POWER OF LOVE その4 |
ゾロは、一人、キッチンを出て、ナミのミカン畑に座って、星を眺めていた。 あの後夕方、チョッパーから事情を聞いたナミ達から、あの黒服の男の名が、『サンジ』であ ると言うこと、そして、この船のコックであり、重要な戦闘要員である事、いつも、俺達は、喧 嘩ばかりしているが、仲は、決して悪くなかったと聞いた。 でも、教えられたのは、それだけ。 何か、心に引っかかって、もやもやして、ちっとも、すっきりしない。 喧嘩ばかりしているのに、仲は悪くないって? 普通、仲が悪いから、喧嘩するんだろうが・・・そう反論しても、後は、サンジに聞けというば かり・・・・聞けねえから、皆に聞いてると言うのに・・・ 夕方、甲板から、あいつの姿を見た。 キラキラと風になびく金色の髪。 本当に、戦闘要員なのか? 自分が抱きしめたら、簡単に折れてしまうんじゃねえかと思うぐらいに、細い身体。 だけど、目に焼き付いて離れないのは、あいつの、あの表情・・・ 幸せそうに、目を細めて、俺を見たかと思うと、次の瞬間に、泣きそうな面になってて・・・・ 俺の心臓が、あいつにえぐり出されたみてえに、痛てえ・・・・ ・・・こんな痛みは、俺は知らない・・・ ・・・知らないはずなのに・・・・ (・・・早く・・・思い出せ・・・早く・・・・) 『簡単だろ?! 野望を捨てることぐらい!!』 泣きそうな、あいつの顔・・声・・・ 『それ、クソうめえだろ?』 得意満面の表情で笑った、あいつの・・・顔・・声・・・ 『てめえ!ふざけんな!! 足、失ったら、てめえの野望も終わるだろうが!!』 怒り狂った、あいつの・・・顔・・声・・・ 不意に、ルフィの声がして、俺は、現実に、引き戻された。 「ゾロ。 お前、サンジの事、忘れてるんだって? ふ〜ん。 結構、お前、いい加減 ルフィは、そう言うと、スタスタと男部屋に向かって歩いていった。 「ちょっと・・・待て。 聞き捨てならねえな、今の言葉。 ・・・てめえ、俺に喧嘩売って 俺は、和道一文字に手をかけると、ルフィを呼び止めた。 (いい加減な奴? 後悔する? 俺のコック?) 一体、俺は、どの言葉に、こんな怒りを感じてるんだ? 「いい加減な奴なんか、相手にしたって、しょうがねえ。」 ルフィは、馬鹿にした様に、俺に言った。 「いい加減かどうか、試してみたら、どうだ?」 そう言うなり、刀を抜いてルフィに斬りかかった。 (何で、俺は、ルフィと、喧嘩してんだ?) 頭の中で、冷静に考えようとしても、身体が勝手に動いてしまう。 「ゴムゴムの〜ガトリングー!!」 ルフィも、俺にかかってきた。 「鬼斬り!!」 「ゴムゴムのバズーカ!!」 「虎狩り!!」 「ゴムゴムのおのー!!」 「竜巻!!」 甲板で、喧嘩する二人の騒ぎに気付いて、他のクルー達が、集まってきた。 「止めましょうか?」 ロビンが、ハナハナの能力で、二人を押さえつけようとした時、 「待って!!」 ナミが、ロビンを止めた。 「・・・今は、私たち、手を出さない方が良いような気がするの・・・」 ナミとロビンは、二人を遠巻きに見守ることにした。 「「お前ら、喧嘩するなよ!!」」 ウソップとチョッパーは、ただただ、おろおろするばかり・・・ 「・・・・・・・・・」 キッチン前のテラスで、無言のまま、二人を見つめるサンジ。 「ゴムゴムの〜ピストルー!!」 「クッ。」 ゾロは、ルフィの攻撃にバランスを崩した。 「ゴムゴムのおのー!!」 容赦ないルフィの攻撃が、ゾロを襲う。 「チッ。」 今まで、傍観していただけのサンジが、ゾロをかばうように立ちふさがった。 「ドコォッ!!」 甲板が、大きく揺れた。 「??????」 いつまで経っても、身体に、痛みが来ない。 (ルフィは、蹴れねえ。) そう判断したサンジのとった行動は、自分がゾロの盾になること。 「ポタッ、ポタッ。」 つんと鼻を突く、鉄のにおいと共に、サンジの頬に流れる滴・・・ 「・・・馬鹿が・・・」 ゾロは、そう言うと、ぐらりと膝を崩した。 「な、なんで・・・」 サンジは、倒れ込んできたゾロを抱きかかえると、ギュッと抱きしめた。 「・・・さあな・・・」 ゾロは、それだけ言うと、意識を失った。 「ルフィ! あんた、やりすぎ!!」 ナミの鉄拳が、ルフィを襲った。 「いってえ、ナミ。 俺だって、斬られてんのに・・・」 ブツブツとルフィは、ナミに文句を言った。 「チョッパー、急いでゾロの手当をお願い。 それからサンジ君。 ゾロをキッチンのベ ナミは、てきぱきと指示を出す。 「うん。 思ったより、悪くないよ。 骨も肩胛骨にひびが入った程度のモノだし、内臓 チョッパーは、サンジに向かってそう言った。 「ごめん。 ありがとう、チョッパー。 ここは良いから、今度は、ルフィを診てくんねえ サンジは、そう言うと、チョッパーの帽子をポンと叩いた。 「エッ、エッ、エッ。 わかった。サンジ、後は頼んだよ。」 そう言うと、チョッパーは、薬箱を持って、甲板にいるルフィのところへ向かった。 麻酔が良く効いているのか、ゾロは、眠ったままだ。 「・・・ゾロ・・・俺のこと、忘れているはずなのに・・・何で・・・何で、俺のこと、庇った サンジは、溢れる涙を止めることが、出来なかった。 「サンキュー、ゾロ。 おれ、もう、さっきので、吹っ切れた。 おれ、てめえが、わすれ そう言うと、軽く触れるだけのキスをした。 それから、サンジは、甲斐甲斐しく、ゾロの世話をやいた。 そして、1週間がたった、ある晩。
「なあ、サンジ。 ・・・俺じゃ・・・駄目か? 俺じゃ、代わりになんねえか。 そう言うと、ルフィは、サンジを抱きしめた。 「サンキュー、ルフィ・・・」 サンジは、そう言って、優しく抱きしめ返した。 「・・・・・・・・・・・」 キッチンの窓から、一部始終を見聞きしていたゾロは、のどの渇きも忘れ、男部屋の自分の 「クッ。」 ゾロは、無意識に、唇を噛んだ。 (・・・思い出せ・・・急げ・・・) ・・・まただ・・・頭の中で、自分の声が響いて・・・頭が・・・頭が痛てえ・・・ |
<コメント> どうなる〜!! このままルサンか〜?? ラスト1本!! 次は、いよいよ、ラストです!! こんなルフィ、ルナは、結構、気に入ってます・・・ |