Here I am その3. |
翌日、他のクルー達も船に戻り、チョッパーは、サンジの状態を皆に説明する。 「フム。 ・・・・・・・また頭ぶつけたら戻るんじゃ・・・」 「「「「戻るか!!阿呆ーっ!!」」」」 「余計酷くなったらどうすんだ!!このボケ!!」 ルフィの一言に、クルー達が一斉に鉄拳と共にツッコミを入れた。
「・・・・一過性のものだと、あたしも思うわよ。 ここで、ずっとこうしてるわけにもいか
「・・・・そうね。 味覚が無くなったとは言え、私達が作るより遥かに美味しいんですも ナミに賛同するようにロビンもそう言って、にっこりと微笑む。 「うっしっ! うんじゃあ、全然問題ねえな。 さあ、出航だ!!」
ルフィの言葉に、クルー達は早々に出航の準備を整え、港を後にした。 「クソッ! なんでだよ!! なんで!!」
その度に、サンジは打ちひしがれていった。 「敵襲!! 右舷前方から、大砲の弾が飛んできた!!」 見張り台にいたウソップが、そう叫んで皆に喚起を促す。 「うっしっ!任せろ!! ゴムゴムのぉ〜〜・・・」 ルフィは身体を大きく膨らますとその大砲の弾を弾き飛ばした。 「ゾロ!ルフィ!! 上空の空気が怪しいの! 短期決戦で望まないと・・・。」 ナミは、雲の動きを見ながら、ルフィ達にそう伝える。 「了解!ナミさん!! おい、ルフィ!ゾロ! 敵船に乗り込むぞ!!」 ナミの声を聞き、サンジがそう言ってルフィとゾロを呼んだ。 「あ、でも、サンジ君は・・・!!」 「ナミ! いいから黙ってやらせとけ!! 行くぞ、サンジ!ルフィ!」 ナミの言葉を遮り、ゾロはそう言ってサンジを促す。 「心配すんな・・・。 今のあいつは、なにも考えずに身体動かしていた方がいい・・。」 ゾロはナミにそう告げると、ルフィに捕まりサンジと共に敵船の真っ只中に飛び込んでいった。
「さあ、片っ端から片付けるか。 ナミさんがおっしゃったように、短期決戦! 行く
サンジはそう掛け声を掛け、襲い掛かってくる敵を蹴散らしていく。 「飛ばしすぎて息切れすんなよ!」 ゾロは、サンジにそう言って、負けじと敵をなぎ払う。 「「うっし!! 終了!!」」 「んじゃ、戻ろうぜぇ〜〜。」
意気揚々とルフィがそう言って腕を伸ばし、サンジがナミの言いつけどおり戦利品を担いで、 「おわっ!!」 急なあおりを受けて、ルフィが、海に投げ出される。 「ルフィーーッ!! ゾロ!これ頼む!!」 サンジはゾロに戦利品を投げ出すと、すぐさま海に飛び込んだ。 「サンジ!!危ねえっ!!」
ゾロは、そう叫ぶや否や、倒れるマストの下に飛び込んだ。 「ッ・・・・・・なにしてる・・・・・・・・・・さっさと・・・・・あがって来いよ・・・・。」
苦しげなゾロの声がすぐ近くでして、サンジはハッと瞳を開けた。 「ゾロの・・・・・・・血・・・・・」
サンジは、口の中に広がる鉄の匂いに、ようやく我に返りルフィを船へと担ぎ上げる。 「ゾロ!! 馬鹿!無茶しやがって!!」 すぐさま、サンジがゾロの傍に駆け寄る。
「ヘッ・・。 無茶はできる時にするもんだ。 傍にいてなにもできねえのは辛えから ゾロはそう言って、サンジの顔を見てにっこりと笑った。 「ッ・・・・・馬鹿野郎・・・・本当に・・・・大馬鹿野郎だ・・・・てめえは・・・。」 サンジはそう呟いて、ゾロにしがみついてぽろぽろと涙を雫した。 「やっと・・・・・泣けたか・・・。 もう・・・・大丈夫だな・・。」 ゾロは、笑顔でそう言うと、サンジの頬に流れる涙を優しく指で拭う。
「馬鹿が・・・てめえのほうが、大丈夫じゃねえだろ・・・。 俺の心配なんかしてんじゃ 顔をぐしゃぐしゃにして、サンジがそうゾロに言い返した。
ゾロはにやりと笑ってそう言うと、船頭で待つルフィの方に歩き出す。
「馬鹿野郎、当ったり前だ。 てめえに心配されちゃあ、お終いだぜ。 俺が、てめえを サンジは先を行くゾロの肩を掴み振り向かせ、強引に口付ける。 「・・・・・・・・・てめえのキス・・・・・・・・・・・・・・・鉄臭え・・・・。」 「・・・・サンジ・・・・てめえ・・・味が・・・・?」
「ああ、もう直ったみてえだな。 やっぱ、一過性のもんだったんだな。 泣いて損した
サンジは、突っ立っているゾロにそう声をかけ、前を通り過ぎていく。
「ナミさ〜んvv ロビンちゅわ〜んvv 今日の夕食は期待しててくださいね〜vv 久しぶりに上機嫌なサンジの声が、キッチンから聞こえる。
「あのラブコックが・・!! ・・・あいつの場合、こっちの心配の方が、あったんだった
ゾロはいつものように船尾の縁に座り、瞳からハートを飛ばしながらいそいそとナミとロビンの 「・・・・・・・なんだ、ここにいたのか・・・。 ほれ、美味いぜ?味見するか・・・?」
そう言って満面な笑みで近づいてくるサンジの顔に、ゾロは素早く腕を伸ばし、その唇を塞い 「な、な・・・・・・ばっか野郎!! 誰が、俺の味見をしろって言ったんだよ!このエロ その言葉と同時に、ゾロの腹にサンジの蹴りが決まる。 「ガハッ!! いきなし蹴らなくても良いだろがっ!!」
「良いから食え!! ったく、今、てめえの相手してたんじゃ、俺の身がもたねえんだ サンジはそう怒鳴ると、そそくさとキッチンに戻っていく。 「全ては・・・・元通り・・・。」 ゾロは、耳まで赤くなったサンジの後姿を見つめて、一人、苦笑した。 「てめえら!!夕飯だ!!」
ゴーイングメリー号に、今日も、元気な料理人の声がこだまする。 |
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