トライアングル★スクランブル★ANOTHER STORY


その3





「・・・で、サンジ君。 一体何があったの?? こんな人前で泣くなんて、こんな事、

初めてじゃない・・・ ・・・ゾロと何かあった?」

「俺じゃねえ!」

ゾロが、横から、口を挟んだ。

「あんたは、黙ってて! もう、ちょっと、外にいてよ!! あんたがいると、サンジ

君、何も話してくれそうにないわ。 さあ、出ていって!!」

そう言って、ナミは、嫌がるゾロを、無理矢理、廊下に追い出した。

「・・・ナミさん・・・・ヒック・・・お、俺・・・」

サンジは、整わない息で、ナミに、ユーリの話をした。

「・・・・・・・・・そう・・・・・そうだったの・・・・・・・・・あの、馬鹿剣士!!・・・・・あんな

に、サンジ君のこと、泣かすなって、言ったのに・・・・・サンジ君・・・・・辛かったわ

ね・・・・・でも、昔のことは、どうであれ、今のゾロは、サンジ君だけ。 それは、わか

ってあげてね。 あんな馬鹿だけど、サンジ君のことだけは、本当に、想っているみた

いだから・・・」

ナミは、サンジの髪を撫でながら、サンジにそう諭した。

「で、でも、ナミさん。 ユーリさんは、今でも、あいつのこと・・・」

サンジは、また、思い出したように、涙をこぼす。

「・・・恋愛は、当人同士の事だから、あたしには、何も言えないわ。 とりあえず、こ

のこと、ゾロに、話すわよ。 あの、朴念仁!! あたしの、トルネードテンポーお見

舞いしても足りないぐらいだわ。 後は、あたしに任せて。 サンジ君、その人、何号

室に泊まってるの??」

「・・・確か、303号室だったと・・・」

「ありがとう、サンジ君。 さあ、顔を洗っていらっしゃい。 せっかくの、美男子が、台

無しよ。」

ナミは、サンジに、明るくそう言うと、部屋を出た。

(あの、馬鹿剣士!! 何てことすんのかしら・・・あたしのサンジ君に!!)

ナミの怒りは、頂点に達していた。

「あんたっ! ちょっと、こっちに来なさいよ!!」

ナミは、廊下でうろうろしていたゾロを見つけると、いきなり、耳を掴んで、3階に引っ張って

行った。







「痛てえ!! ナミ、おらっ!! 離せよ! 俺は、サンジのとこに・・・」

「うるさいわね!! そんなにサンジ君のこと、大事にしたいんだったら、何故、泣か

す様なことすんのよ、あんたは!!」

ナミは、ゾロに、噛みつかんばかりにそう言った。

「・・・俺のせいなのか?」

ゾロは、静かな声で、ナミに聞く。

「・・・そうよ。 サンジ君、泣いたの、あんたのせいよ! ・・・ゾロ、ユーリって言う名

前に、覚えがない??」

「ユーリ? ・・・・もしかして、あいつのことか・・・」

「覚えてるみたいね・・・その娘、あんた追いかけて、この部屋に、泊まってるらしいわ

よ・・・サンジ君に、今も、恋人同士だって、はっきり、言ったらしいわ・・・ ゾロ、恋愛

は、当人同士のことだから、あたしがとやかく言うのは、筋違いだと、わかって

る。・・・でも、今日みたいに、サンジ君のこと、傷つけるなんて・・・あたし、許せない

の・・・サンジ君、彼女の為に、身を引く覚悟してるわ・・・ あんたも、どっちにしても、

ちゃんと、彼女に会って、早く、話つけてよね・・・じゃないと・・・サンジ君・・・

本当に、手遅れになっちゃう・・・ それだけよ、あたしが言えるのは・・・」

「・・・・わかった・・・・」

ナミは、ゾロを残し、部屋に戻っていった。

「・・・・・・サンジ・・・すまない・・・・」

そう言って、ゾロは、303号室のドアをノックした。








「はい、どちら様ですか?」

「・・・俺だ・・・ゾロだ。」

「えっ?! 今、開けます!」

カチャリとドアが開いた。

「本当に・・・ゾロなのね・・・・逢いたかった・・・」

ユーリは、ゾロを抱きしめた。

「さっ、入って。 本当に、サンジさんが、連れてきてくれたのね・・・嬉しい・・・」

そう言って、ユーリは、涙を浮かべた。

「・・・・ユーリ・・・すまない・・・・・」

「良いのよ・・・貴方が、黙って、出ていったことなんか、もう、気にしてないわ。

だって、貴方は、ちゃんと、戻ってきてくれた・・・それだけで・・・もう充分よ。」

ユーリは、涙を拭いて、ゾロに、微笑んだ。

「・・・違うんだ・・ユーリ・・・」

「いやっ、聞きたくなんかない!! ・・・昔みたいに、『ただいま』って言ってよ・・・・

『ただいま』って・・・」

ユーリは、泣きながら、ゾロに口付けた。

「・・・すまない・・・・」

ゾロは、ユーリを自分から引き離すと、そう一言、言った。

「っ・・・いやっ!!」

ユーリは、そう言って、部屋から、飛び出していった。

「・・・・・・・・・・」

(・・・すまない・・・ユーリ・・・俺は、お前の気持ちに、答えてやれねえ・・・・)

ゾロは、その場から、動かなかった。

「ゾロ!! 何やってんだよ!! さっさと、追いかけろよ!! 早く!! 早く、行け

よ!!」

サンジが、後ろで、悲痛な声を上げていた。

「・・・・・・・・・・」

「何、ぼさってしてんだよ!! てめえの恋人だろが!!」

サンジは、動こうとしないゾロに、そう言って掴みかかった。

「・・・・・・・・」

「・・・この馬鹿!!」

サンジは、そう言うと、ユーリを探しに、宿を出ていった。







「おい!! ここら辺で、ブロンドの長い髪の碧眼のレディ、見なかったか?」

サンジは、片っ端から、道行き人たちに聞いてまわった。

約、1時間後・・・

「そういや、そう言う美人の姉ちゃんが、あっちの丘の方に行くの、見たなあ。

あんな、切り立った崖しかないようなとこ、何しに行ったんだろ? あんたの、コレか

い? 何か、泣いてたみたいだったぜ。 駄目だよ、女の子、泣かせたりしちゃ・・・」

「サンキュー、オヤジ!!」

そう言って、サンジは、ユーリがいる丘へと向かった。








(!!!いた! ユーリさんだ!)

サンジは、崖に向かって歩いている人影に向かって走った。

「ユーリさん!! 危ない!!」

サンジは、崖から、飛び降りようとしていたユーリを後ろから抱きしめると、崖から遠ざけた。

「放して!! サンジさん! 貴方には、関係のない事よ!! 私のことは、放っとい

て!!」

ユーリは、サンジの腕の中で、暴れた。

「・・・放っとけないよ・・・ユーリさん・・・・だって、あいつの大切な人だから・・・・」

サンジはそう言うと、にっこりとユーリに笑いかけた。

「・・・サンジさん・・・」

「さあ、ゾロが待ってる・・・帰ろう。」

そう言って、サンジが、ユーリに手を伸ばそうとしたとき、いきなり、ユーリのいた場所が、崩

れ落ちた。

「きゃあ!!」

「ユーリさん!!」

サンジは、何とか、木の根っこに捕まって、ユーリの手を掴んだ。

木の根は、今にもとれそうにぐらついている。

「ゾローッ!!」

サンジは、いるはずのない、ゾロの名を呼んだ。








「ナミ! こっちだ!!」

ゾロは、サンジの声が聞こえたような気がして、その方向に、急いだ。

「サンジ!!」

小高い丘の上には、人影もなく・・・それでも、ゾロは、サンジの名を呼んだ。

「ゾロ!! こっちだ!! 急げ!!」

ゾロは、声のする方へ、走った。

そして、崖下で、木の根っこを片手で掴んで、もう片方の手で、ユーリの手を掴んでいるサン

ジを見つけた。

「サンジ!! 大丈夫か?! 待ってろ!今、助けてやる・・・」

「遅せーよ。 馬鹿ゾロ・・・クッ。 ・・・先に、ユーリさん、引っ張り上げてくれ・・・ 

・・・いくぞ!!」

サンジは、そう言って、最後の力を振り絞って身体を大きく前後に振ると、その反動を利用し

て崖を蹴り上げ、ユーリを、ゾロの腕の中まで投げた。

そして、ユーリが無事に、ゾロの腕の中にいるのを確認すると、晴れやかな笑顔で、ゾロに

向かって、こう言った。

「・・・・わりい・・・・俺・・・・もう・・・限界だ・・・・・ユーリさん、大事にしろよ・・・」

サンジの身体が、吸い込まれるように、崖下の海に、消えていった・・・・・

「サンジさん!!」

「サンジ君!!」

ナミとユーリは、悲痛な声を上げた。

「サンジッ!!」

ゾロは、言葉とほぼ同時に、海の中に飛び込んだ。






  
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<コメント>

乙女サンジ、復活!!(笑)
やっぱり、しょうもなく、また長くなってしまった・・・
なんでだろ?? 
パソ打ってるうちに、自分の妄想に填っていく自分が、恐い・・・(笑)
後、1回で、何とか・・・無理かなあ・・・(笑)
もう少し、おつきあい下さいっv