ピンクの雪が降ったら・・・・ その2 |
「・・・・・・・・遅いなあ、ゾロ。 いつもならとっくに、帰ってくる頃なんだけど・・・・・・・ それに、なんで、今日に限って、ノラも帰ってこないんだ?」 サンジは、会社から帰ってこないゾロを、夕飯も食べずに、待つ。 サンジが、言いしれぬ不安を抱え、一人テーブルに俯せていたら、玄関のチャイムが鳴っ サンジは、そう言いながら、玄関に出迎える。 「・・・ああっ、済まなかったな。 今日は、いろいろとあって・・・・・連絡するの、 ゾロは、そう言って、サンジにいつものようにキスすると、鞄を渡した。 「・・・・そんなに、大変だったのか? ・・・あんまり、無理すんじゃねえぞ。 サンジは、そう言って、ゾロが脱いだ背広を片付ける。 「ああ、じゃあ、そうさせて貰う・・・・・・」 ゾロは、そう言って、風呂場に向かった。 「うわっ! あちっ!!」 ゾロの声が、キッチンまで聞こえる。 「?ゾロ?? どうした? お風呂、熱かったのか?? ・・・・けど、42度になってる サンジは、ゾロの声が可笑しくて、そう言って、笑った。 「ゾロ、どうしたんだ? 風呂、熱くなかっただろ? ・・・・なのに、あんなガキみてえ サンジは、そう言って笑うと、ゾロにビールを注ぐ。 「ああ、いやな。 外にずっと居たから、身体が冷たくなっててな、それで、いつもよ ゾロは、そう言って、注がれたビールを飲んだ。 「・・・・・・でも、良かった。 ゾロが、あんまり遅いんで、俺、変な心配しちゃったよ。 サンジは、ふと思い出したようにそう呟く。 「ノ、ノラのことなら、大丈夫じゃねえか・・・・・元々、野良猫だったし・・・・・そのうち、 ゾロは、そう言って、ご飯を口にかきこんだ。 「ブハッ! ・・・・あちい・・・・・」 ご飯の後に、みそ汁を口に含んだゾロは、そう言って、みそ汁の具をサンジに飛ばした。 「ゲッ・・・・・汚ねえな、ゾロ・・・・・・・そんなに、熱かったか? このみそ汁・・・・・・」 「ああ、すげえ熱かったぞ。 舌・・・・・やけどしたみてえだ・・・・・」 ゾロはそう言って、舌を出す。 「ははは・・・・・てめえ、本当に、可笑しいぞ、今日は。 ・・・・どら、見せてみろよ。」 サンジは、そう言って、ゾロの側に顔を寄せる。 「もうこれで、痛くねえだろ?な?」 サンジは、そう言って、クスクスと笑った。 「お、おう・・・・・・」 ゾロは、サンジの行動にとまどいながらそう答えた。 「行ってらっしゃい、ゾロ。」 次の日も、ゾロは、サンジに見送られて、会社に向かった。 「・・・・・・・なあ、ゾロ。 てめえ、明日、俺をどっかに連れていくって、そう言ってなか その週の土曜日、サンジが、思い出したように、ゾロにそう告げる。 「ああ、それは、また、今度だ。 俺、明日、仕事なんだ。 ごめんな、サンジ。 ゾロは、そう言って、サンジの髪を優しく撫でた。 「へへ、ま、いっか。 ・・・・・ところで、ゾロ。 あの日から、ノラ、まだ戻ってこねえん 「ああ、そうしてくれ。 ・・・・・・やっぱ、気になるか? ノラのこと・・・・・」 「当たり前だろ? 俺達、家族じゃねえか。 あいつは、猫だけど、れっきとした、俺 サンジは、そう言って、不安げにゾロを見上げた。 「・・・・・いいや、そうじゃねえよ。 俺達は、家族だ。 ・・・・・ノラも、幸せ者だな。 「・・・・・・ちょっぴり、妬けた?? ・・・・けど、俺の一番大事な奴は、この世で、たっ サンジは、そう言って、軽く口付ける。 「・・・・・俺もだ。 ・・・・・・なあ、サンジ。 あの夜、お前が言ってたこと、まだ、覚え ゾロは、腕の中にサンジを抱いて、そう言った。 「ああ、俺が、ピンクの雪が見たいって言ったら、ゾロが、俺が、見せてやるって・・・・ サンジは、そう言って、にっこりと笑った。 「・・・・・ありがとう、サンジ。 俺の願いは、お前が、幸せでいること・・・・・・ ゾロはそう言って、唇を重ねた。 「じゃあ、サンジ、行ってくる・・・・」 「行ってらっしゃい、ゾロ。」 ゾロは、いつものように、会社に出かけた。 「さてっと・・・・さあ、掃除、しねえと・・・・・」 サンジは、そう言って、掃除をし始めた。 バサッ!! ゾロの書斎を、片付けていると、会社の書類のようなモノが、いきなり、落ちてきた。 「もう、ゾロの奴・・・・・これ、会社で使うものじゃねえか・・・・・・・全く、しょうがねえ サンジは、そうブツブツと呟いて、その書類を手に、ゾロのいる会社に電話をかける。 「もしもし、あっ、すみません。 営業第3課のロロノア・ゾロ、お願いできますか?」 「えっ?! 営業第3課ですけど・・・・・はあ・・・・・そうですか・・・・・いえ、いいで サンジは、電話先の声に、驚いて、半ば呆然とした。 ピンポーン・・・・・ 暫く経ってから、玄関のチャイムが鳴った。 サンジが、そう言いながらドアを開けると、玄関には、ゾロの姿ではなく、初老の婦人の姿が 「あっ、あなたが、サンジさんですね。 初めまして、ロロノア・ゾロの母親でございま ゾロの母親を名乗る婦人は、そう言って、深々と頭を下げた。 「えっ、あっ、あの・・・・・ゾロのお母さん???」 サンジは、思わぬ訪問者に、慌てる。 「はい、ゾロの母です。」 「あっ、お母さん、ゾロは、今、会社に行って出かけてるんですが・・・・・お待ちになり サンジは、そう言って、母親を部屋に招き入れた。 「・・・・・本当に、あの子が言っていたとおりの・・・・・素敵な・・・・・・方・・・ね・・・・」 そう言って、母親は、急に目頭を押さえる。 「なっ、どうしたんですか、お母さん・・・・・なんか、あったんですか?」 サンジは、その様子に慌てて、母親の肩に手を添えた。 「・・・・・本当に・・・・優しくて・・・・・あの子が、貴方を選んだのが、わかりましたわ。 母親はそう言って、ポロポロと涙を流した。 「・・・・・・・お母さん? 何言って・・・・・・ゾロは・・・・・ゾロは、ちゃんと、俺と・・・・・ サンジは、そう言って、笑おうとした。 「・・・・・・・これが・・・・・・・・あの子の・・・・・骨です・・・・・・・きっと、貴方の側に行 そう言って、母親は、泣き崩れた。 「・・・ただいま、サンジ、今、帰ったゾ・・・・・」 そう言って、夕方、ゾロが、家に帰ってきた。 「おい、サンジ。 どうした? なにか、あったのか?」 その様子を不審に思ったゾロは、そう言って、キッチンに入ってきた。 「?・・・・サンジ、どうした?? 今、帰ったぞ。」 ゾロはそう言って、サンジのそばに近づく。 「・・・・・・お前、一体、何者だ・・・・・・なんで、なんで、ゾロの姿で現れた・・・・・・・ サンジは、ゾロの顔を見て、堰を切ったように涙をこぼした。 「・・・・・ごめんな、サンジ・・・・・・・ごめん・・・・・・・俺・・・・・ゾロの最後の願い・・・ ゾロの姿をした者は、そう言って、玄関から飛び出していった。 「っ・・・待って・・・・・ゾロ・・・・・・・ヤダ・・・・・行っちゃ・・・・・ヤダ・・・・・・・お化けで サンジは、慌てて、後を追いかける。 キキキーーッ バンッ 劈くようなブレーキ音と、何かがぶつかったような鈍い音が、サンジの耳に届いた。 「こ、こいつが、そこから、飛び出してきやがったんだ。 ・・・・俺のせいじゃないから 車の運転手は、そう言って、車からも降りようともせず、そのまま姿を消した。 「・・・・・・・ノ・・・・・・ラ・・・・・・・・・」 サンジは、フラフラとノラに駆け寄る。 「・・・・・・・お前だったのか・・・・・・お前が・・・・・・」 サンジはそう言って、ノラを抱き上げる。 「あらっ? 寒いと思ったら・・・・・雪よ。 ・・・・・変ねえ、天気予報は、雪なんか降る 「きゃあ、見て・・・・・この雪、ピンクよ・・・・・・ピンクの雪だわ・・・・・・・なんで??」 側を通る女子高生達の歓喜の声が、聞こえる。 『俺が、お前のために、ピンクの雪を降らせてやるよ・・・・』 『本当に、ピンクの雪が降ったら、今度は、ゾロの願い、俺が、叶えてやるよ・・・・』 『俺の願いは、サンジ・・・・・お前が、幸せでいること・・・・・』 サンジは、ピンクの雪を見上げながら、そっと呟く。 『俺の願いは、サンジ・・・・・お前が、幸せでいること・・・・・』 |
<コメント> 如何でしたか? なんだか、こんな暗い話、書きたくなってしまって・・・・・(-_-;) 全然幸せじゃない終わり方なんですけど、 悲劇って言う訳じゃないと思うんですが・・・ 死んでも想われてる愛情の重さとかそう言うのが、書ければなあって、 そう思ったんですが・・・・・・言い訳ばっか・・・(-_-;) ああ、ルナの性格じゃないんだな、これが・・・・・ けど、ここのコンテンツは、こんな感じかな・・・・・(汗) |