折り鶴



その2







「ああん? 何か言ったか?」

・・・・・・・遠くで、誰かの声がする。




ルフィの声じゃねぇなぁ。

・・・・・・・ウソップか?




俺はうっすらと目を開けた。

蒼い瞳・・・・金色の髪・・・・・・それに、ぐるぐる眉毛・・・・・・・

これは、夢の続きか?

そう、これだよ・・・・・な・・・・?

「何じっと見てんだよ!」

ハ、ハ、ハ、そうそう、あいつ初めに、そう言ったんだよな・・・・・・・って??

「うごっ?!」

俺は、頭に、強い衝撃を感じた。

「いってぇー!! 何しやがるんだ!!」

そこまで言って、俺は、はっきりと覚醒した。

「そりゃ、こっちの台詞だ。 クソ野郎。」

ゆらゆらとタバコを、口に銜え、奴は片足をおろした。

見るからに、不機嫌面して、俺を睨み付けている。

「??・・・・・・何って・・・・?」

俺は、ポリポリと、頭を掻きながら、自分の格好を確認する。

胸には、先日、鷹の目に付けられた傷が、魚人との戦いで、また傷が開いてて。

さっき、ココヤシ村の医者に、麻酔なしで、縫って貰った後、このベットで、眠っていてだけの

はずだ。

「・・・・・・・・・?」

眉間にしわを寄せて、俺は、考えた。

「てめぇ、覚えてないのか?!」

ますます、頭に血が上って、奴の顔は、凶悪さを増していく。

「もう、いい!!」

あいつは、呆れた顔で、ため息を一つして、俺の横に腰掛けた。

「ナミさんのお姉さまが、お前に、熱があるから、薬持ってけって。 お優しい方だよ

な〜vv ほらよっ!!」

と言うと、薬と水の入ったコップを差し出した。

「そういう、てめえは、どうなんだよ。 あばら、イっちまってんじゃないのか?」




そう、こいつだって、魚人相手に戦って、あんな無茶して・・・。

なのに、何で平然としてやがるんだ?

おかしいだろ、絶対。




「はっ、俺は、打たれ強いんだよ! あのくらい、クソジジイの蹴りの威力に比べじ

ゃ、屁でもねえ。」

そう言うと、横のテーブルに、薬とコップを置いて、また、タバコに、火を付けた。

俺は、もう一度、奴の顔を見た。

そういやぁ、さっきから少し、顔が赤いような気がする。

骨が何本か、イってんだ。

こいつ、もしかしたら、熱あんじゃねえのか?

・・・今、俺が、薬を飲まずに、奴に渡しても、きっと、こいつは、

「レディのご厚意を無下にすんな!!」

とか言って、怒るだけで、絶対、飲まねえだろうな。

こいつは、全く・・・。

子供ん時は、素直だったのに、どうしたら、こう、足癖の悪い、ひねた野郎になっちまったん

だか・・・・。

「仕方ねえ。」

俺は、テーブルから、薬とコップを取ると、2倍の量の薬と、水を口に、含んだ。

「あっ! おい! 馬鹿。 そんなに、いっぺんに飲んじまったら・・・」

その様子を見ていた奴は、カバッと立ち上がり、俺に近づいた。

俺は、即座に、奴の手を引っ張り、有無を言わさず、奴の口に半分だけ、薬を流し込んだ。

思ったより、柔らかい唇。 

苦いはずの薬も、甘く感じた。

奴の喉が、コクンとなった。

「ん、・・・ふっ・・・」

奴の口から吐息が漏れる。

気が付いたら、俺はそのまま舌を絡めていた。




やべえ、止まんねえ・・・・。




奴の腰に腕を回し、もう少し、このままで・・・と、そんなことを考えていた俺に第2の衝撃が

襲う。

「てめえ、いっぺん、死んでこーい!!」

「ぐはあっ!!」

俺は、そのまま、気を失った。







テーブルの上には、折り鶴が、羽を広げて、載かっていた。








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