LOVE JACK その2. |
「んなっ!!! ない!! 無い、無い、全然ねえじゃねえかーーーっ!!!」
翌日、朝一番にサンジの絶叫が、ゴーイングメリー号に響き渡る。
「・・・・・ルフィ。 ネタはちゃんとあがってんだ! 白状しやがれ、このクソゴム!! 「い、いや、俺は知らねえぞぉ・・・。全然知らねえなぁ・・・。」 甲板に正座をさせられ、サンジから追及されているルフィは、頑としてシラをきり通す。
「てめえしかいねえんだよ!! とぼけねえで、いい加減白状しろよ!! ・・・・おい、 「うげっ!! ヤバッ!! 倉庫で食った奴の食いかすが・・・!!」 サンジにカマをかけられ、ルフィは、慌てて口の周りを手で押さえた。 「・・・・・・・・・・やっぱ、てめえじゃねえか!! このクソゴム!!」 サンジはこめかみを引くつかせ、ルフィに情け容赦無しの蹴りを叩き込む。 「ったく、こっちは、寝不足と、腰が痛くて動くのも、だりいって言うのに・・・。」
そうぼそりと誰にも聞こえないような声で呟いて、サンジはすぐ傍で気持ち良さ気に転寝して 「サンジ君、大丈夫?」
不意に、サンジの頭上でナミの声が聞こえ、サンジは慌てて顔を引き締め、ごまかすように 「ナミさ〜んvv お願いだから、鍵付き冷蔵庫買ってくださ〜いvv」 それをナミの隣で見ていたビビから、クスクスと笑みがこぼれた。 「クスクス・・・。 わかったわ、サンジ君。 考えといてあげる・・・。」 ナミもそう言って、全てを見通したかのように意味ありげに微笑んだ。 「さ、さてっと・・・・・・・・ウソップ、チョッパー、おい、なんか釣れてるか・・・?」 サンジは、足早にそこから離れると縁で釣りをしているウソップ達の元へ行った。 「てめえらもかよっ!!」
食材の残りを慌てて呑み込むウソップ達をそう怒鳴りつけ制裁を加えた頃、ルフィが、サンジ
「ったく・・・・誰のせいだ、誰の・・・。 わかった。 もう一度、倉庫覗いてなんかねえか サンジはそう言うと、仕方なく腕まくりして、また倉庫に入っていった。 「絶対にMr.3を見つけるのよぅ! 小船一艘も見逃すんじゃないわよぅ!!
任務遂行が出来なかったボン=クレーは、慌ててMr.3を追い掛けアラバスタへの航路を航行 「あら・・・? なんてキュートなカルガモちゃんvv」 靄の中、急に目の前に現れたカルーに、思わず抱きついてしまったボン=クレー。
「なんなのよぅ、ここは! いやん、あちしったら、急に現れたカルガモちゃんに抱きつ 慌ててカルーから離れたのは良かったのだが、下は、海。
「冗談ぢゃないわよぅ〜!! 助けて!!あちし、かなづちなのよぅ!! ちょっとそこ 哀れボン=クレーはそう言いながら、ど派手に海に沈んでいく。 「なんだ、ありゃ・・・? チッ、仕方ねえ・・・。」
気味の悪い叫び声に目を覚ましたゾロは、放っておくわけにもいかず、刀を縁に立てかけ海に 「・・・・・・やっぱし、見捨てときゃ、良かったか・・・?」 ゾロは、自分の視界からボン=クレーを排除するため、サンジのいる倉庫へと足を向ける。 「ちょっとちょっと、待ちなさいよぅvv 良いもの、見せてあげるからv」 ボン=クレーはそう言って、慌ててゾロの行く手を阻んだ。 「んじゃあ、いくわよぅvv」 そう言って、ボン=クレーは自分の前に並んでいたクルー達の頬をスッと触れていった。 「あちしはね、顔だけじゃなく、身体までそっくしにできるのよぅvv」 そう言って、ボン=クレーはナミなった自分の身体をクルー達に曝け出す。
ガボンと顎をはずして驚きまくっているクルーに混じり、興味無さ気に呆れ顔のゾロの姿があ 「じゃあ、そろそろあちし、行くわ。」 「えーっ!! もう行っちゃうの?!」 そう言って引き止めるチョッパー達の声に、ボン=クレーはグッと涙を堪える。 「恋愛と友情って奴は・・・・・・・付き合った時間とは関係ナッスィング!!」 グッと親指を立てて溢れる涙を讃えた瞳で見つめる先は、やはりこの男。
「ばいばい、ダーリンvv あちし、きっと貴方の元に帰ってくるわんvv その時こそ、 船に飛び降りる寸前で、スッとゾロに抱きついて耳元でそう囁いたボン=クレー。 「じゃあ、皆。 また逢いましょう。」 微動だにしないゾロを尻目に、ボン=クレーはそう言って迎えに来た船に乗って去って行った。
「ふぅ〜・・・。なんなのよ、あいつってば・・・。 ん?ゾロ? やだ、どうしたの? 「・・・・・・・いや、なんでもねえ・・・。 ちょっと気分が悪くなっただけだ。」 ナミの言葉に、ゾロはそれだけ言うと、フラフラと船尾の方へと向かう。 「はぁ〜・・・。 なんなんだよ、あいつは・・・。」 思い出しても身震いしそうな悪寒に耐えながら、ゾロはゆっくりと腰を下ろした。
「おらっ!! このクソ腹巻!! さっきの抱擁はなんなんだよ!! てめえはあんな サンジはそう叫ぶや否や、座り込んでいたゾロめがけて蹴りを繰り出す。 「うわっ! なにすんだ、このクソコック!! 危ねえだろが!!」 ゾロは、すれすれのところで鞘でその蹴りをかわしながら立ち上がった。
「ちくしょーっ!! このホモ剣士!!ホモ侍!! マリモの癖に・・・・マリモの・・・・ サンジは、思いつくままに悪態をつき、ゾロに蹴りを繰り出していく。
「ちくしょーっ!! 俺だけ・・・・俺だけがてめえにハマってく・・・・俺だけが・・・・・ 抑えていた感情が言葉となって口から漏れる。 「・・・・・・・・サンジ・・・。」 ゾロは、優しくサンジの名を呼び、後ろから抱きしめる。 「っ・・触るな!! あいつの匂いがするその身体で俺に触るな!!」 サンジは振り向きもせず、そう言ってゾロの腕を撥ね退けた。
「・・・・・ったく。 人の気も知らねえで・・・。 わかった。 匂いがしなきゃ良いんだ ゾロはため息を深く吐き、そう言うと、刀を縁に立て掛け、そのまま海に飛び込んだ。 「ゾ、ゾロ!!」 いきなり聞こえた水音に、サンジは慌てて振り返り、船の縁から海を見つめる。 「・・・・・これで、もう匂いはしねえだろ。」 ゾロはそれだけ言うと、ギュッとサンジの身体を抱き締める。 「馬鹿・・・・たったそれだけのことで・・・・・馬鹿だろ、てめえ・・・・。」 サンジは、涙声でそう言って、そっとゾロの首に腕を回した。
「サンジ・・・さっき言った事、撤回しろよな。 俺はホモじゃねえから。 お前じゃなきゃ ゾロは、真顔でサンジの耳元でそう囁く。 口で悪態を吐きながらも、どうする?と上目遣いでゾロの顔を窺う。 「・・・・・・当然だ、な。」
ゾロは、ニヤリと口角を上げサンジにそう告げると、サンジの手を取り、そのまま風呂場に歩き
「おいおい、ナミ。 放っといて良いのか? あいつら、また暫く出て来ねえぞ。 テーブルでなにやら計算しているナミに、ウソップはそう話し掛けた。
「あー、うるさいわね。 良いんじゃないの? どうせ、食材は全然無いんだし。 ナミはウソップにそう返事して、満面の笑みを浮かべる。 「・・・・・・・おい、ナミ。 もしかしてそれって・・・・。」 「そうよ? なんか文句ある?」 「いいえ、なんでもありましぇん・・・・。」 グッと瞳の前に握り拳を見せつけられ、ウソップは力なくそう返事するしかなかった。 「ウソップさん、愛情って素晴らしいものですよね。」 そう言って、少女の眼差しでゾロとサンジの背中を見つめるビビと・・・。
「えっ?! ゾロとサンジって今からお風呂に入るのか? 俺も、一緒に入っちゃダメ そう言って、二人の後をついていこうとするチョッパー。
「待て、チョッパー。 今は、行っちゃあ、ダメだ。 二人揃って出てくるまで、風呂場に ウソップは、預言者のような口ぶりでとくとくとチョッパーに言い聞かせる。 「ええーっ!! 大いなる災いって?! い、命に関わるのか?!」
「きゃあvvウソップさんvv それも愛なんですよねvv愛vv 海賊って奥が深いわ〜 チョッパーもビビもそう言ってウソップの話に耳を傾けた。
「よおし、それじゃあ・・・。 これまでに俺が受けた数々の試練・大いなる災いについ 二人の反応に気を良くしたウソップが、また色々と話をし始める。 「ナ〜〜ミ〜〜・・・・。 俺、腹減ってもう、動けねえ・・・・。」
「そんな事言ったって、元はと言えば、あんたのせいなんだからね。 黙ってそこで寝 ルフィの力ない声に、ナミはそう冷たく言い放つと、また計算をし始める。 「全く・・・。 なんて海賊船なのよ・・・・まともな奴があたしだけじゃないのよ・・・。」 ぼそりと呟かれたナミの言葉に、ウソップ達は聞こえてないフリを通すことにした。 「エッエッエッ・・・。 海賊って、本当に面白いよね、ビビ。」 「ええ、本当に。 ウフフ・・・私、この船に乗れて良かったわ。」
チョッパーとビビは、ウソップの話に適当に相づちを入れながら、そう言って笑いあった。 |
<コメント> はぁ・・・・。ボンちゃん入れるとどうもコミカルになりますね、内容が。(笑) 前回が、シリアス目だったので、その反動なのかな・・? もっとサンジにやきもちを妬かせようと試みたのですが、 中途半端で終わっちゃったなぁ。(死) それに、『jack』とした割には、あまりジャックしてなかったし・・・。 まあ、ボンちゃんとゾロの出逢いのシーンと言う事でvv(っておい!) 次回は、いよいよアラバスタ編! エース登場まで書きたいんだけどな。(希望) それでは、また☆ |