Angel Agein


その2






「おい! ゾロ・・・・・なあ・・・・・起きろって、飯、冷めちゃうゾ。 ・・・・起きろよ!

ロロ!!っと、間違えた。 ・・・・・ なあ、いい加減、起きろよ!!ゾロッ!!」




・・・・でも、本当に、眠っているとそっくりだよなあ。 

瞳の色が、ロロの方が、薄いだけで・・・・・・ロロ・・・・・どうしてるかなあ。 

・・・・・俺を捜してるかな・・・・・ 

でも、また俺、人間界に首突っ込んだし・・・・・・のこのこ戻れねえよ。




夕食の用意が出来て、サンジから、ゾロを起こすのを頼まれたテンは、そう言って、船尾で眠

っているゾロを揺さぶった。

「う〜ん・・・・・・zzz・・・」

「あっ、ゾロ、起き・・・・ふがっ。」

ゾロは、瞳を開けたと思うとすぐに閉じて、テンを胸に引き寄せた。

テンは、その腕から逃れようともがいたが、がっちりと身体を抱きしめられてビクともしない。

「もう、ゾロ! 俺は、サンジじゃねえぞ。 ・・・・しょうがねえな、全く。 

絶対、サンジと間違ってやがる。 ・・・・でも・・・・温かい。 ・・・・俺、やっぱり、ここ

が、好きだ・・・・・zzz・・・」

テンは、そう言いながら、久しぶりの温かさに包まれて、眠ってしまった。












+++++++++++++++++



一方、こちらは、キッチン。

呼びに行ったまま、戻ってこないテンにイライラしながら、サンジは、テーブルに、料理を並べ

る。

「・・・・・遅い!! テンの野郎・・・・なにしてんだ? ・・・・・・ナミさん、ロビンさん、

俺、ちょっと見てきます。 てめえら、食べてていいぞ。 おい!長っ鼻、キノコ、残す

なよ。」

サンジは、そう言って、キッチンを出て船尾に向かった。

バタンッ!!

キッチンの扉が、勢い良く、閉じられた。

「うへぇ〜、おっかねえ。 ・・・・サンジの奴、なに、イラついてんだ?」

ウソップは、食べながら、ぶるりと身を竦めた。











「あいつら・・・・・・いつまでも、何してやがる・・・・・・クソッ、ゾロの奴・・・・・・テンを

ボーっと見つめてるし・・・・そもそも、あのゾロの瞳が、気にいらねえ・・・・・・

むかつく・・・・・・あーっ、イライラするぜ、全く・・・・・・」

サンジは、ブツブツと独り言を言いながら、船尾に居るであろうゾロのところに急ぐ。

「!!!!!」

サンジは、言葉を失った。

ゾロに抱かれて、胸の上で、寝息を立てて眠っているテン。

それをギュッと抱きしめて、ゾロは、幸せそうに、眠っている。




・・・・馬鹿野郎・・・・・

・・・・いくら、テンだからって・・・・・・テンだからって・・・・・

・・・・こんなの・・・・・・

・・・・俺は・・・・・・俺は・・・・・・・

・・・・ゾロにとって・・・・・俺は・・・・・・なんなんだ・・・・・・・

・・・・誰だって良いのか・・・・・・

・・・・俺じゃなくたって・・・・・・・・・ゾロは・・・・・

・・・・ゾロは平気なのか・・・・・・・

・・・・馬鹿野郎・・・・・・ゾロの馬鹿野郎・・・・・・・

・・・・俺だって・・・・・俺だって・・・・・・・・・

・・・・テンだからって・・・・・




サンジは、キュッと唇を噛んだ。

今すぐにでも、二人を蹴り起こしたかった。

蹴り起こして、文句言って・・・・・・・

しかし、こんな顔をして、幸せそうな顔で眠っているゾロの顔を見ていると、とてもそんな気に

は、なれなかった。




ゾロは、俺以外にも、こんな顔を見せるんだ。

俺だけに向けられると思っていた顔・・・・・・・・・そうじゃなかった。

・・・・・俺にだけじゃなかった・・・・・・・・




その事実が、サンジには、堪らなかった。

「クソッ!」

サンジは、そう呟くと、二人を起こさずに、そのまま、キッチンに戻った。

「あれ? サンジ君、ゾロとテンは??」

ナミが、サンジの後に二人が来ないのに気が付いて声をかける。

「あっ、二人とも、寝てたんで・・・・・・起こしません・・・・でし・・・・・・た。」

サンジは、そう言って、にっこり笑おうとした。

しかし、思いがけず、サンジの頬に涙が伝う。

他のクルー達が、それに気が付いて、ギョッとする。

「サンジ、なんかあったのか?? 何で泣いてんだ??」

しんと静まり返ったキッチンに、ルフィの声だけが聞こえた。

「あれっ?! 本当だ。 なんで、俺・・・・・・涙なんか流して?? いやだなあ、皆。

そんなにじろじろ見んなよ。 ・・・・別に、心配するような事何もありませんから、

ナミさん。 そんな顔しないで下さいよ。 ははは・・・・・・俺、今日は、疲れたから、

これで、休みます。 食器は、明日、片付けますから・・・・・」

サンジは、慌てて頬を拭い、にっこり笑って、皆にそう言うと、キッチンを出ていった。

「・・・・本当、わかりやすい人ね。」

ロビンが、ボソリと呟く。

「あたし、ちょっと、見てくる!」

ナミが、そう言って、キッチンを飛び出した。

ナミが向かった先は、ゾロが眠っている船尾。

ナミは、ゾロの姿を見つけ、すぐ側まで近づいた。

幸せそうに寄り添って眠るゾロとテン。




・・・・・これ見て、サンジ君、ショック受けたのね。

・・・・・こんな馬鹿面・・・・・本当、デリカシーのない男・・・・

・・・・・大方、テンとサンジ君と間違えて抱きしめてんだろうけど・・・・・

・・・・・こんな顔されると・・・・・・ショックよね・・・・・・

・・・・・テンは、ともかくとして・・・・・・

・・・・・むかつく・・・・・・




ナミは、額に青筋を浮かべ、天候棒を取り出して、ゾロの頭を殴った。

「いい加減、起きなさい! 二人とも!! とっくに、夕御飯、皆、食べちゃったわよ

っ!!」

「っ・・・・痛てえ・・・・なにしやがるっ!!」

「あっ、ナナ・・・・・おはよ・・・・・あふ・・・・」

「・・・・もう、テンも、寝惚けないでちょうだい。 あたしは、ナミよ、ナミ。 

・・・・・それに、ゾロ。 ・・・・・いい加減起きたら? もう、食事、皆、済んだわ。」




ゾロには、言いたいことたくさんあるけど・・・・・・

それを言うのは、あたしじゃなくてサンジ君だから・・・・・





ナミは、呆れ顔でそう言って、その場を後にする。

「あっ、ナミ、ちょっと待ってよ。 一緒に行こうよ。」

ゾロの腕から解放されたテンが、慌ててナミを追いかける。

「???なんだ? ナミの野郎、なんか言いたそうな面しやがって・・・・・それにして

も、痛てえ。 あいつ、俺を殺す気か? ・・・・でも、なんで、テンが、ここにいるん

だ?」

サンジに、二人で、眠っているところを見られたと思っていないゾロは、そう言って、船尾を後

にした。












++++++++++++++++++



「いただきま〜す。 ・・・・サンジの作った飯は、本当、美味しいよな、ゾロ。」

「・・・・・ああ。 ・・・・・・・・。」

ゾロとテンは、キッチンで、取り置きしてあった料理を、一緒に食べる。




・・・・・なんか、さっきから、皆の視線が、痛い気がするのは、気のせいか??




ゾロは、キッチンに入ってきてからの皆の冷たい視線が、気になっていた。




・・・・・・そう言えば、サンジの奴・・・・・どこいったんだ?

いつもは、皆が食事終わるまでは、どんなことがあっても、キッチンを出ないの

に・・・・・・

・・・・・・・トイレか??




そんなことを考えながら、食事をしていても、サンジが、現れる気配がない。

ゾロは、思い切って、ウソップに、尋ねることにした。

「なあ、ウソップ。 あいつは・・・・・どこにいったんだ?」

「お、俺は、何も知らない。 何も見ていない。 サンジが、泣いたとこなんか・・・・

あわわ・・」

ゾロにそう聞かれ、ウソップは、余計なことを言ったと口を塞いだ。

「・・・・なんで、あいつが、泣くんだよっ! 事と次第によっちゃ・・・・」

ウソップの言葉に反応して、こめかみをヒクつかせ、ゾロが、雪走に、手をかける。

「ヒッ!! 待て・・・ゾロ!! 早まるな!!」

ウソップは、慌ててチョッパーの後ろに隠れる。

「ゾ、ゾロが、悪いんだぞ!! 絶対に、そうだ!! だって・・・だって、サンジ、さっ

き、ゾロとテンの様子見に行ってから・・・・・そしたら・・・・・泣いたんだから・・・・・・」

チョッパーが、責めるような口調で、ゾロにそう言った。

「・・・・あいつが、起こしに?? 何言ってんだ。 あいつは、さっきまで、俺と・・・・・

わけわかんねえ・・・・・でも、なんで、泣くんだ??」

ゾロは、そこまで言われても、まだ、サンジの泣く理由が解らない。

ゾロにしてみれば、テンを抱きしめていたわけではなく、サンジを抱きしめていたと認識して

いたからだ。

「なんだ、サンジ、起こしに来てくれてたのか。 だったら、俺を助けてくれてたら良か

ったのに・・・・ 俺、ゾロに捕まっちゃって、動けなかったんだぜ、さっき・・・・・ 

そしたら、眠くなっちゃって、つい、うとうとと、ゾロの上で、寝ちまったんだよな。 

ゾロ、さっき、俺とサンジ、間違ってただろ・・・・」

テンが、ご飯を食べながら、ゾロにそう言った。

ゾロの顔から血の気が引く。




・・・・・マジかよ・・・・・嘘だろ・・・・・・

・・・・・さっきの・・・・・テンだったのか?

・・・・・俺、テンを抱きしめて、眠ってた??

・・・・・サンジ・・・・それ、見てたのか・・・・・・

・・・・・それって・・・・・・・ヤバ過ぎねえか・・・・・・・




ゾロは、サンジが泣いた原因の確証が欲しくて、ナミの方を見る。

「・・・・・サンジ君なら、部屋に戻ったわ。」

ナミは、呆れたように、そう言って、ゾロを睨み付けた。

その瞳は、雄弁に、ゾロに非があることを語っていた。

「・・・・・・・。」

ガタンッ!

ゾロは、無言で、立ち上がると、そのままキッチンを出ていった。

「?? ゾロ、何処に行ったんだ??」

テンだけが、何も知らず、皆にそう聞いた。





お前のせいなんだよ!!




ウソップは、心の中で、そう叫んだ。










    
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<コメント>

クソォ! キリリクは、短くまとめようと決めてたのに・・・・・
また、次までいってしまった。(がっくし・・・)
ごめんなさい。(ペコリ)
うちのサンジ、やきもち妬くのへたくそだよね・・・・・
うっ・・・それは、ルナの稚拙な駄文だからだろうか・・・・
では、次こそ、完結だ!!(・・・きっと・・・)