WISH!


その1





「・・・もう、終わったのか?」

ここは、メリーゴーランド号、深夜のキッチン。

皆が寝静まったこの時間、ゾロは、決まって、恋人のところを訪れる。

「ああ、今、終わったところだ。 どうだ? 一杯飲むか?」

そう言って、サンジは、ゾロを見て、にっこりと微笑んだ。

「・・・いいや、今日は、いい。 それよりも、俺は、今、こっちのほうが食いてえ。 

腹減ってる奴には、食わせてくれるんだろ?」

そう言って、ゾロは、ニヤリと笑うと、サンジを抱き寄せた。

「・・・////本当、てめえは、こんな時にだけ、口が良く動くよな。 普段は、全然なの

に・・・まっ、久しぶりだし・・・////てめえ、残さず、ちゃんと、食えよな。」

サンジは、そう言うと、ゾロの首に腕を回し、軽く口付けをする。

「当然!」

ゾロは、お返しとばかりに、サンジの唇に噛みつくようなキスをした。

本当に、こんなに近くにお互いの身体を確かめ有ったのは、1週間ぶりだ。

このところ、ゴーイングメリー号は、嵐の海域を通過してばかりで、皆、おちおちと眠ってもい

られない状態が続いていた。

ましては、恋人同士の秘め事など行う暇は到底無く、口には出さなかったものの、ゾロは、

かなり、せっぱ詰まった状態に追い込まれていた。

サンジとて、ここまで長い期間、ゾロとイタさなかった事がなかったので、多少なりには、スト

レスとして表れていた。

だんだんと、深くなる口付け・・・

お互いの舌が絡み合い、ピチャピチャと淫靡な音が、キッチンに響く・・・

久しぶりの行為のせいか、サンジの瞳は、潤んで、顔には、恍惚の表情が浮かぶ。

「・・・んんっ・・・ふ・・・ん・・・んふ・・・ん・・・」

サンジの甘い吐息と共に、口の端からは、飲み込めなくなった唾液が、流れ出した。

「・・・ここで、いいか?」

ゾロは、サンジの耳元で、そう囁いた。

『キッチンは、俺の聖域だ。』と、常々サンジは、ゾロにそう言っていて、キッチンでやること

を、サンジは良しとしない。

だから、二人の秘め事は、決まって、格納庫の仮設ベッドの上だった。

だが、今日のゾロには、格納庫まで行く余裕も、正直無かった。

「・・・うん。」

それは、サンジも同じだったらしく、初めて、キッチンでの行為に同意を示した。

ゾロは、サンジを抱きかかえると、食卓の横にあるソファに、サンジの身体を横たえる。

そして、自分もサンジの身体に重ねると、唇に深く口付け、慣れた手つきで、サンジのワイシ

ャツのボタンをはずした。

露わになったワイシャツの下から、二つの赤い尖りが現れ、ゾロは、サンジの口内を蹂躙し

たまま、その尖りに指を這わせる。

「んんっ・・・・んんっ・・・・ふん・・・・ん・・・っふ・・ん・・」

サンジの身体が、ビクンとはね、ゾロの指の動きにビクビクと震える。

ゾロは、サンジの唇からうなじに舌を滑らせ、いくつもの、赤い所有の印を散らせていった。

「っはあん・・・あふ・・・あん・・・ゾロ・・・もう・・・ヤダぁ・・・あん・・・ねっ・・・」

久しぶりの快感の波に揺られ、サンジは、堪らず、ゾロに瞳で訴える。

「・・・ちゃんと言葉で言ってみな。 それだけじゃ、わかんねえな。」

ゾロは、赤い尖りを口に含みながら、意地悪くサンジにそう言った。

ゾロだって、今日は、そんな余裕があるほうではない。

どちらかと言えば、このまま今すぐにでも、サンジの中に突き入れたい、そんな状態である。

でも、こんなに、自分からおねだりをするサンジの姿は、滅多にお目にかかれない。

ゾロは、後者の方を選択し、サンジからの言葉を待つことにした。

「んああっ・・・ん・・・ああ・・・あん・・・意地悪・・・しないで・・・ねっ・・・触って・・・

お願・・んあ・・」

サンジは、快楽に涙を溢れさせ、ゾロを見る。

「・・・手で、触るだけで良いのか?」

ゾロは、サンジの反応を楽しむように、赤い尖りへ舌で愛撫を続けながら、ニヤリと口元に笑

みを浮かべて、わざとそう言った。

「・・・もう・・・馬鹿・・・・はあ・・・んん・・・ヤダ・・・ゾロ・・・ヤダ・・・ゾロ・・早・・

く・・・」

サンジは、泣きながら、ゾロに哀願した。



「敵襲!! 敵襲だー!!」

突然、見張り台にいるはずのウソップから、叫び声が聞こえてきた。

「チッ・・・・もう少し、お預けだな・・・・」

ゾロはそう言うと、残念そうに、サンジから身体を離した。

「・・・・・そうだな・・・」

サンジの方も、敵襲と聞いて、一気に、現実に身体を戻した。

「・・・先に行ってる。」

「・・・おう。」

そう言うと、ゾロは、サンジの軽く触れるだけの口付けをして、キッチンを出ていった。

「・・・はあ・・・せっかく、嵐が遠のいて、一息ついた途端、これかよ・・・おまけに、こ

れ・・・どうすればいいんだよ・・・」

サンジは、ブツブツと愚痴りながら、服装を元に直した。

「さてっと、ちゃっちゃと片づけて、続きだ、続き・・・」

サンジは、そう言ってソファーから、さっと立ち上がる。

かくんと、膝が崩れて、サンジは、思わず、しりもちをついた。

(ははは・・・参った・・・久しぶりだったからな・・・だらしねえな、俺も・・・って、こんな

悠長なコトしてる場合じゃねえ! うっし!!)

サンジは、自分の身体に苦笑しながらも、気合いを入れると、ゾロの後を追って、キッチンの

扉を開けた。

甲板では、ゾロが、刀を2本だけ構えて、応戦している。

ウソップは、見張り台から、船に上がってこようとしている敵に向け、得意のパチンコで、応

戦していた。

どっか〜ん!!

と、大砲の音が、聞こえ始め、敵船からの砲撃が始まった。

ルフィは、船尾で、ロビンとチョッパーと一緒に、応戦している。

突然、サンジの上の方から、ナミの声が聞こえた。

「サンジ君! 悪いんだけど、ウソップを援護してくれない? ウソップ!急いで下り

てきて、格納庫に行って、敵船に砲撃を開始して!! あたしは、これから、敵船に

船を近づけるわ。 ある程度まで近くなったら、ルフィ! ゾロとサンジ君と一緒に、敵

船に乗り込むのよ!! 船内は、あたしとウソップとチョッパーとロビンで、何とかする

から。 このまま、船での戦闘が長引けば、こっちが、不利になるわ! 皆、お願い

よ!」

「OK! ナミさんっv」

「了解!」

「わかったわ。」

「よし!行くぞ〜!!」

「わかった。」

「おう! 砲撃は、任せろ!!」

クルー達は、ナミにそう返事して、戦闘を続けた。

ナミの的確な操縦で、暗闇の中でも、船は、素早く敵船に近づいていった。

ウソップの砲弾も正確なコントロールで、3隻あった敵船を1隻まで減らした。

「ゾロ〜、サンジ〜、行くぞ〜!! ゴムゴムの〜・・・」

「「ウゲッ!! それ、やめろ〜!!」」

ルフィは、二人の声も聞かず、ゴムのバネを利用して、ゾロとサンジと一緒に、敵船に吹っ飛

んでいった。

何とか、無事に着地したものの、周りは、ぐるりと、敵に包囲されている。

「へへへ。 『飛んで火にいる蛙かな』だな。」

そう言って、囲みの後ろの方から、船長らしい声がした。

「ば〜か! あほかてめえ、それを言うなら、『飛んで火にいる夏の虫』だろうが、

全く・・・知らないねえことわざ、使うんじゃねえゾ、おらっ。」

(あ〜あ、こんな馬鹿な連中に、貴重な時間邪魔されたのかよ・・・キレるぞ、俺

は・・・)

サンジが、さも馬鹿にしたように、タバコに火を付けそう言った。

(うっ、そうだったのか・・・知らなかった・・・)

「うなっ、そんなもん、わかっとったわ! お前らこそ、『井の中の蛙、湖を知らず』って

言うんだ!」

こりもせず、敵船の船長は、サンジ達にそう叫んだ。

「「・・・・・・・」」

(・・・こいつ・・・本当に、アホだ・・・こんなアホの相手するために、俺は、サンジと

の・・・ああっ、なんか、無性に、腹立ってきた・・・こんな船、絶対、沈めてやる・・・)

ゾロは、眉間に深くしわを刻んで、3本目の刀を口に銜えた。

「おっさん! その位のことわざ、俺だって知ってるぞ! 『湖』じゃなくて、『大会』

だ!『大会』! 『井の中の蛙、大会を知らず』って言うんだぞ。 でも・・・大会って、

いったい何の大会なんだ? 格闘のかな? それとも、大食いのかな? ニシシ。 

それだったら、俺、自信有るな・・・」

ルフィは、悪びれず、そう言い返した。

((ルフィ〜・・・こんな船長・・・もう、嫌・・・俺、船、下りてえ・・・))

ゾロとサンジは、お互いに見つめ合って、涙ながらに、自分の境遇の不幸を嘆いた。

「さてっと・・・馬鹿な船長は、ほっといて、さっさと片づけますか・・・」

「同感だ!」

ゾロとサンジは、そう言うと、背中合わせになって、目の前の敵を一掃し始めた。

元々、こんなお馬鹿な船長についているような海賊達は、二人の敵ではない。

アッという間に、船の中には、2、3人の乗組員と、お馬鹿な船長だけになった。

「・・・あとは、俺がやる!」

ゾロは、サンジを制すると、そう言った。

「何言ってんだよ。 ここまでやっといて、そりゃねえよ。 お馬鹿船長は、この俺に任

せて、てめえは、そこら辺で寝てろよ・・・」

サンジが、負けずにゾロに言い返す。

ゾロは、スッとサンジの側に近づいた。

「・・・てめえ、足元ふらついてるゾ・・・さっきのが、足にきてんだろ? 無理すんな。」

そう言って、ゾロは、意味ありげに、ニヤリと笑う。

「!!・・・////てめえこそ、直前で、おじゃんになって、頭にきてんじゃねえのか? 

さっきから、手加減ねえじゃんかよ・・・」

サンジは、タバコに火を付けながら、ゾロにそう言った。

「まっ、そんなとこだ・・・」

ゾロは、そう言い終わらないうちに、敵船の船長以下、残りの残党を、一気に片づけた。

「ちぇっ! ゾロもサンジも・・・俺、全然、活躍するとこ、無かったじゃん。 ずりいよ、

二人とも・・・」

二人の素早さに押され、全然敵を倒すことが出来なかったルフィは、ブツブツと二人に文句を

言った。

「まっ、しょげるな、ルフィ・・・帰ったら、何か美味いもんでも作ってやるからさっ!」

サンジはそう言って、ルフィの頭をポンと軽く叩く。

「えっ?! 本当か?? やり〜vv じゃあ、早く、帰ろうぜ! 肉!肉!肉〜!! 

サンジ〜、俺、肉が良い!」

「わかった、わかった。」

「・・・・・・・」

「あん、どうした? ゾロ??」

急に黙り込んだゾロに気付いて、サンジがゾロに声をかける。

「・・・別に・・・」

ゾロは、ふてくされたようにそう言った。

「何、怒ってんだよ? 言ってみろよ、ん?」

サンジは、にっこりと笑って、ゾロの顔を覗き込む。

「・・・・・俺のは、どうしてくれんだ・・・」

ゾロは、そう呟くと、プイッと顔を背けた。

サンジは、ゾロの子供のような仕草に可愛くて、つい、吹き出してしまった。

「ククッ。 ごめん。 てめえのも、後で、ちゃんと、な?」

そう言って、ゾロの頬にチュッと口付けた。

「何だ?? サンジ、何か、おかしいのか??」

事情を知らないルフィが、サンジにそう聞く。

「お子ちゃまは、知らねえで良いんだよ。 そらっ、戦利品、頂いて、船に戻るぜ。 

ナミさんが、お待ちかねだ。」

サンジはそう言って、船内に残された宝を取りに行った。







  
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<コメント>

メチャラブラブな二人を、また書いてしまった。
仕方ないですよね? それが、リクなんですもの・・(^_^;)
砂吐いて、吐いて、吐きまくって下さい!!
バケツは、ここに、用意しておりますので、どうぞ、思いっきり!!(笑)
お子ちゃまゾロも、たまには・・・うちのゾロの基本に戻って(^O^)
果たして、ゾロ・・・このまま、イケるのか??
   字、そのままやん ↑・・・(-_-)
それでは、続きをどうぞ!!