Reward


その3






一方、こちらは、ゾロが、船に戻っていることを知らずに、探し回る・・・・・サンジ。

「クソッ。 至るとこに、海軍の連中がいて、容易に身動きとれねえじゃねえか。

・・・・・・・あのクソまりも、見つけたら、三日間は消えねえ位の痣、作ってやる・・・・」

サンジは、ブツブツと文句を言いながらも、ゾロの情報を得ようと必死だ。

「とりあえず、酒場に行ってみるか。 なんか、情報があるかも知れねえ。」

サンジは、バーの看板を見つけると、そう言って中に入った。

小さいながらも、繁盛しているようで、店には、数人の客が、いた。

「いらっしゃい、何にします?」

「・・・・とりあえず、ビール。 それに、なんか美味いもん、くれ。」

サンジは、カウンターに座ると、店の親父にそう言って、店内の話に耳を傾ける。

「・・・・なあ、今日、すげえ奴が、捕まったって、本当か?」

「そうそう、緑髪の男だろ? 捕まえた奴が言うには、賞金首に間違いねえってことだ

が・・・・」

「ああ、元海賊狩りで、ロロノ・・・・何とかって言う奴だろ?」

「・・・・けどよ、あんまりたいしたことねえよな。 うちの海軍に捕まっちまうなん

て・・・・・噂なんて、あてにならねえよな。」

「・・・・全くだ。 しかし、ここの海軍は、粒よりの荒くれ者ばっかだからな。 

捕まっても仕方ねえか。 あはは・・・・」

「・・・・かもな。 ははは・・・・・」

サンジのすぐ後ろのテーブルに座っていた男達が、そう言って笑った。

「・・・・・・すまねえが、そいつは、本当の話か・・・・・・」

サンジは、冷静を装って、その男達に話しかける。

「ああ、間違いねえよ。 さっき、知り合いの海軍の奴に、聞いたんだから。 明日、

海軍本部に連行するそうだ。」

男達は、さも自分達が捕まえたかのように、そう言った。

「ふ〜ん、そうか。 ・・・・・邪魔したな・・・・・」

サンジは、そう言うと、そのまま店を出ていく。




・・・・・・クソッ、馬鹿が・・・・・

・・・・・・あれほど、海軍が居るから気を付けろって、ナミさんが、言ってたのに・・・・・

・・・・・・あっさりと捕まっちまうなんて・・・・・・

・・・・・・けど、変だ。

・・・・・・あいつが・・・・あいつに限って、そんな易々と捕まるなんて・・・・・

・・・・・・あり得ない・・・・・・・・何処か、怪我でもしたのか・・・・・・・それとも・・・・・・




「・・・・クソまりも。 ・・・・・無事でいろよ・・・・・・」

サンジは、そう言って、海軍基地に急ぐ。










「きゃあ、いや、やめて下さい。 だ、誰か、助けて・・・・・」

急ぐサンジの耳に、若い女性の叫び声が届いた。




・・・・・クソッ。 なんたって、この急いでるときに・・・・・・

・・・・・ああ、もう・・・・・・・・




「・・・・・チッ。」

サンジは、短く舌打ちをすると、その女性の元に向かった。

「いっひひ・・・・良いじゃねえか、俺たちゃ、この街を守ってる海軍だぞ。 お前らはな

あ、俺達が、守ってやってるんだ。 ちょっとばっかし、いい目見たって、罰は、あたん

ねえだろ・・・」

「えへへ・・・いいぞーっ! もっと言ってやれ・・・・・」

海軍の制服を着てるだけで、そこらへんの荒くれ者とかわらないような感じの男達が、

数名、若い娘にそう言って、連れ去ろうとしているところだった。

近くにいる人たちは、皆、遠巻きに心配しながらも、誰一人、彼女を助けようとはしなかった。

「・・・・・・ふ〜ん。 ここの海軍って言うのは、こう言うことを平気で、レディにするん

だ。 下衆過ぎて、反吐が出るぜ、全く・・・・・・・」

サンジは、タバコを吹かせながら、そう言って、男達に近づく。

「あん? ・・・・なんだ、てめえは。 ・・・・・この街で、俺達を相手にしようたぁ、

良い度胸じゃねえか。 てめえも、さっき捕まえた元海賊狩りのロロノア何とかと同じ

ように、牢屋にぶち込んでやるぜ。 やっちまえ!」

男達は、そう言って、サンジに向かってきた。

「・・・・・・てめえらが、捕まえただと? ・・・・・ふざけんなっ! てめえらに、ゾロが

やられてたまるかっ! 嘘吐くんじゃねえっ!!」

サンジは、こめかみをヒクつかせ、次々に、男達を蹴り倒していく。

男達は、皆、サンジの強烈な蹴りの前に、サンジに触れることなく、地面に屈服した。

「・・・・・ケッ。 たわいもねえ・・・・・やはり、てめえらが、捕まえたって言うのは、

嘘のようだな。」

サンジは、そう言って、乱れた服装を正す。

「・・・・・そこまでだ。 さすがに、あのバラティエの副料理長を務めるだけ有るな。 

・・・・サンジ君と言ったかな? 私も、イーストブルーにいた頃、何度か、上司と行っ

たことがある。 ・・・・まあ、あの頃は、まだ下っ端で、君は、覚えていないようだが

ね。 麦藁の一味に加わったという噂は、本当だったようだな。 ・・・・・・こんなとこ

で、君に出会えるとは・・・・・ ラッキーだな。 ・・・・こいつらの非礼は、詫びよう。

・・・・・こいつらも、私の可愛い部下だ。 ・・・・それに、実際、我々の基地には、

緑髪の剣士は、牢屋にいるぞ。 フフフ、どうするかね。 その男を解放するもしない

も、私の一存で決まる・・・・・・君が、大人しく、我々の言うことを聞くというのなら、

考えなくもないが・・・・・・それとも、このまま、船に逃げ帰って、他の仲間を呼んでく

るか?」

海軍の幹部らしい男が、サンジにそう言って、ニヤリと笑った。




・・・・・・本当に、捕まってやがるのか・・・・・

・・・・・・こいつ・・・・・何考えてやがる・・・・・・

・・・・・・ここで、皆に知らせに行っても・・・・・・・

・・・・・・ダメだ、ナミさんやルフィ達まで、巻き込まれちまう・・・・・・・

・・・・・・仕方ねえ・・・・・ここは、暫く様子を見よう・・・・・

・・・・・・ゾロの様子も気になるし・・・・・・




「・・・・・・わかった。 俺が、大人しく、あんたらに、捕まれば良いんだろ・・・・・その

かわり、そいつに・・・・ゾロに会わせろ。」

サンジは、そう言って、その幹部の言うことを聞くことにした。

「・・・・仲間思いだな。 じゃあ、まず、その脚を拘束して貰うぞ。 あのオーナー仕込

みの脚だからな。 おいっ!」

「はっ!」

幹部はそう言うと、部下に命じて、サンジの腕に手錠を、脚に重り付きの手錠を填めさせた。

「・・・・じゃ、ついてきてもらおうか・・・・・・」

「・・・・・・・・。」

サンジは、無言のまま、その幹部と共に、海軍基地に連行された。























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日が、だいぶん傾きかけ、戻ってこないサンジに対し、ナミの心に、いい知れない不安が沸

き上がる。

「・・・・やっぱり、なんか嫌な予感がする。 ・・・・・あたし、ちょっと街に様子を見に行

ってみるわ。 ロビン、後を頼むわ。」

ナミは、そう言って、船を下りる準備をし始めた。

「俺も、一緒に行く。」

ゾロがそう言って、立ち上がった。

「・・・・あんたは、ダメよ。 手配書が、出回ってるわ。 ダメ、危険すぎる・・・・・ここ

は、あたしに任せて・・・・・」

「・・・・・頼む。 てめえが、ダメでも、俺は、一人でも、探しに行くぞ。」

ゾロは、ナミの言葉を遮って、そう言った。

ゾロの瞳は、頑として揺るぎ無い。




・・・・・ここで、あたしが、無理矢理押しとどめても、こいつ・・・・行くつもりね・・・・・

・・・・・この男・・・・・・本当に・・・・・・・

・・・・・サンジ君のこととなると、どうしてこう冷静に対処できないのかしら・・・・・・




「・・・・・しょうがないわね。 いいわ、一緒に行きましょう・・・・・・じゃあ、皆、後、

よろしく頼むわ。」

ナミは、ため息を吐くと、ゾロと共に、船を下りて、街に向かった。














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「さあ、約束通り、捕まってやって、ここまで来たんだ。 ゾロは、何処だ。 牢屋に連

れて行けよ。」

サンジは、そう言って、幹部の男を睨み付ける。

サンジが、連れてこられたのは、牢屋ではなく、幹部の個室だった。

「ははは、そう焦るなよ。 ・・・時間は、まだたっぷりと有るんだ。 ・・・・・そうたっぷ

りと、な。 ・・・・・飲むか? 美味いワインだぞ。」

幹部の男はそう言って、グラスに赤ワインを注いだ。

「・・・・・てめえ、いい加減にしろよ。 約束破るつもりか? はっ、全く、海軍の名も、

地に落ちたな・・・・・」

サンジは、そう言って馬鹿にしたように笑った。

「ククク・・・・私は、考えてやるとは言ったが、約束すると言った覚えはないぞ。 

君が、勝手にそう思いこんで、捕まってくれただけのこと。 だいたい、海軍が、一度

捕まえた賞金首を、釈放するわけがないだろう? 君も、少し冷静になって考えてい

たら、わかっただろうに・・・・・ 仲間が捕まったと聞いて、判断が鈍ったか?

・・・・・しかし、以前見たときには、綺麗な少年と言ったところだったが、ますます美し

さに磨きがかかって、本当、男にしとくには、もったいないな。 いや、男とわかってて

も、だな・・・・・ バラティエの副料理長サンジと言えば、料理の味も絶品だが、自身

の身体も絶品だって言う噂だったからな。 しかし、あのオーナーは、上司が、いくら

相手にするよう頼んでも、首を縦に振らなかった。 君は、とても高いらしいな。

・・・・・その時の私には、高嶺の花だった・・・・・ まあ、君が、これからずっとここに

いて、私に仕えてくれると言うのなら、あの緑髪の剣士は、本部に送還せずに、ずっ

とここの牢屋で、生き長らえさせてやることは、できるぞ。 ・・・・・どうする? あの

緑髪の剣士と共に、本部に送還されて死を選ぶか、私の言うことを聞いて、ここで、

生きるか。 ・・・・・君の返答次第だ。」

幹部の男は、そう言って、口元を歪めると、舐めるようにサンジの身体を見る。

サンジは、その男の視線に、全身が総毛立つ程の嫌悪感を抱いた。




・・・・・こいつ・・・・・・それが目的か・・・・・・・

・・・・・しかし、本当、馬鹿野郎だな・・・・・・・初耳だぜ、そんな噂・・・・・・

・・・・・俺が、男娼だ??

・・・・・あーっ、むかつく・・・・・・ふざけんな・・・・・・

・・・・・だいたい、あのクソジジイが、俺にそんなこと頼むわけねえだろうが・・・・・

・・・・・蹴り飛ばさせるのが関の山だぜ。

・・・・・それに、俺は・・・・・・

・・・・・あいつとしか・・・・・・・あいつとしか、やらない・・・・・・




「・・・それは、残念だったな、高嶺の花で・・・・・ それを権力かさにきて、俺を抱こう

ってか? 冗談も顔だけにしろよ。 てめえなんかに抱かれるなら、死んだ方がマシ

だ。 殺せよ、捕まった時点で、覚悟はとうにできている。 てめえは、死姦でもして

ろ! このクソ野郎・・・・」

サンジは、吐き捨てるようにそう言った。

「ははは・・・・良いねえ、気の強いのも気に入った。 だが、緑髪の剣士は、どうす

る? 君が、強行に断るなら、この場で、殺してもかまわないぞ。 その男も、な。 

どうせ、DEAD OR ALIVE、生死を問わずだからな・・・・・・良い余興だ。 君の目の

前で、あの男を殺してやろうか、今すぐに・・・・・」

幹部の男はそう言って、部屋から出ていこうとする。

「ま、待て。 ・・・・・・わかった。 好きにしろよ・・・・・だが、あいつのことは、見逃し

てくれ。 その代わり、俺が、あんたの奴隷でも何でも言うことを聞くから・・・・・

あいつは、生かして、釈放してくれ。 ・・・・・頼む・・・・・約束してくれ・・・・・」

サンジは、観念したようにそう告げた。

「・・・・それは、良い判断だな。 しかし、何故、そこまでしてあの男を庇う? 

・・・・・もしかして、お前のコレか? ・・・・・まあ、良い。 お前が、俺に従うということ

を、この場で、証明して貰おうか・・・・・ 約束は、それからだ。」

「て、てめえ、汚ねえぞっ!」

「サンジ君・・・・・勘違いして貰っては困る。 物事の決定権は、こちらが握っている

のだ。 私は、どちらでも良い。 このまま、あの剣士を本部に送還して出世するも良

し、逃がして、君を得るのも良し・・・・・・決めるのは、私だ。」

「・・・・・わかった。 ・・・・・・俺は、何をすればいい?」

「とりあえず、その身体、味見させて貰おうか・・・・・」

「・・・・・・好きにしろ・・・・・・」

サンジは、部屋に置いてあるベッドに腰掛けて、幹部の男を睨み付けた。

男は、ベッドに近づき、サンジの脚につけてある手錠の重りだけをはずし、サンジを横たえる

と、そのまま上に覆い被さる。

そして、手荒くシャツを引きちぎり、その白い肌に手を這わした。








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<コメント>

本当に、反吐が出るくらい嫌な海軍幹部・・・・
このままサンジ、やられちゃいそうな勢いなんっすが・・・・・
・・・・どうしましょうか・・・・・っておい!(-_-;)
でも、牢屋に入れられてる不幸な緑髪の男は、一体誰??
そいつが、一番気の毒・・・・・(哀)
そんなの、し、知ったことじゃないっす・・・・(汗)
さっ、次行きましょ!!