Best Freind


その6







・・・・・・サンジ・・・・・サンジ・・・・・・

・・・・・・俺は・・・・・・俺は・・・・・お前を泣かそうなんて・・・・・思ってなかった・・・・・

・・・・・・ただただ辛くて・・・・・お前の顔を見るのが、辛くて・・・・・

・・・・・・お前の一番が、俺じゃないのが悔しくて・・・・・・

・・・・・・お前に向き合うのが・・・・・・怖かった・・・・・

・・・・・・向き合ったら・・・・・言ってしまいそうで・・・・・・

・・・・・・俺の心にある、どす黒い感情・・・・・・醜い嫉妬・・・・・

・・・・・・全部・・・・全部・・・・お前に、ぶつけてしまいそうで・・・・・・

・・・・・・友達だという関係も・・・・・崩れていきそうで・・・・・・

・・・・・・言えなかった・・・・・・言いたくなかった・・・・・・

・・・・・・認めたくなかった・・・・・・俺が、ただの友達って言うことを・・・・・




・・・・・・けど・・・・エース先輩の言うことが本当なら・・・・・・

・・・・・・俺は・・・・俺は、まだ・・・・・お前の・・・・・・

・・・・・・お前の一番でいるのだろうか・・・・・

・・・・・・知りたい・・・・・お前の口から・・・・・

・・・・・・お前の言葉で・・・・・・俺が、お前の一番だって言うことを・・・・・

・・・・・・そして、言うんだ・・・・・お前が、俺の一番だって事・・・・・




ゾロは、サンジの診察券を握りしめて、その病院に急いだ。

「はぁはぁ・・・・・・すみません、こちらに、サンジって言う患者・・・・来てませんか?」

ゾロは、剣道着を纏ったまま、受付に尋ねる。

「ああ、その方なら、先程、診察を終えてもう、帰られましたけど・・・・」

受付の女性は、そう事務的に答えた。

「・・・・・そうですか。 ・・・・ありがとうございました。」

ゾロは、そう言うと、また今度は、サンジの家へと駆け出した。















++++++++++++++++++




・・・・・・駄目だなぁ・・・・・俺って・・・・・

・・・・・・なんでこう、諦めが悪いんだろう・・・・・

・・・・・・あんなに拒絶されたのに・・・・・

・・・・・・あれだけ決心して、病院に行ったのに・・・・・

・・・・・・結局、土壇場で、断っちゃった・・・・・

・・・・・・あ〜あ、俺・・・・・明日、どんな顔して学校に行こうか・・・・・

・・・・・・それとも、このまま学校、行かないで・・・・・・

・・・・・・じいちゃんちでも、行こうか、な・・・・・・

・・・・・・とにかく、今のままじゃ・・・・俺・・・・学校になんか行けないよ・・・・

・・・・・・ゾロに・・・・・あいつに拒絶されたままの学校なんて・・・・・

・・・・・・俺・・・・・通う自信ない・・・・・・




「・・・・・・本当に・・・・・俺って・・・・馬鹿・・・・・」

サンジは、そう呟いて、リビングのソファーに、身体を投げ出した。

結局、サンジは、ゾロへの想いを消すことが出来ず、何の治療も受けないまま、家に帰って

きてしまった。

何も考えず、ただ天井をじっと見つめたまま、サンジは、ため息だけを吐く。

ピンポーン

不意に玄関のチャイムが鳴り、サンジは、玄関のドアを開けた。

「はぁはぁ・・・・・サンジ・・・・」

「!!・・・・・・ゾロ??」

玄関先に現れたのは、道着姿のゾロ。

どれくらい走ったのか、息も荒く、膝に手を当て、中腰で屈んでいる。

「・・・・・どうしたんだ? そんなに慌てて・・・・・・まっ、入れよ、何か用が有るんだ

ろ?」

サンジは、ドキドキと胸が高鳴るのを必死の思いで押さえ込んで、何事もないように声を掛け

た。

「はぁはぁ・・・・ああ、そうさせてもらう・・・・・」

ゾロはそう言うと、サンジに促されて家の中に入った。

「・・・・・水で良いか?」

「ああ、頼む・・・・」

サンジは、ゾロをリビングに通すと、コップに入った水をゾロに手渡す。

「サンキュー・・・・」

ゾロはそう言って、コップの水を飲み干した。

「・・・・っで、用事って、何?」

サンジは、空になったコップをキッチンに持っていくと、ゾロにそう尋ねる。

「ああ・・・・・・今日は・・・・今日は、ごめん。 ・・・・俺・・・・俺・・・・お前のこと無視し

て・・・」

ゾロは、歯切れの悪い口調で、サンジにそう切り出した。




・・・・・・本当に、良い奴なんだよな・・・・・ゾロって・・・・・・

・・・・・・あんなことぐらいで、別に謝りに来てくれなくても良かったのに・・・・

・・・・・・でも、それが、こいつらしくて・・・・・・

・・・・・・どんなに拒絶されても・・・・・嫌われても・・・・・

・・・・・・やっぱり、俺は・・・・・こいつのこと、嫌いになんかなれない・・・・・

・・・・・・それどころか、ますます好きになっていく・・・・この瞬間も・・・・・・

・・・・・・ごめん、エース先輩・・・・・俺・・・・・

・・・・・・少し、先輩のこと良いかなって思ってた・・・・・けど・・・・・

・・・・・・けど、やっぱり、先輩とは、付き合えないや・・・・・・





「・・・・なんだ、そんなこと・・・・・良いよ、全然気にしてないから・・・・そんなこと、

一々謝りに来てくれたの? ・・・・そんなの、別に良かったのに・・・・」

サンジは、そう言ってにっこりと笑う。

「・・・・・・・いや、違う・・・・違うんだ、サンジ。 俺は、謝りに来た訳じゃない。 

いや、謝りにも来たんだけど・・・・あのな・・・・その・・・・・俺は・・・・・俺は、お前の

一番だよな? そう思って良いんだよな?」

ゾロは、しどろもどろとサンジにそう聞いた。

「??一番? ?何が一番なんだ??」

ゾロの話がいまいち理解できないサンジは、首を傾げながらそう聞き返す。

「その・・・なんだ・・・・あれ・・・ええい、クソッ! サンジ!俺は、お前の一番だっ

て、そう思ってる! ・・・・俺の・・・・俺の一番も・・・・お前だから・・・・ああ、クソッ、

全然上手く言えない・・・・・」

ガシガシと頭を掻きながら、ゾロは真っ赤になって口ごもる。

「・・・・・ゾロ・・・・・それって・・・・なんか、変。 なんか、告白してるみたいだぞ・・・」

「・・・・みたいじゃなくて・・・・してんだよ、俺は・・・・・」

いつまでも、要領を得ないサンジに、ゾロは、ため息混じりにそう呟いた。

「Σえっええーっ?! なんで・・・・嘘・・・・」

サンジは、突然のことに、そう言うとヘタリとその場にしゃがみ込む。

「・・・・・ここまで来て、嘘吐いてどうすんだよ。 はっきり言うけど、俺は、サンジが好

きだ。 お前の一番の親友で、いや、親友じゃない、とにかく、誰よりも、サンジにとっ

て一番でいたいんだ。」

ゾロは、真剣な表情で、そうサンジに告げた。

「・・・・・ゾロ・・・・・それ・・・・本当に? 俺をからかってるんじゃ・・・・」

「からかって・・・・こんなことできるか・・・・」

ゾロは、サンジの言葉を遮って・・・・・・・サンジの身体を抱き締める。

「・・・・・俺・・・・俺も・・・・・ゾロの事・・・好きだ。 ずっと・・・・ずっと好きだった。

・・・・・夢に見るくらい・・・・」

サンジが、そう言ってギュッとゾロに抱きついたとき、ふわっと、ゾロのまわりにいつか感じた

香りが漂った。




・・・・・・・・この香り・・・・・・そうだ、この香りだ・・・・・

・・・・・・・・でも、どこから・・・・・・・

・・・・・・・・サンジだ・・・・・サンジから香りがする・・・・・

・・・・・・・・それって、どういうことだ?




ゾロは、頭の中に疑問を抱えたまま、サンジの髪に顔を寄せる。




・・・・・・優しい香り・・・・・・

・・・・・・サンジの・・・・・サンジの匂い・・・・




「・・・・・・?・・・ゾロ??」

黙り込んだまま、サンジの髪に顔を寄せるゾロに、サンジは、ゾロの名を呼んだ。

「・・・・もう少し・・・・もう少しだけ、こうしてくれないか・・・・・」

「・・・・・うん、わかった・・・・・」

サンジは、言われるままに、ゾロの肩に顔を埋めた。

「・・・・・なあ、お前、俺のこと、夢に見たって、そう言ったよな、さっき・・・・・ 

それって、その時、俺、寝てなかったか? 授業中・・・・昨日・・・・・・」

「えっ?なんで・・・・それ、知ってる・・・・んだ・・・・」

不意にゾロが、サンジにそう尋ねて、サンジは、自分の夢を知っているゾロに驚く。

「・・・・・ん、ちょっと、な。 ・・・・・なあ、キスして良いか・・・」

「えっ?! ちょ、ちょっと・・・・ん・・・・んん・・・」

ゾロは、サンジにそう言って、返事を聞く前に唇を重ねた。




・・・・・・やっぱり・・・・・柔らかい・・・・・この感触・・・・・こいつだったんだ・・・・・

・・・・・・こいつが、あの時・・・・・俺の側に・・・・側にいたんだ・・・・・




「・・・・・お前・・・・・夢の中で、俺にキスしただろ・・・・・」

「!!・・・・・//////」

ゾロに確信に近い言い方をされ、サンジは、真っ赤になって俯いた。

「今度からは、夢じゃなくて、直接、俺にしろよ、な・・・・」

「!!・・・・//////・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふ・・ぁい・・・」

ゾロの言葉に、サンジは、真っ赤な顔のまま、小さな消え入りそうな声で、そう答える。

そして、ゾロとサンジは、もう一度、お互いの唇を重ねた。

「あっ、いけねっ! 俺・・・・・部室に荷物、置きっぱなしだ・・・・取りに行かねえ

と・・・・・」

ゾロは、途中で部活を抜け出してきたことを思い出して、慌てて玄関に向かう。

「あっ、ちょっと待ってよ! 俺も、行く!」

サンジは、慌ててゾロを追いかけた。
















++++++++++++++++++++




学校に着くと、丁度、シャンクスとエースが、入れ替わりに学校から帰るところだった。

「いよう、青春真っ盛りのお二人さん、どうした、忘れ物か?」

「先生。 今、帰りですか? ・・・・・それと、エース先輩・・・・・さっきは、どうもありが

とうございました。 けど、俺、先輩にも、一番、譲る気無いですから。 じゃあ、失礼

します。」

シャンクスにそう声を掛けられて、ゾロは、二人にそう言ってお辞儀した。

「・・・・行くぞ、サンジ。」

「え、あ・・・・・うん・・・・」

サンジは、無言で、自分を見つめるエースに言う言葉が見つからず、結局何も言わずに、

ゾロの後についていった。

「・・・・・君も・・・・青春してんだねえ、サッカー部の星、エース君? ・・・・・酒、付き

合ってやろうか? 青春には、挫折が付きものさ・・・・・」

シャンクスは、そう言ってエースの肩に腕を廻す。

「・・・・・・いえ、今日は・・・・今日は、止めときます・・・・・・悪酔いしそうなんで。

・・・・・じゃあ、失礼します、先生。」

エースは、そう言って、一度だけ、後ろ姿のサンジを見つめて・・・・・・学校を出ていく。

「う〜ん・・・・・幸と不幸は、隣り合わせ、か。 さっ、俺もマキちゃんちに行こうか

な・・・」

シャンクスは、双方を見比べて、そう呟いて家路を急いだ。












++++++++++++++++++



翌日・・・・・

「・・・・・先輩・・・・俺、やっぱり・・・・・」

放課後の部室で、サンジは、エースにそう話を切りだした。

「・・・・・もう良いって。 悔しいけど、俺じゃあ、一番になれそうもないもんな。 俺さ、

こう見えても、負けず嫌いなんだよね・・・・・絶対に一番じゃなきゃ嫌って言うか、

気が済まないと言うか。 ・・・・・だから・・・・・だから一番になれないものには、興味

はない。 悪かったな、サンジ。 色々言って・・・・けど、忘れてくれ、俺の言ったこ

と、全部ありゃ、嘘だ。 サンジが、あんまりおかしかったから、つい、からかっちまっ

たんだよ。 ほら、もう練習が始まるぜ。 キャプテンが遅れるとまずいからな。 先に

行ってるぞ、サンジ・・・・」

エースは、そう言って、サンジの頭を軽く叩くと部室を出ていった。

「・・・・・・ありがとう、先輩。 俺・・・・俺、ゾロがいなかったら、絶対に先輩のこと好

きになってた・・・・・」

サンジは、誰もいなくなった部室で、そっと呟く。

「・・・・・・それだけ聞けりゃ、充分だ・・・・・」

エースは、窓の外でそう呟いて・・・・・グラウンドに向かった。












++++++++++++++++++



「おはよう、ゾロ。」

俺は、教室に入るなり、人だかりを押しのけて、ゾロにそう声を掛ける。

「オッス、サンジ。 あのさ、今度の日曜・・・・・・」

ゾロは、いつものように、俺に笑って話しかけてきた。

「あのさ・・・・ゾロ。 ちょっと・・・・こっちに・・・・来て・・・」

俺は、ゾロの腕を引っ張って、教室から連れ出す。

「??なんだよ、どうした?サンジ・・・・」

「・・・・・これ・・・・返す・・・・・」

いきなり俺に連れ出されて、不審がるゾロに、俺は、紙袋を差し出した。

「??返すって??・・・・俺、お前に貸した物なんかないぞ??」

ゾロはそう言って、紙袋を開けて中身を取り出す。

「うわっ! 馬鹿! ここで開けるな!!」

俺は、慌ててゾロから紙袋を取り上げたが、ゾロの手には、しっかりと中身が握られていた。

「・・・・・これ・・・・・・俺の・・・・・消えた・・・・・・パン・・・・ツ・・・・・」

ゾロが、半ば呆然とした顔で、サンジを見る。

「俺さ・・・・俺・・・・・変な病気に罹っててさあ・・・・・というか、変な力があって・・・・・

す、好きな奴のもの・・・・・夢の中で・・・・・・取って来ちゃうんだ・・・・だから・・・・・

だから、ごめん! 俺・・・・ゾロに嫌われるって・・・・そう思ってて・・・・返せなかった

んだ。 ごめん、ゾロ・・・・」

サンジは、頭を下げたまま、ゾロに謝り続けた。

「・・・・・しかし、なんで、パンツなんだ?」

「そんなの知らねえよ! 朝、手に持ってたのが、ゾロのパンツだったんだから・・・・」

「それって・・・・変じゃねえ??? ククク・・・・」

「プーッ・・・ククク・・・・あはは・・・」

質問をしたゾロに、俺はそう答えて・・・・・・俺達は、互いに笑い転げた。

「・・・・欲しけりゃ、いつでもやるぜ。 ・・・・・・・・中身ごと、な・・・・」

「??・・・中身???」

「そっ、パンツの中身ごと・・・・・・」

「!!・・・・/////ば、ばっかじゃねえの・・・・てめえ・・・・」

「まっ、近いうちに・・・・よろしく!!」

ゾロは、俺にそう言って、紙袋を持ったまま、教室に入る。

「なにしてんだよ、予鈴、もう鳴るぞ・・・・」

ゾロがそう言って・・・・・・俺を見て笑った。












 <END>







  
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<コメント>

な、なんとか、お約束通り、このページで、終わらせることが出来ました。
エロ??ふふふ、あるわけないでしょ!
それ書いてたら、次のページいっちゃうじゃん!
ここまででさえ、凄いいつもより長いのに・・・(汗)
良いの!! この二人は、このままにしとくの!
エースがそうしないとあまりにも、不憫・・・(ToT)
はい、ココまでおつき合い下さって、本当にありがとうございました。(ペコリ)
はあ・・・・やっと、次に取りかかれるよ・・・

ビリーさん・・・・本当に、こんなモノで、良いっすか??(汗)

では★