LOVE BATTLE




 




まつげの友達の引越し蟹に乗って、ルフィ海賊団ご一行は、首都アルバーナへ向かってい

た。

と、その道中、クロコダイルの魔の手が迫る。

ビビに伸ばされる砂の義手。

ビビの身体は義手に捕らえられ、上空へと運ばれる。

慌てて、ゾロが蟹を停める。

ルフィはその様子に急いで腕を伸ばすと、ビビを助けだし、自分がその義手に捕まった。

「お前ら、先に行け!! 俺、一人で良い!!」

そう言いながらクロコダイルのところまで飛ばされるルフィに、ゾロとサンジは駆けつけようと体

制を整える。

「ちゃんと送り届けろよっ!! ビビを家までっ!! ちゃんとっ!!」

ルフィの声が砂漠にこだました。

「・・・・・馬鹿が・・・。」

そう呟いて、ゾロがグッと唇を噛み締めた。

サンジはその様子をジッと隣りで見てる。

チクンとサンジの胸が疼いた。




嫉妬か・・・・いや・・・・




ククク・・・とサンジの喉が鳴る。

こんな時の二人は本当に凄いと思う。

絶対に断ち切れない、邪魔できない絆を見せつけられる。

確かに、サンジもルフィの事は船長として認めてるし、ハチャメチャな馬鹿な奴だとは思ってい

ても、人を惹きつけてやまない何かを持っている。

だからこそ、サンジもあのバラティエを離れ、ルフィと共に、旅立とうと決心したのだから。

まっ、直接的な要因は、今、瞳の前にいる緑髪の剣士の存在に他ならないのだが・・・。

それでも・・・・・・ゾロとルフィの絆には、敵わないと思う。

「オイ!!行け!!チョッパー!! このままアルバーナに!!」

ゾロの声が皆の胸に響く。

「・・・・・・この先、誰がどうなっても、な・・・・」

ゾロの言葉が、皆の決意を新たにする。




こいつは、普段何にも考えねえで喋るくせに、美味しいとこは、全部持っていくよな・・・




そんなゾロを格好良いとか心底惚れてるなぁ、などと思いながらもそれを認めるのは、同じ男

として負けてるような気がして、サンジは苦笑した。

クロコダイルと対決するルフィを想い、重苦しい時間が流れる。

イライラと不機嫌丸出しのゾロに、サンジもまた言い知れぬ感情を抱く。

正直、こんなにルフィの事を想ってイライラするゾロに嫉妬さえ覚えてくる。

「・・・・・らしくなく、動揺してんじゃねえよ・・・」

誰に言うでも無く、ぼそりとそう呟いて、サンジはいつものように悪態を吐いた。

見ていたくなかった。

王下七武海の強さを身を持って知っているゾロにとって、ルフィへの心配は充分にわかるのだ

が・・・・

いつものゾロに・・・・・・戻って欲しかった。

ふと、自分がルフィの立場になった時も・・・・・




ゾロはこうやってイライラとしているのだろうか・・・?




そう思うと、ますますその姿に腹が立ってくる。




ちぃったぁ、信用しろよ・・・。




「ビビってんですよ、 この体力馬鹿は・・・」

煙草の煙をフーッと吐き出し、わざと蔑んだような瞳をゾロに向ける。

「なんだとぉ〜?! この素敵眉毛!!」

「カッチーーーーン!! このマリモヘッド!!」

なんて、いつものように喧嘩売っては見たものの、すぐにナミに止められた。

「チッ・・」

「ケッ・・」

互いに舌打ちしてまた黙り込む。

不意に、ゾロがサンジに近づいた。

「あー・・・・さっきは・・・・その・・・」

ボリボリと頭を掻きながら、視線を逸らすゾロ。

「あ? 別に・・・・悪かったな。 俺もイライラしてたから・・・・けどよ・・・」

「あー、わかってる。 ・・・・・サンキュー・・・」

皆まで言うなと、サンジの言葉を遮り、ゾロがその腰を抱く。

「ん・・・・」

サンジも黙ったまま、そっとゾロの肩口に額を付けた。

「ホモがいるよ、ホモップルが・・・・・。 カヤ・・・・・・副キャプテンの俺は、こういう場

合どうすれば・・・いや、こういう時だからこそ、ビシッと襟を正してだなぁ・・・」

意を決したように、ウソップが二人の前に立ち上がる。

「二人とも〜・・・!!」

「ぁア?!」

「んァ?」

「いえ・・・・・なんでもありましぇーん・・・・」

ドンと胸を張って発したウソップの言葉に、邪魔だとばかりに向けられた二人の視線。

ウソップに到底勝ち目は無かった。

「カヤ・・・・・外の大敵より開き直った身内のホモだ・・・・・・あいつらが一番怖え・・・

俺、やっていけんのか・・・・」

などと、空を見上げて呟くウソップを尻目に、蟹はサンドラ河を目指す。

途中、クンフージュゴンやカルガモ部隊などの助けを得て、クルー達は、首都アルバーナに向

かった。

ビビを擁護するために別々に行動する事になったゾロとサンジ。

「アルバーナ宮殿で逢おう。 ぬかるんじゃねえぞ・・・。」

「フッ。 誰に言ってんだ、てめえ・・・。 てめえこそ、しくじってくたばるんじゃねえ

ぞ・・・。」

互いに、にやりと口角を上げて相手を見遣った。

そっとゾロがサンジの腰を引き寄せる。

ビクンとサンジの腰が震えた。

「な、なにしやが・・・・んっ・・・」

慌てて身を捩るサンジの言葉を最後まで言わせることもなく、ゾロはその口を塞ぐ。

「て、てめーーーーーっ!!!」

「クク・・・・じゃ、続きは、この後で・・・・・」

真っ赤になって繰り出されたサンジの蹴りを難なくかわし、ゾロはナミと共に違うゲートに向か

った。

「・・・ったく、あのエロまりも!! チョッパー! 俺達も急ごうぜ・・・」




クソッ!

あのエロまりもは一体何考えてやがんだ・・・・・ったく・・・・

ぜってえさせてやるもんか・・・・・




苦々しい表情をし、サンジはカルガモに飛び乗り、チョッパーに声を掛ける。

「あ、ああ・・・・・・。サンジ・・・・サンジはやっぱり、ゾロと番だったのか?」

興味津々の瞳でサンジを見つめるチョッパー。

「え、や、そ・・・・・いいから、早く行くぞ!!」

「あ、待ってよ、サンジ〜!!」

サンジは、チョッパーの言葉に答えることなく、俯いたまま南西ゲートに向かった。

街中に入り、Mr.2ボンクレーと対決するサンジ。

蹴りの威力はほぼ互角。

けど、サンジには負ける気がしなかった。

負けるわけにはいかなかった。


こいつだけは・・・・・・・俺がオロす。




アラバスタに上陸する前に、ボンクレーが船に乗ってきた日の事が、脳裏に鮮やかに甦る。

あんなに嫉妬に駆られた情けない自分を晒す羽目になったのも、全ては瞳の前のボンクレー

のせい。

「しかも、チューしやがった・・・絶対に許さねえ・・・・」

ウソップが居たら、速攻で「問題はそこかよ!」とツッコまれそうな理由をブツブツと呟きなが

ら、サンジはボンクレーを睨みつけた。

「あら〜んv なにそんなにみつめてるのかしらんvv あちきの美しさに見とれて

る?!」

「馬鹿だろ、てめえ・・・なんで、このスタイル抜群で格好良いモテモテの俺様がてめえ

なんぞ、見つめなきゃならねえんだよ・・・・素敵なレディならともかく・・・」

言うが早いか、先手必勝とばかりにサンジの蹴りがボンクレーに繰り出す。

「ふぅ〜ん・・・そぉ? なら、この顔でどうかしらん?」

難なくその蹴りを避けると、スッとボンクレーが右手で頬を撫でた。

「あ・・・・・・」

続けて蹴りを繰り出そうとしていたサンジの動きが一瞬止まる。

「あら、嫌だ。 あちきったら、間違ってダーリンの顔を・・・・ん? なによ、あん

た・・・・」

ボンクレーはその一瞬を見逃さず、そう言ってサンジに近づいた。

「く、来るんじゃねーっ!!」

近づいてくるボンクレーに慌てて蹴りを繰り出そうとするのだが、どうにもその顔が邪魔をして

渾身の蹴りが放てない。




クソッ・・・・・なんで、長ッパナのまんまでいねえんだよ。

あー・・・さっきの台詞思い出しちまっただろうが!!




瞳の前のゾロの顔をしたボンクレーをサンジはキッと睨みつけるのだが・・・。

「あっらぁ〜v もしかして、あーた、あちきのダーリンに惚れちゃってるわぁ〜け? 

ウフフv 良い事思いついちゃった! あちきって天才〜。」

ニヤリと口角をあげ、ボンクレーはサンジに迫る。

「さぁ・・・・来いよ。 可愛がってやるから・・・」

ゾロの姿で、ゾロの声で、サンジに甘く囁くボンクレー。

そんな風に言われて、サンジが動揺しないわけが無い。

必死になって蹴りを繰り出すが、全然、ボンクレーには当たらない。

「なっ、ばっ、く、来んな!! てめえなんか・・・・てめえなんか!!」

「クク・・・・なんだ、照れてんのか? すぐに、イカせてやるよ・・・・天国とやらに・・・」

「そ、その顔で・・・・言うな!!」

戦闘に集中できないサンジに、ボンクレーのオカマ拳法が炸裂する。




クソッ・・・・ゾロじゃねえのに・・・・

ゾロじゃねえってわかってるのに・・・・

チクショー・・・・・

これも全部、あのエロまりものせいだ!!




ボンクレーは自分の優位な展開に上機嫌で笑顔を絶やさない。

しかも、ゾロの姿だから、尚、性質が悪い。




クソッ・・・・・この顔はマジヤバい。

ろくにいつも笑わねえから・・・・・

あんな顔のあいつ・・・・・・

あー・・・・力が入らねえ。

こんなとこで、こんなカマ野郎相手にしてる場合じゃねえのに・・・




悶々と自分の中で葛藤を抱えて戦闘に集中できないサンジと優位に立つボンクレーでは、

明らかにサンジの方が分が悪かった。

不意をつき、スッとボンクレーの手がサンジの顎を捉える。

・・・・・なぁ・・・サンジ。 俺と、とことん、遊んでくれよ・・・」

だんだんと近づいてくるゾロの顔。

自分を見つめる獰猛な獣さながらのゾロの視線に、身動きが出来ない。

それがボンクレーだとわかっていても、サンジには抗う事が出来なかった。

乾いた唇に、ゾロに変装したボンクレーの唇が触れる。

と、その刹那、蕩けていたサンジの瞳に闘気が甦った。

「ざけんな!!コラァ!!」

至近距離から、その顎めがけて渾身の一撃を食らわす。

「うぎゃあ!! な、なんで?? なんでダーリンの姿をしたあちしを?? あーたは、

完全にあちしの術中に嵌っていた筈・・・・」

先ほどとは打って変わって、殺気だって自分を見下ろすサンジに、ボンクレーは唖然とした。

「なにが、あちきのダーリンだ、このカマ野郎・・・・。 ゾロはてめえのじゃねえ!! 

俺んだ!! 食らえ!!バース・コーートッ!!」

ボンクレーに体勢を整えさせる暇も無く、サンジは次々に蹴りを繰り出す。

「ぎょえーっ!! なによ!なんだって言うのよ、あーた!! あちしとダーリンの仲を

引き裂こうったって、そうはいかないんだからね!!」

ボンクレーも、必死になってサンジに応戦した。

サンジがその言葉に、フッと鼻で笑う。

「なによ?! 何が可笑しいのよ?! あちしは、マジなんだから・・・そう、これは運

命・・・・あちしとダーリンは見えない赤い糸で結ばれ・・・・・ゲフーーッ!!」

ボンクレーの言葉は、最後まで続く事無く、サンジの蹴りによって壁と地面に吸い込まれた。

「グフッ・・・・強いわね・・・・あんた・・・・あちしの負けよ。 けど、教えて・・・・・あちし

の作戦に間違いは無かった筈・・・・なのに、あんたは、何故・・・?」

「うちの狙撃手のゴーグルは返して貰うぜ・・・。 ぁん? 何故かって? そりゃあ

な・・・・・・あのエロ剣士のキスは、んな生易しいもんじゃねーからだ。 いくら外見を

似せてても・・・・唇に乗せる想いってもんは、真似できねえよなぁ。」

サンジは、苦笑しながら、ボンクレーからゴーグルを外す。

「そ、そんな事で・・・ま、負けたわ。 完全にあちしの負け・・・けど、なんかイイ感じv」

「・・・いい勝負だった。 それ以上、言葉は要らねえ筈だぜ? けど・・・・」

サンジに同志としての友情を湛え見つめるボンクレーに、サンジはにっこりとそう返事した。

「けど??」

「これは、この前の礼だ! 受け取れ!!」

サンジの言葉にキョトンとしたボンクレーにサンジはクリティカルに踵落しを決める。

「フンギャ!! け、結局こうなるのね・・・・。」

道端で、そう呟いて意識を失ったボンクレーを振り向きもせず、サンジは煙草を咥え歩き出

す。

「あー・・・・また、あばらイッちまったか・・・・クク・・・怒るかなぁ、あのクソ剣士・・・」

アルバーナ南ブロック、サンジVSボンクレーの闘いは、サンジの勝利で幕を降ろした。












<next>



 


 


<コメント>

今年最初のラブだよね〜vv
相変わらず腐ってるわ・・・あたしの脳みそ。(笑)
とにかく、萌えポイントが私的にたくさんありすぎて
どれを書いていいのやら・・・悩んだよ、あたしは・・・(苦笑)
まっ、ストーリー的には忠実に(エッ?!)
これからも、のんびりとやっていきますのでよろしくですvv

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