・・・・・・何の香りだ・・・・・これは・・・・・
・・・・・・どっかで嗅いだ香り・・・・・
・・・・・・どこで???
・・・・・・俺・・・・・この香り・・・・・・知ってる・・・・・
・・・・・・どこだったか・・・・・・ダメだ・・・・・思い出せねえ・・・・・
「ふぇっぶしょん!! うぅ〜・・・寒・・・・・冷えるな、今朝は・・・・・??・・・・なん
か、スースーする・・・・・・??・・・・・??????・・・嘘だろ・・・・・」ゾロは、そう言ってベッドから飛び起きる。
「・・・・なんでだ・・・・・なんで、俺、今朝もパンツ穿いてないんだ?? ・・・・・嘘だ
ろ、オイ・・・・確かに俺は・・・・昨日、風呂入って・・・・パンツ・・・穿いたぞ・・・・なの
に・・・嘘だろ・・・・」
ゾロは、そうブツブツと呟きながらも、新しいパンツを穿いて、学校に向かった。
・・・・・また、パンツが、消えた・・・・
・・・・・なんでだ??
・・・・・それに・・・・・あの香り・・・・
・・・・・夢に香りがつくもんなんだろうか・・・・・
・・・・・けど・・・・・俺・・・・どっかで・・・・・知ってる香りだった・・・・
・・・・・どこでだろ・・・・・・
「おはよう、ゾロ・・・・・? どうした、浮かない顔をして・・・・」
クラスメートのルフィが、そう言ってゾロに声を掛ける。
「あ、ああ。 おはよう、ルフィ・・・・ちょっと、な・・・・・」
「なに? またお前、パンツが消えたなんて言うんじゃねえの?? ニシシ・・・」
「Σなんでお前それを・・・・」
ルフィの言葉に、ゾロは思わずそう言って立ち上がった。
「えっ、嘘・・・・・すげえな、お前のパンツ・・・・飛ぶのか?? 俺も、欲しい〜!!」
ルフィは、そう言って羨ましがる。
「・・・・お前なあ。 ・・・・ところで、あいつ・・・・まだ、学校来てねえな・・・・遅くない
か・・・」
「誰、あいつって??」
「サンジだよ、サンジ。 もうすぐ予鈴が鳴るって言うのに、まだ来てねえじゃん。
どうしたんだろ、あいつ・・・・・」
ゾロはそう言って、いつまでも空席のままのサンジの席を見つめた。
++++++++++++++++++++++++++
「うがあ・・・・なんでだよ・・・・なんでまた、よりにもよって・・・・・またパンツなんだ
よ・・・・・俺・・・今日、学校に行く勇気ねえよ・・・・・・今日は・・・・・もう・・・・パスす
る・・・・」
サンジは、そう言って自室のベッドで、寝転んだ。
今朝起きて、手に布の感触を感じて恐る恐る自分の手を見てみれば・・・・・
また、自分のではないパンツを握りしめていた。
そのことを知ったサンジは、学校に行く気力もそがれ、こうやって自室に閉じこもり、
サボっている。
・・・・・せっかく・・・・落ち着いてきたって、そう思ってたのに・・・・
・・・・・しかも・・・・また、パンツ・・・・・たぶん、あいつの・・・・・
・・・・・俺・・・・・俺・・・・・どうすればいい??
・・・・・このままじゃ俺、窃盗犯だよ・・・・ずっと・・・・・
・・・・・いや・・・今にパンツだけじゃなくてもっと・・・・・もっと変なコトしたら・・・・
・・・・・どうしよ・・・・・やっぱ・・・・
・・・・・やっぱ、俺・・・・・自分でなんとかしないと・・・・・
・・・・・あいつに・・・・・ゾロに迷惑がかかる・・・・・・
・・・・・なんとかって・・・・・やっぱ・・・・言うしかないよな・・・・・
・・・・・言って・・・・気色悪がれて・・・・・嫌われても・・・・・俺だけ・・・・
・・・・・俺だけ我慢すればいい・・・・・そう、俺だけ我慢すれば済む事じゃないか・・・・
・・・・・あいつに、無視されようが・・・・・嫌われようが・・・・・
・・・・・俺だけ、我慢すればいい・・・・
・・・・・どっちにしろ、俺・・・・このままじゃ・・・・あいつに・・・ゾロにあわす顔がないよ・・・・
「・・・・・・告白かあ・・・・・初めての告白が、あいつかよ・・・・・」
サンジは、そう呟いて・・・・・いつの間にか、眠っていた。
『・・・・・ここは・・・・・学校?? 俺・・・・いつの間に学校に来て?? ・・・・けど、
やけに身体が軽いなあ・・・・えっ?? 俺、浮いてる?? ・・・・これって・・・・そう
か、夢だ。 俺、夢見てんだな・・・・あっ、ゾロの奴・・・俺の夢の中でも眠ってんの
か? 本当、現実とかわんないじゃん。 ・・・・・おい、起きろよ・・・・起きろ・・・・って
言っても、夢の中だし、無理だよな。 ・・・・寝顔・・・・・クス・・・・ガキみてえ。
・・・・・・・。』
サンジは、そう言って、夢の中の寝ているゾロにそっと口付けた。
『・・・・・・このくらい、良いよな・・・・現実じゃ起きないことだし・・・・』
「・・・・・なんだ、夢かあ・・・・・なんかすげえリアルな夢、見ちゃったな・・・・なん
か・・・まだ、ゾロの唇の感触が残ってるようで・・・・・ああもう、俺って・・・・告る前に
キスなんか・・・・ まっ、夢のことだし・・・・関係ないか。 ・・・・・ゾロ、今頃、どうし
てるかな・・・・腹減ったな・・・・なんか作るか・・・・」
サンジは、そう言って、部屋を出てキッチンに向かう。
「・・・・・さて、腹も満たしたし、これからどうするかな・・・・授業はもう終わってるだろ
うし・・・・・部活ぐらいだな・・・・・ちょっとだけ・・・覗いてみようか・・・・」
食事を終え、何もすることの無いサンジは、そう言って学校に向かった。
+++++++++++++++++++
「!!!!!」
ガタンッ!!
ゾロは、授業中居眠りをしていて、唇に触れる感触に、びっくりして飛び起きる。
「・・・・・ゾロ、なにか、俺に質問でも有んのか? ・・・・それとも、寝惚けて飛び起き
たのか? もっと、静かに寝ていろよ、頼むから・・・」
授業を教えていたシャンクスが、立ち上がっているゾロにそう言った。
「あっ、いや・・・その・・・・すみません・・・・」
ドッと、教室に笑いが起こり、ゾロは、そう言って、慌てて席に着く。
・・・・・確かに、誰かが、俺の側にいた・・・・・
・・・・・確かに・・・・俺の・・・・俺の唇に、なにかが・・・・・触れた・・・・
・・・・・また・・・・・この香り・・・・・
・・・・・俺は・・・・確かに、この香りを知ってる・・・・・知ってるのに・・・・
・・・・・もう少しで・・・・わかりそうなのに・・・・
・・・・・俺・・・・・どうしたんだろ・・・・・
・・・・・パンツの件といい・・・・・この香りといい・・・・・
・・・・・絶対に・・・・変だ・・・・・
ゾロは、授業も上の空で、そんなことを考えて・・・・・ふと、空いたのままの隣の席を見る。
「・・・・サンジの奴・・・・とうとう、来なかった・・・・どうしたのかな・・・・」
ゾロは、一人そっと呟いた。
・・・・・・・・放課後・・・・・・・・・
「おっ、やってるやってる・・・・・・やっぱり、エース先輩が一番上手いよな・・・・
結構、女生徒に人気有るし、サッカーは、抜群に上手いし・・・・下級生には慕われ
て・・・・本当に、申し分のない人なんだけどな・・・・・・そんな人が、俺のこと好きだな
んて・・・・俺が、女の子なら・・・・・けど、俺、男だし・・・・先輩は、男も女も関係ない
って、そう言ったけど・・・・・そんなの・・・・皆が皆そう思ってない。 ・・・・たぶん、
あいつも・・・・・」
サンジは、金網越しにグラウンドを眺めてから、体育館の方へと視線を向ける。
・・・・・ちょっとだけ・・・・覗いてみるか・・・・
サンジは、体育館の窓から顔だけ出して、中を覗いた。
体育館の中では、いつものように剣道部が、練習をしている。
「・・・・次っ!!」
「はいっ!!」
気合いの入った声に、体育館は、熱気に包まれていた。
「おっ、いたいた。」
サンジはそう言って、じっとゾロの後ろ姿を見つめる。
・・・・・同じ格好をしているのに、何故かすぐにわかっちまうんだよな・・・・
・・・・・しかも、後ろ姿だよ・・・・俺って・・・・・有る意味、すごくねえ??
・・・・・なんかそこだけ、色が違うって言うのか・・・・
・・・・・そこだけ、違って見えんだよな・・・・・・・
・・・・・けど・・・・・本当に、いつ見ても・・・・・
・・・・・男の俺が見ても・・・・格好良すぎるよ・・・・ゾロ・・・・・
そんなことを考えてボーっと見つめていたサンジは、急に振り向いたゾロに、慌てて窓の下
に隠れた。
「やばっ・・・・・見つかった?? ・・・・けど、すぐに隠れたし・・・・気付いてないよ
な・・・」
サンジは、その場にしゃがみ込んでブツブツと呟く。
「おい、サンジ・・・・そんなとこで、なにしてんだ?」
急に、頭上で声が聞こえて・・・・・・サンジは、驚いてその声の方を見上げる。
「・・・・・なんだ、先輩かあ・・・・・びっくりした。 覗いてたのばれたかと・・・・」
サンジは、慌てて立ち上がると、目の前のエースに向かってそう言った。
「・・・・お前こそ、こんなとこでこそこそ何してんだよ。 ・・・・部活、出るんだろ?
さっ、行こうぜ。」
「あっ、ちょ・・・・ちょっと、俺、そんなつもりで・・・・・」
「・・・・良いから、良いから。 ・・・・・・・・それとも、中の奴に用事でもあったのか?
・・・・・・・剣道部の連中だろ?中にいるのは・・・・・」
「・・・・いえ、別に・・・・なにも・・・・・」
「じゃあ、さっさと行こうぜ。 俺、お前がいないと張り合い無くてさあ・・・・まともに、
相手になるのってお前ぐらいしかいないし・・・・お前いないとつまんないし・・・・行こう
ぜ。」
エースは、半ば強引にサンジの肩を抱いて、グラウンドに歩いていく。
そして、二人が、体育館の角にさしかかったとき、誰かがいきなり角から飛び出してきた。
「うわっ! あぶねっ!!」
「うわっ!! ごめっ!!」
持ち前の反射神経で、ぶつかることは避けることが出来たが、サンジは、その人物の姿に
再び驚いて声を上げた。
「!!・・ゾロ!!」
「えっ?あ・・・・・サンジ・・・・・」
サンジとゾロは、そう言ったまま暫くその場に立ちすくむ。
「いよう、剣道部のホープのゾロ君、どうした、そんなに息を切らせて・・・・・この先に
なんかようか?」
エースが、サンジの肩を引き寄せて、ゾロにそう言った。
「・・・・・・別に・・・・なんでもありません。・・・・・失礼しました。」
ゾロは、エースにそう言って、そのまま踵を返して、体育館に入っていく。
「・・・・・さっ、行こうぜ。 変な奴だよな、ゾロって・・・・」
エースはそう言って、サンジの肩に腕を廻したまま、部室に向かってまた歩き始めた。
・・・・・どうしたのかな、ゾロ・・・・
・・・・・なんか慌ててたけど・・・・・もしかして、俺を見つけて・・・・
・・・・・ははは・・・・そりゃないよな・・・・・すぐに隠れたし・・・・・
・・・・・けど・・・・・本当にどうしたんだろ・・・・ゾロらしく・・・・・
・・・・・ゾロらしくなかった・・・・・
「あ、でも・・・・・・・はい。 ・・・・・・・。」
サンジは、ゾロの様子を気にしながらも、エースと共に、部室に向かった。
一方、体育館に入ったゾロは、ドアの隙間から、サンジとエースの姿をじっと見つめていた。
・・・・あいつの視線感じて・・・・・
・・・・あいつの姿見つけて・・・・・
・・・・慌てて側に行こうとしたのに・・・・・・
・・・・あいつは、エース先輩と一緒だった・・・・・
・・・・あんなところで、なにしてたんだよ・・・・・・
・・・・お前の・・・・サンジの一番は、俺じゃなくて・・・・
・・・・俺じゃなくて・・・・エース先輩なのか・・・・・
・・・・俺は・・・・・一番じゃ・・・・・なかったんだな・・・・・
「・・・・・なんだ、俺・・・・・先生が言ったとおりになったじゃん。 ・・・・・馬鹿みて
え・・・・」
ゾロは、ギュッと唇を噛みしめて、部活に戻っていった。
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