Sweet Angel


その8





・・・・・・・・・・・・・・・1週間後・・・・・・・・・・・・・・

皆の前では平然として、いつもと変わらないように振る舞っているサンジだったが、

あれ以来、サンジは、ため息を吐くことが多くなった。

相変わらず元気のないサンジのことで、ナミは、ゾロとロビンに話をした。

もちろん、サンジには、気付かれないようにして。

「ねえ・・・・・あれからサンジ君、元気ないんだけど、何か、良い知恵ない??」

「・・・・・・・・私、性転換できる悪魔の実を、本で読んだことがあるわ。 ちょっと、強

引だけど、サンジ君に、本当の赤ちゃんを産んで貰うっていうのは、どうかしら?」

ナミの問いかけに、ロビンは、そう発案する。

「!!それ、それって、良いかも・・・・・」

「・・・・・・・・・・俺は、反対だ。 第一、サンジが、その実を食うとは思えない。 

それに、あいつには、あいつの夢があるんだ。 ・・・・・・・・・・それに、あいつは、い

つまでも、こんな事にうじうじしてる奴じゃねえ。 もう少し、そっとしておいてくれる

か。」

「「・・・・・・・・・・・・わかったわ。」」

一度は、決まりかけた作戦も、ゾロの言葉で、撤回され、ナミとロビンは、暫く様子を見ること

にした。










一方、調理場では・・・・・・・・・・・・

サンジが相変わらずため息を吐きながら、夕食のあと片づけをしていた。

「はあ・・・・・俺って、駄目だな。 ナミさん達に気を使わせて・・・・・ 

しっかりしろ! 俺!!」

そう言って、自分に渇を入れていたとき、急に、背後に、何かの気配を感じた。

「だれだっ!」

そう振り向いたサンジの後ろには、ナミそっくりの可愛い天使が、立っていた。

「こんばんは、サンジさん。 驚かせて申し訳ありません。 私は、智天使ナナ。 

今日は、あなたにお礼が言いたくて、ここまでやってきました。 テンは、あなた達に

たくさんの愛情を頂いて、立派な、天使になれました。 今のテンがあるのは、あなた

達のおかげです。 何のお礼もできませんが、私達の・・・・テンから、感謝を込めて、

送ります。」

そう言って、ナナは、サンジの頬にそっと口付けた。

「では・・・・・本当に、ありがとう、サンジさん・・・・・・」

ナナはそう言って、サンジの前からスッと消えていった。

「はあvv ナナしゃんから、キスして貰った・・・・・・・・ナミしゃんによく似た可愛い天

使・・・・・ああっ! 俺は、感激したぜ!! なんだか、がせん、やる気出てきた。 

ああっ、ナナしゃん、もし、俺が死ぬときは、もう一度、そのお姿を俺に、見せて下さ

いねー!!」

サンジは、誰もいないキッチンで、一人、そう叫んだ。

そして、鼻歌混じりで、勢い良く、汚れた食器を洗っていく。

「・・・・・・・・・・なんだ。 さっきまで、しょんぼりしてたのに、えらく機嫌がいいじゃね

えか。 なんかあったのか?」

ゾロが、あまりのサンジの変わりように驚いてそう声を掛ける。

「ああ、さっきな。 ナナさん・・・・・いや、なんでもねえ。 良いだろ、別に・・・・いつ

までもうじうじしてるのは、俺の性格にあわねえからな。 それより、ゾロ。 酒、つき

あえよ。 俺、今、むちゃくちゃ、飲みたい気分なんだ。」

サンジはそう言って、食器を洗い終わると、とっておきの酒を出して、ゾロと飲み始めた。

終始にこやかなサンジ・・・・・・・お酒の量も、だいぶん飲んで、上機嫌になっていく。

「・・・・・・・・・・・なあ、サンジ。 何があったか、俺に話せよ。」

ゾロは、サンジの変化の原因が気になって、そう尋ねる。

「・・・・それはらなあ・・・・・ナナしゃんが・・・・・・ナミしゃんによく似た天使が、俺のと

こに来て・・・・・・チュッと・・・・・・・チュッと、頬にチューしてくれたんだよ・・・・・・

へへへ・・・・・・・・・・いいらろ・・・・・・・・・・あっ・・・・・でも、これ、ロロには、内緒

な・・・・・・・・・・あいつ・・・・・・・・顔に似合わず、すぐやきもち妬くからな・・・・・・・・

内緒・・・・・・」

サンジは、自分が飲んでいる相手が、ゾロと言うことも忘れて、ペラペラと上機嫌に喋ってい

く。

「ふ〜ん、良かったな、サンジ。 ・・・・・・・・・俺は、そんなにやきもち妬きだと思う

か?」

ゾロは、こめかみをヒクつかせながら、サンジに尋ねる。

「おおう・・・・・・そりゃあ、もう・・・・・・・・俺が、他の奴とちゅーしたっていった

ら・・・・・・・・・・・俺、マジ・・・・・・・・・・・・・お仕置きもんだぞ・・・・・・

・・・・・そう、こう言った顔で、俺のこと睨んで・・・・・・・・・睨んで???

・・・・・・にら・・・・・ん・・・・・・ゾロ!! てめえ、いつからここに??」

ガタンッ!!

サンジは、慌ててイスから飛び退き、すっかり酔いが醒め、青ざめた顔で、ゾロにそう言っ

た。

「・・・・・・・・・・始めからだ。 もともと、てめえが、一緒に飲もうと、俺を誘ったんじ

ゃねえか。 弱い癖に、がばがば飲みやがって・・・・・だいたい俺と飲んでいることを

忘れるのが、気にいらねえ・・・・・・・・・・・・それに、俺は、嫉妬深いらしいからな。 

ご期待に添うように、せいぜいがんばってみるか・・・・・・・」

ゾロはそう言って、ニヤリと笑みを浮かべると、サンジににじり寄った。

「・・・・・ゾロ・・・・・・嘘だ・・・・・・さっきの嘘だから・・・・・・なっ。 ・・・・・・・冗談だ、

冗談。 やだな、真に受けて・・・・・・・・・・・あっ、俺、明日の仕込みするの忘れて

た。 じゃ、ゾロ。 そう言うことで・・・・・・・」

サンジはそう言って、流し台の方に駆け出した。

「逃すか!」

ゾロは、そう言うなり、サンジを肩に担ぎ上げる。

「わっ、馬鹿。 下ろせ、下ろせよ、馬鹿ゾロ! 俺は、そう言う気分じゃねえんだ!

嫌だ〜! ナナさんの想い出が、消えてしまう〜」

サンジは、ゾロの肩の上で、ジタバタともがく。

「・・・・・きっちり、朝まで付き合って貰う!」

ゾロはそう言いきって、サンジとキッチンを出ていった。

「嫌だ〜!! ゾローッ! 放せー!!」

サンジの声が、甲板に響いた。

「・・・・・・・・・やれやれ・・・・・・あの様子だと、サンジ君、復活したみたいね。 

また、耳栓しないと・・・・・」

ナミはそう呟いて、ふふふと笑った。














+++++++++++++++++++++



「ねえ、本当にあんなコトして、良かったの?? テンが、行った方が良かったんじゃ

ないの??」

天界では、サンジのところから戻ったナナが、テンとロロに向かって、そう話していた。

「アレで良いんだよ。 俺が行くよりは、ナナが行った方が、絶対に喜ぶんだって。 

俺が言うんだから、間違いねえよ。 なっ、ロロ。」

「・・・・ああ、たぶんな。」

「ほらっ、ロロもそういってるし・・・・・・・・じゃあ、ロロ、ほらっ、行くぞ。 卵が、俺達

を待ってる。」

「えっ?! あんたたち、まだ、卵の番人してるの?? いい加減に、熾天使に戻り

なさいよ! 全く、何の為に、背中に羽を7枚も8枚付けてるわけ??」

ナナが、呆れたように、二人にそう言った。

そう、二人は、それぞれ7枚のはねと8枚の羽を持つ、天界きっての大天使となり、熾天使と

して、他の天使達のリーダーになり、天界を統率するはずであった。

「えーっ、だって、あんなのめんどくさいし・・・・・別に俺達がいなくったって、天界は、

どうともなってないんだから、これで、いいんだよ。 それに、卵を番するのは、重要な

役目だぞ。 さっ、行こう、ロロ。」

そう言って、テンとロロは、卵が待つ空間へと、消えていった。

「・・・・・・・全く。 あいつら、全然わかってないわ。 どれだけ、あいつらの尻拭い

を、あたしがさせられていることか・・・・・ ・・・・・・・・だいたい、『テン』って言う名前

だって、人間界の仮の名前じゃない・・・・・・・・・・『セージ』って言う、立派な天界名

があるんだから、そっちを名乗ればいいのに・・・・・・・・・・ 変なところで、人間かぶ

れしてるんだから・・・・・・・・・ やっぱり、人間界に係わる天使って、どっか変な

のよねえ・・・・・・・・・・・・・・それに・・・・・・・・・全部、あいつら宛の書類が、あたし

のところに回って来るんだからね。 ・・・・・・絶対、二人っきりなんかにさせてあげな

いんだから・・・・・・・・見てらっしゃい・・・・・・」

ナナは、そう言って、グッと、拳を握った。










「おっ、ロロ。 こっち、生まれそうだぞ。 今度は、どんな天使だろうな。 とびっき

り、可愛い子がいいなあ・・・・・って、おい! 勤務中だぞ? 寝るなよ! おい!」

「・・・・・そんな事言ったって・・・・・・・テンの膝・・・・・・・・・気持ちよくて・・・・・・・

zzzzzz」

「・・・・・・もう。 しょうがねえなあ。 暫くの間だけだぞ、いいな。 ・・・・・ふぁあ

あ・・・・・・俺も、何だか・・・・・眠くなってきた・・・・・zzzz」

テンとロロは、生命の樹の下で、つかの間の安らぎに包まれていた。

・・・・・・・・・・・・目を覚ました後に訪れる、天使の赤ちゃん達の世話に追われることになろう

とは、夢にも思わずに・・・・・・・・・・・・






「これくらいの意地悪は・・・・・・・当然よ、ね?」

ナナが、次々に来る書類を処理しながら、そっと、呟いた。








<END>







   
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<コメント>

如何だったでしょうか?
こんなコミカルな終わり方が、ルナは、大好きです。
シリアスで終わらないところが、このサイトの売り??(えっ?!・爆)
最初のとこで、エリョ入ってたので、最後は、細かいとこまでは、
追求せずに、終わらせました。(笑)
あの後、サンジがどうなったかは・・・・・・
皆さんがお考えの通りです。 ふふふ・・・・・・
ここまで、おつき合い下さって、ありがとうございましたvv
一度、天使モノ、書きたかったのよねえ・・・・・・(^_^)

では、また★