Sweet Angel


その1





「ふぁあ・・・・退屈だぜ、全く・・・しっかし、最近、営業成績が悪いからって、これは

ねえよな・・・・ こんな退屈な仕事・・・ でも、これだけ卵があるのに、この中の、た

った一つ選ばれたモノだけが、大天使になれるんだから、大事にしねえとな。 

ふぁ〜、でも、俺、眠くなってきた・・・少しだけ・・・別に卵が、勝手に動くなんてねえ

から、少しぐらい、良いよな・・・・zzzzz・・・」






俺の名は、ロロ。

一応、天使だ。

天使と一口に言っても、いろいろあるんだ。

大天使を筆頭に、熾天使(セラフィム)、智天使(ケルビム)、座天使(スローンズ)、主天使

(ドミニオンズ)、能天使(パワーズ)、etc・・・。

俺は、元々能天使なんだけど、まだ見習い中で、死の天使として、働いている。

まあ、天界も全然平和だし、闘いがおきることが無くなって、能天使としちゃ失業間違いなし

なんだ。

ああ、能天使というのは、警備の最前線を任せれる天使で、一番危険な部署だ。

だから、腕に自信がねえと、務まらねえ。

俺なんか、自信ありありなんだがなあ・・・

っで、死の天使って言うのは、つまり、人間界で言うところの『死に神』だな。

生きとし生けるモノ全ての魂を回収するのが、仕事って訳だ。

これが、なかなか競争が激しくて、綺麗な魂をどれだけ回収できるかで、成績が付けられる

んだ。

綺麗な魂って言うのは、悪魔にも欲しがられるから、それはもう、大変だ。

聖人が虫の息の時から、互いに牽制しあってるしよう、天使仲間でも、成績がつくからと、マ

ジになってやる奴いるし・・・

俺は、あんまりそんな成績なんてのには、興味ねえから、ちんたらやってたら、こんな天使の

卵の管理人になっちまった。

知ってるか?

天使って言うのは、1000年に1度、人間界で、生まれることがあるんだぜ。

東の国では、蓮の花の中に・・・

西の国では、白百合の中に・・・

てめえも今度、でっかい蓮の花や、光ってる白百合の花見つけたら、そっと、観察するんだ

な。

でも、間違っても、その花を手折ろうとするんじゃねえゾ。

その花には、ちゃんとなあ、おっそろしく強い管理人がいて・・・

ちょっとでも、その花に触れようモノなら、容赦なく消されるぜ、未来永劫の闇の中に・・・

ああ、話がずれちまった。

天使はなあ、卵から生まれて来るんだ。

それも、自分の意志で、生まれる時を決定できるんだ。

でも・・・俺が、いないうちに、生まれてこなくても・・・いいんじゃねえか・・・

そう、俺がちょっと眠っている間に、大事件が起こったんだ。






「ロロ!! ほらっ! 起きて!! ロロ!!」

「・・・ん? ・・・ダレだ?・・・」

俺は、まだ眠たげな目をこすり、瞳を開けた。

「あっ、ナナ。 どうしてここに??」

俺は、突然現れた上司に、慌ててそう言った。

ナナは、俺の直属の上司。

上司と言っても、俺と年は変わらない。

だから、俺は、いつも、タメ口を聞いている。

けど、死の天使の副長官で、羽も4枚もある智天使だ。

とてもエリートで、智天使から出向して、死の天使に配属されている。

智天使とあって、その知識の豊富さ、思考の高尚さには、俺も、一目置いている。

「・・・どうしてじゃないでしょ?全く・・・ あんたが、のんきに昼寝してる間に、卵が、

1つ、盗まれたじゃない! さっ、早く、追いかけて、卵を無事に取り戻してちょうだ

い。 このことが、長老達の耳に入ったら、あんた、今度は、ただじゃ済まないわよ。

あたしでも、庇いきれないんだから・・・ 卵は、人間界を通過中よ。 ほらっ、急い

で!」

「すまない、恩に着るぜ。」

俺はそれだけ言うと、すぐに、卵を追った。

卵から発せられる天使だけにわかる光を目印に、人間界に入った。

「いた! 見つけた。 ・・・ふざけた野郎だぜ・・・この俺から、卵を盗むとは、良い度

胸じゃねえか。」

俺はそう呟いて、最高速度で、その卵の救出に向かう。

「魔界のモノか?」

「・・・だったらどうした。 のんきに昼寝してる奴が・・・たかが、羽2枚のヘボ天使

に、俺が、倒せるか?」

そう言って笑う奴の背には、4枚の黒い羽・・・・

魔界でも、羽の数は、そのまま、能力のレベルを表す。

・・・・こいつ・・・・幹部級の・・・それも、堕天使・・・・・

ちょっと・・・術では、勝てねえかも・・・

・・・仕方ねえ・・・あれ、だすか・・・・

俺は、メイス(開錠)の呪文を唱え、手の中に封印してある剣を取り出す。

「!!・・・そ、その剣は・・・何で、お前みたいな下級天使が、そんな聖剣を・・・

・・・それを扱えるのは・・・ぐわあっ・・・」

「・・・下級天使で悪かったな・・・・ ・・・卵は、返して貰う。」

俺は、剣で、相手に、致命傷を与えると、奴が持っている卵に手を伸ばす。

「ちっ、このまま返すぐらいなら・・・」

奴は、なにやら呪文を唱えると、卵を人間界に投げ捨てた。

「あっ、馬鹿、なんてこと・・・」

俺は慌てて、卵を追いかける。

あとちょっとで、手が・・・・そう思った瞬間、卵は、目の前から消えてしまった。

俺は、奴のところにきびすを返す。

だが、奴は、他の魔界の者に消された後だった。

・・・・・・・まずい・・・・凄く・・・まずい・・・・・・・・

卵からの光が、見えねえ・・・・

くそう・・・・これじゃあ・・・・・見つけられねえ・・・・・

・・・仕方ねえ・・・・ナナのとこにいって、相談してみるか・・・・

俺は、ナナのところへ行き、事情を話す。

「・・・そう。 やっぱり、魔界が動いてきたのね・・・ ロロ、あなたにだけ、話すわ。

あの卵・・・そう、あれは、この世界の運命を握っている卵なの。 あの卵は、孵化す

る場所で、生まれてくる者の感性が決まるの。 そう、ここで孵化したら、大天使の中

でも一番の力を持つ8枚の羽の大天使になるはずだった・・・・ ・・・でも、反対に、魔

界で、もし孵化したら・・・ この意味、解る? ロロ・・・」

「ああ・・・・ でも、普通、卵って、自分で、孵化する時期とか、場所とか選べるはず

だろ? だったら、心配する必要は、無いんじゃないか?」

「普通なら、ね。 でも、ロロ、あなた、卵からの光が見えなくなったって言ったわよ

ね? ・・・それは、つまり、何らかの形で、卵の意思が、働かなくなってるって事よ。

たぶん、あの魔界の堕天使が最後の呪文で、そう言う風にしたんじゃないかしら・・・

そしたら、あの卵、自分の意志とは関係なく、生まれてくるわ。 ロロ、あなたに、死

の天使として復職して貰うわ。 死の天使として、人間界で、魂を回収しながら、あの

卵の行方を追うのよ。 急いで。 もう、魔界の者達も動き出してるかも・・・ お願い

よ。」

「わかった。 全力を尽くす。」

俺はそうして、死の天使として、人間界で、あの卵を探すこととなった。










  
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<コメント>

ゲリラUPで〜す!!
更新以外に、こうやって、書いたばかりのモノを、
即UPしていくことがあります!!
たぶんこの駄文は、この後も、ゲリラで、UPされると思います。
これの何処が、ゾロサンやねん!っていう、始まり方・・・(笑)
笑ってる場合じゃねえよ・・・って・・・(-_-;)
まあ・・・・これから・・・・これからさっ!
さて・・・・どんな話にしようかな・・・・って、おい!(爆)
では、続き、待ってて、ね。