今すぐ、Kiss Me!


その3







それでも、夕食の頃になると、サンジの身体は14歳ぐらいまで成長した。

「ナミすわんvv ロビンちゅうわんvv お待たせしましたvv おい、クソ野郎共、メシの

用意できたぜーっ!!」

若干体格の差は否めないモノの、思考も行動も、19歳のサンジとほぼ変わらない。

食事の用意も普通通りにこなし、クルー達は、いつものように食卓に着いた。

テーブルには、色とりどりの料理が所狭しと並べられ、サンジはクルクルと忙しそうにシンク

と食卓を行き来する。

まだ少し長い袖をまくり上げ、前のボタンを二つ開けたシャツの隙間からサンジの白い肌と

鎖骨が覗く。




うがーっ!!

俺は、いつまで我慢してなきゃならねえんだよ!

触りてえ・・・・・触りてえよ・・・・!!

クソッ・・・!!

・・・・・・・・押し倒してえ・・・!!




じっとサンジを見つめるゾロの視線に、ウソップは、想わず身震いする。

まさに、肉食獣が餌となる動物を捕らえる前の凶悪な視線・・・。

それに気が付いていないのは、その視線を一心に浴びている・・・・・サンジのみ。

「・・・・・ね、ねぇ、ウソップ・・・。」

チョッパーが、ビクビクとした表情でウソップに話しかける。

「頼むから、チョッパー・・・今は、黙って食おうぜ。」

ウソップは、真っ青な顔をしてそう呟く。

チョッパーの目尻には、涙まで溜まって見えた。

ウソップはウソップで、先刻のこともあってか、気が気ではない。

しかし、これ以上の関わりは、なるべく避けたいのだ。

輝ける自分の未来のために・・・誰だって、志半ばで死にたくはない。

ここで、自分が口を挟もうものなら、間違いなく、自分に未来は、無いだろう事をウソップ

は充分自覚していた。

「そ、そだね・・・・。」

チョッパーは、そう言うと黙々と口に料理を運ぶ。

いつもは美味しくて堪らないはずの料理も、味わう余裕すらない。

食卓に暗黙の空気が広がっていく。

当然、誰一人、口を開く者はなかったはずだった・・・・・・・・・・・のだが・・・

「どうした?ゾロ・・? お前、サンジと喧嘩でもしたのか?」

急にルフィが、ゾロに向かってそう口を開く。

「ンあぁ? なんで?」

突然話しかけられたゾロは、不機嫌そうにそう言った。

「だってよ・・・。 さっきから、お前、サンジのこと睨み付けて・・・・恐ろしく怖い目つ

きだぞ、それ。」

そう言ったルフィの言葉に、サンジを除く他のクルー達は、ゴクリと口の中の料理を呑み込

む。

「んな訳ねえだろ・・・。」

「そ、そうだよ。 ゾロとサンジが喧嘩なんて・・・・。 今日はサンジ、小さくなってて

ゾロの傍に近づいてないんだから・・・・。」

ゾロの言葉に相づちを打とうと発したチョッパーの言葉に、ピシッという音と共にゾロの持って

いたグラスにひびが入った。

「チョッパー・・・・、もうそれ以上、何も喋るな・・・。」

ウソップは、涙ながらにチョッパーにそう訴える。

「ご、ご馳走様、サンジ君。 あたし、海図描くから先に部屋に戻るわね・・・。」

不穏なムードを察して、ナミがいち早くキッチンを出た。

「・・・・ご馳走様。 美味しかったわ。」

ロビンもそう言って部屋に戻って行く。

「あ、ナミさん、ロビンちゃん・・・??? ・・・・どうしたんだろ・・・?」

状況がわからないサンジはそう呟きながら、二人の食器を片付けた。

「はぁ〜・・・美味かった。 ご馳走さん。」

「ふぅ〜・・・もう食えねー。」

「ご馳走様・・・・。 あ、サンジ。 もう一回、身体のチェックさせて? 副作用は無い

とは思うんだけど、念のために。」

ウソップ、ルフィの言葉の後に、食事が済んだチョッパーはそう言って聴診器を取り出す。

「あ?ああ、いいぜ? そこのソファで良いか?」

チョッパーの言葉にサンジはそう返事して、ソファに座り、シャツを脱いだ。

それを見ていたゾロの喉がゴクリと鳴る。

ウソップは、いち早くその音を聞かなかったことにした。

「うん、大丈夫みたいだ。 あとは、時間が経つのを待つだけだね・・・。」

チョッパーは、にっこりと笑ってそう言う。

「まっ、な・・・。 俺も早く元に戻らねえと、落ち着かねえや・・・。」

チョッパーの笑顔につられ、サンジもそう言って微笑み返した。

ガタンッ!!

イスの倒れる音と共に、ゾロがツカツカとサンジの方へ向かう。

「ん?何か用か? クソ剣士・・・?」

サンジはそう言いながら、ゾロを睨み付けた。

ゾロはフッと口角を上げ、いきなりサンジを肩に担ぎ上げると、真っ直ぐにキッチンの扉へ向

かう。

「ほえ?! お、おい! こら、クソ剣士!!何を考えて・・・!! おい!おらっ!!

降ろせ!!俺はまだ、仕事の途中だぞ!! 降ろせって!!」

サンジは、必死になってゾロの肩の上で暴れる。

しかし、如何せん、14歳のサンジの力じゃゾロには到底敵わなかった。

「・・・・・・サンジ・・・・・・許せ。 14歳はもう身体は、立派な大人だ。」

ウソップは、自らに言い聞かせるようにそう呟いて、黙って二人を見送る。

「えっ?! ゾ、ゾロ?!サ、サンジ?!」

チョッパーだけが、オロオロとドアの向こうに消えていく二人とウソップを交互に見比べてい

た。














ゾロは、格納庫に入るなり、どさっとソファにサンジの身体を放り出した。

「な、なにするんだよ!! 俺、まだ後片付けも、明日の仕込みも済んでないんだ

ぞ!! てめえの相手してる暇ねえんだよ!」

サンジはそう言って立ち上がろうとする。

「てめえが悪い! ・・・・・・あんなとこでシャツなんか脱ぎやがって。 それでなくて

も、昼間のことで余裕無えんだよ、こっちは・・・。」

ゾロはそう言うなり、サンジの上に覆い被さった。

「うわっ!! あっ、ちょ、ちょっと!! まだ俺、元に戻ってねえんだぞ?! あっ、

やだ・・・・んっ・・・・んーっ・・・・」

ゾロは、話途中のサンジの口を自分ので塞ぐ。

まだあどけなさが残るサンジの表情を盗み見ながら、ゾロは、ますます深く口付けた。

「んっ・・・・んんっ・・・・っ・・・はぁ・・・このっ・・・・エロ剣士っ・・・!!」

上気した頬に瞳に涙を浮かべ、サンジはそう言ってゾロを睨み付ける。

「そんな顔したって、誘ってるとしか見えねえよ。 何と言おうがもう待てねえ・・・。」

ゾロはそう言って、またサンジの唇を塞ぐと乱れたシャツの裾から手を入れ、サンジの肌に

触れた。

ゾロの手が、サンジの胸の尖りを捕らえ、何度も掠めるように触れる。

「あっ・・・・はぁ・・・ん・・・・ダメだ・・・・ったら・・・ん・・あっ・・・・ゾロ・・・ッ!!」

ゾロの指がキュッとサンジの胸の先端を抓み、サンジは、堪らず身を捩った。

ゾロは、そんなサンジの身体をしっかりと抱き締めると、首筋からゆっくりと印を刻み唇を胸

へと滑らせる。

手の腹で撫で回され、サンジの胸の尖りはツンと上を向いて、視覚的にゾロを誘う。

「てめえ、ぜってえ14には見えねえよ。 相変わらずエロい身体してるよな・・・。」

ゾロは、ニヤリと笑ってそう言うと、胸の尖りに舌を這わした。

「あっ、ひゃあ・・・ん・・・・あっ・・・・てめえのせいだろ・・・ああっ・・・・ダメっ・・・

あっ・・・ヤダ・・・・ゾロ・・・ッ」

軽く先端を甘噛みされ、サンジは、ビクンと身体を震わせイヤイヤを繰り返す。

「嫌だという割には、しっかり反応してるぜ、こっちは・・・。」

ゾロは耳元でそう囁きながら、サンジの衣服の隙間からサンジの雄を握り込んだ。

「ああっ・・・・ック・・・・あっ・・・・アァーーッ!!」

ゾロが、サンジの雄を握り込んだ瞬間、サンジはビクンと身体を仰け反らせ、ゾロの手の中に

白濁の精を吐き出した。

「・・・・・・おい、マジかよ・・。 いくらなんでも早過ぎねえか・・・?」

「うるせー!!うるせー!! 抑えが利かねえんだよ!! てめえがやらしいか

ら・・・・うっく・・・・」

やや呆れ加減に呟かれたゾロの言葉に、サンジは恥ずかしさのあまりに涙ぐんだ。

ただでさえ敏感なサンジの身体は、今はまだ14歳のまま。

到底、こみ上げる射精感を抑える術もない。

「・・・・・・わりい。 そう泣くな・・・。 そうだよな・・・・てめえ、まだ14だもんな・・。」

ゾロはそう言うと、零れる涙を唇でそっと拭った。




これ以上、俺の我が儘だけでこいつを泣かすことはできねえ・・・。

元に戻るまで・・・・・・待つか・・・。




ゾロはサンジが泣き止むまで、その目尻に何度も口付けを繰り返す。

「・・・・・・・・ゾ・・・・ロ?」

サンジは、ゾロの優しい口付けにコクンと首を傾げてゾロを見つめた。

「・・・・んな仕草するな。 今だって・・・・押し倒してえの必死で我慢してんだぜ? 

てめえが元に戻るまで、待つから・・・。 ・・・・・・・・早く元に戻れよな・・・!!」

ゾロはそう言って照れたように笑うとギュッとサンジの身体を抱き締める。

「・・・・おう。 ・・・・・・・・・元に戻ったら、真っ先にてめえの相手してやる・・・!!」

サンジはそう言って、力一杯抱き締め返した。

「じゃあ、俺、まだ、後片付け残ってるから。 先に休んでて良いぜ?」

「いや、泣かした詫びに、俺も手伝ってやる・・・。」

「ふ〜ん・・・。 なかなか良い心掛けじゃんか・・・。」

「今日だけ、な・・・?」

サンジとゾロはそう会話しながらキッチンへと向かう。

途中、ゾロは自分達に向けられる視線に気が付き、その方向へと瞳を向けた。

その視線は、見張り台から心配そうに二人を見つめていたウソップのものだった。

ゾロは、ウソップの見て意味ありげにニヤリと笑う。

その瞬間、ウソップは真っ青になってフラフラとその場にへたり込んでしまった。

「あわわ・・・・やっぱ、ヤッたのか? ヤッちまったのか?! 俺は・・・・あーっ!!

サンジ・・・俺を許してくれ・・・。 俺は・・・俺は・・・なんて罪深い・・・・・!!」

ウソップの勘違い懺悔は、見張り台で一晩中続く事となる。

「ほい、力任せに拭いて割るなよ、高いんだから・・・。」

サンジはそう言って、隣で布巾を持ったゾロに皿を渡す。

「へーへー。 14歳でも口だけは同じだな。」

「当たり前だ。 5年しか違わねえんだから。 アッという間だ。」

サンジはそう言ってニヤリと笑った。

「ハイ、お疲れさん。 それじゃあ、寝るか・・・?」

「ああ。 寝るか・・・。」

明日の仕込みも済んで、サンジとゾロは、一つの毛布にくるまって互いの体温を感じながら

眠りについた。








「ふぁ〜・・・・よく寝た。 昨日は、本当、大変な一日だったなぁ。」

サンジは、ゾロを起こさないように静かに身体を起こすとキッチンへと向かう。

途中、見張り台から降りてきたウソップに、サンジは呼び止められた。

「サンジ・・・俺・・・・。 ごめん、どうしてもゾロを止められなくて・・・。」

ウソップはそう言うと深々とサンジに頭を下げる。

「ンあ? なにがどうしたんだ、ウソップ・・・? なんで謝る??」

「だってよ・・・昨日、ヤラれちまったんだろ? 14歳のお前に欲情する奴も奴だが、

それを止められなかった俺にも責任が・・・。」

「はぁ?? 何言ってんだ? 俺が、ヤラれた? 何寝言言ってんだよ。 昨日は、

確かにヤバかったが、ヤラれてねえよ、俺は。」

「へっ?! ほ、本当か??」

「当たり前だ。 嘘吐いてどうなるんだよ。」

「ひゃあ〜・・・良かった。 本当に良かったぜ!! これで俺は、まだ勇敢な海の戦

士への道が開かれてると言うことだな。 うん、うん。 良かった、いやぁ、すがすがし

い朝だぜ・・・。」

ウソップは晴れやかな顔でそう言うと、サンジの肩をポンと叩き、そのまま男部屋に向かう。

「何を勘違いしてやがる、あいつは・・・」

サンジは、そんなウソップの後ろ姿にそう呟くと、キッチンに入っていった。

「ん・・・?」

シンクに向かう途中で、サンジは思わず立ち止まる。

サンジは、鏡に映った自分の姿をまじまじと眺めた。

「ひゃっほーvv やったーっ!! 戻ってる!! 元に戻ったぞぉーっ!!」

サンジは、そう叫んで一目散に格納庫へと走った。

「ゾロ!! ぞぉ〜ろ!! ほらっ!!起きろよ!! ・・・・・・うりゃ!!」

サンジはそう言って、ゾロの腹巻きの上に踵を落とす。

「うぐっ!! ・・・・・・ッ痛え・・。 何だよ、もう朝飯か・・・。」

寝ぼけ眼を擦りながら、ゾロはサンジの方を見た。

「ゾロ!! ほらっ、見てみろよ!! 戻ったんだよ! 俺、元に戻ったんだよ!!」

サンジは嬉しそうにそう言って、ギュッとゾロに抱きつく。

「・・・・・・・・・・・・・・ンあ? 本当か??どら、顔を見せろ!!」

ゾロはそう言うと、サンジの頬を両手で挟んでじっと見つめた。

「・・・・・・・本当だ。 いつものてめえだ。 良かった。 いつものてめえだ。」

そう言ってゾロもサンジをギュッと抱き締め返す。

暫くそうやって抱き締め合っていると、不意にサンジが顔を上げた。




そう言えば、こう言うことしてる場合じゃなかった。

俺、まだメシの用意もしてねえじゃん。




「んじゃ、そう言うことで・・・。 俺、飯の支度しねえと。」

サンジはそう言うと、サッとゾロから自分の身体を離す。

「・・・・待てよ。 てめえ、昨日、俺に何と言った?? 真っ先に俺の相手するって、

そう言ってなかったか?」

ゾロは離れようとしたサンジの腕を掴むと、もう一度、自分の胸に引き寄せる。

「あ、あれは、その、何て言うか・・・・・その場の雰囲気で。 ・・・・・・・・ダメ・・・?」

恥ずかしそうに顔を真っ赤にして上目遣いで自分を伺うサンジに、ゾロは苦笑して抱き締め

る腕の力を強めた。

「ダメだ。 今すぐに、だ。」

「・・・・・もう、相変わらず、魔獣だな、てめえは・・・・。」

ゾロの言葉に、サンジは照れ隠しに悪態を付き、そっとゾロの唇に口付ける。

それから、昨日のサンジの言葉通り、二人は一日中、格納庫から出てくることはなかった。










「いいぜ、いいぜ。 昨夜のあの懺悔した時間を考えれば、この位の事、なんでもね

えよ。」

ウソップは涙ながらにそう呟きながら、サンジの代わりに家事一切を引き受ける羽目に。

「ウソップ・・・・・男だな。」

チョッパーの呟きは、誰にも聞かれることなく、風に流され、消えていった。










<END>



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<コメント>

ウソップがぁ〜・・・可哀想すぎますねvv(笑)
ゾロとサンジに振り回されるウソップって好きなんですよ。
お題は、紗那さんの
『何かの拍子に10歳ぐらいのチビナスになったサンジ。
勿論、ゾロとラブラブでvv』
と言うことでした。
あ、あってる??(汗)
こんなので、ごめんね〜vv紗那さんvv
エリョも凄い中途半端。(死)
裏題は、『ウソップの悲劇』かな・・?(笑)
では★