School★Panic


その1




「ねえ、ねえ。 2年のサンジ君って、昨日来た転校生に一目惚れして、付き合うこと

になったって、本当?」

「あら、私は、転校生の方が先に好きになって、強引にサンジ君、口説き落としたっ

て、聞いたわよ?」

「えっ?! 私が聞いたのは、二人とも、昔、別れた恋人同士で、偶然再会して、

またくっついたって・・・」

「・・・サンジ・・・何で、あんな奴なんかと・・・俺、密かに好きだったのに・・・サンジ

〜・・・」




ゾロが転入してきた翌日・・・・

ラフテル学園は、学園一のアイドル、サンジの恋愛スキャンダルで、ワイドショー並に、早朝

から盛り上がっていた。









「あーあ、転校早々、学園中を敵に回したわね・・・ロロノア・ゾロ君。」

サンジのクラスに、いつものように遊びに来ていたナミが、さも同情したように、サンジの隣に

座るゾロにそう言った。

「・・・別に、関係ねえよ。 それに、ゾロでいいぜ。 フルネームで呼ばれんのは、慣

れてねえから、何か、気持ち悪い。 そのかわり、俺も、呼び捨てにさせて貰うか

ら。」

ゾロは、平気な顔でそう言った。

「ゾロ! ナミさんに向かって、気持ち悪いとは何だ! それに、呼び捨てすんなよ、

呼び捨て。」

サンジが、横から、口を挟む。

「あら、良いのよ、サンジ君。別に私も、ゾロとルフィには、呼び捨てにされた方が、な

んでかしっくりくるのよね・・・なんでかしら?」

ナミは、サンジの気遣いに、にっこり笑った。

(・・・もしかして、ナミさん・・・無意識に、平安時代のこと、覚えてんのかな・・・)

サンジは、そっと心の中で、呟いた。

「でも、本当に、お前ら、付き合ってんのか? サンジ、本当の本当に、ゾロのこと、

好きなのか? 昨日、逢ったばっかりだろ?お前ら。 何で、すぐ好きになれんだ

よ・・・俺の方が、サンジのこと好きな時間、長いのに・・・何で、昨日逢ったばかりの

ゾロなんだよ。 俺の方が、サンジと一緒にいた時間、長いのに・・・・」

ルフィは、口を尖らせて、ブツブツと、不満をぶちまけた。

「ばあ〜か、好きになんのに、時間は関係ねえの! そんな時間なんて言ったら、俺

なんか、2000年前から・・・いや、なんでもねえ。 とにかく、好きなものは好きな

の! なっ、ゾロ。」

サンジは、笑顔でそう言うと、ゾロの方を見る。

サンジの声に、クラス中の視線が、ゾロに突き刺さった。

「・・・サンジ・・・気持ちは、わかるが、もう少し、小さい声で、話さねえか。 

・・・俺、さっきから、視線、突き刺さって・・・さすがに、辛いんだけど・・・」

ゾロは、はあ〜っとため息を吐いた。

「サンジ君、ごちそうさまっv ルフィ、あんた諦めなさい。 あんたに、一縷の望みも

残ってないわ。 ・・・それに、ゾロ。 サンジ君と付き合う時点で、これは、もう宿命

よ。 学園一のアイドルの想われ人なんだから、当然、このくらいの試練はね・・・

・・・でも、これだけで済むとは・・・覚悟しといた方が良いわよ。 あの人達が、この噂

を聞いて、黙っているはずないもの。 ・・・これで、サンジ君の相手が、女の子だった

ら、別だったんだろうけどね・・・ 本当、心から、同情するわ、ゾロ。 骨ぐらいは、拾

って、上げるからね・・・」

ナミは、大げさに泣くふりをして、ゾロにそう言った。

「あの人達???」

(・・・これ以上、何が起きるんだ?)

ゾロが、訝しげに首を傾げた。

「・・・もう、そろそろ、来る頃かも・・・・じゃあ、あたし達、巻き込まれないうちに、これ

で。 ほらっ、ルフィ、さっさと行くわよ!」

ナミは、そう言って、ルフィの襟首を掴むと、さっさと、教室を出ていった。




「サンジさ〜ん!! この噂、根も葉もない嘘ですよね!! サンジさん!」

もの凄い大声と共に、二人の男達が、教室に、入ってきた。

二人とも、もの凄い形相のまま、サンジの前に並ぶ。

「あれ? ギンさんに、パールさん。 どうしたんですか、そんなに慌てて・・・なんか、

ありました??」

サンジは、にっこりと微笑んで、二人にそう言った。

(ああ〜、何て素敵な笑顔なんだ・・・)

二人は、しばし時を忘れ、ポヤンとサンジの顔を見つめた。

「なんだ? 3年生じゃねえか。 ・・・サンジ、知り合いか?」

(・・・ちょっと、こいつら・・・あやしすぎるぜ・・・)

ゾロが、サンジに声をかけた。

その声で、ギンとパールは、ハッと我に返り、自分達が、ここに来た理由を思い出した。

「なんだとはなんだ。 お前こそ、見ねえ顔だな・・・サンジさんに馴れ馴れしいぞ。

 ・・・お前、ひょっとして、例の転校生って、お前のことか?」

ギンが、ゾロを睨み付けてそう言った。

「ああ、そうだ。 だったら、どうした。」

ゾロは、ギンの視線に全く怯むことなく、挑戦的な瞳で、見返した。

「お、おい、ゾロ、ギンさん。 皆が、怖がってるって・・・止めろよ、二人とも! 

パールさんも黙ってないで、何とか言って下さいよ。 ほらっ、もう予鈴鳴り終わっちゃ

ったし・・・ゾロも、ほらっ。」

サンジが、慌てて、一触即発の二人の間に割って入った。

「おい!そこ、何やってんだ。 もうとっくに、予鈴、終わったぞ。 ・・・ギン、パール

また、お前ら、サンジのとこに来てんのか? 親衛隊だか何だか良くわからねえが、

ここは、学校だ。 授業の邪魔は、するんじゃねえ。 ほらっ、わかったら、さっさと、

教室に戻れよ。」

そう言って、スモーカーが教室に入ってきた。

「・・・お前、名前は?」

「ロロノア・ゾロだ。」

「放課後、ちょっと、裏庭に、顔貸せや・・・じゃあ、サンジさん、失礼するぜ。」

そう言うと、ギンとパールは、教室を出ていった。

「・・・お前、あんな連中とも付き合ってんのか??」

ゾロは、ため息を吐いて、サンジに呟いた。

「??付き合うって・・・あの先輩達が、勝手に、俺の親衛隊、名乗ってるだけだ。 

別に誰に迷惑かけてるわけじゃねえから、放っておいたんだけど・・・

ごめんな、ゾロ。 不快な気分にさせちまった・・・」

サンジは、ゾロにぺこりと頭を下げた。

「別に、お前のせいじゃねえよ。」

ゾロは、苦笑してそう言うと、クシャッと、サンジの頭を、掻き上げた。

「・・・ゾロ・・・」

二人の間に甘い空気が、漂った。

「ゴホン・・・ゾロ、サンジ。 すまないが、授業始めるぞ。 いちゃいちゃするのは、休

み時間にしてくれ・・・はい、出席をとるぞ・・・」

「「っ・・・/////」」

ゾロとサンジは、スモーカーに冷やかされて、真っ赤になって俯いた。












++++++++++++++++



放課後・・・

「ゾロ、今日も、部活行くんだろ?! 俺もサッカーだから、終わったら、一緒に帰ろう

ぜ。」

「ああ、いいぜ。 終わったら、体育館の前な。」

「じゃあ、あとでなっv」

「おう。」

ゾロとサンジは、そう言って、各部活に行った。











・・・そんな頃・・・・



「遅い・・・何やってんだ、あの野郎・・・まさか、俺にビビって、逃げ出したんじゃねえ

だろうな・・・」

「遅いっすねー。 ゾロの野郎・・・」

ギンとパールは、いつまで立っても来ないゾロを、今か今かと待ちかまえていた。

・・・ゾロが、とっくに忘れているとは、露とも知れずに・・・・













「サンジく〜んっv 素敵よ〜っv」

「きゃあ〜、サンジ君、格好良い〜vv」

グランドでは、サッカー部の練習が始まり、女生徒の黄色い声援が、こだましていた。

「・・・でも、サンジ君って、あの転校生と付き合ってるんでしょ?」

「うん。 そうだけど、やっぱりサンジ君、かっこ可愛いし・・・最初から恋人になろうな

んて、そんな分不相応なこと考えないわよ。 華は、摘むよりも、眺めろってね。

・・・それに、あの、ゾロって言う人、ちょっと、精悍な感じで、サンジ君とは、違った魅

力よね。 そこらへんの変な女が、サンジ君と付き合うぐらいなら、あの人の方が、全

然、マシよ。」

「えっ?! あなたも? 私もちょっと、ゾロって言う人、良いなあって、思ってたのよ

ね・・・ あとで、体育館、覗いてみようか? 彼、剣道部だから、きっと、いるわよっ

v」

そう言って、大部分の女の子達は、ゾロとサンジの仲を、暗に認めていた。

高嶺の花とはわかっているものの、普通の女学生が、サンジの相手だったら、彼女たちの

気持ちは、こういう風には思えないだろう・・・女性の心理は、おかしなものである。




一方、こちらは、体育館・・・

「やっぱ、格好良いぜ、ロロノア先輩・・・ さすがは、前年度エリア大会No.1だよ

な。立ち姿も、スッと決まってるしさあー。 俺、ここの学園で、ロロノア先輩と剣道で

きるなんて、思ってもみなかったぜ。 ・・・それにさー、転校早々、我が学園のアイド

ル、サンジ先輩に、ほれられるなんてなあ・・・格好良すぎるぜ。 俺、マジ、兄貴っ

て呼ばせて貰おうかな・・・」

「同感!!」

剣道部の1年生、ジョニーと与作は、昨日、転校してきたゾロに、最初こそ反感を持っていた

ものの、その剣捌きを見るや、一転して、ゾロに、男として、惚れ込んでいた。

「いや〜んvv ゾロちゅうわ〜んっv くわっこいい〜vv」

不意に、体育館に、不気味な声援が飛び込んできた。

3年生のボンクレーである。

昨日、たまたま体育館に来ていたボンクレーは、次々と剣道部全員を見事な剣捌きで、負

かしていくゾロの姿に一目惚れ。

サンジとアイドルNo.1の座を争っていると自称して自負するボンクレーは、ゾロの迷惑顧み

ず、猛烈な、アタック作戦を繰り広げ、今日も、体育館に来て、ゾロに熱い声援を送っている

のだ。

「ハア〜、やっと、終わった・・・」

ゾロは、体育館の横にある水道で、顔を洗いながら、ほっと、一息ついた。

(サンジ、もう部活、終わったかな・・・)

ゾロが、サンジのことを考えながらボーっとしていると、急に後ろから、ドスの利いた声が聞こ

えてきた。







  
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<コメント>

もう、むちゃくちゃアイドルなサンジ君です・・・
ここまで、アイドルなサンジも珍しいかと・・・(笑)
ルナには、珍しく、たくさんのキャラも登場して、
一体何が書きたいのやら・・・とにかく、アイドルなサンジを全面に押し出して・・・
密かに、ゾロリストの片鱗を覗かせて・・・(笑)
ストーリーは、進んでいきますです。
こちらのサイトの常連の方ならもう、おわかりでしょうが、
この話は、NOVELSにある、【始まりは、ジャパネスク】のその後
という設定になっております・・・
ご覧になってない方は、こちらも覗いていただけると、
二人の関係が、よくおわかりになると・・・宣伝中(笑)
では★