As If... その2. |
「・・・・・・なぁ、ゾロ。 この人って・・・・さっき言ってた、くいなさんって人か・・?」 食事も済んで、サンジがモニターの上のホログラムに気付き、そうゾロに尋ねる。 「あ、ああ・・・・・そうだ。 俺の・・・・嫁さん・・・。」 ゾロはそう言って、ホログラムを手に取った。 「嫁さん? じゃあ、どうして俺を・・・?」 「ん・・・・・死んだんだ。 ・・・・・・一月前に、事故で・・・・。」 ゾロはそう言うと、ホログラムを元に戻して、寂しそうに笑う。 「あ・・・・・わりい。 俺、変な事聞いて・・・・・。 ごめんな、ゾロ・・・。」 サンジはそう言って、気まずそうな顔をした。 「・・・・もう良いんだ。 どうやっても、時間は戻らないし・・・。 こいつが還ってくる訳で ゾロは、ポンとサンジの頭を軽く叩き、MDをONにする。 「・・・・・いい歌だな。 けど・・・・・聞いたことの無い歌だ・・・。」 「ああ、これは・・・・ずっと昔の歌だ。 20世紀の頃の・・・・。 俺、この歌詞が好き ゾロはそう言ってフレーズを口ずさむ。 「俺、聞くなら、もっと明るい歌が良いな。 もっと明るい歌にしようぜ?」 サンジはそう言うと、ポップなサウンドに変えてしまう。 「ククク・・・、そうだな。 お前には、似合わないな、あの歌は・・・。」 ゾロは、そう言ってサンジを見て苦笑した。 「・・・・・なぁ。 お前、ここに来てからずっと同じ服だろ。 今日、給料日だし、会社終 いつもの様に朝食を食べながら、ゾロはサンジにそう言った。 「えっ?! あ、でも、俺、アンドロイドだし・・・・・それに・・・・。」 サンジは一瞬、きょとんとした顔をして、そう言って俯く。 「なんだ、要らないのか?」 「要らないとは言ってねえだろ! でも、なんだ、その・・・・・俺は、アンドロイドで・・・ 「なに遠慮してんだよ。 毎週あれだけ食材を買い込む癖に、自分の事となると殊勝だ ゾロは、そんなサンジの態度に、こみあげる笑いを噛み殺しながらそう言う。 「だって・・・・・・俺の服装にまで気を使った奴・・・・今までいなかったし・・・・。 俺の 頬をやや上気させ、そう言って口を尖らせるサンジに、ゾロは笑顔でこう言った。 「じゃあ、問題ないな。 今日の夕食は外で済まそう。 お前、少しなら人間の食事も 「・・・・・・・・・・あ、ああ・・・・・食べれる・・・・・・大丈夫・・・。」 ピンッとまた何処かで金属の弾ける音が、サンジには聞こえた。 サンジは、待ち合わせの場所で時計を見ながら、あたりを見渡す。 「・・・・・もしかしたら、何かあったのかもしれねえ。 連絡してみるか・・・・。」 サンジはそう呟いて、近くの公衆モニターまで歩き始めた。 「あれぇ〜・・・? ありゃりゃ? お前、サミーじゃないのか? BBにいたサミーだろ、 サンジは、その言葉にぎくりとなって、声の方を振り向く。 「あ〜、やっぱし、サミーだ。 こんなとこでなにしてんだ、お前・・・? お前がうろつい その男は卑下た笑いをしながら、そう言ってサンジに近づいて来た。 「・・・・・人違いだ。 俺は、サミーという名前じゃねえ。」 サンジは、その男を一瞥するとそう言ってまたモニターに歩き出す。 「なに知らんぷりしてんだよ。 俺が、お前をわからないわけないだろ・・?まっ、いい。 その男はそう言って、サンジの肩に手を置いた。 「俺に触るな!!」 サンジはそう言うと、男の顔面めがけて蹴りを放つ。 「おい! 何してんだよ! 行くぞ!!」 急にサンジは背中を押され、その声の主を見る。 「ゾロ・・・・。 俺・・・・・俺・・・・・。」 「言いたい事は後で聞く! それよりも、早くここから去るんだ。」 ゾロは、うろたえるサンジの腕を掴んで、その場から急いで立ち去った。 「とりあえず、どっか落ち着ける場所に・・・。」 ゾロはそう言って適当にホテルをとり、サンジと共に、部屋に入った。 「・・・・・一体何があったんだ?」 ゾロは、部屋に鍵をかけ、サンジのほうを向き直してそう尋ねる。 「ゾロ・・・・・俺・・・・・・人・・・・・蹴った。 人・・・・・殺した・・・・。」 サンジは、虚ろな表情のまま、ゾロにそう告げる。 「なんで? お前は理由もなくそんな事する奴じゃない! 何があったんだ?」 再度、ゾロはサンジの腕をとってそう聞くが、サンジは、俯いたまま首を横に振るだけだった。 「お前、わかってんのか?! アンドロイドが人間を殺したら・・・・・廃棄処分されんだ 頑なにその理由を話そうとしないサンジに、いらただしげにそう言って壁を叩く。 「・・・・・ごめん、ゾロ・・・・。 俺、警察に行く。 もう逢えなくなるけど・・・・・少しの間 「馬鹿! なに言ってんだよ!! 俺は、お前のご主人様だなんて一度も思ったことな ゾロはサンジの言葉を遮り、そう叫ぶ。 ゾロは、決意と共にサンジの身体を抱きしめる。 「なにを・・・? ゾロ、何を言って・・・ん・・・だ? 俺は、ただのアンドロイド。 人間に サンジはそう言って、にこやかに笑う。 「忘れるわけないだろ! 忘れられるなら・・・・・なんで俺は、また・・・こんな感情を抱 ゾロはそう言って、抱きしめる腕に力を増した。 「えっ?! な、なんだ? 俺・・・・。」 サンジは、そう言って自分の頬に触れる。 「・・・・・・・お前、泣いて・・・?」 「・・・・・はは、ゾロ・・・。 俺、やっぱり、どこかおかしいみたいだ。 ゾロのとこに来て サンジは呟くようにそう言うと、そっとゾロの背中に腕を回した。 「・・・・・サンジ・・・・愛してる・・・。」 「ゾロ・・・・・・これが・・・・・そういう事なのか・・・?」 「ああ、それが、愛してるという事・・・。 ちゃんとインプットしとけよ。 俺専用のデータ ゾロは、サンジにそう囁いて、そっとその唇に口付ける。 「すみません、警察の者ですが・・・・」 「大丈夫。 絶対に警察なんかにお前を連れて行かせない。 例え、俺がどうなって ゾロは、優しくサンジの髪を掻きあげるとそっとサンジから離れてドアの方へ向かう。 「ゾロ! ダメだ!!」 サンジは、そう叫ぶと同時に、ゾロの首筋に手刀を当てた。 「ッ・・・・サ・・・・ンジ・・・?」 意外そうにサンジを見つめて、それからゆっくりと床に倒れこむゾロ。 「・・・・・ありがとう、ゾロ。 やっぱ、俺、アンドロイドなんだ。 ご主人様を危険には巻 そう呟いて、サンジは、警察が待つドアに向かっていった。 |
<コメント> 歌・・・・歌・・・・ゾロが口ずさんだ歌は、ルナが大好きな歌ですvv わかる方は、わかるね・・・・だいぶ端折ってるけどね。(笑) その曲名を初め、タイトルにしようかとも思ったんだけど、 それじゃあ、なんか寂しいので、止めました。 ああ、アンドロイドに心が芽生えるのを表現し切れてないね。(;一_一) ・・・・・仕方ないです、これがルナの限界。(笑) というわけで・・・・・まだまだ続きます。 |