いつか、王子様が。 その1. |
ずっと、ずっと、信じていた。 いつか、白馬に乗った格好良い王子様が、俺のピンチに駆けつけて・・・ 俺を悪党達の手から救い出して・・・・ そして、二人は恋に落ちて・・・・・ 末永く暮らす・・・・そんな夢物語。 それもこれも、物心ついたときから毎晩、子守唄代わりに聞かされた乳母の話のせいだ。 だから、俺は、ずっと信じてたんだ。 俺にも、王子様は現れるって・・・。 けど、現実はな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夢は夢なのかなぁ。 「サンジ姫・・・貴方を愛する私の気持ちに嘘はありません。 貴方の父王にも了承を 頂いているのです。 そろそろ、お返事をお聞かせ願いませんか?」
そう言って、ギン王子はにっこりと笑い、サンジ姫の手を捕る。 サンジ姫はそれだけ言うと、ギン王子の手をやんわりと振りほどき、微笑する。 「じゃあ!! 良いお返事を頂けるって考えても良いんですね!!」 「ええ・・・・・・・まぁ・・・・」
「わかりました! 俺、また来ます!! サンジ姫、貴方のお返事待ってますから!! サンジ姫の言葉に気を良くしたギン王子はそう言って、意気揚々と部屋を出て行った。
「・・・・・ったく。 どうしようもねえ奴だな、あのギン王子は。 確かに近隣の国の中じ そこまで言って、サンジ姫は腕組みをして考え込む。
「・・・・・・やっばいなぁ。 ここ、何処だ? なんで街が見えねえんだ・・・? あー、疲 そう呟いて、キョロキョロと辺りを見渡しても、辺りは薄暗い森の中。
「・・・・・足痛え。 ・・・・・こんなことなら、ちゃんと下調べしてから出るんだった。 サンジ姫は大きな樹の根元にドカリと腰を下ろすと、フーッと深い溜息を吐く。 ボトッ!! そのサンジ姫の肩に樹から何かが落ちてきた。 「ん? ボトッて・・・?」 じっと自分の肩を見つめる。 「う゛・・・・・・・ギャアァァァァーーーーーッ!!」
蜘蛛を見たこと無かったサンジ姫は、そのあまりのグロテスクさに気を失ってしまった。 道無き道を掻き分けて、ゾロは自分の家を目指す。 「ん・・・? なんだ、ありゃ??」
樹の根元にキラリと光るものを見つけたゾロは、急いでその方向へと駆け出した。 「・・・・・・おい! お前、こんなとこで何してんだ?」 放っておくわけにもいかず、ゾロはそう声をかけ、肩を揺すった。 「ん・・・・・・なに・・・?」 ゾロに揺り動かされて、ゆっくりと、サンジ姫がその瞳を開ける。 「・・・・・・王子・・・・・様・・・?」
やや焦点の合っていない瞳で微笑して、サンジ姫はそう言うとゾロの首に腕を廻しギュッと抱 慌てて、ゾロはサンジ姫を引き剥がす。 「ん・・・? ・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ!俺、ごめん!!」 ゾロに腕を捕まれ、サンジ姫はその感触で我に返った。
「・・・・・大丈夫か? ・・・・・こんなところで何をしている? ここは、お前のような身分 「あ、いや、俺さ・・・・・街に出るつもりで・・・・・・・」 ゾロからそう聞かれ、サンジ姫は気まずそうにそう答える。 「なんだ、お前も迷子なのか?」
「だって、俺・・・・・城から出たことなんかなくて・・・・・・っつうか、『お前も』って、『も』 「おう!」 サンジ姫の言葉に、ゾロはあっけらかんとそう答えた。
コクンと小首を傾げ上目遣いで、サンジ姫はそうゾロに言う。 最後の一押しとばかりに、その蒼い瞳を潤ませてゾロを見つめた。
「・・・・・・・馬鹿だろ、お前・・・・・そんな甘っちょろい考えでどうすんだ? 俺は、自分
ゾロはムッとした表情で、サンジ姫を見るとそう言ってその場から歩き出す。
「うっ・・・・・うわぁぁ〜〜ん・・・!! 酷いよぅ〜ヒック・・・・・うぇっ・・・・うえぇぇ〜〜
サンジ姫は、その場で泣き伏して号泣する。 「・・・・・・・あー・・・・ったく、もう・・・・」
ゾロは苦りきった表情をして、踵を返すとサンジ姫の元に戻る。 「・・・・・どら、足を見せてみろ。」
ゾロはそう言って、サンジ姫の前にしゃがみこむ。
「ったく・・・こんな靴で歩くからだ。 ほらよ、これで少しは楽になる。 ここに居る気が ポンとサンジ姫の頭に手を乗せ、ゾロはそう言って溜息を吐く。 「うっく・・・・・あり・・・・・ありがと・・・・・・・」
「あーぁ・・・こんなにぐしょぐしょになって・・・・ほら、これで拭けよ。 綺麗な顔が台無 「うん・・・・・・。」 サンジ姫は、ゾロから差し出されたバンダナでゴシゴシと涙を拭った。 「ん・・・? お前、肩に何つけてんだ?」
ふと、サンジ姫の肩に黒いものが乗っているのに気が付いたゾロは、そう言ってその物体を指 「うっぎゃあぁぁぁぁ〜〜〜・・・・・!!!」
この日二度目の絶叫と共に、サンジ姫の意識はそこで途絶えた。 |
<コメント> こちらは、みじゅき様のリクエストで、 『連れ去られたお姫様サンジを助けにいく王子ゾロ』 イメージ的には、『天空の城 ラピュタ』でvv なんですけど、もしもし??(ビクッ) 何処がラピュタやねん?!(ビクビクッ) いや、最低限、サンジ姫を助け出すシーンがあれば、良いって・・・(汗) ・・・・・・・・・・・・・・・・・。 じ、じゃあ・・・・(逃走) <kiririku−top> |