる。

「じゃあ。 ・・・・・さよなら・・・・サンジ・・・。」

ゾロは、抱きしめたくなる衝動を必死で隠して、サンジにそう言って微笑み返した。

サンジは、そのまま一度も振り向くことなく玄関に入っていく。

バタン・・・

玄関が音を立てて閉まるのを確認した直後、ゾロは、車を走らせた。







「っ・・・・ゾロ・・・・・ゾロ・・・・ゾ・・・・ロッ・・・・」

サンジは玄関に蹲り、声を殺して嗚咽する。

「・・・・・・サンジ・・・・もう・・・・会えない・・・・。」

自宅に戻ったゾロも、車庫の車の中でギリッと唇を噛み締めて、熱くなる目頭を押さえた。








それから、シャンクスの葬儀も無事終わり、マキノはシャンクスの残した事業の後継者として

忙しい日々を過ごしている。

サンジもまた、マキノを支え、学業とも公私忙しい日々を送っていた。

ゾロのことも考えるゆとりもシャンクスを失った悲しみに浸るゆとりも、サンジにはなかった。







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<コメント>

く、車でH?!(笑)
なんつうことを・・・。
後1ページで終わる予定。これは確実。
だって・・・・・いい加減、疲れたの、ルナ・・・。(死)