Let's swim!


その1





ここは、イーストブルーニュータウン。

文字通り、東の方向に、海を見下ろす小高い丘の上にある、複合レジャー一体型マンション

が隣立する、新興住宅地だ。

1つのマンション地区に、5棟のメゾネットタイプの居住地、共同体育館・大浴場・コミュニティ

ーサロン・チャイルドルームなどの、多目的施設を同じ敷地内に持つこの新しいタイプのニュ

ータウンは、着工時からかなり、メディアなどで、注目を浴びていた。

都心から電車で40分という近さということもあり、建設終了後、すぐに入居する家族が、あと

を絶たない。

夏休みに、ここに引っ越してきて、今日から新学期を新しい学校で迎えるゾロも、このマンシ

ョンへの引っ越しは楽しみでもあり、新しい学校への不安も隠せなかった。











「ゾロ! 一体、いつまで寝てるの? もう、学校に行く時間よ! ほらっ、さっさと支

度して、朝御飯、食べなさい。 クイナは、もう先に行ったわよ! 本当に、起こしても

全然、起きないんだから・・・ うりゃ!!」

ナミは、寝ているゾロの敷き布団を勢い良く引き剥がし、ゾロを叩き起こした。

「・・・母さん・・・おはよ・・・あふ・・・」

まだ眠たそうな目をこすりながら、ゾロは、やっと着替えを済ませた。

「なに、ねぼけてんの?! 義姉さんなら、とっくに会社に行ったわよ。 それに、私

は、あんたのママじゃない、叔母よ。 でも、叔母さんなんて呼んだりしたら、どうなる

か、わかってるでしょうね・・・」

ナミは、ゾロの後頭部に鉄拳を食らわすと、先に、1階のリビングに向かった。

「痛ってえ・・・ ちったあ、大人なんだから、手加減しろよな・・・」

ゾロは、殴られた頭をさすりながら、ナミの後を追い、1階に下りていった。

ゾロは、今、小学2年生。

ここに越してくる前は、もっと内陸の山に囲まれた静かな田舎で暮らしていた。

ナミは、幼い頃亡くなったゾロの父の妹で、父とは、だいぶ年が離れていた。

イーストブルー国立大海洋考学科の2年で、海上における潮の流れとその変化、それによる

環境の変化などを専攻し、調査していた。

2年生ながら、その研究論文は高く評価され、大学でも、一目置かれるほどの才能の持ち

主であった。

クイナは、現在、小学5年生。

ゾロと3つしか違わないが、こちらに引っ越してくるまで、働いている母親をサポートし、家事

全般を子供ながらに受け持っていた、しっかりものである。





「えーっ?! また、トーストなのか? 俺、朝は、パンじゃなくて、ご飯が良いの

に・・・ ナミ、少しは、料理の勉強も、しといた方が、良いぞ。 こんなんじゃ、嫁の貰

いてが、ますますないぞ。 っ痛!」

「人がせっかく用意したモノに、ケチ付けるなんて、良い度胸じゃない・・・ あんたこ

そ、そのオヤジくさい言い方、いい加減止めなさいよ。 本当に、口のきき方知らない

んだから・・・ 一体、誰に似たのかしら・・・ お義姉さんは、明るくて礼儀正しい人な

のに・・・ それより、ゾロ、あんた、時間、大丈夫なの? 転校早々、遅刻じゃ笑わ

れるわよ!」

ナミは、もう一度、ゾロの頭に拳骨を食らわしてそう言った。

「げっ!! もうこんな時間・・・ 間にあわねえ・・・ ・・・いっふぇふぃまふ(いってき

ます)・・・」

ゾロは、ナミが焼いたトーストを口に銜えると、大急ぎで、学校に向かった。 











++++++++++++



「おはよう! 今日さ、また、転校生、来るんだって。 知ってた?」

「おはよ! うん、先週の土曜日、また、引っ越してきてたものね。 今度は、どんな

子かな??」

ここ、イーストブルー小学校は、ニュータウンに住んでいる子供達が通う小学校である。

ニュータウン造成に伴い、予想される子供の数の増加を見込んで造られたもので、まだ創立

して2年と経たない、新しい小学校であった。

「はい、皆さん。 今日も、新しいお友達の紹介からしますね。 今日から、この2年1

組の仲間になる、サンジさんと・・・あれ? 来てない? おかしいですね・・・確か

に、今日からって聞いてたのに・・・ えっと、とりあえず、サンジさんです。 皆さん、

仲良くしてね。」

2年1組の担任のたしぎ先生が、クラスの皆に、そう言った。

「ごめんなさい! 遅れました!!」

そう言って、ゾロが、バタバタと慌てて、教室に飛び込んできた。

「君・・・ロロノア・ゾロ君??」

「あっ、はい、そうです。」

「あっ、じゃあ、二人とも揃ったので、もう一度、紹介します。 今日から、2年1組の

仲間になる、サンジさんと、ゾロさん。 皆、仲良くしてね。 さあ、二人とも、自己紹

介できるかな?」

たしぎが、もう一度始めから、二人を紹介した。

「・・・サンジです・・・よろしくお願いします・・・」

「俺、ロロノア・ゾロ。 好きなモノは、ご飯と卵焼き。 よろしくな。」

サンジとゾロは、対照的なしゃべり方で、自己紹介をした。

一方は、人見知りしているらしく、はにかんで。

もう一方は、全く臆せずに、堂々と。

「じゃあ、サンジさんとゾロさんは、左の一番後ろの席に座ってね。 教科書類は、机

の中に準備してあるから・・・じゃあ、皆、国語の教科書出して・・・皆で、声を出して

呼んでみましょう・・・」

そう言って、たしぎは、二人を席に座らせて、授業を始めた。

「・・・お前も今日からなのか? 俺、ゾロって言うんだ。 よろしくな。」

ゾロは、そう言って、サンジに笑いかけた。

「・・・////・・・僕・・・サンジ。 ・・・よろしく。」

「??僕って、お前、男なのか? 俺、てっきり・・・」

「・・・よく言われる・・・女の子みたいだって・・・けど、男だ。」

そう言って、サンジは、にっこりと笑った。

「・・・///ふ〜ん。 お前、何処から来たんだ? 俺は、山の方から来たんだけどさ

あ。 ここ、海が近くて良いよな・・・ 俺、海、行ったことねえんだ。 なあ、今度、一

緒に行ってみないか?」

「・・・うん。 でも、ジイやに聞いてみないと・・・」

「ジイやって、お前、お坊ちゃんなのか? 小学2年だろ? そんなの、自分で決めね

えで、どうする。 行くのか行かねえのか、はっきりしろよ。」

サンジのはっきりしない言い方に、ゾロはイライラしてそう言った。

「・・・わかった。・・・行くよ。」

「そうこなくっちゃな。 じゃあ、今日、学校から帰ったら、行こうぜ。」

「えっ、今日? ・・・今日は、ダメだよ。 今日は、スイミングの日なんだ。 

・・・今度の、土曜日じゃダメ? 僕、弁当持ってくるから、一緒に、海で、食べよう

よ。 僕んち、レストランやってるから、作るのには、自信有るんだ。」

「スイミングって、お前、習い事してんのか?」

「あっ、うん。 父様が、泳げないのは、恥だからって。 あと、サッカーも、週に2回や

ってる。」

「へー、お前、見た目より結構、活発なんだな。 俺は、てっきり、家の中で、本とか、

ゲームばっかりやってんのかと・・・ お前、色、白いし・・・」

「色が白いのは、当たり前だよ。 僕の母様は、北欧の人だもの。 僕、ハーフなん

だ。」

「北欧?? ハーフ?? なんだ?そりゃ??」

「・・・つまり、僕は、外人の血が混ざってるの。 母様も、僕とそっくりな人で、金髪

に、蒼い瞳の人だったんだって。 だから、僕も、そうなんだよ。 ・・・けど、そのせい

で、どこに行っても、皆から、じろじろ見られたりして・・・ 君だけだよ。 僕に、こんな

に積極的に話しかけてくれたのは・・・僕・・・嬉しかった。」

サンジは、ゾロにニコニコしてそう言った。

「・・・////そ、そうか? せっかく一緒に転校してきたんだ。 机も隣同士だし、これ

も、何かの縁だろ? 俺達、今日から、友達な。」

「クスッ。 ゾロって、何かジイやに似ている。 しゃべりかたのせいかな?」

「・・・俺は、オヤジくさいからな・・」

「オヤジくさい???」

「・・・いや、何でもない・・・」

「へんなの・・・」

ゾロとサンジは、授業をそっちのけで、楽しくおしゃべりばかりしていた。









「今日は、とても、楽しかった。 こんなに、学校に来るのが、楽しかった事なんて、

今までなかったから・・・ ありがとう、ゾロ。 ・・・じゃあ、僕、ジイやが迎えにくるか

ら・・・」

「ああ、また明日な。」

ゾロとサンジは、そう言って、学校の校門の前で別れた。








(何か、すげえお坊ちゃんだったんだな、サンジって。 でも、俺、最初、女の子だと

思ってた。 だって、あんなに綺麗な顔してる男なんて、見たことなかったからなあ。

俺も、初めてだったぜ。 あんなにしゃべったの・・・何かさあ、ずっとニコニコしてるあ

いつ見てるのって、楽しいよな・・・)

「・・・あいつ、スイミング、通ってるって言ってたよな・・・ ・・・俺、水泳だけは、ダメ

なんだよな・・・俺も、通おうかな・・・」

ゾロは、ブツブツ独り言を言いながら、家路を急いだ。









「何か・・・楽しいことでも、おありでしたか? 坊ちゃん。」

ジイやが、ニコニコしているサンジの顔を見て、そう言った。

「うん! 僕ね、転校して初めての友達が出来たんだ。 初めてだよ。 転校した日に

友達になったのって。 その子ね、ゾロって言うんだよ。 面白い子なんだ。 今度、

海に、一緒に行こうって、誘われたんだ。 ね、ジイ、今度の土曜日、ゾロと一緒に、

海に行っても良いかな? お父様、許してくれるかな?」

サンジは、上機嫌で、ジイやにそう言った。

(ほう・・・余程、そのゾロという子が、お気に召したと見える・・・こんな上機嫌なぼっ

ちゃまを見るのは、久しぶりだな・・・ 奥様がお亡くなりになられてからは、ますます

人見知りが激しくなって・・・お友達のことをこんなに楽しく話すなんて事はなかったの

に。 本当によいことだ。)

「・・・わかりました、坊ちゃん。 このジイが、旦那様に話して差し上げましょう。 

でも、子供達だけで、行かせるわけには、参りません。 このジイもついて参りますか

ら・・・それで、良いですね。」

「ありがとう、ジイ! 僕、ジイの分も、一生懸命に、お弁当作るからね! 楽しみに

しててね。」

サンジは、そう言って、ジイやにギュッと抱きついた。

「・・・土曜日、楽しみですね。」

そう言って、ジイやは、にっこりと笑った。







 
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<コメント>

【折り鶴】以来の子ゾロ&チビナスもの・・・
子供なので、当然エリョはありません・・・
ルナ、捕まりたくないですから・・・(笑)
ほのぼの系でいきたいと・・・
プリンス(おぼっちゃま)サンジの可愛さが、出ればなあと(笑)
ゾロは、何歳でも、オヤジなんだよね・・・(-_-)
さて、これから、どういう展開にするかな・・・
・・・するかなって・・・そう、全く、この段階で、あらすじNOTHING!
なのよ・・・出た、ルナの行き当たりばったり駄文!!
と、とにかく、サンジ、可愛いvvと思って下されば、それで、良しとする!
(逃走・・・)