WHICH??


その1





「うわあっ!!」

「チョッパー!!」

荒れ狂う海に投げ出されたチョッパーを救うべく、サンジは、急いで海に飛び込んだ。

ここは、グランドライン。

気温・天候の変化など、日常茶飯事に起きるところである。

先程までの、晴天が嘘のように、ゴーイングメリー号は、嵐の真っ直中にいた。








「ルフィ、頼む。 先に、チョッパーを船に・・・」

サンジが、激しい波に揉まれながらも、チョッパーを海上に差し出す。

「わかった! ゴムゴムの〜・・・」

サンジの声にルフィが反応して、腕を伸ばし、チョッパーを引き上げる。

と同時に、サンジを高波が襲う。

「うわっ!!」

サンジは、ルフィが伸ばす腕がタッチの差で届かず、海に飲み込まれていく。

「サンジ!!」

違うところで作業をしていたゾロが、サンジの声を聞いて、躊躇無く海に飛び込む。

・・・サンジ・・・何処だ・・・・

ゾロは、海中でサンジを捜す。

・・・まだ、そんなに時間は経ってねえはずだ。

少し離れたところに、見覚えのある色を見つける。

・・・いた・・・あそこだ。 ・・・待ってろ、今行く・・・・・

ゾロは、海中に意識を無くして漂うサンジを見つけると、すぐに浮上した。

かなり流されたらしく、船は、遙か遠くに見える。

ここからでは、気付いて貰えそうにない。

風雨は激しく、容赦なく二人を襲う。

・・・少し遠いが・・・仕方ない、泳ぐか・・・

ゾロがそう思って泳ぎだそうとしたとき、高波が、また二人を襲った。

「グッ・・・サンジ・・・・・」

波にさらわれて、サンジの身体が流されていく。

ゾロは、懸命にサンジを追いかけるが・・・・・そのまま、意識を失った。
























「うっ、冷てえ・・・ここは・・・どこだ・・・」

サンジは、打ち寄せる波の音と水の冷たさに、意識を取り戻した。

・・・確か、俺、嵐で海に投げ出されたチョッパーを助けに、海に飛び込んで・・・

・・・高波に飲まれて・・・・必死な形相をしたゾロが、海に飛び込んできて・・・・

・・・あんなゾロの顔・・・・初めて見た・・・・・そう言えば・・・・

「!!ゾロ! ゾロ、何処だ!」

サンジは、自分と共に海にいたはずのゾロの姿を捜した。

しかし、砂浜には、自分以外誰も見当たらず、人の気配もない。

・・・あいつに限って、どうこうなったわけじゃあるまい・・・

・・・そうだ・・・あいつには、やらなきゃなんねえことがあるからな・・・・

きっと、そのうち、会えるよな・・・

あいつも、もしかしたら、この島に打ち上げられてるかもしれねえし・・・・

とりあえず、探しに行ってみるか・・・・

サンジは、道の入り口に生えている木を蹴り倒した。

「・・・これで、俺が、この島にいる目印になるだろう・・・ナミさん達・・・

大丈夫かな・・・」

サンジは、服に付いた砂をはたくと、砂浜に続く道を歩いていく。

「ふ〜ん。 人がいねえ訳じゃねえみてえだな。 街でも、あんのか?」

サンジがそんなことを呟いて歩いていると、街が見えてきた。

・・・とりあえず、街の人に話聞いてみるか。

「なあ、ここに、緑色の短髪で、背は、俺ぐらいの、鋭い瞳した男、見たことねえか?」

サンジは、早速、街の人に声を掛ける。

「ああ、あいつかい? あいつだったら、ほらっ、そこのレストランにいるんじゃないの

か。」

そう言って、街の人が、ある店を指さす。

・・・なんだ。 俺より早く打ち上げられてたのか・・・

チェッ、心配して損した・・・・

・・・でも、まあ、俺を助けようと、必死になって海に飛び込んでくれたから・・・

許してやるか・・・

「ありがとうな。」

サンジは、街の人にお礼を言って、その店を目指した。

店は、まだ、開店してないようで、客は、まだいない。

サンジは、かまわず、店の中に入っていく。

「すみません、お客さん。 まだ、開けてないんですよ。」

カウンターの内側で、開店準備に追われている人物がそう言った。

腹巻きも、ジジシャツも着てねえが、あの緑色の頭・・・

間違いねえ・・・ゾロだ。

「ゾロ! てめえ、いつから、ここの従業員になったんだ? それに、いつもの格好は

どうした? ジジシャツは? 腹巻きは?? ・・・それに、刀・・・そう、刀はどうした

んだ?? いつも肌身はなさず持ってたじゃねえか?」

サンジは、カウンターを乗り越えて、その人物の胸ぐらを掴み、一気に捲し立てた。

「!!????お客さん・・・・誰かと勘違いされてませんか? 俺、あんたに会った

の、今、初めてなんだけど・・・」

その人物は、驚いて、まじまじとサンジを見つめる。

「へっ?! ・・・ゾロ・・・てめえ・・・いい加減にしろよな・・・・さすがの俺も、キレる

ぜ。 ほら、そんな冗談いわねえで、さっさと支度しろよ。 ナミさんが、待ってるっ

て。」

サンジは、額に青筋を作り、その人物にそう言った。

「・・・だから・・・俺は、あんたの言う、『ゾロ』って言う人じゃねえよ。 だいたいなあ、

俺は、そんな刀なんか持ったことねえし、腹巻きにジジシャツなんて、そんな趣味

は、ない! 生まれたときから、ここに住んでるし、第一、ここは、俺の店だ。 ・・・そ

うだ、お前、腹減ってるんじゃねえのか? だから、さっきから、カリカリして・・・人

間、腹減ると、判断力なくなるし・・・ よし、俺が、何か、作ってやるよ。 そこのテー

ブルに座って、待ってな。」

その人物は、そう言うと、サンジに席に着くように促して、料理を作り始める。

サンジは、ポカンと口を半開きにした間抜けな表情のまま、言われるとおりに、席に着いた。

ジュー、ジューと、美味しそうな匂いが、サンジの鼻を擽る。

・・・こいつ・・・本当に、ゾロじゃねえ、のか?・・・

・・・しかし・・・本当に良く似てるなあ・・・

・・・そういえば、耳にピアスしてねえし・・・

・・・でも、マジ、そっくりじゃん・・・俺が言うんだから・・・間違いねえ・・・

「よし、できたっと。」

その人物は、サンジのテーブルに料理を運んでくると、にっこり笑ってこう言った。

「さっ、食べてみてよ。 俺の自信作なんだ。 それから、俺は、ウィル。 ウィリアム

って言うのが、本名なんだが、皆からは、ウィルって呼ばれてんだ。 よろしくな。」

「ああ・・・ありがとな。 俺は、サンジ。 俺も、コックだ。 今は、仲間と一緒に、船で

旅してる。 嵐で、ここに流れついちまって・・・ ごめん、てめえが、あんまり、仲間に

似てたから、つい・・・」

「別に良いって。 わかってくれたんなら・・・なあ、サンジっていったっけ。 なあ、サ

ンジ。 良かったら、ここで働かねえか? ちょうど、コック、一人欲しいって、そう思っ

てたところなんだ。」

そう言って、にっこりと笑うウィルの顔に、サンジは、ドキリとする。

・・・本当に、よく似てる・・・


あいつの顔に・・・・そっくりだ・・・・

おまけに、声までそっくりで・・・・

まるで、あいつが、俺に笑いかけてるようで・・・・

ドキドキする・・・・あいつじゃねえのに・・・・

あいつじゃねえのに・・・・

どうしたんだろ・・・俺・・・・・・

「ああっ、別に良いぜ。 但し、しばらくの間だけ、な。 もうすぐ、仲間が迎えに来る

だろうし・・・それでよければ・・・」

・・・何言ってんだ、俺・・・・

ここで、手伝う義理なんかねえだろ・・・・

・・・そんなことより、早く、ゾロを探さないと・・・・

・・・・でも・・・・・俺・・・・

ゾロに似たあんな顔で・・・・・あんな声で・・・・・

そんな優しく頼まれたら・・・・・・・

「・・・今は、それで、良いよ・・・・じゃあ、決まりだな。 よろしく、サンジ!」

「ああ。」














+++++++++++++



一方、その頃・・・・

「痛てえ、クソッ。 ・・・肩、ぶつけたか。 別に、折れちゃいねえな。 それにしても、

サンジの奴、何処にいるんだ?」

ゾロは、打ち上げられた浜辺で、サンジを捜す。

・・・ここには、いねえみてえだな・・・・

ん?! あれは・・・・

ゾロは、大岩の向こう側に、不自然に倒れている木を見つけると、その方向に走りだした。

「・・・これは・・・誰かが、人為的に倒したもの・・・それも一撃で。 そんな芸当する

奴は、俺の知ってる限りじゃ、あいつしかいねえ。 となると、この足跡つけていった

ら、あいつんとこに行けるというわけだ。 無事だったんだ・・・待ってろよ、サンジ。 

今行くから・・・」

ゾロは、サンジの足跡を追って、街に続く道を走っていく。

「・・・すまんが、ここに、金色の長い髪の毛で、碧眼の男、来なかったか?」

ゾロは、街の入り口にいる人に尋ねる。

「何言ってんだ、ウィル。 お前の知り合いか? あの綺麗なあんちゃんは。 さっき、

血相変えて、お前の店に入っていったぞ。 ・・・それより、お前・・・見ないうちに趣味

悪くなったな。 いい年した若いもんが、そんな親父臭い格好するもんじゃねえぞ。 

それに、どうしたんだ? その刀。 お前、剣なんて習ってないだろ? そんな物騒な

もん、捨てちまいな。 お前には、似合わないよ。」

その人は、勝手にそう言うと、そそくさと家の中に入っていった。

「ウィル?? お前の店??? 何言ってんだ? とりあえず、サンジは、この街にい

るようだ。 ・・・探すしかねえな・・・」

ゾロがブツブツ独り言を言って、道を歩いていると、街の人が、声を掛けてくる。

「いよう、久しぶりだな、ウィル。 良い魚、入ったんだ。 後で、店に持ってくから。 

それにしても、その格好は、変だぞ。 せっかくの男前が、台無しじゃねえか。 

目つきも悪いし・・・いつもの格好しろよ。 じゃあ、あとでな。」

「ウィル? どうしたの??その格好・・・ぷっ、何だか、いつものあなたじゃないみた

い・・・」

・・・何なんだ・・・この街は・・・・

誰も彼も、『ウィル』って、勝手に呼びやがって・・・・

皆、そいつと勘違いしてるようだが・・・

・・・・そんなに、この格好・・・格好悪いのか?

動きやすいし、一番機能的なんだが・・・・

ハァ〜、何か、腹減ってきた・・・

・・・何か、食うか・・・・

ゾロは、いい匂いのする方へと、歩いていった。

・・・ふ〜ん、ここ、飯屋か。

いい匂いしてるし・・・まっ、入ってみるか・・・

ゾロは、匂いにつられて、その店に入っていった。









   
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<コメント>

ビリーさん、ごめんなさい。(m_m) リクエストは、 
ラブラブムードいっぱいの二人に、ゾロ激似コックが、
サンジをナンパするって言うお話なのに・・・
しょっぱなから、全然、違いますやん、これ・・・どうすんの・・・
ウィル、サンジをナンパしてないし・・・サンジの方が、フラフラしてるし・・・・
どうしましょう・・・書、書き直しですか??
す、すいまそん・・・ビリーさん・・・・
別のリク、受け付けますので、それで、勘弁して貰えます、か??(-_-;)
で、では、続きを・・・どうぞ・・・
逃走!