LOVE DECLARATION


その3.



 




皆と少し離れた岩盤の壁に、ゾロは胡坐を掻いていた。

「オイ! このクソ剣士。 起きてんだろ・・・?」

サンジはそう言って、ゆっくりとゾロに近づく。

ゾロは黙ったまま、ぴくりとも動かない。

しかし、寄らば斬ると立ち込めた殺気が、その身を包んでいた。

「・・・・なぁ、話を・・・・・」

「・・・・・・・なんのようだ? 俺には、話はねえ。」

サンジの言葉を遮るように、ゾロが静かな声でそう言った。

「てめえに無くても、俺にはあるんだよ、マリモマン。 ・・・・・てめえ、もし、俺が船降

りると言ったら・・・・・・・・どうする?」

サンジは、ポケットから煙草を取り出し、そう言って火をつける。

スッと、ゾロの瞳が開いた。

「・・・・・・・別に・・・。 てめえでそう決めたんだ。 俺がとやかく言うことじゃねえ。」

心とは裏腹に、淡々と言葉を発するゾロ。

和道一文字に携えた手が微かに震えた。

「ふ〜ん・・・。 なんだ、その程度か。 ・・・・・・・・・・そんなもんか、俺に対するてめ

えの気持ちは、よ・・・・?」

フーッとゾロに煙を吹きつけ、サンジは背中を向ける。

「その程度なら・・・・・・・・仕方ねえか。 じゃあな、邪魔した。」

そう言ってサンジはだんだんとゾロから離れて行く。

その背中を見た途端、ゾロは動いていた。

「その程度だと?! ふざけんな!! じゃあ、てめえはどうなんだよ!! てめえ

は!!てめえは、俺がいなくても・・・・!!」

ゾロは、力任せにサンジを砂の上に押し倒し、馬乗りになる。

「・・・・・・・俺が、いなくても・・・?」

サンジは平然とゾロを睨みつけ、そう言葉を復唱した。

「俺は・・・・俺は、言わなくても・・・・・同じだと思ってた。 俺と同じに・・・・・けど、

てめえは・・・・・・」

ゾロはそこまで言って、グッと歯を食いしばる。

なんだか、この期に及んで泣き言を言っているようで、そんな自分が情けない。

サンジの自由だと、そう自分に言い聞かせたばかりだと言うのに、感情がそれについていか

なかった。

サンジは、呆れたように溜息を吐く。

「ばぁ〜か。 本当にてめえは馬鹿だなぁ。 格好つけんなよ。 全部くれるって、そう

言ったじゃねえか。 てめえの全部、俺にくれるんだろ・・・? なら・・・・・隠すなよ。 

ぶつけろよ、俺に。 しがみついて泣き叫んで、それでも傍にいろと・・・・・・傍から離

れる位なら、ぶっ殺してやると・・・・・それくらい、言えよ!!」

サンジはそう言って、噛み付くように口付けた。

サンジの舌が、ゾロの舌を自分の口内に招き入れる。

ピチャピチャと唾液の混ざりあう音が二人の耳を擽る。

あまりの激しさに息が上がり始める。

「ふ・・あ・・・・っ・・・ゾロッ・・・・!!」

素肌に触れるゾロの手の感触に、サンジの身体がビクンと震えた。

「うっ・・・エッヘン・・・ゴホンゴホン・・・。 申し訳ねえが、ちょっと良いか?サンジ・・。 

あのさ、この料理、この後どうすんだ?」

二人の頭上で、いきなり声がする。

その声を聞いて、ゾロとサンジは慌てて起き上がった。

そこには、気持ちだけ申し訳なさそうに苦笑するエースの姿。

「あ、ああ、そ、それな・・・・。 わりい、後は、俺がするから・・・・。」

サンジは、真っ赤な顔でそう言うと、エースから鍋を受け取った。




・・・・・・・こいつ・・・・・・気配消してやがった。

やっぱ・・・・・・・気にいらねえ。




ゾロは、ムッとした表情でエースを睨みつける。

「じゃ、じゃあ、ゾロ、エース。 俺、仕込みの後片付けしてくるから・・・・」

その場の雰囲気にいたたまれなくなったのか、サンジはそう言ってその場を逃げるように去っ

ていった。

「オ、オイ!!・・・・・・・・・・・・・・・。」

ゾロは、半ば呆然とサンジを見送り、次にエースに鋭い視線を向け、柄をカチリと鳴らす。

「オイオイ・・・。 こんなとこで野暮は無しだぜ。 少しは感謝してくれても良いと思う

ぜ? 良いか?ここは、砂漠のど真ん中。 水はねえ。 と言う事はだな、あのまま最

後までやって、汚れたら、どうすんだ? 洗い落とす事はできねえんだぜ? お前は良

いとしてもだ。 サンジが可愛そうだろ。 砂塗れのナニ塗れじゃな・・・。」

エースは、もっともらしくゾロにそう話した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

ゾロも、エースの言う事も一理あると、とりあえずその場は刀を納める。

「んじゃあ、そういう事だ。 おやすみ、ロロノア・ゾロ君。」

エースは、そう言ってその場を去っていった。

「・・・・・・・・・・なんか、上手く言いくるめられた感じがする。 まっ、良いか・・・。」

ゾロはそう呟くと、自然と重くなってきた瞼を閉じて眠りにつく。

「ヤバい、ヤバ・・・。 エースにモロバレじゃん、俺・・・。 クソマリモが触れたの、久し

ぶりだったから、つい、俺・・・・・。 それもこれも、あのエロマリモのせいだ・・・。」

その頃、サンジはと言うと、後片付けをしながらぶつぶつと文句を言っていた。











数日後。

一騒動あった後、目的が無くなったエースは、クルー達と別れる事になった。

「エース・・・・もう行ちゃうのか?」

「ああ、目的は無くなったしな・・・。 達者でな。 次に逢う時は、海賊の高みだ。」

ルフィの言葉にそう言って、エースは、紙切れを渡す。

「これを持っていろ。 それが、俺とお前をまた引き合わせる。 それと・・・・・ロロノア・

ゾロ君。 君にも、だ。」

エースはそう言って、小さな小箱をゾロに投げた。

「???なんだ?こりゃ? 何が入ってんだ?」

ゾロは、訝しげにその箱を開ける。

中には、色とりどりのゴムが8つ。

またの名をコンドーム・・・。

「なっ、なっ・・・・!!」

思わず、ぼとりと中身ごと箱を落とすゾロ。

クルー達の視線は、当然、落ちた箱に注がれた。

それを見たサンジが、慌ててその箱を取り上げる。

「「エース!!!!」」

ゾロとサンジが、そう叫び声をあげた時には、すでにエースの姿は何処にも無かった。

「ったく・・・・・何考えてんだ、あいつは・・・・。」

そう言って、ゾロはばつが悪そうにぼりぼりと頭を掻く。

「さ、さぁ、俺達も先を急ごうぜ・・・?」

サンジも、その小箱をポケットに無造作に突っ込むと、そう言って我先に歩き出した。

「・・・・・・・・サンジ君、使うのね・・・。 使う気なのね・・・。」

そうボソリとナミが呟いたのを、ウソップは聞かなかったことにする。

「じゃあ、出発だーっ!!」

ルフィの声が砂漠に響き渡り、ルフィ海賊団は、またユバを目指して旅を始めた。

その夜、久方ぶりに、ゾロのイライラは解消したらしい・・・?

翌日、クルー達は、久しぶりに腰に手を当てるサンジの姿を目撃したとかしないとか。



ルフィー海賊団、只今順調に砂漠を航海中(?)である。








<END>




<back>         <kaizoku>



 


 


<コメント>

如何だったでしょうか?
タイトルの「宣言」は、実はサンジがゾロにして欲しかったと・・・
そういうことにしといてもらえませんか?うえ〜ん(;O;)
書いてるうちにどんどん内容が変わっていっちゃったのよぅ。
次は、レインベース編かな。
プリンスーーーッ!!!に、期待したいところです。(ハイ?)
また、来月にお逢いしましょう♪
では☆