今すぐ、Kiss Me!


その2







薬品の影響か、サンジの感情自体も幼児と同様になりつつあった。

きゃっきゃっと無邪気に笑い、転んでは、泣く。

ちょっとしたことに驚いては、ぷんぷんと怒る。

本当に小さな幼児が船に紛れ込んだみたいに、クルー達は、皆、小さくなったサンジを可愛

がった。

「なんで、俺だけ近づけねえんだよ!」

ナミとロビンによってサンジから強制的に遠ざけられているゾロは、ナミ達と楽しそうに遊ん

でいるサンジの姿を盗み見ながらブツブツと文句を言う。

サンジが、ニコニコとその笑顔を振りまく度に、ゾロの限界は近づきつつあった。

ゾロは、不機嫌なオーラを全身に纏い、トレーニングを中断した。

「チョッパー、まだ薬は出来てねえのかよ。」

堪りかねてキッチンに飛び込んできたゾロ。

「あ、ゾロ。 今、丁度出来上がったとこ。 ゾロ、サンジ連れてきて。」

「おっしゃ!! すぐ連れてくる!!」

ゾロは、チョッパーの言葉を聞くや、サンジの元に急いだ。

「ちょっ、なによ、あんた。」

「チョッパーの薬が出来たんだよ! もう、てめえの思い通りにはさせねえ。」

ゾロは、サンジをかっさらうように抱き上げると一目散にキッチンへ戻っていく。

その早さたるは、ウソップの逃げ足にも匹敵するほどで。




これで、なにもかも元通り。

いくら可愛くても、触れられねえサンジなんか・・・・・・・蛇の生殺しだ。




ゾロの頭の中は、サンジを元に戻すことしか考えてなかった。

ゾロが消え去った後、慌てて他のクルー達もキッチンに集まった。

「さあ、飲んでみて、サンジ。」

チョッパーはそう言って、ビーカーの液体をコップに移し、サンジに持たせる。

皆の視線が注目する中、サンジは、こくこくとその液体を飲み干した。

「どう? サンジ君、なんか身体に変化は??」

ナミが心配そうに、サンジにそう声を掛ける。

「ううん? ・・・・・・・・・・・・あっ・・・うわっ、ああっ・・・・」

サンジはそう叫んでビクンと身体を震わせた。

そして、その場に蹲るようにしゃがみ込む。

「あっ、変化が始まった!」

チョッパーの声に皆、固唾を飲んで、サンジを見守った。

だんだんと成長していくサンジの身体。

「うわっ、ああっ・・・・・・・ふ・・・あ・・・・・・・・・・・・・・おさまったみてえ。」

身体の震えが収まったサンジは、そう言って皆の顔を見る。

思考も言葉も、小さな幼児ではなくなっていた。

「なぁ、俺、どうなった? 元に戻って・・・・・?」

サンジはそう言って、鏡の前に立つ。

「んアぁ?! 戻ってねえじゃんか!!」

サンジは、鏡の前で再度絶叫することになった。

確かに身体はさっきより成長しているのだが・・・・・。

これは・・・・・・・・・・どうみても10歳頃の自分・・・。

バラティエで、チビナスと言われ、ゼフと暮らしていたことの・・・・・サンジ。

「チョッパー!! おい、これどうなってるんだよ! 元に戻ってねえじゃんよ!」

唖然として見つめていたゾロがそう言って、チョッパーを揺さぶった。

「あ、あれ?おかしいな・・・。 確かに効く筈なんだ。 もしかしたら、戻るのに時間が

掛かってるのかも知れない。 細胞を成長させるのに時間がいるんだ、きっと。 

だから・・・・もう少し待ってみて。」

チョッパーは、慌てて弁解する。

「そうよ。 ここまで成長したんだもの。 明日にはきっと戻ってるわよ。 うふふ。 

この年齢のサンジ君も可愛いわねvv」

呆然として言葉も出ないゾロの横で、ナミはそう言ってサンジの頭を優しく撫でた。













結局、元の年齢まで戻れず、サンジは、ルフィ達とはしゃいでいる。




クソッ! ズボンぐらい穿け、ズボンぐらい!!




甲板でルフィ達と無邪気に遊び回っている10歳のサンジに、ゾロは眉間に深く皺を刻み、

必死で平静を装った。

体格に合う洋服が無いサンジは、自分のシャツだけ上に羽織って、甲板の上を所狭しと動き

回る。

やはり、今回も、薬の影響があるのは確かなところで、普通の10歳の子供と何ら変わりは

なかった。

「・・・・・ダメだ。 全然トレーニングにならねえよ・・・。」

ゾロは、そう言ってトレーニングを中断すると、蜜柑畑に頭を抱えてしゃがみ込む。

暫くして、ガサッと葉の擦れる音と人の近づく気配がして、ゾロはゆっくり頭を上げた。

「あ、なんだ、ゾロか。 ちょっと、そこ退けよ・・・。」

そう言って近づいてきたのは、サンジだった。

「ほらっ、ボーっとしてねえで、そこ退けって。 ウソップに見つかっちまうだろ。」

サンジはゾロがいるのもお構いなしに、その傍に来てしゃがみ込む。

「・・・・・・なにしてんだ?」

「ん? あのな、隠れんぼ。」

ゾロの質問にそう言ってにっこりと笑ったサンジに、ゾロの記憶は一瞬にして無くなった。

「んっ・・・んんっ・・・んーっ!!・・・・んーっ!!!」

次にゾロが記憶を取り戻したときには、サンジは、ゾロの膝の上で唇を塞がれ、もがいてい

るところだった。

「っはぁ・・・・・。なにしやがる、このエロ剣士!! 10歳の俺にサカるなんて、てめ

え、ひょっとして、ショタコンかぁ? 全然知らなかったぜ・・・。」

サンジはいつものような、からかう態度でゾロを見て笑う。

その声に反応して、ヒクッとゾロの眉が上がった。

「・・・・・・てめえなあ。 この状態で俺に、そんな悪態吐くたぁ、良い度胸してるじゃ

ねえか。 どうなるか、わかってそう言ってんだろうな・・・。」

ゾロはそう言ってサンジを睨み付けると、軽々とサンジの身体の自由を奪う。

ほんのお仕置きのつもりだった。

本気でどうとかする気はさらさらなかった。

「ゲッ! あ、いや! ダメだって・・・あ・・・・ん・・・ヤッ・・・」

ブカブカのシャツは、ゾロの手を簡単にサンジの肌に滑り込ませ、ややうわずった子供特有

の高い声がゾロの耳を擽る。

ゾクリとゾロの背筋に走る快感。

ゾロの手の感触にフルフルと身体を震わせ耐えるその姿に、ゾロは、軽く眩暈を覚えた。

ゾロの中にある嗜虐心が身体に火をつける。

「マジ、ヤバい・・・。 サンジ、止まんねえよ。」

ゾロは、そうサンジに耳元で囁いて深く口付ける。

「んっ・・・・ふ・・・んっ・・・ヤァーッ!! ゾロ、ヤッ・・・怖い・・・・ゾロ・・・ふぇっ・・・」

サンジは必死で顔を背け、そう言ってポロポロと泣き出してしまった。

いくらいつものように悪態を付こうと、薬の影響でサンジの精神は10歳のままだったのだ。

ズーンと罪悪感がゾロの心に広がっていく。

それと同じく、サンジに拒絶された事実が、急速にゾロを落ち込ませた。

「悪い、サンジ・・・。 けど、俺は、ショタコンじゃねえよ。 サンジ、てめえだから・・・

てめえだから・・・・・。 悪い、サンジ・・・。」

ゾロは、寂しげな表情でサンジの頭を撫で、そっとサンジの身体を膝から降ろす。

ゾロのその表情にサンジの胸がキュンと締め付けられた。

何歳になろうが、サンジがゾロを好きな事実は変わらない。

「・・・・・・・・・ゾロ・・・・俺。 ゾロなら、平気・・・・ゾロなら、我慢する・・・。」

サンジはそう言って、ギュッとゾロにしがみつく。

「サンジ・・・・・。」

そう言ってゾロが、再びサンジの唇を塞ごうとしたとき、

「あっ、サンジみっけ!!」

ウソップがそう言ってサンジを蜜柑畑から引きずり出した。




ひゃぁ〜・・・・・危ねえ。

正に危機一髪だったな。

犯罪だぞ、犯罪。

未成年者、それも年端もいかない少年に手を出すとは・・・。

ダ、ダメだぞ、ゾロ・・・。

そんな怖い顔しても・・・・・俺は・・・・俺はてめえを犯罪者にしたくねえ・・・。

お、俺は、勇敢なる海の戦士・・・・キャプテンウソップ・・・!!




「ほ、ほらっ。 今度は、ルフィが鬼だ。 さっさと隠れようぜ?」

「あ、おう・・・・。」

ウソップは、背中にビシバシと伝わる殺気走った視線に身震いしながらも、サンジを引っ張っ

て船頭の方へと向かっていく。

「・・・・・・ウソップ・・・・てめえ・・・・。」

ゾロは、ギリッと歯を食いしばり、ぶつけようのない怒りに身を震わせた。










<next>     <back>




<コメント>

誰か・・・・止めてくれい。(笑)
ウソップの男気(?)に哀悼の意をvv
どう見たって、ショタでしょ!ショタ!!
ロロノア・・・一体いつまで保つのでしょうか・・・?
ロロノア、ショタ道・・・まだまだ続きます・・・。(笑)