POWER OF LOVE

その5






サンジは、優しくルフィを抱きしめると、おでこにそっとキスをした。

「ありがとう、ルフィ。 でも、俺、無理なんだ。 たとえ、ゾロが一生忘れたままで

も・・・恋人同士に戻れなくても・・・俺・・・他の誰かを、ゾロの代わりにすることなん

て、出来ねえ。 それに、ルフィは、ルフィだ。 他の誰でもねえ。 てめえには、今の

俺が、不幸に見えっかもしんねえけど、でも、今、俺は、これで充分幸せなんだよ。 

ゾロが近くにいてくれるだけで・・・ゾロが、俺の側で生きててくれるだけで・・・・・・俺

は、充分幸せになれるんだ。 俺が、本当に、不幸になんのは、ゾロが、俺の前か

ら、いなくなっちまうとき・・・そん時だけだ。」

そう言うと、サンジは、鮮やかに、ルフィに、微笑んだ。

「・・・わかった。 もう、何も言わねえ。」

そう言って、ルフィは、キッチンを出ていった。

「おっ? もうこんな時間か。 ゾロの奴、のど渇いてねえかな・・・」

サンジはそう言って、冷えたレモン水を持って、男部屋に向かった。













ルフィは、まだ、戻っていない。

サンジは、そのまま、ゾロが寝ているベッドの脇に立つと、ゾロの顔を覗き込む。

「何だ、まだ、寝てんのか・・・・」

サンジはそう言うと、サイドボードに冷えたレモン水を置いて、キッチンに戻ろうとした。

不意に、腕を捕まれて、バランスを失ったサンジは、そのまま、ゾロの上に倒れ込んだ。

「んなっ。 てめえ、なにすんだ!! びっくりするだろうが!!」

サンジは、あわてて、ゾロから、離れようと、腕を突っ張る。

ゾロは、その腕を掴み直すと、素早く体制を入れ替えて、サンジをベッドに組み敷いた。

「!!!!!」

驚きのあまり、サンジは、声も出せない。

「・・・てめえは・・ルフィのもんになんのか・・・」

呻くような低い声で、ゾロが言う。

「俺のもんじゃなかったのかよ!」

そう言うと、ゾロは、サンジに噛みつくように、口付けた。

性急なキス・・・余裕などみじんもない・・・むさぼるだけの行為・・・・

「ん・・・んっ・・・んん・・・・んー!!」

(嫌だ! こんなの・・・違う・・・こんなの、絶対、違う・・・)

サンジは、泣きながら必死で暴れた。

だが、ゾロは、一向に止める気配を見せない。

シャツのボタンをちぎられ・・・・・ゾロの指が・・・胸の尖りを捕らえた・・・・

(嫌だあ!!!)

サンジは、口内をむさぼる、ゾロの舌を思い切り噛みついた。

「ウッ。」

ゾロは、あわてて、サンジから、唇を離す。

ゾロの口の端から血が滴り落ちた。

「・・・はあ、はあ。 ・・・ゾロ・・・一体、どうしたんだよ。 酷いぜ・・・・こんな・・・こん

なの強姦と同じじゃねえか・・・」

サンジは、涙も拭かずに、ゾロに向かってそう言った。

サンジに舌を噛まれて、冷静さを取り戻したゾロは、サンジの上からどくと、

「わりい・・・」

とだけ言った。

「なんなんだよ! わりいって。 何か理由があんだろ?! ちゃんと言ってくれ

よ!! ・・・ちゃんと言ってくれなきゃ、わかんねえよ・・・」

サンジは、真っ直ぐに、ゾロの顔を見る。

「・・・さっき、キッチンの前まで、行った。 ・・・そしたら、ルフィとお前が抱き合ってん

の見ちまった。 ・・・ルフィが、お前に、告白してんのもな・・・」

ゾロは、グッと拳を握りしめ、言葉を続ける。

「そしたら・・・そしたら、俺・・・何か、ムカついて・・・ムカついて・・・」

そう言って、唇を噛みしめた。

「ふ・・・なんだ・・・そんなこと・・・か。」

サンジは、微笑んで、ゾロに言う。

「そんなこと、じゃねえ!」

ゾロが、横から口を挟んだ。

「いいや、そんな(馬鹿な)ことだよ。 てめえが、こんな強姦まがいのコトしなくても、

俺は。 ・・・ずっと、てめえのもんなんだよ。 これからも・・・な。」

そう言うと、サンジは、ゾロを抱きしめ、自分から、キスをした。








ヒュン!!

ゾロの頭の中で、無数の光が、輝いて・・・やがて、それは1つの光になった。

冷たい闇の中で、サンジが俺に、手をさしのべる。

・・・俺は、その手を取って、サンジと一緒に、その光の中に、包まれた・・・・

「・・・サンジ・・・」

ゾロは、力強く抱きしめ、自分の恋人の名を呼んだ。









「・・・ゾロ・・・痛かったか?」

目の前に、泣きはらした瞳をしたサンジがゾロの顔を覗き込んでいた。

「いいや。 ・・・お前の心の痛みに比べりゃ、こんなもん、痛くねえ。 ・・・サンジ・・・

すまねえ。 もう2度とてめえを忘れたりしねえ。 愛してる、サンジ・・・」

ゾロは、サンジをきつく抱きしめた。

「!!!!!!」

「うっ、うー、ふぇっ・・・ゾロぉ〜。 ふぇっ、思い出した? ・・・俺のこと・・・ふぇ〜

ん!!」

サンジは、、子供のように泣きじゃくって、ゾロにしがみついた。

サンジの泣き声が、深夜の船にこだまする。

「なに、なに、なに? どうしたの?」

「なにか、あった?」

「なんだ?なんだ?」

「えっ、サンジ、どうしたの?」

「どーしたあー、サンジ?」






ドカドカと、他のクルー全員が、一斉に、男部屋に集まってきた。

「な、なんでもねえ!! ほら、みせもんじゃねーんだよ!!」

ゾロは、背中に、泣いているサンジを隠すと、シッ、シッと、皆に、邪魔だと促す・・・・

「「「「なんだー。 馬鹿旦那の復活かあー。」」」」

一斉に、皆で同じ事を言い合った。

「フッ、フッ、フッ。」

「クス、クス、クス。」

「エッ、エッ、エッ。」

「ヘッ、ヘッ、ヘッ。」

「あっ、はっ、はっ。」

皆、久しぶりに、心からの笑い声。

「よおし!! 今から、ゾロの馬鹿旦那復活のパーティーだあー!!」

「「「オーッ!!」」」

ルフィの一声で、深夜のパーティが、始まった。








「クソッ!! 馬鹿ルフィ!! あいつ、絶対わざとだ! さっき、真剣に斬っときゃ、

よかった!!」

愛しのサンジをキッチンに取られた、馬鹿旦那コト、ロロノア=ゾロの叫びは、深夜のパーテ

ィーの馬鹿騒ぎに、むなしく消されていった・・・・・








翌日・・・

朝だというのに、ゴーイングメリー号は、しんと静まり返っていた。

甲板に、ルフィとウソップ、それから、チョッパーが、転がって寝ている。

ナミもロビンも女部屋に帰って、就寝中だ。

・・・・・無理もない。

昨晩遅くに始まった【馬鹿旦那復活パーティー】は、今朝、朝日が昇るまで、続いていたの

だ。








一方、こちらは、男部屋。

扉の前に、

【今日1日、絶対、入室禁止!! 入れば、斬る!!】

と、でかでかと、ゾロの文字で書かれた紙が、貼ってある。


「ンッ・・・・あっ・・・あんっ・・・んふっ・・・ゾロぉ〜・・・・いやあ・んv・・」

サンジの嬌声が、辺りに響いた・・・・



<end>





  
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<コメント>

如何でしたか?
クミ様・・・こんなもんで良かったかしら・・・
行き当たりばったりで書いたわりには、
ルナは、割と気に入ってます・・・
えっ?!
エロがないって?! ふ、ふ、ふ。
お嬢さん! お好きですね!!
じゃあ、おまけをおつけしましょう!!
本文の【サンジの
嬌声】を、ポチっとして、覗いて下さいませ。

では☆