深愛。



その1







「好きだ・・・・」

そう言った言葉に、サンジは、本当に驚いたように俺を見て・・・・

「・・・・俺も・・・」

そう言って、俺に綺麗な顔で微笑んだ。














あれは・・・・・三ヶ月前のことだった。

いつものように、一人で甲板で酒を飲んでいた俺に、あいつは、つまみを手に持って俺の前

に現れた。

あいつは、上機嫌で俺と一緒に酒を飲んで・・・・急に俺に口付けてきた。

「・・・・・なあ、溜まってたら、俺としねえ? 長い航海なんだ。 てめえも男なら、溜

まってるだろ? 俺、初めてじゃねえし・・・・野郎と犯ったことあるから・・・・俺が、受

け入れる側に回ってやるぜ。」

そう言ってじっと俺を見つめているあいつの顔に、俺は、何故か下半身に熱を感じて・・・・・

そのまま、あいつを押し倒していた。

「・・・・なら、遠慮なく犯らせてもらう・・・・・」

俺はそう言って、誘われるままにあいつを抱いた。

初めは、なんにも感じなかった。

誘われたから、のっただけ。

陸で女を抱くように、ただの欲求のはけ口・・・・そのはずだった。

なのに、あいつの口から俺の名が聞こえたとき、俺は、ドキリとした。

いつもは言わない俺の名前・・・・・その声が、凄く嬉しくて、俺は夢中であいつを抱いた。

あいつの身体はとても熱くて、俺を勘違いさせるには充分で・・・・・俺は、あいつとの行為に

溺れていった。

それから、俺は、あいつのことが、気になって仕方なくって・・・・・気が付けば、好きになって

た。

いや、違う・・・・・・好きなことに気が付いたんだ。

好きだったからこそ、あいつを抱けた。

抱く前によく考えてみれば良かったんだ、自分の気持ちを・・・・

伊達や酔狂で男を抱けるもんじゃねえのに・・・・・

あの時・・・あいつに誘われたとき・・・・気が付くべきだった。

心より先に自分の身体が、正直に反応していたのを・・・・

そうやって、らしくもねえことをうだうだと悩んで・・・・俺は、やっと、あいつに告白したんだ。

「好きだ・・・」と・・・・・







+++++++++++++++++




あの時・・・・店で初めてあったときから、俺は、あいつが気になっていた。

同じ年なのに、いつもあいつは、冷静で、凄く大人びた表情で、なんでも悟りきってるような

態度が、気に入らなかった。

ルフィには、絶対的に信頼をおいていて・・・・ナミさんやウソップには、気さくに笑ったり冗談

を言い合ったりしてるのに・・・・・俺には・・・・・

俺には、いつも取り澄ました顔・・・・・面倒くさそうな表情・・・・・そして・・・・あいつの表情に

浮かんだ・・・・嫌悪・・・・・

俺は・・・・嫌われている・・・・・そう感じた瞬間、なにかが、俺の中で壊れた。

瞳が合う度に、罵り、蔑んだ瞳を向けて、馬鹿にして・・・・・喧嘩した。

それでも・・・・・それでも俺は・・・・・あいつのことが・・・・

嫌いに・・・・・嫌いにはなれなかった・・・・・・

初めは、あの取り澄ました顔が、俺の前で崩れる様が見たかっただけだった。

あいつが・・・・・・焦る表情が、見たかっただけ・・・・・

だから、俺は・・・・・・あいつを誘った。

船乗りが、男同士で犯り合うのは知っていた。

レディが居ない船の上では、性欲処理の方法として、結構頻繁に行われていた。

かくいう俺も、何度も、幼い頃、そう言う目に遭った。

まあ、俺には、その時、ジジイが守ってくれたから、全部未遂で済んだけど・・・・

俺には・・・・・そう言う風に見られるだけの何かがあるらしい・・・・

だから、俺は、自分の身は自分で守れるだけの力を手に入れた。

そして、同じ目に遭うレディ達を守れるだけの強さを身につけた。

あいつとは・・・誘うだけ誘って・・・・・冗談と言ってすませるつもりだった。

・・・・・本気に犯る気は・・・・・・なかった。

マジにのっかってきたら・・・・・その時には、この自慢の脚で、床に沈めてやろうと考えてい

た。

けど、あいつの瞳を覗き込んだとき・・・・・身体全体が総毛立つのを感じた。

なにかが、俺の中で、引き返せと命じていた。

しかし・・・・・・俺は・・・・・動けなかった。

あいつの腕は、とても熱くて・・・・鷹の目に付けられた傷が・・・・・俺の心を捕らえて離れな

かった。

初めてだった・・・・・何もかも・・・・・・・

肌を合わせるのも・・・・・あいつの熱さも・・・・・抱かれる心地よさも・・・・・

全てが、俺を知らないところで狂わせていた。

俺は、行為に夢中になって・・・あいつの名を初めて呼んだ。

「ゾロ・・・・・ゾロ・・・・」

言葉にする度に、俺の心に浸みていく・・・・・

気が付けば、俺は・・・・・後戻りできないところまで、来ていた。

心の中が、あいつで・・・・溢れそうだった。

こんな事・・・・やるべきじゃなかった・・・・・・

身体を繋げれば繋げるほど・・・・・俺の頭の中で、そう・・・・声が聞こえた。

・・・・コレが最後・・・・・毎回そう言い聞かせて・・・・・・

なのに、俺は、結局・・・・・・ずるずると流されてしまった。

もう耐えられない・・・・・耐えられそうにない・・・・・

そう決断して口を開こうとした俺に、あいつが言った。

「好きだ・・・・」と・・・・・

俺は、一瞬、何があったのかわからなくて・・・・・

「・・・・俺も・・・・」

じっと見つめるあいつの瞳に、気が付けば・・・・・そう答えていた。








  
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<コメント>

ああ、書いちまいました。 今回もシリアスめな二人・・・・
途中、痛くは・・・・痛くはならないと思いますが・・・・う〜ん・・・・
断言は、できません。つうか、暗いっす。(死)
サンジSIDEとゾロSIDEが、絡み合った感じになって、
読みにくいとは思いますが・・・・平にご容赦を!!(殴!)
今回のテーマ(え?!あったの??・笑)は、『愛する』の違い・・・・
多少、いえ、全然重いんですが、気長に、おつき合いを下さいませ。
(気長にって、どうよ?)
まあ、これは、序章だから・・・・いつもの如く・・・(-_-;)