深愛。



その2







ゾロと両想いになって、毎日が楽しくて、暫く放っておいた自分の荷物を整理しようとバッグを

開けたら、一枚の古い手紙が落ちてきた。





誰にだって・・・忘れられない人が一人や二人いるだろ?

俺にだって、そう・・・あれは・・・

あれは、遠い日の想い出・・・・俺の・・・一番大切だった・・・人・・・



彼女は、店の常連でイーストブルーでは評判の歌姫だった。

美人でスタイルも良くて、ハスキーな声で皆を魅了した。

しかし逢ってみれば、全然気さくな人で俺は、一目で恋に落ちた。

そして、俺達は・・・・人目を忍んで恋をした。

俺は、15・・・・・彼女は、19・・・・・・

俺は、ただただ、嬉しくて・・・・・・毎日が楽しくて・・・・

毎日が、満ち足りた日々だった。

彼女がいれば、それで良かった。

俺の・・・・・初恋だった・・・・・

・・・けど・・・それは長くは続かなかった。



あの人は、突然、俺の前から姿を消した。

俺に会いに来る途中で熱狂的なファンに襲われて・・・

顔に治らない醜い傷を付けられて・・・その3日後・・・

俺に何も告げずに・・・そのまま旅立った。

『・・・さようなら。 あなたには、綺麗なままの私でいたいの・・・・』

その言葉だけしたためた手紙を残して・・・

俺は、そんな傷なんかどうでも良かったのに・・・・

どんなに穢れようが・・・・・穢されようが・・・・そんなこと・・・・

そんな傷なんか付いてたってあの人が側にいれば・・・

それだけで充分だったのに・・・・・

俺は悔しくて・・・怒った・・・泣いた・・・・

あの人にそう言わせた自分が腹が立って・・・・・

何もできない自分の幼さに・・・・・泣いた。

ずっと側にいて居れば・・・ずっとあの人の側を離れなければ・・・・

・・・・・俺に・・・・彼女を守れるくらいの強さがあれば・・・・・そう思った。

それから俺は、ジジイに足技を徹底的に仕込んで貰って、強さを手に入れた。





その手紙は、俺の苦い恋の想い出・・・・・俺の強さの源・・・・・・

「・・・Believe in your eyes, I feel so・・・・couse I love you・・・・・・・・」

俺は、その手紙をまた、バッグの底に大事にしまい込んで・・・・彼女が俺に歌ってくれた歌

を口ずさむ。

「何してんだ、そんなとこで・・・・・・歌・・・・・歌ってたのか・・・・・」

そう言って、ゾロが、部屋に入ってきた。

「ああ、昔の・・・・・想い出の歌だ。」

「・・・良い歌だな。 もっと、聞かせろよ。」

「わりい、そこしか覚えてねえんだ・・・・」

「・・・・・そうか・・」

俺は、ゾロの言葉にそう言って、さっさと荷物を片付けた。

忘れる訳なんか無い・・・・・・けど、この歌は・・・・彼女が俺にくれた歌だから・・・・

せめて彼女の歌ぐらい・・・・俺だけのものでも良いだろう?

俺のものは、全てゾロに与えても良い。

・・・・けど、この想い出だけは・・・・この歌だけは・・・・ゾロには歌えない・・・・・

これは、彼女が、俺だけにくれた歌だから・・・・・

「さてっと、片づけも済んだし・・・・・おい!腹減っただろ・・・・なんか作るか?」

俺は、そう言ってゾロに笑いかける。

「あ、ああ・・・・・・簡単なものでいいぜ。 どうせ、他の連中は、あさってまで戻って

こねえし・・・・」

ゾロはそう言って、俺を優しく抱き締めた。

それから、俺にゆっくりと何度も唇を重ねる。

ゾロの口付けに頭の芯がクラクラになりながらも、俺は必死で言葉を発した。

「・・・・・・・まずは、腹ごしらえだな。」

「・・・ククク・・・・・・だな。 ・・・・先、行ってるぞ。」

ゾロは軽く笑いながらそう言って、俺を離すと部屋を出ていった。

俺は、その場に崩れるようにしゃがみ込む。

あいつとのキスだけで、膝が震えて力が入らなくなっていた。

「・・・はぁ。 アブねえ。 また、流されっちまうとこだった。 ・・・・・なんで、俺、拒め

ねえんだろ・・・・・・あの腕に抱き締められたら、全部、どうでもよくなっちまう。

・・・・まさか、ここまで、惚れるなんて・・・・・誰が、想像するよ・・・・・ククク・・・・・」

俺は、苦笑いしながら、やっとの思いで立ち上がり、そう言って、あいつの待つキッチンへと

向かった。










++++++++++++++




キッチンで、料理を待つ間、俺は、サンジの料理する後ろ姿を眺めながら、酒を飲む。

腰の辺りで、キュッと締められたエプロンが、あいつの線の細さを際立たせ、つい、腕の中に

閉じこめたくなる。

あいつと恋人と呼べる関係になってから、もう半年・・・・

長いようで短かった時間・・・・・

ふと、先程のサンジが口ずさんでいた歌が、聞こえてきた。

あいつらしいラブソングのようだ。

異国の言葉のラブソング・・・・・何故俺が、ラブソングだと思ったかというと、歌詞に【I love

you】と言う言葉が入っていたからだ。

さすがに、この手に疎い俺でも、その言葉の意味ぐらいはわかる。

けど・・・・・あいつ、さっき、この歌詞覚えてねえって言ってなかったか?

何故、嘘を吐いた?

そんな些細なことなのに、俺の中に黒い影が忍び寄る。

この歌に、俺に言えない何かがあるのか?

何度となく身体を繋げて、こいつの身体、癖・・・・全て知っているつもりでいた俺に、気付か

せる。

俺は、こいつのことを、全部は知らねえって事。

バラティエにいたときのあいつ。

子供の時のあいつ。

そして・・・・・・・あいつが、どんな奴とどれくらい付き合ってきたのか・・・・・・

直接、サンジに問いただしたい衝動に駆られながらも、こんな些細なことを口にしようとして

いる自分が、妙に情けなくて、俺は、酒と共に、その言葉を飲み込んだ。

「ほら、できたぜ。」

そう言って、あいつは、俺の前に料理を並べる。

「クソ美味えだろ・・・・・」

そう言って笑うあいつの顔に、俺は、そっと顔を寄せて・・・・・掠めるように、キスをした。

「!!なっ・・・ばっ・・・・/////」

言葉になってない声を上げて俺を真っ赤な顔で睨み付けるあいつに、俺は、苦笑する。




あんな歌一つで、こんなにも動揺する俺を、お前は知っているだろうか・・・・

そして、こんなお前の表情に嬉しくて堪らない俺がいることを、お前は、知ってるだろうか・・・




一通り、片づけも済んで、俺達は、誰もいない部屋で、お互いの身体を重ねる。

触れるだけのキスを繰り返し、あいつの口内をくまなく貪って舌を絡ませた。

「んっ・・・んん・・・・・・ん・・」

くぐもったあいつの吐息に、後押しされるように、ますます口付けを深くして、その行為にのめ

り込む。

ピチャピチャと淫靡な音が、耳を擽って、口の端から、飲み込めない唾液が、雫し始めた頃、

俺は、やっとサンジの唇から離れて、唇を首筋に移した。

その頃になると、サンジの頬は上気して、瞳は涙で揺れ、壮絶な艶を放ち、俺を追い立て

る。

そんなサンジの姿態に煽られ、もどかしげにシャツをはぎ取ると、首筋に、赤い印を付けなが

ら、手を胸の尖りへと這わせた。

「ああっ・・・・はあ・・ん・・・・ん・・あ・・・・・」

俺の唇と手の動きに敏感に身体を震わせて、サンジは、声が漏れないように、自分の手を

口に持っていこうとする。

「今日は・・・誰もいねえ。 聞かせろよ・・・・俺だけに・・・・てめえの全部・・・・俺に

見せろ・・・・・」

俺はそう言って、空いている手で、サンジの手を掴んだ。

「な、何言って・・・・んん・・・あ・・・・やっ・・・・ゾ・・ロ・・・・はあ・・・」

恥ずかしさからか、幾分赤くなった顔で、俺を睨み付ける仕草までもが、俺には、堪らなく愛

しく思えて、俺は、熟知したサンジの好いところを丁寧に愛撫していく。

「ああっ・・・ゾロ・・・もう・・・・なっ・・・・止め・・・・ねっ・・・・」

フルフルと快楽に身を震わせて哀願するサンジを後目に、俺は、ズボンの上から、サンジの

雄に触れる。

サンジの雄は、すでに窮屈そうにその身を屈め、解放を待ち望んでいた。

俺は、慣れた手つきで、下着と共にズボンを剥ぐと、サンジの雄に手を這わせゆっくりと上下

に扱き始める。

「あああっ・・・・ゾロ・・・・はあ・・・んん・・・・ん・・・」

サンジの指が、俺の髪に絡み付き、その嬌声は、止まることを知らない。

サンジの雄の先端からは、透明な液が雫し始め、竿を伝い、後部の方まで濡らしていった。

「あっ・・・ゾロ・・・・もう・・・・あああ・・・・ヤッ・・・はぁ・・・ん・・・」

サンジは、俺の手の動きに合わせて腰を揺すり、余裕無さげな顔をして俺を見つめる。

その表情が、さらに俺を追い立てて、目も眩むような感覚を何度も味わった。

「あ・・はあ・・・ん・・・ゾロも・・・一緒に・・・なっ・・・・」

そう言って、サンジは、俺の首に縋り付く。

その言葉を合図に、俺は、後口に、濡れている指をゆっくりと挿し入れた。

何度、同じ行為を繰り返しても慣れないのか、サンジの緊張が指に伝わり、俺は、自分でも

驚くほどの丁寧さで、傷つけないようにゆっくりと時間を掛けてサンジの内襞を解していく。

そのうちに、サンジの内側から湿った音がしだし、指の通りもスムーズになり、俺は、指の数

を徐々に増やし、サンジが一番感じる箇所を重点的に探った。

「あああっ・・・・ヤァ・・・ん・・あ・・・・あああっ・・・」

ビクンとサンジの身体が仰け反って、俺にその場所を告げる。

俺は、何度もその箇所を掠めるように指を蠢かして、耳元で、そっと囁いた。

「挿れるぞ・・・・」

俺の言葉に、サンジは、黙って頷いて、俺は、自分の雄をサンジの中にゆっくりと埋めた。

「ヒッ・・・・あ・・ああ・・・ああ・・・ん・・・」

全てを埋め込んでから、俺は、サンジの息が整うまで全身の理性を総動員してじっと耐え

る。

「ん・・あ・・・もう・・・・動いて・・・良いぜ・・・・あ・・・ああ・・・」

その声が耳に届くと同時に、俺は腰をギリギリまで引くと、一気に突き入れ挿入を繰り返し

た。

「んっ・・・・はぁ・・・・んん・・・ゾロ・・・・ヤッ・・・あ・・・ゾ・・・・ロ・・・ああ・・・」

必死に俺の背中に縋り付いて、俺の名を呼ぶサンジに、俺は、堪らない支配欲に全身が総

毛立つ。

「あああっ・・・もう・・・ダメ・・・・ヤッ・・・・ゾロ・・・ゾ・・・ロ・・・・あああっ・・・・ッ・・・

クッ・・・」

「ッ・・・・クッ・・」

ひときわ高くサンジが啼いて、ビクビクとサンジの雄が震え、白濁の精をシーツの上に吐き

出す。

その動きが、内襞に直接響いて、俺は、堪らずに、サンジの中に白濁の精を叩きつけた。

はぁはぁと、肩で息をするサンジを、俺は、ギュッと抱き締め、呪文のように言葉を繰り返す。

「てめえは、俺のだ。 誰にも触れさせねえ。 誰にも・・・・誰にも渡さねえ・・・・」

そう、こいつは、俺のモノ・・・・・例え、どんな奴だろうが相手だろうと一歩も引くねえ。




あの時とは・・・・・違う・・・・・

あの人とは・・・・・・違う・・・・・・

どうしようもない現実に振り回されるだけの・・・・・

あの時とは・・・・・違う・・・・・









 
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<コメント>

今回は、サンジの過去の恋愛を絡めて、ゾロSIDEへと移行します。
本当に、読みにくい書き方で・・・試行錯誤してるんですが、
まあ、いつものルナの駄文の書き方と違うかな??って感じ。
どこら辺??って聞かれたら、ずばり、Hシーンかな??(殴!)
極力、淡々と、ゾロ視点で、書いたつもり・・・・(死)
次回は、・・・・・・・
では★