Sweet Angel


その6





「・・・・・で、話って何?」

サンジとテン以外、皆、甲板に集まって、ゾロに、注目する。

「実は・・・・この街の近くの島に、鷹の目の男が、奴がいるらしい。 さっき、街の漁

師達が、話してるのを聞いた。 ・・・・・俺は、その島に、行こうと思う。 

・・・・・・だから・・・・・・だから、皆とは、ここで、お別れだ。 ・・・・・ナミ、すまねえ

が、小船を一隻、俺に、くれるか? 金は、ねえんだが・・・・ 話したかったことは、こ

れだけだ。」

「サンジは? サンジは、このこと、知ってるのか?」

チョッパーが、堪らずに、ゾロにそう聞いた。

「ああ、 ・・・・・・・あいつも、その話、聞いてたからな。」

「じゃあ、サンジも一緒に行くのか?」

「・・・・・・・いいや。 あいつは・・・・・・ここに、残る。 あいつには、別に、夢が待っ

てるから・・・・・ あいつのこと、頼むな、チョッパー。」

「・・・・・・・サンジ君が、そう言ったの?」

今度は、ナミがそう聞いた。

「・・・・・・・・・・・・・あいつに、聞いて・・・・・・・どうする・・・・・・・・・・」

「じゃあ、俺達、ここで、ゾロ、お前が戻ってくるの、待ってる。 なっ、ナミ。 別に急

いでるわけじゃねえし・・・・」

「いや、てめえ達は、旅を続けてくれ・・・・・・・なに、すぐに、追いつくさ。 

・・・・・・・必ず。」

ウソップの申し出に、ゾロはそう言うと、ニヤリと笑った。

「・・・・・・わかった。 ゾロ・・・・・・・俺達、待ってるから・・・・・・・約束だぞ。」

「おう!」

ルフィは、いつものように、ニシシと笑ってそう言った。

「ふう・・・・キャプテンが、そう言ってんなら、従うしか、無いわね。 ・・・・・・でも、

ゾロ、良い? あんた、まだ、あたしの借金、返し終わってないんだからね。 

・・・・それに、船も、文無しには、あげられないわ。 貸しよ、貸し。 あんたに、貸し

といてあげるわ。 ちゃんと、返しに来ないと、地獄まで、回収に行くからね。 

わかった?」

ナミもそう言って、笑った。

「「絶対、絶対に、帰って来いよ!」」

「あなたの夢、叶えてらっしゃい。」

ウソップとチョッパーとロビンは、ゾロにそう言った。

「ああ、皆、ありがとう。 ・・・・・サンジのこと、テンのこと・・・・・よろしく頼む。」

ゾロはそう言って、皆に深々と頭を下げた。

「じゃあ、皆・・・・邪魔者は、街に行きましょうか。」

ナミはそう言って、他のクルー達を誘って、船を下りていった。



















「皆、もう、行ったのか?」

部屋の中に入ってきたゾロの気配を感じて、サンジは、そう言った。

傍らのベビーベッドの中には、初めての外出で疲れたのか、テンが、寝息をたてている。

「ああ、皆、街に行った。 ・・・・・・・可愛い寝顔だな。」

ゾロは、ベビーベッドを覗き込んで、そう呟く。

「・・・・・・・・俺・・・・・・・・・・俺、女に生まれてくりゃ、良かった。 そしたら、

そしたら、ゾロの赤ちゃん、産めたのに・・・・・・・・・・・・ 

・・・・・・・・・・・・・・・・・俺には、なにも・・・・・・・・・・・・・残らねえ・・・・・・・・・・・ 

わかってる。 別にゾロの言葉を信じないわけじゃねえ。 

・・・・・・・・・・ただ、寂しいんだ。 ゾロが側にいねえのが・・・・・・・・・・・怖いんだ。」

サンジは、そう言ってゾロの首にギュとしがみついて泣いた。

「・・・・・・・・サンジ。 お前は、強い。 ・・・・・・・・・・もし、俺が戻らなくても、お前

は、絶対に、自分の夢を掴め。 お前には、それが出来る。 

・・・・・・・・・・・・そのために、お前は、この船に乗ったんだろ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・それを忘れるな。」

「っ・・・・・・・・あたりめえだ。 てめえに言われなくても、やってやる。 

やってやるぜ・・・・・・」

サンジはそう言って、笑って涙を拭く。

「そう・・・・・・・・それでこそ、俺のサンジだ。」

ゾロはそう言って、ソファーにサンジを押し倒すと、優しく口付ける。

だんだんと深くなる口付け・・・・・・

互いの舌を絡ませ、口内をくまなく蹂躙していく。

「んんっ・・・・・ふ・・・・・ん・・・んん・・・・」

サンジの口から甘い吐息が漏れ始め・・・・・・

ゾロは、サンジのシャツのボタンに手を掛ける。

「しゃんじ・・・・・・ロロ・・・・・・・・しー・・・・テン・・・・・しー・・・・」

ゾロの背後から、いきなり、テンの声がする。

「うわっ! ・・・・・・・テン・・・・・・小便か??」

ゾロは慌ててサンジの上から起きあげると、テンを抱いた。

「・・・・クククッ・・・この続きは、島から帰ってきてからだな。」

「クククッ。・・・・・・・・・そうだな。」

ゾロとサンジは、テンを見て、互いに笑った。

それから、ゾロはテンを抱いて、トイレに走った。

「じゃあ、俺、飯作るから、テン、よろしくな。」

そう言って、サンジは、キッチンに入っていく。

「じゃあ、テンは、俺と一緒に、甲板で、遊ぶか。」

「うん。 テン・・・・ロロと・・・・・あしょぶ・・・・」

ゾロはテンを連れて、甲板で遊んだ。







「お〜い! テン、ゾロ、飯、出来たぞ!」

サンジがそう言って、甲板に出てみると、腹巻きの中にテンを入れ、眠っているゾロがいた。

「・・・なんだ。 寝てるのか? ククク、しかし、未来の大剣豪がねえ・・・・・腹巻きに

赤ちゃん入れて・・・・・・・・皆に、見せてえよ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ゾロ。

・・・・・・・・俺、ずっと、待ってるから・・・・・・・・・・・必ず、戻ってこい・・・・・・・・」

サンジはそう呟いて、軽く口付けた。

その夜、ゾロとサンジは、格納庫の簡易ソファーを部屋に運んで、ソファー同士くっつけて、

テンを真ん中に、川の字で、眠った。





「テン・・・・・サンジ。 じゃ、行ってくる。」

そう言ってゾロは、サンジの頬にキスをする。

「・・・・・・・・・・・・」

「ロロ・・・・・らめ・・・・行っちゃ・・・・らめ・・・ロロ・・・」

ゾロの気配を感じて、テンが素早く起きあげる。

「しっ、テン。 静かに。 サンジが目を覚ますだろ? なっ、テン。」

ゾロは慌ててテンを抱き上げて、テンの口に指を置く。

「・・・・・・ロロ・・・・・・・・」

テンは、瞳に涙を一杯に浮かべ、ゾロを見上げる。

「ほらっ、泣くと、サンジが起きちゃうゾ。 テンは、いい子だから、我慢できるな。

・・・・・サンジを、頼んだゾ。」

ゾロはそう言って、テンをベッドの上に置くと、そのまま部屋を出ていった。

「・・・・・・・・・・馬鹿ゾロ。 俺が、起きてないわけ・・・・・・・・

ないじゃねえか・・・・・・・・・・・」

サンジは、そう呟くと、そのまま枕に、顔を埋めた。









+++++++++++++++++



「・・・・・・この先に・・・・・・鷹の目が・・・・・俺の野望が、ある・・・・・・・」

小舟は、何かに導かれるように、鷹の目がいるリバース島に着いた。

「鷹の目! 勝負だ!!」

「久しぶりだな、ロロノア。 少しは、強くなったか? 今度は、怪我では済まぬゾ。

その覚悟が出来ているなら、かかってこい! この私の黒刀で、貴様の命、散らせ

てやろう・・・・」

「望むところだ!!」

ゾロは、バンダナを巻き、刀を3本構えると、ミホークに向かっていった。

カキーン、カキンと、刀の音だけが、島に響いていく。











「ここだ! この島だ。 ゾロは・・・・・・・あっ、いた! ・・・・でも、どっちが、

ロロノア・ゾロなんだ?」

島の上空に待機して、死の天使ロロは、ミホークとゾロの闘いを見ていた。




















「しゃんじ・・・・・しゃんじ・・・・・・ロロ・・・・・・ロロ・・・・びえぇ〜ん、え〜ん、

え〜ん・・・・・ロロ・・・・・バイバイ・・・・・らめ・・・・びえぇ〜ん、え〜ん、え〜ん・・・・」

お昼過ぎ、他のクルー達が、船に戻ってきて、早速、出航に準備をしていた時、テンが、泣き

ながら、サンジの腕の中に飛び込んでくる。

その後を追って、ナミが、息を切らしながら、サンジの側に駆け寄った。

「はあはあ・・・・・ごめん、サンジ君。 さっきから、テン、全然泣きやまないの。 

ちょっと目を離した隙に、こっちに飛んで行っちゃって・・・・・・・あたしじゃ、駄目みた

い。 お願いできる?」

「すみません、ナミさん。 ほらっ、テン。 いい子だ。 ゾロなら、大丈夫だか

ら・・・・・・・・もうすぐ、帰ってくるから・・・・・・・・」

ナミに謝ると、サンジはそう言って、テンの背中を優しく撫でる。

いつもは、そうすると泣き止むテンが、今日に限っては、全然泣き止む気配を見せない。

それどころか、頭をぶんぶんと横に振って、先程よりもっと大きな声で、泣き続けた。

「・・・・・・・・・・・ナミさん。 一つ、俺のわがまま、聞いて貰えますか?」

異常に泣き叫ぶテンを見つめ、サンジは、ナミに、お伺いを立てる。

「なあに、サンジ君。 あたしに、あたし達に出来ることなら、何でも言って。」

「ナミさん・・・・・船を・・・・・・・・・ゾロのいるリバース島に、寄って貰いたいんですけ

ど・・・・・・ ・・・・・・・テンには、ゾロのこと・・・・・・きっと、わかるんです・・・・・・・

・・・・・・・だから・・・・・」

「なんだ、そんなこと・・・・・・ ・・・・・・・・・・わかってるわよ、サンジ君。 

ゾロに負担掛けたくなくて、ああ言ったけど・・・・・・・・・・・・ あの方向音痴のゾロ

が、優秀な航海士がいるこの船に、追いつくわけないじゃない。 

もちろん、迎えに行くわ。 あたし達、仲間でしょ??」

サンジの言葉に、ナミは、にっこりと笑って、そう言った。

「さあ、用意は、良い?? 皆、リバース島に向かって、出航よ!!」

ナミの掛け声で、船はゆっくりと、港を離れ、一路、リバース島に向かう。

「ちぇ・・・・・俺が、船長なのに・・・・・・・・」

ルフィの呟きは、波間にむなしく消えていった。








  
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<コメント>

ちょっと、だんだん、痛くなってきました、ね。(^_^;)
ゾロVS鷹の目、このコンセプトは、ルナが、書きたいなあと思ってたモノ。
・・・・・ただ、戦闘シーンが、書けないので、すっとばし・・・・(-_-;)
こんな時、絵が描ければ・・・・・つくづくそう思います・・・・
ここらへんまでくると、お話の全容が、わかってくると・・・・
『テン』、ルナのお気に入りキャラのNO.1です!
誰か、テン、書いてくれないかなあ・・・・・
では、続きを、お待ち下され。(ペコリ)