WHICH??


その2





「いらっしゃいませ。」

そう言って振り向いたサンジの表情が、凍り付いた。

「・・・ゾロ・・・」

「・・・サンジ、てめえ、なにのんきに、ウエイターなんかやってるんだよ! 人が、心

配して探しに来てみりゃ・・・こんなとこで、愛想振りまいてやがって・・・」

ゾロは、額に、青筋を浮かべて、サンジにそう怒鳴った。

「いや、あの、その、なんだ・・・違うんだ。 これにはいろいろと、訳が・・・・」

サンジが、ゾロの気迫に押されしどろもどろに返事をしているところに、異変を感じて、ウィル

が、厨房から、出てきた。

「サンジ?? どうしたんだ? 何か・・・」

そう言ってサンジを見たウィルは、その隣に自分を見つけて、言葉を失った。

!!!何で、こんなとこに、俺が、いるんだ???

俺じゃねえな・・・・だれだ、こいつ・・・・

・・・そっくりだ・・・・俺は、ここまで自分に似た奴にお目にかかったこと、無い・・・

・・・しかし・・・なんて、ダサイ格好してやがるんだ・・・・

ゾロとウィルは、互いを確認してそう思った。

但し、一番最後の思いは、ウィルだけである。

「・・・てめえ、誰だ?」

真っ先に、ゾロが、ウィルに対してそう言った。

「・・・・俺は、ウィル。 それより、お前こそ、何者だ? 何で、俺の顔して、そう言うダ

サイ格好をしてるんだ? 俺の真似するんなら、もう少しましな服、着ろよな・・・ 

あっ、もしかして、サンジが、言ってた俺そっくりな奴って、お前のことか?? 

じゃあ、サンジの仲間って奴か?」

ウィルが、率直に、思ってることを口にした。

「・・・サンジ、だと・・・」

・・・ダレが、真似してるって?

俺の真似してんのは、てめえの方だろうが・・・

それにこいつ・・・馴れ馴れしく、サンジのこと、呼び捨てにしやがった・・・・

ふざけた野郎だぜ・・・・このまま、斬り捨ててやろうか・・・・

ゾロが、こめかみをヒクつかせて、刀に手を掛ける。

・・・ヤバい・・・・ゾロの奴・・・・キレそうにヤバいゾ・・・・

「なあ、他のお客さんが、見てるし、もう少ししたら、お昼休みになるし・・・なっ。 

ゾロ、てめえ、腹減ってるんだろ? そこに座って待ってろよ。 俺、今、美味いもん作

ってやるから・・・」

サンジは、慌ててゾロに声を掛けると、近くの席にゾロを強引に座らせ、厨房に入っていく。

ゾロは、この場で、刀を抜くことは止めたが、どうにも、腹の虫が治まらない。

それに、このウィルって自分によく似た男の事も気にかかる。

「・・・なあ、何でサンジが、あんたの店で、働いてるんだ?」

ゾロは、まじまじとウィルの顔を見ながらそう言った。

「ああ、俺が、ここを手伝ってくれと言ったら、良いって二つ返事でOKしてくれたん

だ。 あいつ、料理、うめえし・・・綺麗だし、な。 俺、本気で、あいつに、ここにいて

欲しいと、思ってる。 ずっと、いつまでも。 サンジの奴も、まんざらじゃねえみたい

だし・・・ よかったら、あんた、一人で、帰ってくれねえか。」

・・・何言い出すんだ、こいつ・・・

サンジが、そんな事、言うわけねえだろ?

・・・ふざけるな・・・・

バキッ

ゾロが、ウィルを殴りつけた。

「痛てえな。 何であんたがムキになってんだよ。 これは、サンジと俺の問題だろ?

仲間だからって、個人的なことに、首突っ込むなよな。」

ウィルは、口から流れる血を手で拭くと、怯まずに、ゾロにそう言った。

そこへ、何も知らないサンジが、ゾロの好きな料理を持って現れた。

「ウィル?? どうしたんだ?」

サンジが、テーブルに料理を並べて、口から血を流しているウィルを見てそう言った。

「ああ、こいつが、いきなり、殴ってきたんだ。 何怒ってんのかわかんねえが。」

「ゾロ! なにが、あったんだ? 何で、ウィル、殴ったりしたんだ。」

二人の間のやりとりを知らないサンジは、ウィルを助け起こすと、ゾロに非難めいた口調でそ

う言った。

・・・そいつを・・・・庇うの、か・・・・サンジ・・・・・

「・・・サンジ・・・てめえ・・・こいつの店、手伝うと・・・・・・・・手伝うといったのか?」

ゾロは、絞り出すような声で、サンジに聞く。

「・・・・・ああ、言ったぜ。 それがなにか・・・・・」

「・・・・・・・・わかった・・・・」

ゾロは、サンジの言葉を遮って、そのまま、店を出ていった。

「あっ、おい!ゾロ! 待てよ・・・チョッ・・・」

「サンジ・・・行くな・・・・行かないでくれよ・・・」

ウィルが、追いかけていきそうなサンジの腕を掴んでそう訴える。

「・・・すまねえな。 あいつ、訳もねえのに、人を傷つける奴じゃねえんだ。 あいつ、

馬鹿だし・・・着ている服の趣味も最高に酷い奴で・・・・だけど、な。 

・・・・・・・・・・・・俺、仲間が呼びに来たから、帰るな。 俺の居場所は、ここじゃねえ

から。 ごめんな、半日しか手伝えねえで。 じゃあ・・・」

そう言って腕を振り払って出ていこうとするサンジを、ウィルは堪らずに、抱きしめた。

「嫌だ。 ・・・サンジ、行くな。 なんで、あいつのとこなんか・・・ 俺もあいつも、か

わらねえだろ? だったら・・・」

「ウィル・・・はっきり言っとく。 ・・・てめえとあいつは、全然違う。 そりゃ、てめえの

方が、あんな目つきも悪くねえし、社交的で、服のセンスもまあまあだ。 だがなあ、

てめえは、姿形こそそっくりだが、全然違うんだ、あいつとは。 てめえの良さは、他

の誰かでも認めてくれるかも知れねえが、あいつの良さは、俺しか、俺しかわかんね

えんだよ。 ・・・じゃあ、世話になったな。」

サンジは、ウィルの腕からサッと身を放すと、ゾロの後を追って、店を出ていった。

「・・・ははは。 ・・・・・・・・・・・なんだ、そういうこと、か。」

ウィルは、やっと二人の関係に気が付いて、そう呟いた。















++++++++++++++++++



・・・ゾロの奴・・・・いきなり飛び出していきやがって・・・・

どこいったんだろ?

!もしかしたら、あの浜辺か・・・・・

サンジは、急いで、始めの砂浜に急いだ。




ゾロは、大岩の上に立って、海を見つめていた。

「ゾロ・・・てめえ、何勝手に飛び出して行くんだよ! 勝手に一人で、戻るんじゃね

え!」

「・・・・・・・・・・・」

サンジはそう言って、大岩に飛び乗った。

「うわっ!!」

飛び乗った拍子に、着地した岩が崩れて、サンジはバランスを崩した。

「サンジ!」

ゾロは慌てて、サンジの身体を引き寄せた。

「サンキュー、ゾロ。」

そう言って、サンジは、にっこりと笑う。

「・・・・・・・・・・てめえ、店の手伝いはどうした。 するって言ってたんだろ・・・・・・」

ゾロは、サンジの顔を見れずに横を向いてそう言った。

「ああ、言ったぜ。 但し、仲間が迎えに来る迄って、な。 なのに、一人で、出て

いっちまうし・・・何で、一人で出ていったんだよ。 訳言えよ、ゾロ。」

サンジは、ぐいっとゾロの頬を両手で挟むと、正面に向ける。

「ん? なにがあった?? 言ってみろ?」

サンジは、ゾロの瞳を覗き込んでそう言った。

「・・・・あいつが・・・ウィルが、てめえは、ずっと、ウィルと一緒に店を手伝うからっ

て。 てめえも、まんざらじゃねえって。 俺、頭に血が上って、あいつぶん殴って・・・

そしたら、てめえは、あいつ庇うから・・・・あいつ、俺、そっくりだったし・・・もしかした

らって・・・」

ゾロは、目を閉じたままそう呟く。

「相変わらず、ばっかじゃねえの。 そんなことで、やきもち妬いたのか、てめえ・・・ 

確かになあ、ウィルは、てめえそっくりだった。 それは、認める。 俺もちょっと

は・・・」

「・・・ちょっと?」

ゾロがその言葉に反応して、こめかみをヒクつかせる。

「ああ、いいから聞けって。 まあ、ほんの少しだが、心がぐらついたのも正直なとこ

ろだ。 だって、仕方ねえだろ。 俺は・・・俺は、このての顔に、弱いんだから!

・・・///// ウィルはウィル。 ゾロはゾロだ。 そっくりでも、中身は全然違う。 

俺は、てめえの外見に惚れたんじゃねえし・・・・ジジシャツ着てても、年中腹巻きし

てても、俺は、てめえが、良いんだよ! わかったか、この馬鹿剣士!」

サンジはそう言って、ゾロに口付けた。

「・・・サンジ・・・」

ゾロは、サンジにそう言われて、目を開けて、にっこりと笑う。

「・・・/////もう、こんな恥ずかしいこと、二度といわねえんだからな!」

サンジは、そう言って、ギュッとゾロに抱きついた。

「・・・サンジ・・・好きだ・・・・誰にも、渡したくねえ・・・・」

ゾロはそう言って、噛みつくようにサンジの唇を奪った。












+++++++++++++++



「・・・・・・・ナミ。 ・・・サンジとゾロを大岩の上で、発見したんだが・・・ どうする?」

見張り台から、ウソップが、ナミにそう告げた。

「え?! 何処、何処??」

「左舷、やや中央より・・・・大岩の上・・・」

ウソップの言う方向を双眼鏡で覗くナミ。

・・・そこには、しっかりと抱擁を交わすゾロとサンジが、いた。

ナミのこめかみが、ヒクヒクと震える。

もう、あの馬鹿ップル!

こっちが懸命になって探していたというのに・・・

「・・・ウソップ・・・・ここから、あの大岩、狙えるかしら・・・」

「ゲッ、ナミ。 本気か??」

「良いの! 二人に、私達が来たって教えてあげないと。 早く砲撃の準備して!!

あっ、但し、二人には当てないで、あの大岩だけを狙うのよ! ほらっ、急いで!!」

ナミの言葉に従って、砲撃の用意をするウソップ。

・・・すまん、ゾロ、サンジ・・・俺・・・ナミには、逆らえない・・・・

「左舷、方向良し! 砲撃!!」

ドカ〜ン!

ひゅるると、弾は見事に、大岩に命中・・・ゾロとサンジは、砂浜に吹き飛ばされた。

「・・・・・・ナミ・・・・・・・絶対に、斬る!!」

「ナミさ〜んvv ここですよ〜vv」

いきなりの砲弾を食らって、砂まみれになったゾロとサンジは、ゴーイングメリー号を見つけ

てそう叫んだ。







ゴーイングメリー号は、そのまま砂浜に到着、二人は、無事、船に戻った。

「お帰りなさい二人とも・・・」

ナミは、何事もなかったようににっこりと笑った。

「ナミさ〜んvv 只今帰りました〜vv ご心配をおかけしてすいませんでしたvv」

「ナミ、てめえ、わざと狙っただろう・・・」

ゾロは、今にも、刀を抜きそうな勢いでそう言った。

「あら、別に。 あたしは、いつまでも気付きそうにないあんたたちに、助けに来てや

ったわよって、教えてあげただけよ。 それよりも、あんたたち、砂だらけよ、汚いわ

ね。 お風呂に、今すぐ入んなさいよ。 ほらっ、サンジ君も・・・」

そう言って、ナミは、風呂場を指さした。

ゾロは、暫く何か考えてたが、ニヤリと口元に笑みを浮かべると、

「ああ、そうさせてもらう・・・暫く、皆、船、空けろ。」

そう言って、サンジを肩にのせ、風呂場に向かった。

「別に、二人で入れって、言った覚えないんだけど・・・はいはい、さあ、皆。 

二人ほっといて、街に行きましょう・・・・」

ナミは呆れ顔でそう言うと、チョッパーたちに声を掛け、船を下りていく。

「わっ!! ちょ、ちょっと、待てって。 ナミさん、助けて・・・ おい! 下ろせ! 

離せ!! ナミさ〜ん!!」

サンジの叫びは、むなしく、明るい空へと消えていった。






<END>




   
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<コメント>

こんなもんで・・・こんなもんじゃ、ダメっすか?? ビリーさん!!
今回は、サンジ、あんまり乙女ってないんですけど・・・
サンジに正直に感情をぶつけるゾロって言うのも、有りかなあと。(笑)
全然お子ちゃまなゾロになってしまった・・・(-_-;)
でも、ゾロもサンジも19歳・・・
大人にはなりきれないんです・・・(言い訳がましい)
こんなゾロで、すいまそん・・・
とりあえず、おまけに、お風呂でH編、付けてみました。
良かったら、見てみて下さい。
あっ、でも、おこちゃまは、ここまでにしといて、ね。
では★