Sweet Angel


その4





「うわあ・・・・・可愛いvv まるで、蜜柑の妖精ねvv」

「ごめんなさいね、テンチャン。 ベビー服って、作ったことなくて・・・・それに、色も、

女の子っぽいものしかなくて・・・・・ロビンよ。 よろしくね、テンチャン。」

「全然、可愛いよ! テンって、言うのか?? 俺、チョッパーだ。 トニートニー・チョ

ッパー、よろしくな。」

「おお、俺のイスも見てくれよ。 さあ、テン、ここに座って見ろ。 このキャプテンウソ

ップ様が精魂込めて作った作ったモノだ。 どんなにしても、壊れねえゾ。」

「ふぇん・・・もふふぁふぇふぇふふぉ。(テン、もう先に食べてるゾ。)」

キッチンに現れたテンに、皆はそう言って挨拶をする。

「「「「「「いただきま〜す!!」」」」」」

そう言って、皆は、サンジがおやつに作ってくれた、パンプキンプリンを食べ始める。

「しゃんじ、ロロ、にゃみ、ウフィ、ショップ、ッパー、ロー、・・・らきまちゅ。」

そう言って、テンは、皆の真似をして、スプーンで食べ始めた。

「・・・・しゃんじ〜・・・・・」

しかし、なかなか上手くいかず、隣のサンジに、助けを求める。

「ん? 駄目だったか? ほらっ、あ〜んして。」

「あ〜ん・・・・・もぐもぐ・・・・」

サンジがそう言って、テンにプリンを食べさせる。

テンは、一杯にプリンを頬張って、一生懸命に口を動かした。

・・・・・・・・・・・か、可愛い過ぎる・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・本当に、親子みたいね・・・・・・・・・

皆、その言葉と行動に、暫く手を止めて、そのほほえましい光景を見つめた。



暫くして、テンが、ウトウトとしだした。

「テン・・・・・・眠いのか?」

そう声を掛けたサンジに、テンは、こくりと頷いて、サンジに腕を伸ばす。

そして、サンジの腕の中で、眠った。

「おう! 男部屋に、ベビーベッド、作ってあるから、そこに寝かせろよ。」

ウソップは、テンを起こさないように、そっとサンジに言った。

「サンキュー、ウソップ。」

サンジは、軽くウィンクすると、テンを抱いて、男部屋に向かった。



「ねえ、これ、皆見て!」

ナミが、風呂場に置きっぱなしの卵の殻を持ってきて、テーブルに置いた。

「なんだ? 見たこともねえ材質だな・・・」

「本当・・・・私も、見たこと無いわ。」

「お、俺も、初めて見た。」

ウソップとロビンとチョッパーが、そう答える。

「・・・でしょう?? これは、この世界には、存在しないものよ、きっと・・・・ 

チョッパーとウソップで、この材質を調べてくれる??」

「「わかった。」」

ウソップとチョッパーは、そう言って、卵を倉庫に持っていった。

「・・・・・・・・・ナミ、てめえ、何考えてる? まさか、売ろうなんて考えてるんじ

ゃ・・・」

皆の様子を黙ってみていたゾロが、ここで口を開いた。

「あらっ、当然でしょ?? 今度の島で、テンチャンのモノ、色々、買い物しなきゃなら

ないし、買うためには、お金が必要なんだから・・・・・ 別に、あたしが使うんじゃない

わ。 テンチャンに、使うの。 そこまで、あたしを、見くびらないでよね。」

明らかに、疑惑の瞳で、自分を見ているゾロに、ナミは、毅然と言い切った。

「・・・・なら、良い。」

ゾロは、そう返事して、キッチンから出ていった。




「・・・・可愛いな。 ・・・・・・てめえも、赤ん坊の頃は、こうだったんだろうな。」

テンの寝顔を見ながら、ゾロは、ベビーベッドのすぐ横のソファーで、寝てしまっているサンジ

に、そっと、毛布を掛けてやる。

「ん?ああ、ゾロ。 ごめん、俺・・・・・・・・・」

「良いから、寝てろ。 時間になったら、起こしてやるから・・・・・」

「ん・・・・」

ゾロはそう言って、気配で目を覚ましたサンジに、そっと口付ける。


・・・・・・・・・本当に、親子みてえだ・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・天使かあ・・・・・・・・・

ゾロは、暫く、二人を眺めていた。

そして・・・・・・心地よい睡魔に誘われて、静かに、瞳を閉じた。








「しゃんじ〜・・・・・・・おっき・・・・・おっき・・・・・しゃんじ〜」

舌足らずなテンの声と、頬に当たる柔らかな感触に、サンジは、ふと、目を覚ました。

「しゃんじ〜・・・・おっき・・・・」

テンが、ニコニコして、サンジの頬に手を当てている。

「ふぁ〜、テン。 てめえが、起こしてくれたのか? ゾロが、起こしてくれるはずだっ

たような・・・」

サンジは、身体を起こすと、辺りをキョロキョロ見渡す。

そして・・・・ベッドの角に、寝転けているゾロを発見した。

「はあ・・・・・これじゃあ、起こしてくれるわけねえよ、な。 それより、テン。 てめえ、

どうやって、ここまで、来れたんだ? ベッドのフェンスは、閉められたままになってる

し・・・・・・」

サンジが、テンを抱き上げて、聞いてみる。

すると、テンは、パタパタと小さな羽を動かして、空間に浮かんで見せた。

「へー、てめえ、飛べるんだ。 凄いな、天使って奴は・・・・・」

サンジは、テンを見て、驚嘆の声を上げる。

テンは、暫く飛んでいたが、また、サンジの腕の中に戻ってきた。

「・・・・・・テン・・・・・ここ、ちゅき・・・・・パタパタ・・・ちらい・・・・」

そう言って、サンジの腕をギュッと掴む。

「そっか。 テンは、抱っこが好きか・・・・・・・・・じゃあ、ここにいる間は、抱っこして

やるよ・・・・・・・・・ここに・・・・いる・・・・・・・・」

サンジは、そう言って、自分の言葉の意味を噛みしめる。

・・・・・・テンは、俺の子供じゃねえ・・・・・・・・・・・

・・・・・・いつまでも、ここにいるわけじゃ、ねえんだ・・・・・・・・・・・・

・・・・・・でも、でも・・・・・・・・・・ずっと・・・・・・・・・・・・暮らせると・・・・・・・・・いいな・・・・・・

サンジは、自分とそっくりなテンの瞳を見て、そう思った。

「・・・・・・・・でも、ここにいる間は、俺の、俺達の子供だ。」

そう言って、サンジは、にっこりと笑った。

「テン・・・・ころも・・・・・しゃんじの、ころも・・・・・・」

テンもそう言って、笑い返す。

「・・・・さて、この、全くあてにならねえ父ちゃんは、ほっといて、キッチンに戻る

か・・・・」

サンジは、ゾロに毛布を掛けると、テンを抱いて、キッチンに向かった。

「あらっ? ゾロは??」

「あいつなら、部屋で、寝転けてますよ、相変わらず・・・・」

「もう・・・・全く、あてにならない父親ね。 良いわ、サンジ君、あたしが、テン、見て

てあげるから。 サンジ君、もう、夕食の準備するんでしょ? ・・・それと、急で悪い

んだけど、明日、近くの島に上陸するから、買い出し、頼まれてくれるかしら。 

テンの洋服とかも、買わなくちゃいけないし・・・・・・」

「了解です、ナミさんvv」

サンジは、そう言って、テンをナミに預けた。

「じゃ、よろしくね。」

ナミは、テンを抱くと、そのまま、甲板に出ていった。

甲板から、楽しそうなクルー達の声がする。

皆、楽しそうに、テンの相手をしているようだ。

「さてっと。 テンには、特別メニューだな。 この船に来たお祝いパーティーと、

いきますか!!」

サンジはそう言ってジャケットを脱ぐと、腕まくりして、せっせと夕食用のパーティー料理に取

りかかった。












「よし!できた! あとは、甲板にテーブルを出してっと・・・・・・ そういえば、ゾロの

野郎、まだ寝てんのかな。 全くしょうがない野郎だぜ。 お〜い! チョッパー!!

頼まれてくれるか・・・・」

サンジは、ブツブツと文句を言いながら、甲板にいるチョッパーに、ゾロを起こして連れてくる

ように言う。

「うん、わかった!!」

チョッパーは、そう返事して、男部屋に向かう。

パタパタとテンが、空中を飛んで、チョッパーの後に付いていった。

「すっげえ!! おい、見たか? テン、飛んでたぞ!! すんげえ!!」

その様子を見て、ルフィが、大声を上げる。

「馬鹿ね、ルフィ。 テンは、天使なんだから、飛べるに決まってるじゃない。 

あの羽は、飾りじゃないんだから・・・・・・・でも・・・・・後ろ姿も、可愛いわね・・・」

ナミは、ルフィに冷たくそう言って、テンの後ろ姿を見ながら、微笑んだ。

「・・・まあ、羽が付いてるからな・・・そりゃ、飛ぶだろうな、うん、うん・・・・」

ウソップも、驚いたが、ナミの話を聞いて、納得した。

ロビンは、何も言わず、ただにっこりと笑っていた。

暫くして、チョッパーが、驚いた顔をして、ゾロを連れてきた。

「テン、すげえんだ! 空、飛ぶんだぞ! 知ってたか、皆!」

チョッパーが興奮気味にそう話す。

「ああ、今、知った。 テンは、天使だから、当たり前だ。」

「じゃ、じゃあ、これは? 俺が、いくら起こしても、ゾロ、全然起きる気配無かったの

に、テンが、ゾロのほっぺたに触って、喋りかけたら、すぐに起きたんだぞ! 

それ、凄くないか??」

ルフィに、冷静にそう言われて、チョッパーは、さっきのゾロの様子を皆に話した。

「・・・・・それは、確かに、凄いわね・・・・・・」

ナミの言葉に、皆、一様に、頷く。

「だろ?だろ?? テンは、凄い奴なんだ!」

チョッパーは、自分のことのように、胸を張って自慢した。

「・・・・・・・・・・・・・」

ゾロだけが、一人、ばつが悪そうな顔で、テンを抱いている。

「・・・・・ロロ・・・・・ロロのここ・・・・・ぽかぽか・・・・・・てん、ちゅき・・・・・・」

テンはそう言って、ゾロの腹巻きを握りしめた。

「ふふふ・・・何もしなくても、父親だものね。」

ロビンが、そっと呟いた。

「じゃあ、主役も揃ったし、いっちょ、パーティと、いきますか!!」

「「「「「「おう!!」」」」」」

ナミの掛け声で、パーティが、賑やかに、始まった。

この日、皆は、久しぶりに、大騒ぎした。












  
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<コメント>

一体、どれくらい続くのか・・・・・
ルナにも、検討が、つきません・・・・・(笑)
次回、やっと進展が・・・・
これ書き始めたとき・・・・長くなりそうな予感してたのよ・・・実は・・・
もう少し、お付き合いして、ね。
でも、ナミ・・・本当に、テンの為にだけなのだろうか・・・・(笑)
では★