LOVE A PAIN


その3







船医として仲間になったチョッパーの歓迎会&ナミの快気祝いのパーティーも終わり、クル

ー達は、それぞれ部屋に戻っていった。

「・・・・・・・・なぁ、まだ怒ってんのかよ。 仕方なかったんだよ。 あの場面でルフィとナミさん

を助けるには、あの方法しかなかったんだ。 あのままだったら、三人とも助からない状態だ

ったんだ。」

サンジは、キッチンで後片付けをしながら、テーブルで酒を飲んでいるゾロにそう言う。

パーティーの席では、一応はにこやかに体面を保っていたゾロだが、こうしてサンジと二人き

りになった途端、不機嫌さを隠そうとしない。

「・・・・・それで・・?」

サンジが懸命にその状況の困難さを説明しようとしても素っ気ない返事ばかり。

「だから・・・・もう、あのばあさんに治して貰ったし、この通りピンピンしてんだから・・・。

そんなに怒るなよ・・・・なっ? ゾロ・・・。」

サンジは、そう言ってゾロのご機嫌を取るべく、上等の酒を取りだした。

「ピンピン・・? ・・・・・・これの何処が、ピンピンしてんだよっ!!」

ゾロはそう怒鳴ると、隣に来て酌をするサンジの腕を掴み、自分の方へ引き寄せる。

「っ・・・・・痛っ。」

引っ張られた衝撃で背中に負担が掛かり、思わずサンジは顔を歪めた。

「・・・・・なにが、ピンピンしてるだ。 やせ我慢してるだけじゃねえか! てめえ、リトルガー

デンで俺に、何て言った? ふ・ざ・け・る・な!!」

ゾロは、そう吐き捨てるように言ってサンジを抱き締める。

サンジの背中に回したゾロの腕が、微かに震えていた。

夢で見た打ちひしがれたゾロの姿がサンジの脳裏を掠める。

「・・・・・・ゾロ・・・ごめん。 けど・・・・・俺は、大丈夫。 ゾロにあんな顔・・・・絶対にさせない

から。」

サンジはそう言うと、ギュッとゾロの身体を抱き締め返した。

「あんな顔って・・・?」

「いや、良いんだよ、こっちの話だ。 ・・・・・気にするな。 それより・・・・・そろそろ・・・行か

ね・・?」

サンジは、ゾロの耳元でそう囁いて、ゾロの首筋に腕を絡ませる。

「あのなあ・・・。 ・・・・・わかった。 じゃあ、行くか。」

ゾロは、サンジの背中に負担が掛からないように優しく抱き抱えるとキッチンを出て格納庫に

向かった。

それから、いつものように簡易ソファをベッドに変えて、その痩躯をゆっくりと横たえる。

「ん・・・・・ゾォロv」

サンジは甘えた声で腕を伸ばし、ゾロにキスをせがんだ。

ゾロは、言われるままにそっとサンジの唇に触れる。

「?・・・・・・・ゾロ・・・?」

いつものような、情熱的なキスではないゾロの口付けにサンジは、キョトンとした顔をしてゾロ

を見つめた。

「・・・・・・これ以上はできねえ。」

ゾロは、それだけ言うとベッドの脇にドカッと腰を下ろす。

「えっ?! なんで? 俺なら、大丈夫だって、そう言って・・・・」

サンジはそう言って身体を起こそうとした。

「ばぁか・・・。 てめえが大丈夫でも、俺が平気じゃねえんだよ。 ・・・・・・手加減できるほ

ど、俺は、できた奴じゃねえから。 わかったら、さっさと寝て、その怪我、早く治せよ。」

ややふてくされたようにゾロはそう言って、サンジの頭を軽く小突く。

ゾロのそんな気遣いがサンジにはとても心地よくて・・・。

「おう・・・わかった。 んじゃ、そうする。 おやすみ、ゾロv」

サンジはそう言うと、満面な笑みをゾロに向けた。




ちくしょう・・・。

できねえ時に限って、んな顔するんじゃねえ・・・。

その背中の怪我さえ無かったら、速攻押し倒して引ん剥くところだ。




ゾロは、全身に眠る理性を総動員して、自分の欲望と必死に闘う。

そしてもう一度、サンジをベッドに寝かせ、その傍に腰を下ろした。

暫くして、サンジが急に振り返り、ゾロの方へ顔を向ける。

「あっ、けどさ、ゾロ。 なんかスースーして一人じゃ寝つけねえよ。 ヤんなくて良いからさ、

一緒に添い寝しよv」

無邪気な笑顔と共に発せられたサンジの言葉に、ゾロは、瞳が眩んだ。

「・・・・・・わざとだろ・・・サンジ、てめえ・・・・・わざと俺を・・・・・。」

ゾロは、頭を抱えてその場に脱力し、ブツブツと呟く。

「ん?どうした、ゾロ?? なぁ、早く早く・・・。 寒いんだよ!」

そう言ってお構いなしに、ゾロのシャツをグイグイと引っ張るサンジに、ゾロはため息を深く吐

いて・・・

「わかったよ! 寝りゃあ、良いんだろ、寝りゃあ・・・・。」

観念したようにそう言ってサンジの横に潜り込んだ。

「うわあ・・・・やっぱ、てめえ温けえ。 ・・・・んじゃあ、おやすみ、ゾロ・・・。」

そう言ってサンジは、ゾロの身体に自分の身体をすり寄せて瞳を閉じる。

直に、規則的な呼吸と共にサンジは眠りについた。

ゾロも、そんなサンジの安心しきった寝顔にそっと唇を寄せ、眠りにつく。









夢を見た・・。

酷く残酷な夢だった。






降りつもる雪の中で、あいつは俺に微笑んでいた。

満足そうに・・・・幸せそうに・・・。




これで満足なのか・・・。

こんな終わり方で満足なのかよ。




夢も叶えずに・・・。

誰かのために自分を犠牲にして・・・。

・・・・・・・満足してんのかよ。




「・・・・・馬鹿が・・・。」

俺は、あいつの顔を見下ろしてそう言ってやった。

くやしくて、やるせなくて、寂しくて・・・・・・泣いた。

子供の頃、くいなが不慮の事故で亡くなって以来だった。

あんなに、泣いたのは・・・。

もう二度とあんな思いはごめんだと、そう思っていたのに・・・。




また・・・・・・・・・・・・同じ・・・。

また・・・・・・・・・・・・独り・・・。




「・・・っか野郎・・・。」

冷たくなったあいつの唇にそっと別れの口付けをして、あいつの代わりに、その前髪を一房、

斬った。

そして、あいつが永遠に眠る場所を後にする。

あいつの遺髪をグッと握りしめたまま・・・・。






「・・・・・・・・オールブルー・・・・・・・俺が連れて行ってやる・・・・。」

俺は、握りしめた金髪にそう告げて、和道一文字の柄にその髪を括り付けた。











「・・・・・・夢・・・?」

ゾロは、ハッと目を覚ました。

暑くもないのに、額にはうっすらと汗が滲んでいた。

夢があまりにもリアルすぎて・・・・・全身が強張っていた。

額を抑えた腕の震えが止まらない。

ゾロは瞳をもう一度閉じ、ゆっくりと深呼吸して呼吸を整える。

暫くして、スースーと規則正しいサンジの寝息が、隣から聞こえる事に気が付いた。

ゾロは、そっとサンジの頬に触れる。

「・・・・・・・温かい。 ・・・・・・良かった。」

ゾロはそう呟いて、サンジの背中に巻かれた包帯にそっと口付けを落とした。

「生きていてくれて・・・・ありがとう。」

自分に寄り添うようにして眠るサンジの身体をゾロは、起こさないように抱き締めて・・・。

もう一度、静かに瞳を閉じた。

もう二度とあんな悪夢に呵む事がないように・・・・・。

それだけを願いながら・・・。










<END>








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<コメント>

あはっv チョッパー・・・・出てきませんでしたね。
それは、次回にでもvv
久しぶりに、Hも無しv そうだよ、これでヤッたら鬼畜だよね。
たまには、しんみりとした終わり方でvv
さて、次回は、ボンちゃん登場か?
そのままアラバスタに突入するか?
う〜ん・・・・わかりましぇん・・・・
では★(笑)