LOVE MARK


その2.


 




「・・・・何者なんだ、あの男は・・・。 火を扱いやがった。 そうだ! サンジ!!

おい、サンジ!!しっかりしろ!!」

ゾロはそう言って、慌ててサンジの身体を抱きかかえる。

「・・・・・・ゾロ・・・・俺・・・・俺・・・」

「馬鹿野郎!! なに薬なんか打たれてんだよ!! クソッ! もう少しで、てめえ

・・・てめえは・・・!!」

サンジの言葉を遮って、ゾロはそう叫んでグッと唇を噛み締めた。

「・・・・・・ごめん・・・ゾロ・・・。 俺・・・・俺・・・・エースとてめえの区別がつかねえ

で・・・」

「・・・・・もう良い。 全部薬のせいなんだろ・・・。 わかったから、少し黙ってろ・・・。」

シュンとするサンジの態度に、ゾロはそれだけ言うと、サンジを抱き上げて歩き出す。

「・・・・・・ゾロ・・・・やっぱ、怒ってる・・? そうだよな・・・俺・・・・俺・・・・」

そう言って俯いたサンジの首筋に、ゾロの視線が釘付けになった。

サンジの白い首筋にくっきりと浮かび上がった、赤い痕・・・。

自分がつけたそれとは明らかに違う・・・・痕。

「・・・・・クソッ! あの野郎・・。 こんなとこに痕残しやがって・・・。 サンジ! さっき

のてめえの台詞、無しな!!」

ゾロは吐き捨てるようにそう言うと、近くの宿に入っていく。

「??・・・・・・ゾロ・・・・?」

「・・・・・・・抱く!!」

「えっ?! あっ、ちょ・・・・ちょっと・・・・・待て!! ナミさん達が待って・・・」

「聞かねえ!!」

ゾロは部屋に入るなり、サンジの痩躯をベッドに放り投げた。

「っ・・・痛え!! なんだよ、乱暴にすんなよな! 俺、帰っ・・!!」

サンジの言葉を唇で塞いで、ゾロはそのまま、サンジを押し倒す。

「んっ・・・ふ・・・あっ・・・クッ・・・止め・・・ゾロ・・・!!」

薬の影響が残っているのか、キスだけでサンジは、敏感に感じ始める。

抵抗しようにも手足に力が入らず、サンジは必死で身を捩った。

何故だか悔しくて涙が出てくる。

一方的なゾロの行為に・・・・・・・怒りのままに抱くゾロの行為に・・・・・・・

唇から、怒りしか伝わってこない。




こんなの・・・・・・・違う・・・・。




サンジは、無言のまま、ゾロを睨みつけた。

「・・・・? ・・・・・・・サンジ・・?」

いつもと違うサンジの様子に、ゾロはそう言ってサンジを見つめる。

「・・・・・・抱けよ!! 抱きてえんだろ! さっさと抱け! 俺は薬打たれてるし、感情

がついていかなくたって、ちゃんと相手してやるよ! ほら、やれよ!」

ポロポロと涙を雫して、サンジはゾロにそう叫んだ。

その言葉は、抵抗されるよりも、ゾロに深く突き刺さる。

「・・・・・・わりい。 サンジ・・・・・すまねえ、俺・・・・。 てめえにあいつからつけられ

た痕、見つけちまって・・・・・・・血がのぼっちまった。 てめえの気持ちも考えず

に・・・・・わりい。」

ゾロはそう力無く呟くと、サンジから身体を離した。

「・・・・・ゾロ・・・。 俺さ・・・・てめえの事好きだぜ。 てめえに抱かれるのも・・・。 

けど、さっきのは・・・・さっきのキスは・・・嫌だった。 腹いせっぽくって・・・・・嫌だっ

た・・・。」

サンジは身体を起こして、ゾロにそう話す。

「・・・・・・わりい。」

ゾロは、まともにサンジの顔が見れなかった。

「ゾロ!! ちゃんと俺を見ろよ。」

サンジにそう言われ、ゾロは、やっとサンジの方に向き直す。

サンジは涙をごしごしと袖で拭うと柔らかな微笑をゾロに向けた。

「本当に悪いと思ってるなら、ちゃんとしろよな!」

サンジはゾロに近づくと、そう言って両手でゾロの頬を挟む。

「ああ。 ・・・・・悪かった・・・・サンジ・・・。」

ゾロは、サンジの身体を抱き寄せて、そっとその唇を指でなぞった。

「・・・・・キスして良いか・・・?」

「ククク・・・・キスだけ、か・・?」

「いや、その先も・・・・・」

「なら・・・・・その気にさせてみろよ・・・。」

「直に、な・・・。」

ゾロとサンジは、そのままベッドに倒れこむ。

どちらからともなく触れた口付けが、だんだんと深くなっていく。

「ん・・・・ふ・・・ぁ・・・ん・・・・はぁ・・・」

ピチャピチャと唾液の混じり合う音と絡み合う舌の動きに、頭の芯がクラクラとしてくる。

「ん・・・ふ・・・・ゾロ・・・・もう・・・・俺・・・ああ・・・」

全身の火照りが止まらず、サンジは堪らず、声を上げる。

「ほら見ろ。 ・・・てめえが油断なんかするから・・・余裕なんかねえじゃねえか・・。」

ゾロは、サンジの表情を見つめながらそう声をかけて、服をたくし上げその痩躯に手を這わ

す。

「クソッ! うるせえよ・・・・あっ・・・は・・・ん・・ああ・・・もうどうにかなっちまう・・!!」

サンジは一瞬キッと睨みつけたが、内側から押し寄せてくる快楽の波に頭を振り、ギュッと

ゾロの首を引き寄せた。

ゾロは、ゆっくりと手を下方に下げ、サンジの雄を握り込む。

「う・・あ・・・ん・・・・ハァ・・・ゾロ・・・・」

ビクンとサンジの身体が大きく震えた。

「俺とあいつを間違えたなんて・・・・もう絶対に言わせねえ。」

ゾロはサンジの耳元でそう囁くと、そのまま濡れた手を後口へと這わせ一本一本と指を中に

埋めていった。

グチュグチュと淫猥な音と共にゾロの指がサンジの好いところを掠める。

「ん・・・は・・・ゾロ・・・・もう・・・じらすな・・・・くれよ・・・なぁ・・・・早・・・くっ・・

あっ・・・!!」

頬を上気させ潤んだ瞳でゾロを見上げ、サンジは堪らず腰を揺すった。

ゾロは、サンジの目尻に唇を落とすと、指を抜き自分の雄をゆっくりと中に埋め込む。

「ぅあっ・・・・あっ・・・・ん・・・ん・・あ・・・・」

下腹部を襲う圧迫感に、サンジは思わず腰を引いた。

しかし、それのものの数分で甘い疼きに変わる。

ゾロは、サンジの腰を両手で抱えると、ゆっくりと腰を引き、一気に突き入れた。

「あっ・・・・ハッ・・ん・・・・・んあ・・・・ゾロ・・・・ああ・・・ヤッ・・・」

ゾロの動きに、サンジはビクンと身体を弓なりにしてギュッとシーツを掴む。

ゾロは、その姿態に煽られるようにますます激しく挿入を繰り返した。

「クッ・・あ・・・・・はぁ・・・・ヤッ・・・ダメだ・・・・・ゾロ・・・・あ・・・ああ・・・!!」

ギュッと瞳を閉じ仰け反るサンジの喉元にゾロは、噛み付くように口付ける。

そこは、エースがつけた赤い痕・・・。

その上から消すように何度も口付けを繰り返した。

「俺以外・・・・・絶対につけさせねえ。 てめえの体に残るのは、俺だけで充分だ。」

ゾロはその痕を見ながらそう呟いて、角度を変えてサンジを激しく揺さぶる。

限界が近いのか、サンジの身体も小刻みに震え、ゾロの動きにあわせて腰を揺すった。

「ヒッ・・・あ・・・ああっ・・・クッ・・・」

「ッ・・・クッ・・・」

ほぼ同時にサンジの腹の上と中で精が飛沫する。

ハァハァと息が上がる身体を互いに抱きしめ、唇を寄せ合った。

「さてと・・・・ぐずぐずもしてられねえな・・。」

ゾロはそう言うと、サンジの身体をシーツでくるむと風呂場に向かう。

「うわっ!! 馬鹿!!! いいって!! 俺、自分でやる!!」

サンジは、慌てて身を捩ったが、ゾロは言葉を遮るようにこう言った。

「いいから・・・時間が無えって言ってるだろ。 慣れてる俺がやった方が早え・・。」

「な、慣れてるって・・・・・・」

ゾロの言葉に、サンジは口ごもり、真っ赤になって俯く。

何度身体を重ねようと、悪態ばかりで素直でなくて・・・・

それでも、こんなに初心な仕草をするサンジにゾロは一人苦笑して、その痩躯を丁寧に洗っ

てやった。






「ナミさ〜んvv ビビちゃ〜んvv ただいま帰りました〜vv」

砕けそうになる腰を叱咤して、サンジがそう言いながらクルー達の元へ戻っていく。

ゾロもまたその後に続いた。

「サンジ君、お帰りなさい。 あら?ゾロと一緒だったの?」

そう言ってナミが、二人を出迎える。

「あ、いや・・・・たまたま一緒になって・・・・それよりか、ルフィはまだ、見当たらない

んですか?」

サンジは慌ててごまかすようにそう聞いた。

「そうなのよ。 あの馬鹿、まだ戻ってこなくって・・・・。 それよか、サンジ君、ココ

・・・・赤くなってるわよ。 虫にでも刺されちゃった?」

ナミは、にっこりと笑ってわざと大きな声でそう言うと、ツンとサンジの首を指差した。

クスクスとビビがそれを見て笑う。

さっと顔色が変わるサンジ・・・。

「えっ? なになに? サンジ、虫に噛まれたのか? 診せてみて! もしかしたら、

ケスチアの様に悪い虫かもしれない。 サンジ、俺に診せて!!」

ナミの声に近くにいたチョッパーがそう言ってサンジの服を引っ張ってその箇所を見せるように

要求する。

「あ・・・いや・・・その、これは・・・・・・違うんだ。 いいんだ・・・・これは・・・」

サンジは、慌てて手で首筋を押さえるとしどろもどろにそう返事した。

「ダメだ。 ちゃんと診せて! 顔も赤いし・・・・もしかしたら、もう熱が・・・」

ナミという前例があるだけに、チョッパーとしては気が気ではない。

必死にサンジを説得して、傷を診せろと詰め寄った。

「クスクス・・・・。 チョッパー、その虫は、大丈夫よ。 ケスチアの様な悪い虫じゃない

から。 それに・・・・・その痕なら、サンジ君の身体中に、たあっくさんついてると思う

し・・・。 ねっ?ゾロ・・・?」

「????なんで? ・・・・・・ゾロ・・・?」

クスクスと笑って意味ありげにゾロに視線を送るナミに、チョッパーはきょとんとしてそう呟く。

「ナ、ナミしゃん・・・・・」

「・・・うるせえな、放っとけよ・・・。」

あまりのショックに呆然として言葉を失くすサンジと苦虫を潰したような顔をしたゾロ。

「チョッパー・・・無理して考えなくて良いから。 世の中には、お前の知らないことがま

だまだだくさんあるんだよ・・・。」

その様子を遠巻きに見つめていたウソップが、そう言ってポンとチョッパーの肩を叩く。

「てめえなんか・・・・てめえなんか・・・・もうぜってえやらねえーーーっ!!!」

ドカッ!!

サンジの叫びと共に、渾身の一撃がゾロの腹を襲った。

「ガハッ!!」

一瞬のうちに、ゾロの身体が地面に沈む。

「ちょっと・・・・待て・・・クソコック・・・」

「てめえなんか知るかーっ!!」

ゾロの搾り出す様な声に、サンジは冷たくそう言って、さっさと遺跡の後ろの方に歩いていっ

た。

「あらあら、サンジ君、拗ねちゃったわね。 ・・・・・ご愁傷様・・・さてと、あたしも、もう

少し散策してくるわ・・・。 ビビも行かない?」

「あ、ええ。」

二人を交互に見つめ、ナミとビビはそう言ってその場を去る。

「ぜってえ、いつか叩き斬ってやる・・・・あの女・・・。」

痛む腹を押さえながら、ゾロは立ち上がると、急いでサンジの後を追った。

チョッパー達のいる場所からそう遠くないところで、罵り合うサンジとゾロの声。

しかしそれも、暫くするとその声も聞こえなくなった。

「・・・・・・なぁ、ウソップ。 ルフィ・・・・いつ頃戻ってくるかなぁ・・・。」

「・・・・・さぁ? ・・・・・俺達、ここに何しに来たんだろうな・・・?」

チョッパーとウソップはそう呟いて、燦々と照りつける太陽を見上げる。

アラバスタの日差しは、とても暑かった。

そして、遺跡の後ろの二人も・・・・・・近寄れないほどに熱かった。




・・・・・・少しは、ここにいる俺達のことも、考えてくれ・・・。




ウソップは、面と向かっていえない言葉に、グッと拳を握り締めた。








<END>




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<コメント>

エース、やっとこさ登場しました。
相も変わらず、甘い二人で・・・・書いてるうちに砂に埋まりそうに・・・(笑)
次回から、エース、合流して旅が始まるのですが・・・はてさて・・・
どうなることやら・・・。
それでは〜次回vv