SPIRIT OF THE SWORD その2. |
数日後、シャンクスは気が付くと、見知らぬ家のベッドにいた。 「・・・・・・ここは?」
そう呟いて、シャンクスは身体を起こし、自分の身体を見る。 「あっ、【ゾロ】!! ダメだ、まだ寝てなくちゃ!!」 ちょうど、サンジぐらいの少年がそう叫んで、シャンクスの傍に駆け寄る。 「・・・・お前が助けてくれたのか? ありがとう・・・・・えっと、名前は?」
「名前は、ゾロだ。 ロロノア・ゾロ。 親父が貴方のような強くて立派な人になるように ゾロは、そう言ってはにかみがちに笑った。
「・・・・・そうか。 ありがとう、ゾロ。 ご家族の方にも、きちんと礼が言いたい。 今、 シャンクスは、右手でポンとゾロの頭を撫でると、そう言って立ち上がろうとする。 「ん? ・・・・どうした?」
「家族は・・・・・・もういない。 一族、皆・・・・・殺された。 あの・・・・・・クロコダイル そう呟くゾロの身体から、薄っすらと立ち昇る緑色のオーラ・・・。
「・・・・そうか。 聞いた事がある。 二年前、クロコダイルの策略によって、地位も財
「・・・・そう。 あの夜、俺は、たまたま家を飛び出していて・・・・。 騒ぎを聞きつけ
そう言い切ったゾロの纏う緑色のオーラが、一層鮮やかに力強く揺らめく。
「・・・・なら、家に来るか? 俺が君を強くしてやる。 俺の全てを持って、誰にも負け シャンクスはそう言って、真剣な表情でゾロを見た。 「・・・・・それで、クロコダイルに勝てるなら・・・・よろしくお願いします。」
ゾロは、それだけ言うと深々とシャンクスにお辞儀をする。 「オラオラ・・・あと2000回! 休んでる暇ないぜ?」 「・・・・感情を抑えろ! 感情の起伏で剣先が予測できちまう!」
「腕だけの力じゃなくて、全身の神経を集中させろ! 相手の動きを読め! 気の流れ
「剣技は、流れるように・・・蝶のように舞い、蜂のように刺す。 直線的な動きだけじゃ
常人では耐え切れそうもないほどの鍛錬も、ゾロは歯を食いしばって頑張った。 「・・・・・チビナス・・・。」
シャンクスは、瞳の前を通り過ぎようとするサンジに、思わずそう呟く。 「ん・・? どうした?」 「いえ、別に。 通りに美しい女性がいたもので・・・・見惚れていました。」
クロコダイルに声をかけられ、サンジは慌ててそう返事をすると、傍に向かう。 7年ぶりの屋敷に戻ったクロコダイルは、サンジの様子にそう声をかける。
「いいえ・・・・少し、旅の疲れがでたんでしょう。 今日は、早めに休ませて頂きま サンジは、にっこりと笑顔でそう言うと、部屋を出た。 「ク、クロコダイル様は、どちらに? 今、伝令が来て至急お話したい事が・・!!」 見たこと無い男が息をきらしながらそう言って、廊下を歩いていたサンジを呼び止める。
「・・・・・クロコダイル様は、只今お寛ぎ中だ。 お伝えする事があれば、私から伝える サンジは、そう言ってにっこりと微笑んだ。 「あ、え・・・・いや、しかし・・・・事が事だけに・・・・」
サンジの微笑みに見惚れながらも、その男は、しどろもどろとして話そうとしない。
「総督閣下。 申し訳ありません。 例の囚人を捕らえていた作業所が、賊に襲われま その男はそう言うなり、床に頭を擦りつけ土下座する。 「なんだと?! あいつのいる作業所が?!」 クロコダイルは血相を変えそう呟くと、サンジに視線を向けた。 「・・・・何か?」 「いや・・・・・サンジ、お前は疲れているだろうから、もう休め。」
サンジの言葉に、クロコダイルはそう言うと、サンジを部屋の外に追い出すようにして、内側か
「本当に申し訳ございません!! 今朝早く、二人組の黒装束の賊に押し入られま その男はそこまで報告していながら、最後の部分でそう言い澱む。 「良いから、さっさと言え!」 「ハ、ハイ!! 実は、その賊が解放した牢に入っていたのが、ゼフでして・・・」 「・・・・・じゃあ、ゼフを逃すためだと・・・?」
「・・・・・ハイ。 ・・・・・・・後・・・・・壁に・・・・・【Z】の文字が・・・・。 黒装束の二人 ガシャーン!! 男の話に、クロコダイルは、無言でグラスを床に叩きつけた。 「ヒッ!!」 血の気の失せた男は、慌ててドアの方へ後ずさりし始める。 「この役立たず奴が・・・!! ・・・・・・ミホーク・・・」 クロコダイルは、忌々しげにそう呟くと、視線を後ろに控えていたミホークに向けた。 「承知・・・。」
ミホークは、クロコダイルが命じるままに、その男の首を刎ねる。 「クロコダイル様! どうしました? なにやら音が聞こえました!!」
「あ、ああ。 心配ない。 あの男が、急に襲ってきたから返り討ちにしてやっただけ クロコダイルはそう言って、その男の骸をサンジに見せた。 「・・・・・そうですか。 では、使用人を呼んで早々に片付けさせます。」 サンジは、その死体にも顔色変えず、そう事務的に答えると部屋を出ようした。
「あ、そうだ、サンジ。 忘れるところだった。 明晩は、地元の名士達とのパーティー クロコダイルはそう言ってサンジを呼び止めると、顎に手を掛け、唇を塞ぐ。
「・・・・・・フッ、承知しました。 貴方は私には優しくしてくださった。 この身に有り余
サンジは、にっこりと微笑んでクロコダイルに一礼すると、部屋に戻った。 「ウグッ!! ゲェ・・・ゲホッ・・・・・!!」
胃液が出なくなるまで吐き続けた。
「・・・・・・・決行は、明晩・・・。 ごめんな、父さん。 俺・・・・・約束・・・・破りそう
涙を水で洗い流し、鏡に映ったずぶ濡れの自分の顔を見つめ、サンジはそう呟く。 |
<コメント> 凄く、自分でも、シャンクスに肩入れしてるのがわかる・・・。(笑) 蓮しゃんは、ゼフをお望みだったんだけど・・・・・ ごめん、ルナにはシャンクスでしかこの役は書けなかった。(懺悔) んでもって、前編はこれにて終了。 後半へと続きます・・・・。 では☆ |