Best Freind


その3







学校からほどなく、4人は、シャンクスのマンションに着いた。

「さあ、上がれよ・・・何にもねえけど、酒とつまみぐらいは、あるから・・・」

「お邪魔しまっす・・・」

「ちーっす・・・」

「お邪魔します・・・」

シャンクスにそう促されて、エースとゾロとサンジは、部屋の中に入る。

日頃からだらしないと思われていたシャンクスだが、部屋の中は、整然と片付けられて、3人

は、所有者との違和感に互いに声もなく見つめ合った。

「・・・・なんだ? 俺の部屋が、綺麗で、どうしてだって言う顔してるな・・・良いだろ

う、教えてやるよ、昨日な、彼女が来て掃除していってくれたんだ。 俺、まるっきし、

掃除ダメダメ人間だから・・・・ 彼女いねえと、ゴミ溜だな、ここは・・・・」

シャンクスは、悪びれる事無く、不思議がる3人にそう告げる。

「「「・・・・なるほど・・・」」」

3人ともようやく納得してテーブルについた。

「んじゃ・・・ビールで良いか? ・・・・氷結もあるぞ・・・・」

「俺、ビールで・・・・」

「あっ、俺は、氷結にして下さい。」

「俺は・・・何でも良いです。」

冷蔵庫からそう声を掛けるシャンクスに、エース、サンジ、ゾロは、そう言って各自、酒を手に

取る。

「んじゃあ、てめえらの青春に・・・・乾杯!!」

「「「・・・乾杯!!」」」

そう言って、4人は、酒を飲み始めた。

「・・・・・でよ、そいつが言うには、女なんて星の数ほどいるのに、なんでこいつなん

だろうって・・・・そう惚気やがってさあ・・・もう、俺は、キレたね・・・・てめえが、選べ

る程の男かーって、な。 ・・・・・どうした? やけに静かじゃねえか・・・・二人とも、

友人なんだろ? なんで、さっきから黙りこくって・・・さては、喧嘩でもしてんの

か・・・・」

シャンクスが、そう言って、ゾロとサンジの顔を交互に見渡した。

「あっ、いえ・・・・・別に・・・・・俺達、喧嘩なんか・・・・」

「してねえ。」

サンジの言葉を遮って、ゾロはそうボソリと言うと、缶ビールを一気に、喉に流し込んだ。

「あーあ、そんなもったいない飲み方しやがって・・・・・そんなに、失恋が、堪えたの

かね・・・・良いねえ、若いって・・・・ささ、もっと飲んで、辛いことは、皆忘れてしまお

うぜ。 ゾロ、てめえは、いい男だから、すぐに、別の奴が、現れるさ・・・・」

シャンクスは、そう言って、ゾロに缶ビールを勧めた。

「・・・・先生! 俺、失恋なんてしてねえって! ・・・・人のことで、勝手に失恋だの

恋だの決めつけて遊ばないで下さい!」

ゾロは、そう言って勧められるままに、缶ビールを飲んだ。

「・・・・・恋・・・・・か。 ・・・・・辛いよな、恋って・・・・」

エースが、そう呟いて、サンジの方をじっと見つめた。

「な、なに、先輩まで・・・・可笑しいですよ、先輩。 ・・・・酔ってるんですか??」

エースの視線に、サンジは、部活の時の事を思い出して、真っ赤になってそう言った。

「・・・・うん・・・・俺、酔っぱらっちゃったかも・・・・・・・サンジから、目が離れねえ

や・・・・」

エースは、そう言って優しい眼差しでサンジを見つめたまま、にっこりと笑う。

「!!・・・////せ、先輩・・・・そう言う冗談は・・・・止めて下さい・・・・俺、怒ります

よ。」

サンジは、ますます顔を赤らめて、エースを睨み付けてそう言った。

「怒っても・・・・昼間のことは、本気だから、な・・・・少しでも、可能性があるなら、

俺は、引かない。」

サンジの言葉に、エースは、一転して真顔で、サンジにそう告げる。




・・・・エースは・・・・・単なる部活の先輩で・・・・

・・・・いきなり、そんな事言われても・・・・俺・・・・・

・・・・全然、そんな風に見たことねえし・・・・・

・・・・確かに、人当たりは良いし、面倒見も良い・・・・それなりに尊敬もしてる・・・・・

・・・・その先輩から好意を持たれるのは悪い気はしないけど・・・・

・・・・けど・・・・・けど、やっぱり、俺には、先輩以上には、見れなくて・・・・

・・・・俺は・・・・・

・・・・俺は、先輩をそう言う風には、見れない・・・・




「・・・・/////そんな・・・・こと・・・・言われても・・・・」

いつに見ないエースの真剣な表情に、サンジは、小さな声で答えることしかできないでい

た。

ゾロは、二人の会話が聞こえてるのかいないのか、ただ黙ったまま、缶ビールを空けた。

「なになに?? 深刻な顔しちゃって・・・恋の悩みなら、このシャンクス大先生に任

せなさい。 なんたって、経験豊富だから・・・・」

「はいはい、その時は、お世話になりますよ。 ところで、俺、終電が有るんで、もう帰

ります。 ・・・・サンジ、また明日、な。」

エースは、シャンクスを軽くあしらうようにそう言って、サンジに笑いかける。

「・・・・・ゾロと言ったっけか。 今度また、一緒に飲もうな・・・・一度じっくりと話がし

てえ・・・」

エースは、黙ったまま酒を飲んでいるゾロの肩に手を掛けて、じっとゾロを見下ろした。

「・・・・・・いつでも、どうぞ。」

ゾロは、そう言って、真っ向からエースを見た。

緊迫した空気が二人の間に流れ・・・・・先に動いたのは、エースの方だった。

「じゃあ、お言葉に甘えて、近いうちに・・・・先生、あんまり飲み過ぎて、明日二日酔

いで学校休まないようにして下さいね。 自分で思うほど、若くないんだから・・・・

じゃあ、失礼します。」

エースはそう言って、ニヤリと笑うと、シャンクスのマンションを出ていった。

「チェッ、エースの野郎、人をジジイ扱いしやがって・・・・まだまだこんなもんじゃねえ

ゾ、俺は・・・・なあなあ、しけた面しねえで、飲もうぜ・・・・・」

シャンクスは、そう言って・・・・・3人は、また飲み始めた。











「・・・・・先生・・・・シャンクス先生・・・・ねえ、起きて下さい。 こんなとこで寝たら、

風邪引きますってば・・・・・」

サンジがそう言って途中で眠ってしまったシャンクスを起こす。

「う〜ん・・・・・まきちゃ〜ん・・・・もう少し、寝かせ・・・・zzz・・・」

しかし、シャンクスは、一向に起きる気配を見せなかった。

「・・・・・どうしよ・・・ゾロ・・・・」

「・・・・・仕方ねえな・・・・よっこらしょっと・・・・」

サンジから、そう言われ、ゾロは、仕方なくシャンクスを寝室に運んでベッドに寝かせた。

「・・・・・全く、生徒より先に酔いつぶれてどうすんだ・・・」

ゾロが、ため息混じりにそう呟く。

「クスクス・・・・面白い先生だよね、シャンクスって・・・・」

「ククク・・・・だな・・・」

サンジとゾロはそう言って、幸せそうなシャンクスの寝顔を見て笑い合った。




・・・・やっと普通に話せた・・・・・

・・・・やっぱり、俺達は、こうででないと・・・・・




ゾロとサンジは、お互いにそう感じた。

「・・・・さて、俺達も、帰るか・・・・」

「・・・・うん、そうだな・・・・」

ゾロとサンジは、そう言ってシャンクスのマンションを出た。

「・・・・・じゃあ、俺、こっちの方向だから・・・・」

マンションを出て、サンジがそう言って立ち止まる。

「・・・・ああ、そうだったな・・・・じゃあ、また明日・・・・・」

「うん・・・・じゃあ・・・・・」

ゾロはそう言って、歩いていくサンジの後ろ姿を見送った。

道を照らす街灯に、サンジの金色の髪が、いつまでもゾロの瞳に映る。




・・・・・・やっぱり、俺・・・・・・恋したのか、な・・・・・・・




ゾロは、サンジの見えなくなった道を暫く見つめ続けた。











・・・・はあ、良かった・・・・・ゾロ、怒ってなかったみたいで・・・・・

・・・・昼間・・・・あんな風にゾロが怒るって思わなかったから・・・・

・・・・良かった・・・・明日からまたいつものように・・・・できるよな・・・・

・・・・俺・・・・あれから病気も起こってないし・・・・

・・・・このまま・・・・このまま、無事に過ごせれば・・・・・

・・・・俺・・・・・この関係・・・・・絶対に失くしたくない・・・・・・

・・・・自分の気持ち、告白して・・・・・ゾロに・・・・・

・・・・ゾロに・・・・・気色の悪い奴だって・・・・・嫌だって・・・・・

・・・・そう思われたくない・・・・・

・・・・そんなの・・・・・・絶対に・・・・嫌だ・・・・・・




サンジは、一人、そう考えながら家路を急いだ。








 
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<コメント>

うわあ・・・・またまたひっぱっちゃいました・・・ごめんなさい。(TOT)
なんでもっと短く書けないかなあ・・・(-_-;)
次で・・・・・次こそ・・・・絶対に次で・・・・・終わらせる!!
・・・・と、ここでは、書いておこう・・・・(殴!)
あっ、そうそう、未成年は、酒は飲んじゃあいけないよ・・・
いくら氷結が、ジュースみたいで美味しいからって、絶対にいけません!
ちなみに、オレンジが一番いけると・・・・美味いんだな、コレが・・・(笑)
それから、シャンクスが言ってた『まきちゃん』は、マキノさんです。
大人の関係っぽくって好きなんですvv
では・・・・・・・