BEGINNING その2 |
ポカンと、そう、ポカンと口を半開きにし、サンジは俺の腕の中で、固まっていた。 そして、抱きしめる腕の感触にやっと気が付いたのか、あわてて抵抗しだした。 「ば、馬鹿、お前!! 気色い!! 冗談は止めろよ!! サンジは、そう言って腕をはがそうともがく。 「嫌だ、はずさねえ。 それに、お前、少しうるせえ。」 俺は、そう言うと無理矢理、サンジに口付けた。 「んんっ?!・・・んっ・・・んふ・・・んっんー・・」 俺の突飛な行動にサンジはドンドンと胸を叩いて抵抗した。 「ん・・・んっ・・・ふぁ・・・んん・・・んあ・・・」 サンジの甘い吐息が、俺のからだに熱を吹き込む。 「ロロ・・・これは・・・夢・・・」 サンジは、呂律のまわらない声でそう言うと、フッと意識を失った。 「お、おい!!サンジ!!」 俺は、必死で揺さぶってみた。 「zzzz・・・・」 静かな寝息を立てて、サンジは、俺の腕の中で眠っていた。 「・・・・・・・何で、ここで、寝る・・・・」 俺は、行き場の無くなった熱を持て余し、ため息を吐いた。 突然、キッチンの扉が開いた。 「サンジ君、何か、飲みもの・・・」 ナミがそう言って、入ってきた。 「な、なにしてんの?ゾロ!! ・・あ、あんた、まさか・・・」 ナミが疑いの目で俺を睨み付けている。 「あん?! これか? ・・・寝ちまってな・・・」 俺は、眠っているサンジに目を向けた。 「そ、そんなこと聞いてんじゃないわよ! あんた、サンジ君に、何か・・・」 「うるせえぞ、ナミ。 こいつが起きるじゃねえか。喉が渇いたんなら、てめえで、水飲 俺は、ナミの怒鳴り声を途中で遮ると、静かな声でそう言った。 「・・・・・・・・・」 ナミは、無言で、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと、それを持って、キッチンの扉を 「あんた、サンジ君泣かせたら、ただじゃおかないからね!」 そう言い放って。 「そんなこと、するわけねえ。」 俺は、サンジを抱く腕を引き寄せた。 (ずっと、こうしていたい・・・) 俺はそう思いながらも、サンジを抱いて男部屋に行き、ベッドに寝かせた。 「・・・サンジ・・・お前は、俺のこと・・・どう思ってる・・・」 俺は、サンジの髪を鋤きながら、ベッドの横で、そう呟いた。 俺は、重い瞼をゆっくりと開けた。 (誰だ?) 俺は、神経を開いた瞳に集中した。 「んなっ!!」 俺は、思わず、絶叫した。 「どうした?サンジ・・・」 チョッパーが、眠い目をこすり、俺を捜す・・・ 「い、いや、何でもねえ。 寝惚けただけだ・・・チョッパー、まだ早いから、寝て 「うん・・・わかった・・・おやすみ、サンジ・・・」 チョッパーは、もそもそとまた、眠りについた。 「・・・・・・・・・・」 (落ち着け・・・俺・・・でも、何で、すぐ隣に、こいつが寝てんだ? 何で、俺、ゾロに 俺は、やっと、客観的に自分の置かれている状況を把握した。 「ちくしょー、ビクともしねえ・・・」 俺は、腕を払いのけようと懸命に暴れた。 (何て、頑丈な腕なんだ・・・それに・・・なんで・・・てめえ・・・上半身裸なんだ? 俺は、一瞬、目の前が真っ暗になってしまった。 (昨日、・・・何があったんだ・・・何で、ゾロが、こんなに近くにいるんだ・・・ずっと・・・ 俺は、溢れる気持ちを抑えることが出来なかった。 「・・・・・・・・・・」 こみ上げてくる感情に、言葉が・・・・つまる・・・・ 「・・・ゾ・・・・ロ・・・・好・・・・きだ・・」 俺は、誰にも聞こえない様なか細い声で、そっと呟いた。 「オラッ!! てめえ・・・気色悪い腕どけろ!! 寝ぼけてんじゃねえ!! 俺は、怒ったふりをする・・・ 「痛てえ・・・」 ゾロは、呻きながら、目を覚ました。 「いよう、お目覚めか?このエロ剣士。 ・・・昨日・・・何があったかは、思い出せね 俺は、泣きそうになる自分を叱咤して、そう、ゾロに言った。 (は、は、は。 怒ッちまったか・・・そうだろな・・・) 俺は、ゾロの顔が見れなくて、目をそらした。 「てめえに指図されるいわれはねえ! 俺は、自分のとった行動を、簡単に忘れられ ゾロが、真剣な眼差しで、俺にそう言った。 (馬鹿な・・・これは・・・夢だ・・・ ・・・俺の都合のいい・・・都合良すぎる・・・夢・・・) 俺は、呆然として、ゾロの顔を見た。 「・・・サンジ・・・好きだ・・・」 ゾロは、掠れた声でそう言うと、俺を強く抱きしめた。 「・・・お、俺・・・まだ、夢見てんのかな・・・こんな都合のいいことが、現実に・・・起こ 俺はそう呟くと、ゾロに微笑んで、もう一度、その頬に、こわごわと手を伸ばした。 「・・・ゾロ・・・ゾロ・・・ゾロ・・・」 俺は泣きながら、ゾロにしがみつく。 『本当に好きな人には、簡単に言えるモノじゃないわ。』 ちょっと前、ナミさんが、俺に言った言葉・・・ 「・・・俺・・・側にいて・・・良いのか? ・・・もう・・・隠さなくても・・・良いのか?・・・ 俺は、それだけ言うのがやっとだった。 「ああ、夢見てえな、本当の話だ・・・」 ゾロは、笑いながらそう言うと、俺に優しく、口付けた。 何て、優しいキスなんだろう・・・ 「ゾロ・・・俺も・・・好きだ。」 そう言って、俺は、ゾロの背中に腕を廻した・・・ |
<コメント> このお話は・・・実は、キリリクNO.100の『サンジVSゾロの元恋人』 の前段階のお話でして・・・ 凄く長くなりそうな予感がしてるので、 敢えて、ここできりました・・・ もう少ししたら、キリリクの方に本題をUPさせる予定ですので、 興味を持って頂けたら、そちらもご覧になってみて下さい。 って、まだ、草稿も書いてない状態ですが・・・(^_^;) 今回は、前半を、サンジ・ゾロ視点で、後半をサンジ視点で 書いてみました。こういうスタンダードな始まり方も、 ルナは、好きです・・・ ちょっと、消化不良の感が・・・何かが足りねえ・・・ おお、そうだ! いつもなら最後に誰かの落ちで終わるのに・・・ ちょっとだけ、シリアスに終わってしまった・・・ まっ、いいか・・・(逃!!) |