Pure Boy その3. |
「ん・・・・・・もう、朝か・・・・。」
朝日が差し込んで、俺はその眩しさに瞳を開ける。 その耳元にそっと囁く。 「おはよ、サンジ・・・。」 そのまま、俺の唇に自分のを重ねるゾロ。 「んっ・・・・んんっ・・・・・」 ブンブンと首を横に振って、塞がれている唇を外す。 「っはぁ・・・・・ゾロ、ダメ! そのチューは、ダメ!!」 めっ!と子どもをしかりつけるように、ゾロにそう言った。 「何故? サンジ、昨日、した。 サンジしたように、俺、チューした。 何故、ダメ?」 不満げに、俺にそう言うゾロ。 「・・・・・・・・サンジは嫌? 俺のチュー・・・嫌?」 少し傷ついたように、ゾロはそう呟く。 「あのな・・・・朝のチューは違うんだ。 あのチューは夜だけ・・・・今は、これだけ、なっ?」 そう言って、ゾロの唇に軽く触れた。 「うん!わかった!サンジ!」 そう言ってゾロは、何度も嬉しそうに俺の唇に口付ける。 「ほら、ゾロ。 買い物に行かなくちゃ。 てめえの服とか、食料とかな。
それに、今日 俺は、壁に掛けてあるカレンダーを指差しながら、ゾロにそう話す。 「お祝い?!」
「ああ、誕生日みたいなもんだ。 そうだ、てめえの誕生日もこの日にしよう。 そうすれば忘 「誕生日?!」
ジャングル育ちのゾロには、こういった類は無縁だったようで、いまいち理解できてないよう
「おう、てめえが生まれた日って事だ。 生まれてきてありがとうって感謝する日。 てめえに 俺は、ゾロにわかるようにそう説明して、外出の用意をする。 「わかった。 今日が誕生日で夫婦の日だな。」 ゾロはゾロなりに納得したらしく、そう言ってにっこりと笑った。 「・・・・・・ゾロ、お願いだから、マネキンの匂いを嗅ぐのだけは、止めてくれないか。」 俺はゾロを引っ張りながら、やっとこさ、目的のブティックに入る。 「あら、サンジ君、久しぶり。」 マヌカンのお姉さんがそう言って俺に微笑んだ。 「ああ、本当久しぶりvv お姉さんも元気そうで良かった。 実はさ、今日はこいつの・・・・」 お姉さんにそう挨拶して、後ろにいるゾロを振り向く。 「ゾ、ゾロ?!」 俺は慌てて、店の外に飛び出す。 俺は必死で、ゾロの姿を探し回った。 「ゾロ、ここで何をしているんだよ。」 後ろから、ポンとゾロの肩を叩く。 「あ、サンジ。」 俺の姿を見て、ゾロはホッとしたようにそう言って微笑む。 「あの・・・・ゾロになんか用ですか? こいつ、ここに来たばっかりで・・・・」 俺はゾロに代わって話を聞こうと、その老夫婦に声をかけた。 「ゾ・・・・ロ・・・・。 本当にその方は、ゾロとおっしゃるんですか? ああ、神様!!」 そう言って、その老婦人の方が急に目頭を押さえて泣き出す。 そう判断した俺はゾロを引っ張って、慌ててその場を後にした。 「なんだよ、せっかくの休みなのに・・・・」
俺は二人きりの時間を邪魔されたと、そうブツブツと文句を言いながら、ドアを開ける。
「・・・・・申し訳ありません。 実は・・・・・ここでは、なんですので、もし宜しければ、我が家に 「お願いします。 どうか・・・・」 驚いている俺達に、その老夫婦は頭を下げた。 「さっ、こちらへどうぞ。」 老夫婦に案内されて、ゾロと一緒に中に入る。 「ゾ、ゾロ。 ・・・・頼むからじっとしててくれよ。」
辺りをキョロキョロ見渡して落ち着かないゾロに、俺はそう声を掛け腕を取って、椅子に腰掛 「・・・・・・あの、話って・・・?」 俺は、ゾロを見つめたまま話をしようとしない老夫婦に向かって、そう話を促す。 「あ、ああ、申し訳ありません。 実は・・・・」 そう言って、ご主人が一枚の写真を俺に差し出した。 「・・・・・・・・・わかりました。 ゾロ、ちょっと見せて、な?」 俺はゾロにそう言って、ゾロの耳にあるピアスを手に取る。 「確かに、それらしきものが刻まれてますね。」 俺はそれだけ言うのがやっとだった。 「サンジ? どした? 具合悪い?!」 俺の様子にゾロが心配そうに顔を覗く。
「いや・・・・・・・なんでもねえよ。 心配するな。 それよか、凄いぞ、ゾロ。 てめえ、ここん宅 俺は笑顔を作って、ゾロにそう言った。 「家族?! 俺の家族、あのジャングルにいる。 ここでは、サンジだけ。」 ゾロは、俺の言葉を理解し切れていないようだった。 「済み・・・・・・・・ませ・・・・ん・・・・・俺・・・・・・帰り・・・・」 椅子から立ち上がろうとした俺は、そのショックでそのまま気を失ってしまった。 ゾロの心配そうな声で目が覚める。 「ゾロ、どうしたんだ、その服・・・。」 俺は起き上がり、そう声を掛ける。 「あ、ここの人がコレ、着てと言った。 良く似合うからって。 サンジ、俺、似合うか?」 嬉しそうにゾロは俺の前でベストを引っ張る。 「サンジ・・・・?」 「あ、ああ・・・・・良く似合ってるよ、ゾロ。」 心配そうなゾロに、俺は精一杯の笑顔を向ける。
「あのな、ゾロ・・・・。 俺、あの人達と話があるから、ここで待っててくれないか? 良いか? 「わかった。 サンジ、待ってる。」 ゾロは俺の言う事に素直に頷く。 後に続く『さよなら』の言葉を呑み込んで、俺は執事と共に、その部屋を出た。 「じゃあ、私達にゾロ君を返していただけるんですね?!」 老夫婦は、本当に嬉しそうに俺に確認を取る。
「ゾロは・・・・・物じゃないから、返すなんて、そんな・・・。 それに・・・・・・本当の家族がいる 我慢していた涙が溢れそうになった。 「じゃあ、これで・・・」 俯いたまま、顔も上げず頭を下げ、俺は屋敷を出る。 「あの・・・・・これを。 心ばかりで恐縮ですが、今までのお礼としてお渡しするようにと・・・」 後ろから、メイドの女性が追い掛けてきて、俺に封筒を差出した。 「・・・・・・ありがとう。」 俺はその女性ににっこりと笑い、その封筒を受け取る。 「では、失礼致します。」 女性は恭しく俺に頭を下げ、屋敷の中に入っていった。
俺は、ゾロが何も知らずに俺を待っているであろうその部屋の窓を見上げて、そう呟く。 |
<コメント> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チュド〜ン! ごり押しで、ロロ誕に持ってきて、しいましぇん。(;一_一) ラブラブな二人に波風立ててしいましぇん。 ・・・・・・とっととずらかろう。 |