Incubus ジュプッ……ジュプッ……。 淫らな水音。 乱れた呼吸。 「…ッ…あ…アッ…い、やぁ!」 響く、オレの声。 真っ暗な倉庫の中で。 自分のネクタイで手首を縛られて。 獣のような格好を取らされて。 腰だけを高く突き出すように抱えられて。 大きく足を開かされた、その間。 「…も、もうっ…ヤメ…っ!」 何度も何度もイかされて狂いそうな快楽に涙が頬を伝う。 必死でオレの中を穿つ熱に解放を求めるけど。 オレの身体を割り開く男は無言のまま。 「んっ、んっあっ……あぁッ」 イヤラシイオレの声と繋がった部分から漏れる淫猥な音が耳まで犯す。 グイッと腕を引っ張られて反り返った背中。 「ヒッ、……あああぁぁぁっ」 最も深いところを穿たれてオレはまた、白濁の液で床を汚した。 そうして。 意識を手放す瞬間、オレを組み敷いていた男と目が合う。 あれは……。 「ゾ、……ロ…」 オレは。 自分の声で眠りから覚めた。 気が付けば。 そこは、男部屋のハンモック。 何故か、オレは泣いていて。 周りを見渡せば、グースカ眠る野郎共。 夢……か。 「って、嘘だろぉ??」 なんで、そんな夢見てんだよオレは。 男に犯られる夢なんて! しかも、相手は……あのクソ剣士。 最低だ、オレ……。 オレは、涙が出そうになりながらそっと部屋を抜け出した。 ……洗濯、しねェと。 「…はぁ」 ランチの後、一人になったキッチンで溜息をつく。 あんな夢、見ちまったから。 ゾロの顔がまともに見られない。 なんで…、オレ、あんな夢見たんだ? どうして…アイツなんだよ。 「…ケーキでも作るか」 沈みそうになる気分を頭を振ってやり過ごして。 今日のオヤツのために材料を用意する。 さて、今日のケーキはっと……。 チェリーの砂糖漬けでも使うかな。 ルフィに見つからないように隠しておいた瓶詰めを取り出して。 テーブルに置いた時、キッチンの扉が開いた。 「悪ぃ、なんか飲み物くれ」 その低い声に、ビクンと肩が跳ねる。 ゾロ……だ。 鍛錬の後、風呂に入ってきたらしいゾロは上半身裸で。 見慣れた光景のはずなのに、何故か目のやり場に困る。 「ホラよ」 オレは不自然にならないように。 よく冷えたレモネードをゾロに差し出して。 「ん。サンキュ」 席に着いたゾロが美味そうに飲みながら。 「それ、なんだ?」 テーブルの上の瓶詰めに目を留める。 「チェリーの砂糖漬け」 「甘そうだな」 心底、嫌そうな顔でそう言う。 「テメェのはいつも控え目だ」 言い返すオレに。 「へぇ?」 意外そうに片眉をあげて。 ゾロが席を立って近づいてくる。 「あっ…やめっ……んで!…こ、んな」 キッチンのテーブルの上。 オレはまたしてもさっきと同じ格好で。 違うのは。 オレの中を蹂躙しているのが、男の雄ではなく。 熱い舌だということ…。 両手で腰を掴まれて。 ピチャピチャと蕾を舐め上げられて。 抗えない感覚にオレ自身からも蜜が溢れる。 「っふ…あん…も、離…せっ」 オレの言葉にチュプッと小さな音を立てて舌が離れていくけど。 「ココをヒクつかせながら言う台詞じゃねぇな」 「あっ…んぅ」 後ろからかかる低い声に背筋を快感が走り抜けていく。 なんで、オレ……こんなクソ恥ずかしいこと言われて反応してんだよ…。 「素直じゃねぇやつにはお仕置きが必要…だろ?」 「ひあっ!」 笑いを含んだ言葉の後にツプッと何の抵抗もなくオレの中に何かが入 ってくる。 「いくつ入ると思う?」 「あっ…な、にを…」 ゆっくりと…男の指が何かを次々とオレの最奥まで送り込んでくる。 「や、…ダメ…んん!」 指を突き入れられるたびに咥え込まされた器官が収縮して中のモノを 締めつける。 「これで、5個目。どうだ、美味いか?」 「んあっ!」 言葉とともに指を入れられたまま反転させられて。 オレを犯している男の顔が目に入る。 ……やっぱり、それはゾロで。 「っは、テメェ…何っ…ッ…入れ、て」 「甘いの好きなんだろ?」 チェリーの砂糖漬け。 ゾロがオレの中に入れてるもの。 オレが浅ましく締め付けて、感じてるモノ。 「テメェっ、食いも…ッン……をっ」 「食えば問題ねぇよな?」 言いながらグリッと中を擦られて。 「あっああぁぁ!!」 オレは悲鳴のような喘ぎ声をあげてはてた。 ガバッと身を起こして辺りを見回す。 場所はキッチン。 いつの間にか眠っていたらしい。 オレの目の前には、チェリーの砂糖漬けと空いたグラス。 夢……か。 溜息を零して。 壁際で麻袋に寄りかかったまま寝息を立てているゾロにドキッとする。 刀を脇に置いて。 服もキチンと着てる。 ……何処からが夢で何処からが現実なんだろう…。 分からなくなる。 「オレ、どうしちゃったんだ?」 夢の中の自分が怖い。 あんなコト…したことないのに。 オレは確かに感じてて。 男に…無理矢理犯されてて。 嫌なはずなのに…嫌じゃない、なんて。 どうして。 「…ゾロ」 「呼んだか?」 驚いて視線を上げれば。 さっきまで眠っていたはずのゾロが片目を開けてオレを見てる。 「どうした?具合悪ぃのか?」 心配そうに聞いてくるゾロ。 なんか変な感じだ。 喧嘩以外でオマエと話す事なんて滅多にないのに。 無言でオレを見つめてるゾロに。 何故か身体が熱くなる。 オレはフラフラとゾロの前まで歩いていって。 「オレ…なんか変なんだ」 気が付けばゾロの腕の中。 オレは全裸で。 ゾロの膝の上に横抱きにされて大きく足を開かされていた。 クチュクチュとオレの中を出入りするゾロの太い指。 「あっ…あっ…あぁ!」 内壁を擦られるたびにオレは淫らな喘ぎ声を漏らして。 知らず知らずのうちに腰が揺れる。 オレの腕はゾロの太い首に巻きついて。 自分から必死でしがみついている。 「あっ…んぅ…ゾロぉ」 甘えるような声で更なる快感をゾロに強請っているオレ。 おかしい。 これは夢だよな? さっきまでは犯されてたのに。 何処も縛られてない。 むしろ。 これは…オレが望んでる?? 「なんだ?もう、欲しいのかよ」 「んっ…欲しっ……っ…く」 『オレ』はゾロに伝えるためにコクコクと頷いて。 そんな浅ましい『オレ』をもう一人のオレが見てる。 『オレ』が感じてることも、思ってることも。 確かにオレには伝わってくるのに。 それなら、どうして…? オレの意思で『オレ』の身体は動かないんだ? 「お前、淫乱になったな」 オレを見つめながら嬉しそうに言うゾロの言葉にドキッとする。 淫乱? オレが?? 「ぃやっ……そん…ことっ、言うっ…ッ、な」 「誰でもイイんだろ?」 「ち、…っがう」 ゾロの言葉にオレの瞳から涙がボロボロと溢れ出す。 なんだか、『オレ』はゾロのことが好きらしい。 投げつけられた言葉に傷ついて胸がズキズキと痛む。 好きだからオマエになら何をされてもかまわないのに。 誰でもイイなんて……言わないでくれ。 「なら、俺のいうこときけるよな?」 ゾロの優しい声に。 『オレ』はすぐさまコクンと頷いて。 「イイコだな」 ゾロはオレの首筋に顔を埋めながら。 オレの中から指を引き抜き。 「…!なに、すっ!」 オレ自身の根元を細い紐で締め付ける。 『オレ』は慌てて身を捩るけど。 すぐに両腕を捕まえられて。 「欲しいんだろ?自分でちゃんと慣らせよ。いうこときけたらご褒美やる から」 耳元で囁かれた残酷な言葉に。 オレは恥ずかしくて泣きたくなるのに。 『オレ』はノロノロと指を動かして、足を開いて。 チュプン…と。 さっきまでゾロの指を受け入れていた場所に自分の指を突き入れる。 「ッ…ふ…はっ…ん…ぁ」 自分の指でも感じる淫らな身体に背筋に快感が走り。 「ゾ…ロっ!…んぁ、…見……や、だぁ…」 見られているという羞恥にますます指を締め付ける。 「ん?可愛いぜ?」 紐で戒められた前がギリギリと痛い。 でも、蕾を掻き乱す指は止められなくて。 早く、早く。 ゾロが欲しい。 「……い!」 「…おい!」 「サンジッッ!!」 ビクッ。 名前を呼ばれて目を覚ます。 そこにはオレを心配そうに覗き込んでるゾロの顔。 「…ァ…ッ!」 瞬間、身体が疼く。 「大丈夫か?お前、泣いてたぞ」 「オ…レ、どうし、て」 オレはキッチンの壁際でゾロの膝に横抱きにされていて。 「さっきお前が近寄ってきて寝ちまったんだろうが」 「あ、悪ィ。…重かっただろ?」 オレは急に恥ずかしくなってゾロの上からどこうとしたけど。 「重いわけねぇだろ。お前、軽すぎ」 キュッとゾロに抱き締められて、息が詰まる。 「お前、今日、変だぞ?本当に具合悪いのか?」 「ゾロ…おかしいんだ、オレ。…変な夢ばっかり見る…。 嫌だからもう…眠りたく、ねェの…に、眠くてしょうが、ね…ェ」 柔らかいベッドの上。 ヴヴヴヴヴッと絶えず響く電子音に熱を煽られながら。 襲いくる快感に必死で耐えている。 オレの中には、今…。 卵形のローターが埋め込まれていて。 快感を覚えてしまったオレのカラダは。 それがもたらす刺激にビクビクと震えている。 勝手にオレが吐精しないようにと…。 オレの雄は根元をきつく結ばれて。 「ん!っ…ぅ…あっ…はっ!…」 ダラダラと蜜を零しながら。 両手首を括られて。 ただ一人の帰りを待ち侘びているしかなくて。 「随分と良さそうじゃねぇか」 ガチャリと開いた扉と共に聞こえてきた低音に。 オレの身体がビクリと跳ねる。 解放と快感を与えてくれるただ一人は。 扉を閉めてゆっくりとベッドに歩み寄ってくる。 「そんなにそのオモチャが気に入ったのかよ?」 オレの髪を優しく撫でつけながら顔を覗きこんでくるゾロに。 フルフルと。 首を左右に振りながら必死で答える。 「っち、が…ッロが、ゾロが…ほしッ…」 「…あ?お前、言い方間違ってんじゃねぇのか?」 耳元で囁かれたゾロの低い声に。 ビクッと肩を震わせながら。 「あ…ゾロ、のッ…くだ、さい」 言い直したオレに。 ゾロはニヤリとした笑みを浮かべて。 「俺に見えるように後ろ向いて腰上げろ」 手首の戒めを解きながら。 冷たく言い放たれた言葉にも従うしか方法はなくて。 ノロノロと身体を反転させてゾロに向かって腰を突き出す。 「ッン…ぁ…ねがっ…コレ、抜いっ…てェ」 「うるせぇな。ほら、自分の指で入り口広げろよ。突っ込んで欲しいんだ ろ?」 「くッ…んぁ」 ローターから伸びているコードをクイクイッと引っ張られて。 与えられた快感にそれと連動していたかのように背中が反り返る。 「…っふ…はぁ…ぁっ…はっ」 ゾロの言葉に顔を枕に埋めながら両手で尻を割り開き。 その奥の蕾を探る。 無理な体勢と。 ゾロに全て見られているという羞恥が。 ますますオレの熱を煽る。 コードが延びている蕾に指がたどりつき。 そこに両手の人差し指をゆっくりと埋め込む。 イヤラシイ音をさせながら指を飲み込んだオレの秘部は。 その新しい刺激にも悦びを隠せずに。 自分の指をぎゅうぎゅうと締め付け。 「あっ、あぁ!」 ガクガクと内腿が震える。 「なんだ?自分の指だけで満足か?」 上から降ってくるゾロの冷たい声に。 止まる事のない涙を流しながら。 違う、と懸命に訴える。 「へぇ?じゃあ、そのまま指を左右に開いてお前の中、俺に見せてみろ よ。 上手に出来たら、お前の欲しいモンもくれてやる」 「んっ、ふっ…ぁ…っ」 ゾロの声に。 言葉に。 目の前がクラクラする。 羞恥と、快感とで頭がおかしくなりそう。 「あふっ…ぅ」 「綺麗なピンクだな。ローターと指締め付けて波打ってるのがよく見える ぜ?」 「ヒッ!ぁ、やぁっ!」 フッとゾロに息を吹きかけられてビクンと身体が撓る。 恥ずかしいのに。嫌なのに。どうして…。 「サンジ。これが欲しいか?」 ゾロの言葉と共に。 オレの秘部にゾロの雄の先端が押し付けられる感触。 「あっ…欲しっ…!」 「ちゃんと言え」 チュクチュクとオレの入り口と指の辺りにゾロの熱が擦り付けられて。 「っあ…欲しい、です…オレの中にッ…ァ…ゾロの…ッ熱いの、埋めっ …て!」 「淫乱」 ゾロは嬉しそうに呟くとガシッとオレの腰を掴んで叩きつけるように押し 入ってきた。 充分に慣らされた後だったから。 そんなに痛みはなかったけれど。 「アッアアアァ―――!!」 荒々しさと待ち望んだ刺激に息が詰まる。 それでも戒められたままの雄が解放を果たすことはなくて。 中にローターを咥え込まされたまま、自分で拡げたソコにゾロのモノを 受け入れて。 ガシガシ揺さぶられて。 信じられない快感に閉じられない口から涎を垂れ流して喘ぐ。 「あッ!あぁ…あぅ!ヒッ!……ゾ、ロぉ」 「おい!ナミッッ!!ちょっと来い!!」 キッチンの壁に寄りかかってサンジを抱いたまま。 再度、唐突に眠りだしたサンジの異常さに声を張り上げる。 「なに?あたしを呼びつけるなんてあんたイイ度胸じゃない」 文句を言いつつも俺の声に緊急さを察知したんだろうナミがキッチンへ とやってきて。 「…サンジくん?ちょっ!ゾロ、どうしたのよ?!」 オレの腕に抱えられているサンジを見て。 ナミが床に座り込みサンジの顔を覗きこむ。 元から白いサンジの顔色は。 今は病人のように青白く。 閉じられたままの金の睫毛に雫が光る。 「分からねぇ。様子がおかしいんだ」 「詳しく話して」 <next> |
<コメント> ・・・なにもいいますまい・・・ Let’s後編!! <treasure> <map> |