LOVE NIGHT

その1






昨日、様々なすれ違いを経て、やっと、恋人同士になった、ゾロとサンジ。

表面上は、いつもとあまり変わらないように振る舞っているつもり・・・

しかし、本人達が、無意識のうちに自然とお互いを意識し合っているのは、ナミとウソップに

は、バレバレであった。

だが、今朝は、いつもにまして、妙に違った。

何が、違うのかというと、そう、サンジの態度である。

いつも、朝食には、サンジの焼いたパンが、テーブルを飾る。

しかし、今朝は・・・何故か、ご飯。

オムレツの代わりに、ダシ巻卵。

ジャガイモのみそ汁に、焼き魚、おまけに、即席漬けまで作ってある。

今まで、お目にかかったことのない、見事な【和食】の朝食であった。

「たまには、こんな朝食も、ヘルシーで良いですよ。 違うジャンルの料理もたまには

作っとかないと、腕がなまりますから。」

サンジは、ナミにもっともらしい言い訳をしたが、本当の訳は、もっと、別のところにありそう

だ。

【和食】は、ゾロの好物である。

食事の時間、チラ、チラッとゾロがサンジを見ていることは、最近では、もう、当たり前になっ

ていた。

だが、それも、サンジが見ていない間だけのこと。

それが、今朝は、サンジが、こちらを見ているときも、なのだ。

そして、もっと驚くべきは、その視線を感じてか、サンジが、ゾロと、目を合わせている。

いや、あわせるというたぐいのものではない。

微かに頬を染め、微笑み返すといった具合なのである。

いつも、目が合えば、喧嘩をふっかけていた、あのサンジが・・・

これは、もう、疑う余地もない。

こんな変化に気がつかないのは、恋愛関係に全く興味がない、食べ物一途のルフィぐらいな

ものである。

目は、口ほどに、モノを言う・・・・・

ウソップは、早々に、このラブラブビームを、見なかったことにすることに決め、無関心を装っ

た。

(船上初の、ラブラブビームに、こんなに早くお目にかかるなんて・・・)

「・・・うかつだったわ・・・」

ナミは、ボソリと呟いた。

ナミの予想では、もう暫く、たぶん、今度、島に着く迄は、あのまま、ゾロの一方的な行動の

ままでいるはず、そう読んでいたのだ。

昨日の晩、二人に何かあったのは、明白だ。

しかし、今更、何があったか聞くなんて、そんな野暮なことはしない。

(まさか、もう、ヤッちゃったとか?! そうなると、どっちが下なのかしら・・・ 

私の勘では、サンジ君に、間違いはないとは思うんだけど、今朝のサンジ君を見る限

りでは、とても、ヤられた後には思えないし・・・さっき、ゾロを見たときに、首筋に、赤

い痕らしきモノも、見えたし・・・ま、さ、か???よね。)

ナミは、ちょっと、想像してしまって・・・顔に苦悶の表情が、浮かんだ。

「ナミさんvv どうかしました? 朝食、お気に召しませんでしたか?」

サンジの心配そうな声がする。

「なんでもないわvサンジくんvv とってもおいしかったわよ。 ごちそうさまvv」

ナミは、笑顔でそう言うと、キッチンを出て、テラスに向かった。

しばらくして、珍しく、ゾロが、

「おい、ナミ。 ちょっと話がある。」

と、話しかけてきた。

そんな朝食の一こまを終え、見張り台に立つウソップが、ナミの予測通り、島を見つけた。












「島だー!! 島が、見えてきたぞー。」

ウソップから、第一声が、船内に響きわたった。

「うおお!! 冒険だ〜! 冒険!!冒険!! 行くぞ〜!!」

ルフィは、今にも飛び出していきそうないきおいで、メリーの頭上から身を乗り出して、落ちそ

うになった。

「もう、危ないじゃないの! あんた、カナヅチなんだから、少しは、学習しろ!!」

そう言って、ルフィを殴るナミの表情も、明るい。








サンジは、倉庫に入って、島で買う食材のチェックをしていた。

「おい、そろそろ、島に着くぞ。」

いつの間にか、ゾロが、サンジのすぐ後ろまで来て、声をかけた。

「わっ!! 何だ、驚かすなよな。 わかったから、甲板で、ちょっと、待ってろ。 

俺もすぐ行くから。」

サンジは、そう言って、ゾロのそばから離れた。

「・・・わかった。」

ゾロは、そう言うと、甲板に戻って腰を下ろし、いつものように目を閉じた。








「じゃあ、ナミさんv 行ってきまぁーす!! いろんな食材手に入れて、すぐ戻ってき

ますからvv」

そう言うと、サンジは、ゾロを連れて、船を下りていった。

「いってらっしゃい、サンジくんv 気を付けてね。」

ナミは、笑顔でサンジを送り出すと、大きくため息を吐いた。

船が、接岸したと同時にサンジ特製海賊弁当を持った船長は、ナミが注意するより先に、

冒険だー!!』といって、船を下りていった。

ナミは、改良型タバスコ星の研究を甲板でしているウソップに、声をかけた。

「ウソップ。 じゃあ、サンジ君達が戻ってくるまで、留守番、頼んだわよ。 夜は、宿

に泊まるわ。明日の昼には、出航する予定だから。」

そう言って、船を下りていった。

「おう! 気を付けて行けよ。」

ウソップは、新しい武器の開発をしながら、ゾロとサンジを待った。








買い出しとはいえ、初めて二人っきりで、街を廻る。

(ヘ、ヘ、へ。 デートだ。デートvv)

サンジは、上機嫌で、市場を廻り、見たこともない食材に目を輝かせる。

自然と、店主とのやりとりにも笑顔で応じ、あまりの笑顔の素敵さに、店主も、破格のサービ

スとおまけを付ける。

また、それが嬉しくなって、サンジは、ますます上機嫌だ。

ただでさえ、人目を引くサンジだが、今日は、特に凄い。

老若男女問わず、10人が10人とも、サンジを見つめては頬を染める。

そんな様子を快く思わない人物が、ただ1人。

そう、サンジの後ろで、荷物持ちしている、ゾロである。

ゾロは、サンジの上機嫌に反比例するかのように、不機嫌さを増していく・・・

眉間にしわを寄せ、額に、青筋を作り、寄らば斬る!!とばかりに重苦しいオーラをまき散ら

していた。

そのイライラは、最後の店で、店主が、サンジの肩に触れたことで、一気に爆発した。

手を振る店の主人に、笑顔で挨拶をして、ゾロのところに戻ってきたサンジに、ゾロは、無言

で、強引に腕を掴み、スタスタと、もと来た道を戻っていく。

「えっ?! おい、ちょ、ちょっと、痛い。 腕、いてえよ! 何だよ、何でそんなに怒っ

てんのかよ!!」

ゾロの不機嫌の理由がわからないサンジは、懸命に、腕をふりほどこうとした。

しかし、ゾロは相変わらず一言も言わずに歩き続け、いつの間にか、道は、人気のない路地

裏に来ていた。

「離せって言ってるだろ?!」

サンジは、ゾロの背中めがけ、蹴りを入れた。

スッとゾロの身体が目の前から消え、途端にサンジは、横の壁に身体を押さえつけられた。

「あんなに、へらへらと、媚びた真似、してんじゃねえ!」

ゾロは、サンジの胸ぐらを掴むとドスの利いた低い声でそう言った。

「あ〜ん。 馬鹿じゃねえの、てめえ。 俺がいつ、媚びた真似なんかしたんだよ!」

サンジは、ゾロの怒りの原因が分からず言い返した。

(何で?何で、こいつ、こんな事を言うんだ? 俺は、俺はただ、てめえと二人きりな

のが、嬉しくて・・・楽しくて・・・・それなのに、こいつは。 ・・・ゾロは、俺といんの

が、嬉しくないのかな・・・・)

そう思うと、さっきまでの気分が嘘のように重くなる・・・

「てめえは・・・てめえは、俺に向けたこともねえ面を、赤の他人にばっか、見せやが

って・・・・」

ゾロは、呻くような声で呟く。

「・・・ゾ・・・ロ?」

サンジは、ゾロが、怒りながらも、ふてくされたような態度でいることに、何か違和感を感じ

た。

(これは・・・そう、子供が拗ねたときの表情と同じだ。 でも何故? まさか、ゾロ、俺

に、俺にやきもち???)

そう考えると、いきなり不機嫌になったのも、こんな言動を取ったことも、全て合点がいった。

「ゾロ、もしかして、俺に・・・その・・・やきもち?」

サンジは、ゾロに聞く。

「俺が、やきもち妬いたら、悪いのかよ。」

ムッとした顔を、プイッと横に逸らし、チッと舌打ちするゾロ。

(なんだ、結構、かわいいとこあるじゃん。)

理由がわかってしまえば、ゾロの不機嫌さも、サンジには可愛く映って仕方がない。

「ゾ〜ロvv」

サンジは、ゾロにギュッと抱きつくと、ゾロの耳元で、そっと囁いた。

「俺が、こんなにドキドキすんのも、幸せで、ニコニコしてんのも、全部・・・全部、ゾロ

が側にいてくれるからだ。 ゾロが、俺にこう言う顔をさせんだよ。 ゾロだけだ。 

ゾロだけが、特別。」

そう言うと、ゾロの唇にチュッと、触れるだけのキスをした。

「さっ、早く、帰ろうぜ。 ナミさんが、俺達を待ってる。」

サンジは、何が起こったのかわからず、呆然と立ちつくすゾロの手を引っ張ると、港に向かっ

て、手を繋いで、歩いていった。




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<コメント>

どこが、夜やねん!! 皆様のお叱りの声が聞こえそうで、
は、は、は。 これからですやん。
気分的に、ゲロ甘なのを書いてみたくなっただけなのさ・・・(逃)
もう暫く、おつきあいを・・・
 そこの貴女・・・首まで、砂に浸かってませんか?
抜け出さなくなりますよ〜。(笑)