Reward


その2






翌朝・・・・・・

サンジは、一睡もしないままに、朝を迎える。




・・・・・・・クソッ。 

・・・・・・なんだって、よりにもよって、こんな日に戻ってこねえんだ・・・・

・・・・・もう・・・・・・11日だぞ。

・・・・あいつのことだから、忘れてるに違いねえが・・・・・・

・・・だからって・・・・・だからって、帰ってこねえなんて・・・・・・




「あ〜、いらつく・・・・・もう、なんで、いねえんだよっ、あのクソ腹巻き・・・・・・・」

サンジは、イライラしながらも、クルー達の朝食の用意をする。

本当は、今朝は、ゾロの好みに合わせて、和食にしようと考えて、昨日のうちから、下ごしら

えしていたのだが、当の本人が居ない今、急遽、いつものように、トーストに切り替えた。

「おはよう、サンジ君vv 今日も早い・・・・・・やだ、寝てないの? サンジ君。

・・・・・あいつ、戻ってこなかったの?」

ナミは、キッチンに入るなり、サンジの顔を見て、そう言った。

「あっ、おはようございます、ナミさんvv ・・・・・ええ、戻ってきませんでした。

・・・・・・本当に、迷惑ばっかり掛けて・・・・・本当は、昨晩のうちに、出航するはずだ

ったのに・・・・・どうもすみません。」

サンジは、そう言ってナミに頭を下げる。

「・・・・別に、サンジ君が、悪い訳じゃないわ。 ・・・・・・けど、いくらなんでも、遅す

ぎるわよね・・・・・・サンジ君、朝食が済んだら、ゾロを探しに街に行って貰えないか

しら・・・・ たぶん、あいつ、昨日、あたしとウソップの話聞いて、サンジ君を探しに行

ったと思うのよ。 何かずいぶん、機嫌悪そうだったし・・・・・大方、昨日、サンジ君

が、あたしにべったりだったのが、気に入らなかったのね。 昨日、サンジ君が、一人

で出かけた後に、思いっきり、睨み付けられたから・・・・・・ふふふ・・・・サンジ君、愛

されちゃってるわねvv」

ナミは、そう言うと、サンジに軽くウィンクした。

サンジは、ナミの言葉に、耳まで真っ赤になった。

「オッス、サンジ・・・・・・腹、減った。 飯は?」

「おはよう、サンジ。 ・・・・・ゾロの奴、戻ってこなかったな・・・・・」

「おはよう、コックさん。 ・・・・・あら、剣士さん、戻ってこなかったの?」

そう言って、ルフィとウソップとロビンが入って来る。

「おはよう、サンジ・・・・・ん?どうしたんだ? 顔、赤いぞ。 熱、あるんじゃない

か?」

続いてチョッパーがそう言って、サンジを見て、慌てて、診察しようとした。

「だ、大丈夫だ、チョッパー。 俺は、なんともねえから・・・・・それよりも、飯、無くな

るぜ。」

サンジは、そう言って、チョッパーに、顎で、ルフィを示す。

ルフィは、ガツガツとテーブルの料理を食べ始め、チョッパーの皿にも、手を伸ばそうとしてい

た。

「あーっ! 止めろ! 俺ンだぞ!」

振り向いたチョッパーは、慌ててサンジの元から駆け出すと、ルフィに負けないように、ガツ

ガツと料理を食べ始めた。

「「「「「あ〜、ごちそうさまでした。」」」」」

「お粗末様でした。」

クルー達は、朝食を食べると、各、キッチンを出ていった。

「さてっと・・・・・俺も、早く片付けて、あの迷子まりもを探しに行くか・・・・・」

サンジはそう言って、後片付けに取りかかった。

















「じゃあ、ナミさん、俺、迷子捜しに行ってきます。 お昼は、弁当をキッチンに置いて

おきましたから・・・」

サンジは、ナミにそう言って、船を下りる。

「あっ、ちょっと待って、サンジ君。 ・・・・ここは、海軍の荒くれ共が、うようよしてる

わ。 絶対に、見つからないようにね・・・・・手配書は、サンジ君の、まだ、回ってな

いけど・・・・用心に越したことはないから・・・・・」

ナミは、心配そうにそう言った。

「わかってますって。 ・・・・・俺は、大丈夫ですよ、あの迷子と違って、一度歩いた

道は、忘れませんから・・・・・じゃあ、行ってきますね。」

サンジは、ナミに、にこやかに笑って、街に向かった。

「さっ、とりあえず、出航準備だけは、しておかなくちゃ・・・・・ウソップ、ルフィ、チョッ

パー、ロビン、お願い・・・・・・」

ナミは、そう言って、残りのクルー達に、出航の準備を指示した。


















+++++++++++++++++++++++



「クソッ。 ・・・・・・ここは、一体何処なんだよ・・・・・・・なんで、山の中、なんだよ。 

おりゃ、街に向かってたはずじゃねえのか? フェッブシュン・・・・・・あ〜、誰か、俺

の噂してやがる・・・・・昨日は、とうとう帰れずじまい・・・・・・サンジの言うとおり、

船で、待っとけば良かった。 ・・・・・・サンジの野郎、怒ってるよな。 あ〜、クソッ、

腹減った。 サンジの飯が、食いてえ・・・・・お〜い、誰か、いねえか〜・・・・・」

その頃、ゾロは、迷っていた。

それも、街に向かったはずが、いつの間にか、山で野宿する羽目になっていた。

ガサッ!!

ゾロの目の前の草むらが、動いた。

「誰だっ!」

ゾロは、そう言うなり、抜刀して、その草むらめがけて、走った。

「ひえっ! なんだ、あんたは・・・・・・驚かすなよ。 俺は、てっきり、熊かと・・・・・」

草むらにいたのは、猟師だった。

猟師は、ゾロに向かって、ライフルを向けていた。

「・・・・わりい。 道に迷っちまって・・・・・なあ、俺、街に行きたいんだけど、道、

知らねえか・・・・・」

ゾロは、抜いていた刀を鞘に収めると、そう尋ねる。

「なんだ、あんた・・・・・・迷子になったのか? 珍しいな、その年で、迷子になると

は・・・・」

猟師は、心底驚きの声を挙げる。

「・・・・迷子じゃねえ。 ・・・・・・・ただ、道が、わからなくなっただけだ。」

ゾロは、そう言って、苦り切った表情をした。

「・・・・・・・普通は、それを迷子と言うな・・・・・・」

猟師は、ボソリと呟く。

「・・・・・・何か、言ったか? それより、道、知ってんのか、知らねえのか、どっちな

んだ!」

ゾロは、空腹でイライラしてきて、そう怒鳴った。

「ひっ・・・・・・この道を真っ直ぐに、下りていけば・・・・・着くはずです。」

猟師は、ゾロの剣幕に、ビビって、そう答える。

「ありがとうな・・・・」

ゾロはそう言って、猟師が示す道をひたすらに、真っ直ぐ下りていった。









「・・・・・・だからな、真っ直ぐって・・・・・普通、道なりに真っ直ぐ進むだろ、普通

は・・・・・・・ ・・・・・・・あの人が迷子になるの、わかる気がする・・・・・・」

猟師は、ただひたすらに、直線に、突っ走っていくゾロの後ろ姿を見て、そう呟いた。

ゾロは、ズンズンと、ただ真っ直ぐに歩いていく。

途中に塞ぐ木を切り倒し、自分を襲おうとした熊を逆に、斬り倒し、肩に担いで、それでも、

ズンズンとひたすらに進んだ。

「はあ????」

急に開けた視界に、ゾロは、妙な声をあげる。

そこには、街ではなく、懐かしいゴーイングメリー号の姿・・・・・




・・・・・・・・なんで、こうなる・・・・・・

・・・・・・・・俺は、街に向かっていたはずだが・・・・・・

・・・・・・・・まあ、良い。

・・・・・・・・とにかく無事に帰れたんだ。

・・・・・・・・これで良しとしよう・・・・・




日頃から、あまり深く物事を考えないゾロは、そう思うことにして、一日ぶりの船に戻っていっ

た。






「・・・・・・・なあ、ナミ・・・・・熊って、二本足で、歩いてくるモノなのか?」

メリーの頭の上で、外をじっと見ていたルフィが、テラスにいるナミにそう尋ねる。

「・・・・そうねえ。 普通は、四本足で歩くと思うわよ。 ・・・・・ルフィ・・・・あんた、何

見てそう言ってるの?」

ナミは、航海日誌を途中で書き止めてルフィの元に向かう。

「ほれ、あれだ・・・・・」

そう言って、ルフィが指差す方を見てみると・・・・・・・

確かに、でっかい熊が、二本足で歩いてくる・・・・・・

・・・・・・それも、この船目指して・・・・・・・




・・・・・・なに?なんなの??

・・・・・・ここ、グランドラインには、二本足で歩く熊が居るわけ?

・・・・・・と、とにかく、あの熊をなんとかしなくちゃ・・・・・

・・・・・・あんな熊に襲われたら、ルフィは、ともかく、あたしたちは、一巻の終わりよ・・・




ナミは、頭を働かせて、ルフィを使うことにした。

「ルフィ・・・・・ちょうど、サンジ君が、肉が不足してるって言ってたわよ。 あの熊、

仕留めたら、サンジ君、喜んで、熊料理作ってくれるわよ。 ・・・・・さあ、行くのよ、

ルフィ・・・・」

「良しきた!」

ルフィは、ナミの言葉にそう言って、腕を熊めがけて伸ばす。

「ゴムゴムの〜〜キャッチ!!」

「あっ、馬鹿・・・・・・」

ナミの言葉をかき消して、ルフィは、熊の頭を掴むと、ぐいっと船の方に、持ってきた。

「!!い゛っ!!」

いきなり、空中に放り飛ばされたゾロは、慌てて熊にしがみつく。

ガシャ〜ン!!!

もの凄い地響きと共に、熊が、甲板に叩きつけられた。

・・・・・・当然、熊にしがみついていたゾロも、甲板に叩きつけられ、挙げ句に、熊の下敷きと

なった。

「ん? 何だ、この熊? 全然、反応無かったぞ。」

ルフィは、そう言って、熊に近づく。

ナミは、ルフィの後ろに隠れるように、それに続く。

「「なんだ、なんだ? 何が起こった??」」

「騒がしいけど、なにか、あったの?」

そう言って、ウソップ、チョッパー、ロビンまで、それぞれの部屋から飛び出してきた。

「あら、熊じゃない。 どうしたの? ・・・・・・それに・・・・」

ロビンは、熊の下にいる人物に気付いて、ハナハナの能力で、熊を横に退けた。

「「「「ゾロ!」」」」

「なんだ? ゾロ・・・・お前、なにしてんだ、そんなところで・・・・・・」

ルフィは、自分のせいだと思ってないような口振りで、甲板に倒れ込んでいるゾロにそう声を

掛ける。

「・・・・・ルフィ・・・・・・てめえの仕業か・・・・・・・」

ゾロは、ゆらりと立ち上がって、ルフィに、和道一文字を抜いた。

「わっ、アブねえな。 なにすんだよ、いきなり・・・・・」

ルフィは、その切っ先をひらりと避けると、口を尖らせて、ゾロに文句を言う。

「いきなりは、こっちの台詞だ! 人がせっかく、熊、担いで戻ってくりゃあ、いきな

り、空中に放り投げやがるし・・・・・・普通だったら、死んでるゾ!」

ゾロは、もう一度、返す刀で、ルフィを斬りつける。

「・・・・・・じゃあ、お前は、普通じゃないんだな・・・・」

ボソリとウソップが、誰にも気付かれないような声でそう突っ込んだ。

「うひゃあ、悪かったって。 ・・・・だって、ナミの奴が、肉食いてえなら、熊を仕留め

ろって言ったもんだから・・・・・」

ルフィは、ゾロの剣を避けながら、そう言い訳した。

「ちょっと、止めなさいよ、二人とも・・・・・だいたい、自分よりでかい熊を担いでくる人

間が、何処にいると思ってんのよ。 常識で、考えてよね・・・・」

ナミは、慌てて、そう言う。

「「「「ここにいるぞ。」」」」

他のクルー達が、一斉に、ゾロを指差した。

「・・・・・常識で考えたあたしが、馬鹿だったのよね・・・・・とにかく、今は、もう止め

て。 ・・・・・それより、ゾロ、あんた何処行ってたの? 心配したのよ。 

・・・・サンジ君、あんたを捜しに、また街まで行ったわ。 ・・・・・本当に、迷惑な奴。

サンジ君、もうすぐ戻ってくるでしょうから、もう何処にも行かないでちょうだい。 

また、あんたに迷子にでもなられたら、困るんだから・・・・・良いわね!」

ナミは、呆れるようにため息を一つ吐いて、ゾロにクギを差す。

「・・・・・・わかった。 もう、何処にも行かねえよ。」

ゾロはそう言って、汚れた身体を洗いに、風呂場に向かった。










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<コメント>

す、すまねえ・・・皆・・・・またぐだぐだとくだらないことを
書いちまった・・・・byゾロvv
久々に迷子になるお馬鹿ゾロを書きたくなって・・・(汗)
凄く好きなんだよ、個人的にvvお馬鹿なゾロvv
何のための1ページ??って、突っ込まれると・・・痛い。(笑)
それは、ルナの気分を癒すため!(ド〜ン・笑)
つ、つぎ・・・・・いきますか・・・・・