始まりは、ジャパネスク


その1





西暦28××年、人類による科学の進歩は、めざましく、人は、気軽に時空の旅を楽しめる

時代になっていた。





「お、おい!知ってるか? 今度の校外体験学習は、時間旅行チョイス式だってよ。 

オールリクエスト方式採用って事で、一人一人、3日間、自分の好きな、場所と時代

を設定できるらしいぜ。 俺、何処に行こうかな〜。 楽しみだぜ。 ところで、あいつ

は、何処にするんだろうな? 知ってるか?」

校外体験学習を2週間後に控えた、ここ、ラフテル学園高等部、2学年の各教室では、朝か

ら、その話題で持ちきりだった。

「おーい。 サンジ、いるか〜?」

「おう!、ここだ、ここ!!」

ルフィの呼び声にサンジが、窓際の席で、そう、返事した。

「なあ、なあ、サンジ。 サンジは、何処に行くんだ? 今度の校外探検。 

俺、サンジと一緒が良いな。 何処、行く?何処だ??」

ルフィは、屈託のない笑顔を向けて、サンジのところに駆け寄った。

「・・・ルフィ。校外探検じゃなくて、校外体験だ。 それに、何で、俺が、てめえ何かと

一緒に行かなきゃなんねえんだ? せっかくの旅行が、楽しめねえじゃねえか。 

俺は、一人で行く。 トラブルメーカーのてめえなんざ、こっちが、願い下げだ。」

サンジは、ふふんと笑うと、抱きつこうとしたルフィを足で、ブロックしながら、そう言った。

「ふがっ。 ちぇっ、サンジ、つめてえな。いーじゃんか、別に・・・ 旅行は、皆で行っ

た方が、楽しいぞ。」

出鼻をくじかれた格好のルフィは、抱きつくのを諦め、サンジの隣の机に、腰掛けた。

「バーカ。 可愛いナミさんや、ビビちゃんならいざ知らず、野郎と旅行するなんざ、考

えただけで、鳥肌立つぜ。 見て見ろ! この見事な、チキン肌・・・」

サンジは、制服の袖をまくり、大げさに、ルフィに腕を見せた。

「うっひょ〜っvサンジ、お前、色、白いな。 それに、すんげえ、細えー。 ナミより、

色白いんじゃないか?」

「・・・余計な、お世話よ!!」

ナミが、いつの間にか、ルフィのすぐ後ろまで来ていて、ルフィの頭に、げんこつを食らわし

た。

「痛てっ! あっ、ナミか・・・」

「ナミしゃ〜んvv おはようvv」

今までのルフィに対する態度とは一変して、サンジは、目をハートにして、上機嫌で、ナミに

挨拶した。

「ふふ。相変わらず、モテモテね。 ルフィ程じゃないにせよ、皆、サンジ君が、何処

に旅行するのか、さっきから、その話で持ちきりよ。 皆、密かに、一緒のとこにしよう

って・・・視線、感じない?」

そう言って、ナミは、教室を見渡した。

スッと、クラス中の、生徒達の視線が、サンジに集まる。

「ゲッ! てめえら、何考えてんだ?! 俺は、絶対、一人旅すんだからな!! 

誰もついてくんじゃねえぞ!!」

サンジは、教室中に、響きわたるような、大声で、そう怒鳴った。

「おっ?! 何、一人で、怒鳴ってんだ?サンジ。 おい、おい、てめえらも、もう、予

鈴、なっちまったぞ。」

担任のスモーカーが、クラスの違うルフィとナミに向かって、注意する。

「あら、もうそんな時間? じゃ、またね、サンジくんっv ほら、行くわよ、ルフィ。」

ナミは、未だサンジのそばから離れようとしないルフィの襟を掴むと、引きずるようにして、教

室を出ていった。

「じゃあ、皆。皆もすでに知ってるように、今年の校外体験学習は、個人体験となっ

た。皆、今週中に、希望を書いて、先生に提出するように! ・・・それでは、授業を、

始めるぞ。」

そう言って、スモーカーは、生徒に、プリントを配ると、授業を始めた。












2週間後。

「ちぇっ! 結局、サンジ、何処に行くか最後まで、教えてくんねえし・・・俺、サンジと

行きたかったのに・・・」

ルフィは、ブツブツと、サンジに文句を言った。

「そう、腐るな。ちゃんと、土産持ってきてやっから。 じゃ、ナミさん、ルフィ。 

3日後に会おうな。」

そう言って、サンジは、時空ステーションに入っていった。






















ところは、変わって、ここは、日本。

世は、藤原一門が、栄華を誇る平安時代・・・・・

「はあ・・・何で、わしは、不幸なんや・・・ 初めて生まれた姫(ひい)さんは、一昨

年、裳着(もぎ)を済まして、後は、宮中に入内と言うこの時に、流行病で、ポックリと

亡くなりはるし、もう一人の御子(おこ
*【みこ】とは違う)のルフィは、元服済ましても、

ちっとも大人にならへんし・・・・・・せめて、もう一人、御子がおればよかったんやろけ

ど・・・なんか、わて、前世で、悪い行いでもやったんやろか・・・はあ・・・・」

京の都から、少し離れた、宇治の山荘で、権大納言(ごんのだいなごん)藤原(ふじわらの)

ウソップは、深く、ため息を吐いて、庭の景色を眺めて、己の不幸を嘆いていた。

この頃になると、藤原一門の権力は、絶大で、多少に個人の能力が有ろう無かろうと、家柄

の格付けだけで、出世が決定付けられていると言っても過言ではない。

つまり、馬鹿だろうと、余程のことがなければ、生まれさえ良ければ、全て、順調に出世でき

る世の中であった。

このため息を吐いているウソップも、例外ではなく、藤原一門の中でも、摂関家の流れを汲

む一族の出身で、家柄の良さだけなら、都でも、1、2を誇る、大貴族であった。

末は、関白か、大臣かとも目されるウソップも、このところの不幸で、気が滅入り、ここ、宇治

の山荘で、静養を口実に、宮中の喧噪から逃げ出してきたのだ。

「・・・・せめて、後、一人、御子がいてたらなあ・・・姫さんでも御子でも良いから、子

供・・・できんかいなあ・・・」

一夫多妻性が横行しているこの時代、正妻一人しか持ってないウソップは、深く、ため息を

吐く。

別にもてないわけではない。

家柄が全てのこの世の中、ウソップの愛人になろうとする女性は、いくらでもいる。

しかし、生来、お人好しで、優しく気弱なウソップに、愛妻カヤを悲しませることなど、到底で

きるはずもなく・・・・ウソップの悩みは、解決することは、無かった。




「ガシャ−ンッ!!・・・バキバキ、ドカッ、バッシャーンッ!!」

不意に、眺めていた庭に、もの凄い音と、地響きが、轟いた。

「痛ってー。 ちくしょーっ! 何だって、急に、磁気嵐に巻き込まれなきゃ、ならねー

んだ。 くそっ。 ここ、何処だ? あ〜あ、こりゃ、もう使いもんにならねえな。 

とりあえず、SOS信号だけでも、届けよな・・・」

そう言って、サンジは、壊れた時空転送機(通称:時空くん)の赤いボタンを押して、そのま

ま、池に沈めた。

この頃の貴族の庭は、色々な趣向を凝らせたものが主流で、池と言っても、大人が裕に溺

れるくらいの深さのものが、もてはやされていた。

「あ〜あ、制服も、びっしょりだ・・・冷てえ・・・それより、ここは・・・どこだ?」

サンジは、落ちた池から、そう言って上がると、まわりをきょろきょろと見渡して、縁側で、腰

を抜かして動けずにいる、ウソップを見留めた。

「アガ・・・が・・・」

ウソップは、顎が外れたように、口を開けたまま、驚きで声も出ない。

「おい! オヤジ、ここは、一体、どこだ? 何の時代だ?」

サンジは、濡れた服のまま、ウソップにところまで行くと、ウソップにそう尋ねた。

「い、今は、怖れ多くも、今上帝(きんじょうてい)シャンクス様が治める御代(みよ)

や。 そして、ここは、都でも有名な、藤原ウソップ様の山荘や。・・・それにしても、あ

んさん、ど、どっから、でてきたんや・・・」

ウソップは、震えながら、サンジにそう言い返した。

(今上帝?御代?藤原??・・・やべえ、あの磁気嵐で、到着ポイントがずれてやが

る・・・こいつのこの格好からして・・・ここは日本・・・さしあたって、平安時代か・・・・

とりあえず、どうすっかな・・・ ・・・やばいな・・・時空法では、その時代に影響を及

ぼすことは、禁止されているのに・・・ 何とか、こいつを上手く、丸め込まなけれ

ば・・・」

サンジは、そう考えて、もてるだけの知識を持って、言い訳を考えた。

「じ、実は・・・俺・・・遠い国に住んでいたのだが、化けもの・・嫌、鬼にさらわれちま

ってよ・・・さっき、鬼の腕から暴れて、空から落っこちて、逃げてきたんだ・・・ 

すまねえが、迎えの者が来るまで、ここに匿っちゃくれねえか?」






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<コメント>

いよいよ始めてしまいました、平安もの・・・
でもこれは、ルナ的には、学園モノかと・・・(笑)
あとあとで、どっぷり、平安モノをやりたいが為の、
布石と言ったところです・・・(^_^;)
この駄文については、まだまだ作成途中なので、
ちまちまと、UPしていきたいと思っています。
そのうち、全容がわかってくると思いますが、
なんせ、ルナもラスト以外は、決定していないので、
もしかすると、思った以上に、長くなるかも知れません・・・
でも、何て最低な、キャラのネーミング・・・
それに、まだ、ゾロも出てこない・・・でも、これも、ゾロサンが、主役です!
それだけは、間違い有りません!!(今のとこ自信有り)
さて、クイズです!! ゾロは、この後、どんな役柄で、登場するでしょうか?
おわかりになりましたら、BBSか、メールでご連絡下さいませ。
正解者の方には、駄文のリクエスト権OR駄文DLF権さしあげます・・・
って、いらないか。(笑)

それでは、また近いうちに★