トライアングル★スクランブル


その2





ゾロは、早く用事を済ませるため、刀鍛冶の店に急ぐ。

その道の途中で、ゾロは、知らない女性から、声をかけられた。

「あらっ、ゾロ! ゾロじゃない?! 本当、久しぶり〜。 元気だった?」

「・・・お前・・・誰だ?」

「・・・もう、相変わらずなんだから・・・忘れたの?! ユーリよ!、ユーリ!!

ちゃんと、覚えときなさいよ!! 自分の婚約者の名前ぐらい!」

「はあ?? 俺が、いつ、お前と婚約したんだ?? それより、ユーリ、何で、お前

が、ここにいるんだ? 先生に、何かあったのか??」

「違うわよ! お父さんは、元気よ。 私も、16歳になったから、ゾロの噂聞いて・・・

追いかけて、ここまで来ちゃった・・・なんてね・・・本当は、お父さんの用事で、ここに

来たら、ゾロの姿が見えたから・・・まさかって思ったけど・・・声かけて、正解だった

わ。 ・・・それに、お父さん、まだ諦めてないわよ。ゾロの事・・・ゾロさえ良かったら

って・・・お姉ちゃんは、いなくなったけど・・・私がいるし・・・だから、私が、婚約者

よ!! 良かったわね、ゾロ。 こんな可愛いこと一緒になれるんだもの。」

「・・・・・・・・・・」

「何、黙ってんのよ! ん? 私の姿?? えへへ。 良いでしょう? 髪の毛染め

て、金髪にしたんだ。 それと、やっぱり、金髪には、蒼い瞳が似合うかな〜って、カ

ラーコンタクトにしちゃった。 似合う?? ゾロ、好きだって言ってたもんね。 

・・・ブロンドの髪と蒼い瞳・・・ねえ、私、昔ゾロの夢の中に出てきた人に、そっくりじ

ゃない?? もしかして、私だったりして・・・それって、予知夢かもvv」

ユーリは、ゾロに会えた嬉しさで、興奮して、一人で、喋りまくっていた。

「・・・・・・・・・」

(・・・この爆弾娘が・・・)

ゾロは、一人、頭を抱えてた。

「ゾロ?? どうしたの? 頭痛いの?? それなら、私が泊まっている宿に来る??

それとも、せっかくだから、デートする?? ふふ。私、どっちでも良いよ。 ねえ、どう

する?」

「・・・はあ・・・良いか、ユーリ・・・俺は、ここに、遊びに来たんじゃねえ。 刀の手入

れに、刀鍛冶のところに、来たんだ。 それに、俺は、今、海賊だ。 仲間もいる。 

お前と俺じゃ、住む場所が、全然違うんだよ。 さっ、わかったら、さっさと、用事済ま

して、道場に、帰れよ。じゃあな。」

ゾロは、ため息を吐いて、そう言うと、刀鍛冶の店の方に、一人、スタスタと歩いていった。

「もう、ゾロッたら・・・照れなくても良いのに・・・待ってよ! もう、ゾロッたら!」

ユーリは、そう言って、ゾロの後を追いかけていった。










「ゾロの奴・・・・遅えな・・・もしかして、また、迷ったとか? いや、あの道は、1本道

だし・・・でも・・・あいつ・・・・ただの方向音痴じゃねえし・・・もしかしたら、また、何か

トラブルにあってるんじゃ・・・くそーっ、俺、店先まで、着いていきゃ良かった・・・

・・・しょうがねえ。 探しに行くか。」

サンジは、そう呟くと、宿屋を出て、街にゾロを探しに出かけた。

「えーっと、マリモ頭・・・マリモ頭・・・っと。」

サンジはそう、ブツブツと言いながら、ゾロの姿を探す。

(あっ!! いた!! あそこだ!!)

サンジは、急いで、緑の髪を目指して駆け出した。

「ゾローっ!! 遅せーよ、てめえ!! 何かあったんじゃねえかと、心配しちまった

じゃねえか!!」

サンジは、後ろから、緑の頭の背中に抱きついた。

「・・・サンジ・・・てめえ・・・何してんだ・・・」

突然、サンジの後ろの方から、聞いたことのある男の声がした。

「馬鹿、邪魔すんな・・・俺は、ゾロと・・・」

そう言いながら、サンジは、後ろを振り向いた。

「ほえっ?? ゾロ?? ・・・じゃあ・・・俺が抱きついてんのは???

ぎゃあ〜!! てめえ、誰だ!! 消えろッ!!」

サンジは、そこで初めて、自分が抱きついたのが、赤の他人だと、気付いて、思わず、力一

杯、蹴り飛ばしてしまった。

哀れ、勝手にサンジにゾロと間違われた挙げ句、蹴り飛ばされた男は、遙か彼方に、消えて

いった。

「は、は、は。 あいつ、運がなかったな・・・ おい、それよりも、ゾロ!! てめえ、

遅えんだよ!! 心配するだろ、また迷子にでもなったんじゃねえかって。 

何処行ってたんだよ・・・」

「・・・・・・・・・・」

ゾロは、何も言わず、こめかみをピクピクさせて、サンジを睨んでいる。

サンジが、知らない誰かに抱きついたことが、相当、キているらしいことが、サンジの瞳に

も、明らかだった。

サンジは、自分の背中に、冷たい汗が伝うのを感じた。

(・・・ゾロ・・・怒ってる?? ・・・やっぱり・・・)

サンジは、ゾロのご機嫌を取るかのように、スッと抱きついた。

「・・・ごめん・・・俺・・・ゾロと間違えた・・・」

サンジは、ゾロの耳元で、そっと囁いた。 

「・・・そんなの、間違うてめえが、悪い・・・ ・・・今度から、絶対、間違えないよう

に、俺が、てめえの身体に、教え込んでやる・・・・今夜、覚悟しとけ・・・」

ゾロは、そう言って、サンジを抱きしめ返した。

「っ・・・////そんな、恥ずかしいこと、真顔で言うな!////」

「痛っ!」

サンジは、思いっきり、ゾロの額に、デコピンをした。

(・・・良かったっv とりあえず、ゾロの機嫌は直ったし・・・)

「じゃあ、宿に、行くか?」

「おう!」

ゾロとサンジは、仲良く、手を繋いで、宿屋に向かった。










「ゾロ〜!! 遅〜い!! 一体いつまで、待たせんのよ!!」

ゾロとサンジが、仲良く、宿屋の前まで、戻ってきたとき、扉の前の階段に、ユーリが、座っ

て、ゾロを待っていた。

サンジは、ユーリを見て、あわててゾロの手を離す。

そして、ゾロの方を、じっと睨んで、こう言った。

「・・・誰?・・・このレディは? ・・・ゾロ・・・誰なんだ?」

今度は、ゾロの背中に、冷たい汗が、流れた。

「初めまして。 私、ゾロの婚約者のユーリと言います。 船のお仲間の方ですか?」

ユーリは、二人の間に漂う空気をものともせず、サンジに向かって、笑顔でそう挨拶した。

「・・・サ、サンジ・・・・これは・・・・・・誤解だ・・・違うんだ・・・・」

ゾロは、サンジに弁解するが、生来の口べたな上に、気持ちばかり焦っているので、なかな

かサンジに、説明できないでいた。

「・・・ふ〜ん。 ・・・ロロノア君・・・良かったじゃないか・・・・・こんなに可愛い婚約者

がいて・・・ ・・・俺、おじゃまなようだから・・・これで・・・・ 

・・・・・ふざけんなっ!!」

サンジは、ゾロの鳩尾に近距離から、【腹肉・フランシェ】を繰り出すと、そのまま、ゾロを置い

て、宿屋に入っていった。

「うぐっ!!・・・サ・・・サンジ・・・・」

ゾロは、脂汗を流して、その衝撃に耐え、サンジを追いかけようとした。

「やだっ! 大丈夫?? ゾロ。 あの人、いきなり・・・なんて奴なの!」

「うるせえ! ・・・てめえが、サンジの何を知ってる・・・ ・・・あいつを怒って良いの

は、俺だけだ・・・ ・・・てめえには、関係ねえ・・・ ・・・これ以上・・・俺を、怒らせる

な・・・ ・・・失せろ・・・」

ゾロは、ユーリに、そう言って、宿屋に入っていった。

「・・・・・・・・・・」

(・・・なによ。・・・何なのよ・・・ ・・・あの人、男じゃない・・・ ・・・何で、ゾロ、あの

人のこと、庇うの? ・・・私じゃ、ダメなの? ・・・何で、あの人なの・・・ 

・・・男じゃない・・・男じゃな・・・い・・・)

ユーリは、初めて、ゾロから真剣に怒鳴られたことにショックを受けていた。

いや、本当は、宿屋に向かう途中で、道ばたで、愛おしそうに、サンジを抱きしめるゾロの姿

を目にしたときから、ユーリは、自分の気持ちが、ゾロに受け入れられないことを、気付いて

しまっていた。

(あんな瞳をした、ゾロは知らない・・・ ・・・いつも、私には、笑って、優しい瞳をして

いた・・・ ・・・それが、たとえ、家族の情に似ていたとしても・・・ ・・・なのに

・・・あの人のことになると・・・私にも・・・あんな、瞳を・・・向けるの・・・ね・・・)

ユーリは、一人、息を殺して・・・泣いた。













「・・・ゾロの馬鹿・・・ヒック・・・馬鹿野郎・・・ ・・・俺・・・馬鹿みてえに・・・ヒック・・・

馬鹿・・・馬鹿・・・ゾロ・・・・ヒック・・・ゾロ・・・それでも・・・俺・・・ゾロ・・・・ヒック・・・

諦めねえと・・・いけねえのか・・・ ・・・ゾロ・・・」

サンジは、一人、ベッドの上で、泣きじゃくった。

さっきまでは、世界は、自分を中心に動いているのではないかを思うくらい、最高に、幸せを

感じていた。

だが、あの、ユーリという娘に会ったことで、その気分は、いっぺんで、吹き飛んでしまった。

(まるで、もぐらたたきのもぐらだよな・・・有頂天になってるところを、すかさず、叩か

れて・・・ハイ、ゲームオーバーってか・・・ ・・・きついなあ・・・)

サンジは、そう考えているうちに、ウトウトと眠ってしまった。












「お前、何で、泣いてんだ? 泣くなよ!男だろ?! お、俺だって、悲しいけど・・・

我慢してんだ。 男は、人前で、泣いたりしちゃいけないんだぞ!! 約束しろ!! 

もう、人前で泣かないって。 俺、お前が泣いてるのみるの・・・なんか嫌だ。 

俺、お前がもう泣かないか、見に行ってやるから・・・強くなって・・・絶対に、逢いに行

くから・・・・・・だから・・・もう、泣くな・・・俺も・・・もう・・・泣かないから・・・」

夢の中で、小さな子供が、サンジに、そう言った。




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<コメント>

なんか、another storyとクロスしてんだかしてないんだか・・・
出てくるメンバーは、同じ・・・
だけど、性格が違うだけでこうも、状況が変わるかな・・・
と言うことが、わかって頂けたら・・・良いかなあと・・・(笑)
それとも、全然別人の設定にした方が良かったかしら???
何は、ともあれ、後、1回で終わる予定なので、
もう暫く、おつきあい下さいませ。。。