「わっ!! やべえ、ゾロ! もうこんな時間・・・早く、家に帰らねえと・・・ 朝帰りし
たことがばれちまう! グッ!・・・・」サンジは、時計を見て、慌てて身支度を整えようと身体を動かし・・・固まった。
「・・・サンジ・・・平気か?・・ククッ。」
俺は、コロコロと変わるサンジが、可愛くて思わず笑った。
「なに笑ってんだよ! てめえのせいなんだからな! 何で、こんなになるって、先に
言わねえんだよ・・・だったら、俺・・・俺・・・もう少し・・・/////」
「・・・もう少し、何だ?」
「・・・////もう少し・・・ヤル・・・回数減らし・・・」
「・・・そりゃ、無理だ。 お前、すげえエロい身体してっし、あんなお前の声聞くと、す
んげえ、クル。 俺、止められねえから。」
サンジの言葉に、俺は、きっぱりと返事した。
「・・・/////ば、馬鹿、てめえ。 そんなこと真顔で言うな。 俺だって、出したくてあ
んな声出してんじゃねえ・・・てめえが・・・てめえが、触るから・・・/////」
サンジは、怒ってんだか照れてんだか、顔を真っ赤にして俯く。
俺は、またそんなサンジが可愛くて、たまらなく触れたくなって・・・
「・・・サンジ、ここ触られると、弱いんだよな・・・」
俺は、そう言うとサンジの身体を引き寄せて、首筋にチュッと口付け、舌で鎖骨までなぞる。
「ヒャッ! 馬鹿・・・やめろ・・・」
「・・・それに、ここは・・・もっとだよな・・・・」
そう言って、俺は唇を胸の赤い尖りへ移した。
「・・・やっ・・・ゾロ・・・ヤダ・・・ん・・・んああ・・・やめて・・・」
最初はふざけて・・・サンジをちょっとからかうつもりだったのに・・・
俺はまた、サンジの声に煽られて・・・止められなくなっていく。
潤んだ蒼い瞳・・・
ピンク色に染まった肌・・・
半開きなった赤い唇・・・
その壮絶な艶に・・・俺は、嗜虐心を煽られる・・・
「・・・お前・・・その顔、反則・・・」
俺はそう言って、サンジをベッドに押し倒した。
「ヤダ・・・ゾロ・・・やめて・・・ヤダ・・・」
瞳に涙をいっぱいに溜めて、俺を押しのけようと懸命に腕を伸ばすサンジに、俺は、愛おしさ
を隠せない。
「・・・大丈夫だ。 ・・・もう、無理はしねえ・・・ただ・・・こうしていたいだけなん
だ・・・」
俺はそう言って、しなやかなサンジの痩躯を抱きしめた。
そう、ただSEXがしたいわけじゃねえ。
こうやって、お前の・・・サンジのぬくもりに触れていたいんだ。
全てが愛おしくて、愛おしくて・・・
めちゃめちゃにしたい、そんな衝動もあるけれど・・・
それ以上に、大事にしたい、守りたいんだ・・・
俺は、言葉は苦手だけれど・・・
俺の気持ちが伝わるように・・・
俺は、サンジを抱きしめる。
「・・・ゾロ・・・伝わってきたよ・・・俺も・・・同じだ・・・」
サンジは、俺の耳元でそう囁いて、俺を優しく抱きしめてくれた。
それから、俺達が、ホテルを出たのは、お昼ちょっと前だった。
俺は、足取りがおぼつかないサンジを家まで送る。
「ほお〜、朝帰りならぬ、昼帰りか・・・学生の身分で、大したもんじゃねえか・・・」
玄関先で腕を組んで、ただならぬ殺気を放ちながら、ゼフが俺達にそう言った。
俺は、背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
怖え〜。 俺、何か言った方が良いのかな、やっぱ・・・
そう思って言葉を口にしようとしたとき、サンジが横からこう言った。
「ごめん、親父。 昨日、連絡すれば良かった。 昨日、こいつ、誕生日でさ、ずっと、
お祝いしてたんだ。 だから、・・・連絡しないでごめん。」
サンジは、素直に、ゼフに頭を下げた。
「俺も、サンジを連れだして、こんな時間まで、すみませんでした。」
俺も、ゼフに頭を下げて謝った。
「・・・もういい。 これからは、ちゃんと、連絡だけはするんだぞ。 ・・・それより、てめ
えら、メシはもう食ったのか? まだなら、ゾロ、てめえも何か食っていけ・・・」
そう言って、ゼフは家の中に入っていった。
はあ・・・久々にびびった・・・
彼女の朝帰りを見送ってお父さんにばったりでくわした気分って、きと、こんなんだろうな・・・
こんなんじゃ、俺が、サンジと暮らしたいなんて言った日にゃ・・・
ああ、やめ、やめ。 今から考えても仕方ねえし・・・俺一人盛り上がってもなあ・・・はあ。
サンジと一緒に、家に入ってリビングに行くと、昨日の料理が手つかずでテーブルに置いて
あった。
きっと、ゼフのことだ。
昨日寝ないで、サンジのこと、待ってたに違いねえ。
・・・・本当に、悪いことをした。
今度からは、ちゃんと、心配させないようにするから・・・
俺は、心の中で、もう一度、ゼフに頭を下げた。
それから、リビングのテーブルに座って、ほっと一息つく。
「今、温め直すな。」
サンジはそう言って、皿を持ってキッチンに向かった。
「・・・ロロノア・・・ちょっといいか・・・」
ゼフが真面目な顔をして、俺の前に座った。
「・・・てめえ・・・サンジのこと、本気か? 本気であいつのこれからを支えてやる気
持ちはあるのか? ・・・サンジは、何でか、俺に似ず、素直で優しい子に育った。
口と足癖は悪いが、俺にはもったいないほどの良い息子だ。 生半可な気持ちで、サ
ンジに手をだすんなら、俺は、容赦しねえ。 それだけの心意気は有るんだろうな。」
ゼフは、返答次第では、ただでは済まさないと言わんばかりの気迫で、俺にそう言った。
心意気?
はっ、そんな生易しいもんじゃねえよ。
俺には、サンジしかいねえんだ。
サンジしかいらねえ。
「俺は、サンジを幸せにする。とは誓えねえ。 幸せって言うのは、そいつの感じ方次
第だから・・・ でも、サンジがいないと、俺は、俺の人生は、幸せにはなれねえん
だ。 サンジは、俺の一部だ。 どんなことがあろうと、絶対に、離すつもりはねえ。」
俺は、気迫に負けないようにきちんとゼフの目を見てそう言いきった。
「はっ、言ってくれるじゃねえか・・・わかった。 見せて貰おうじゃねえか。」
ゼフはそう言って、ふんと笑った。
「待たせたな・・・なんだ? ゾロ、親父と何か話してたのか?」
二人の間の微妙な空気を感じ取って、サンジは俺にそう言った。
「ああ、ゾロが、店が今から忙しくなるから、住み込みで、暫く店を手伝ってくれるそう
だ。 人手が足りねえところだし、ちょうど、良かった。」
そう言って、ゼフが、俺の方を見てニヤリと笑う。
「!!!!んなっ!!」
俺は思わず、持っていたお茶碗を、落としそうになった。
「そうなのか? へへ・・・暫く、一緒かあ・・・サンキューな、ゾロ。」
サンジは、にこにこして、俺にそう言った。
うっ・・・そんな顔されると・・・何も言い返せねえ・・・
・・・・もしかして・・・俺、ゼフにはめられた??
思いっきり、はまってないか?・・・俺・・・
でも、まあ、サンジが側にいるだけでも、良しとするか・・・
俺は、ゼフのたくらみが、その先まで読んでいたことに、その時、気付かなかった。
それから、俺は、着替えとか一部の荷物をサンジの家に移して、住み込み生活を送った。
部屋は、当然、別々だった。
店が繁盛しているだけあって、家には、使ってない客室がたくさんあるからだ。
でも、なぜかあてがわれたのは、サンジの部屋から一番遠い部屋。
それも、サンジの部屋にいくには、必ず、ゼフの部屋の前を通らないといけない。
講義が終わって、部活に行って、それから、店の手伝い。
さすがに、体力に自信がある俺でも、こう毎日じゃあ、へとへとだ。
サンジの部屋に夜這いをかける気も失せてくる。
俺としては、もっと甘い生活を夢見ていたんだが・・・それは、無惨にもうち砕かれた。
おまけに、サンジとの二人っきりの時間まで、皆無に等しい。
店では、忙しくてそれどころじゃねえし、家に帰るのは、3人一緒。
目の前にいるサンジをこの腕の中に抱きしめることさえ出来ねえ。
・・・はあ・・・・
俺は、この時、ゼフの真のねらいがわかったような気がした。
あの事故が起きてから、ゼフは、人が変わったように、過保護になった。
まあ、死にかかった一人息子が、奇跡的に回復したんだ。
今度は、絶対になくしたくねえと思う気持ちは、わかるんだが・・・
ここまでするか・・・普通・・・・
サンジは、今や、押しも押されぬ箱入り息子になった。
年が変わって、年末・年始の忙しさから少し解放された2月。
俺とサンジが、身体を繋げたのは、俺の誕生日、あの1回だけ。
昼休みに、ひっそりとした人気のないところでかわす口付けが、俺とサンジの唯一の触れ合
い。
・・・もう、限界かもしれねえ・・・
・・・俺、舅にいびられる旦那の気分・・・はあ・・・
そんな俺の気持ちが伝わったのか、ある日、ゼフが、俺とサンジに話があると言った。
「この前、家に来たピエールが、今度、ローマに新しく店を出店することになった。
その開店記念のセレモニーに是非手伝いに来てくれとそう言っていた。 ピエールに
は、家の店を手伝って貰った借りがあるし、このまま断るわけにもいかねえ。 かとい
って、店をほったらかしにすることもできねえ。 そこでだ。 ピエールのとこには、て
めえらに行って貰うことにした。 明日の昼の便で行って貰うから、準備してくれ。
これが、パスポートと飛行機の切符だ。 空港に着いたら、ピエールが迎えに来る手
はずになっている。一応、1週間分の旅費も、入れておいた。言うことはそれだけ
だ。」
ゼフはそう言うと、自分の部屋にさっさと戻っていった。
・・・にくい演出をしてくれるじゃねえか・・・
・・・ゼフらしいやり方というか・・・
俺は、心の底から、ゼフに感謝した。
「すげえな! 俺、海外って初めてだ。 ドキドキするぜ。 あっ、急いで、明日の用意
しなくちゃ。 じゃあ、おやすみ、ゾロ。」
サンジはそう言って、パタパタと自分の部屋に戻っていった。
・・・チェッ。 サンジの野郎・・・せっかく、ゼフが先に部屋に戻って二人っきりになったという
のに・・・
まあ、いいか・・・明日からしばらくは、誰にも邪魔されずにサンジと二人っきりになれんだか
ら・・・
それより、俺も、明日の準備しねえと・・・パンツ、何枚持ってけばいいかな・・・
俺はその日、なかなか寝付けなかった。
「ゾロ!! 行くぞ!! ゾロ!! オリャ!!」
「あ・・・おはよ・・・サンジ・・・」
「おはよじゃねえ! 早く支度しねえと、飛行機に乗り遅れるぞ!! 急げ!!」
俺は、サンジに蹴り起こされ、ようやく支度を始めた。
「じゃあ、親父、行ってくる。」
「ああ、気を付けてな。 ロロノア・・・ちょっと・・・」
サンジにそう返事して、ゼフは、こっそり、俺を呼び寄せた。
「何ですか?」
「・・・いいか。 サンジに、あまり無茶すんじゃねえぞ。 一応、手伝いに行くんだか
らな。 行ってから動けなくなったんじゃ、何しに行ったかわかんねえんだからな。
・・・わかったか。 よし、返事は。」
「・・・わかりました。」
俺は、ゼフから、見事にクギを差された。
さすが、ゼフ・・・押さえるところは押さえてやがる・・・
・・・恐れ入ったぜ・・・
それから、俺達は、無事、飛行機に間に合って、ローマに着いた。
ローマの空港には、ゼフが言ったとおり、ピエールという人物が来ていて、俺達を大歓迎して
くれた。
「サンジ!! 良く来てくれました! 私、とても嬉しいです!! おう、あなたがゾロ
ですね。 凄く格好良いです。 お話は、ゼフから聞いてます。 サンジのいい人です
ね。」
ピエールは、日本語で俺達に挨拶してくれた。
・・・でも・・・いい人って・・・どうよ・・・
解って言ってるのかな?
けど、親切な人みてえだ。
ピエールは、迎えの車を携帯で呼んで、ゾロとサンジを先に乗せた。
「ゾロ、来てすぐに申し訳ないね。 サンジ、明日まで、手伝って貰うから、お楽しみ
は、あさってからになるね。 この車、貸して上げるから、あさってになったら、二人
で、楽しんでね。」
ピエールは、ゾロにそう言うと、軽くウィンクした。
おた、お楽しみって・・・
俺は、ちょっと、Hな方を想像してしまった。
・・・はあ、馬鹿な俺・・・
ちらっとサンジの方を盗み見ると、サンジも少し、顔を赤らめていた。
・・・・かわいい・・・・
って、いかん、いかん、遊びに来た訳じゃねえんだ。
俺は、慌てて、身をただした。
「さあ、ここが君たちの泊まるホテルね。 で、あそこに見えるのが、僕の店。 とりあ
えず、店の方を先に案内するよ。」
そう言って、ピエールは、俺達を自分の店に案内した。
それから2日間、俺達は、オープンセレモニーが終わるまで、サンジは、厨房で、俺は、ホー
ルでそれぞれ、手伝いに励んだ。
・・・当然、俺はゼフの言いつけを守って、サンジに手を出さなかった。
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