It’s Mine! その1. |
俺とあいつが、めでたく両想いとなってから一週間。 クルー達には、まだ知られていない。 知られるわけには、いかないだろ?やっぱ。 だってさ・・・・・・。 いつも喧嘩ばっかりしていたあいつと、恋人の関係になっただなんて・・・。 しかも、レディ至上主義の俺が、だ。 あんなまりも野郎に惚れたとバレちゃあ、死活問題になりかねねえ。 しかも・・・・・・俺が・・・・・・・ 受け入れる側・・・・。 まっ、流れだ、流れ。 深くは突っ込むなよ・・・。 けどよ・・・・・。 あいつが・・・・・あのロロノア・ゾロが、俺のもんだって・・・。 そう宣言したいのも、偽らざる俺の気持ち・・・。 ・・・・・複雑なんだよなぁ・・・。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ある梅雨の晴れ間の穏やかな午後。 俺は、洗濯物を干しに船尾に向かう。 と、まぁ、表向きはそんな感じで、実のとこ、眠っているあいつの傍に近づきたいだけだ。 「あ・・・・・・いた・・・。 ゾ・・・」 「お〜い!!ゾ〜ロ〜ッ!!」 俺の前をそう叫びながら、ルフィが通り過ぎていく。 「な〜んだ、そうか。 おう、わかった。 じゃあな〜。」 話が済んだのか、ルフィは、そう言ってゾロの傍から離れた。 「うっし! チャンス到来! おい、ゾ・・・」 「あのさー、ゾロ・・・。 ちっと手伝ってくれねえか?」 そう言って、俺の言葉を遮ったのは、ウソップだった。 「ああ、今行く・・・。」 あいつは、のそりと起き上がると、ウソップのところに向かう。 「よしっ!! 決めた!!」 俺は、ある決意を胸に、手早く洗濯物を片付ける。 題して、『ロロノア・ゾロ=俺のもの大作戦!』とでも言っておこう。 どういう作戦かは、後で説明する事として・・・・とにかく、実行しなくては。 「ん? なに話てんだ?」 空になった籠を脱衣所に放り込んで、談笑しているあいつとルフィの間に割り込む。 「あ? いや、別に? ちょっと昔の話をしてただけだ。」 「そうそう、ゾロ、あん時、お前、あの小さな女の子が作ったおむすびを食ったんだよなぁ。 「あ、あれは・・・その・・・・やっぱ、礼儀だろ、俺の為に一生懸命に作ってくれたもんだった ルフィの話に、あいつは照れたようにそう言った。 「ふ〜ん・・・。 そういう事があったのか。 なぁ、ゾロ。 もし俺の料理が凄え不味くても、 俺は、にっこりと笑って、あいつにそう聞いてみる。 もう一度、満面の笑みであいつに確認を取る。 「あ、ああ。 食べる。」 あいつは、そう言ってくれた。 「・・・・・・サンジ、お前、なんか悪いもん、食ったのか?」 そう真顔で、ウソップが俺に言った。 そう返事した俺に、ガボーンとウソップとルフィの顎が外れる。 「まっ、俺の料理が不味い事なんて、絶対にあり得ねえ事だけどな・・・。 そう、断言される 俺は、ルフィとウソップの事は一切無視してそう言って、再度あいつを見て微笑んだ。 「・・・・・・愛情って・・・おい・・・。」 俺の話を聞いていたウソップが、我に返ったようにそう突っ込みを入れる。 「あ? 知らなかったのか? こいつは、ゾロは、俺に惚れてんだぞ。 あ、ナミさんには内緒 俺は、ウソップの耳を自分の方に引っ張って、そっとそう囁いた。 「・・・・・おい、クソコック。 一体、これはどういうことだ?」
そこには、俺を睨みつけているあいつの姿。 俺は、にやりと笑ってそう言うと、あいつの肩に肘を乗せた。
「う゛・・・・。そりゃあ、そうだが・・・・。 俺は、てめえの為に隠した方が良いのかと思ってた あいつはそう言って、照れながらも、俺の腰を引き寄せる。 「マ、マジっすか・・・?」
悲鳴にも似たウソップの呟きが聞こえたが、この際、そんな事どうでも良くなってきた。 「サンジく〜んv 悪いんだけど、なにか冷たい飲み物でもいただけるかしら?」 「はぁ〜い!!ナミすわ〜んvv 今、お持ちしま〜すvv」
俺は、近づいてきたあいつの顔を強引に押しのけると、一目散にキッチンに走った。 |