Bitter Sweet Christmas



その1






先月、ゾロの誕生日、ゾロの会社の社長のシャンクスからの依頼を受けて、ラピスと共にゾ

ロが、単身赴任しているアメリカのロスへ書類を渡しに行き、そのまま、家族で赴任すること

になったロロノア家・・・・・

無事に、シャンクスのセカンドハウスに引っ越しも済ませ、盛大にクリスマスの飾り付けも済

んだ12月20日、1本の電話が、早朝のロロノア家で鳴り響いた。
















プルルル・・・プルルル・・・・カチャ・・・・・

「Hello、This is roronoa・・・・なんだ、パティじゃねえか。 良くここの電話番号、

わかったな。 どうしたんだ、一体? えっ?! 何だって?? 嘘だろ・・・・オヤジ

が・・・・・わかった。 すぐに、日本に帰る・・・・・じゃ、また、後で連絡するから・・・・」

サンジは、バラティエのコックからの電話で、青ざめた表情のまま電話を切った。

「どうした、何かあったのか?」

サンジの様子にただごとではないと感じたゾロは、サンジにそう言って尋ねる。

「・・・・・ああ。 オヤジが・・・・・倒れた・・・・・」

サンジは、そう言うなり、がっくりとソファに腰を下ろす。

「えっ、おやっさんが?? ・・・・・嘘だろ、おい・・・・・」

ゾロもそう言って絶句する。

あんなに先月まで元気そうだったゼフが、いきなり倒れるなんて、ゾロとサンジは、信じられ

なかった。

「サンジ。 なに、ぼやっとしてるんだ。 急いで、帰国の準備をしろ。 さあ、早

く・・・・俺が、空港まで送っていってやるから・・・・・ラピスも、起こして連れていけ。 

本当には、俺も一緒に帰国してお前の側にいてやりたいが、今日は、どうしてもはず

せない仕事がある。 それが済んだら、すぐに俺も帰国するから・・・・・とりあえず、

急げ・・・・」

ゾロは、ボーっとしたままショックで動けないサンジにそう言って、身支度をさせ、ラピスを起

こし、着替えさせる。

それから、身の回りのモノを詰め込んで、車で、国際空港へと向かった。

「じゃあ、俺も後で、必ず行くから・・・・・」

「うん、向こうに着いたら、連絡する・・・・・」

ゾロとサンジは、しばしの別れを惜しみながら、ゾロは会社へ、サンジとラピスは、日本へ

と、空港を後にした。











+++++++++++++++++++




・・・・・オヤジ・・・・死ぬなよ・・・・

・・・・・俺が行くまでは、なんとしてもがんばれよ・・・・




サンジは、空港に到着するなり、急いで、バラティエに向かう。

「オヤジの様子は、どうなんだっ!」

サンジは、息を切らせて厨房に駆け込んだ。

「・・・・・うるせえぞ。 ココは厨房だ。 がたがた騒ぐんじゃねえ!」

「えっ?!?????」

サンジは、耳を疑った。

サンジの耳に聞こえてきたのは、紛れもなくゼフの怒鳴り声・・・・・

しかし、ロスで掛かってきた電話は、ゼフが、倒れた・・・と、そう言っていた。




・・・・・・どうなってんだ????




サンジは、驚きながら、その怒鳴り声のする方を見る。

するとそこには、紛れもなく、ゼフが、忌々しげに、コック達を睨み付けていた。

「オ、オヤジ!! てめえ、ぶっ倒れたんじゃねえのかーっ!」

サンジは、激しく動揺して大声を上げる。

「・・・・うるせえな。 俺は、別にピンピンしてるぜ。ただ、な。 昨日、裏に流した水

が、寒さで凍り付いてやがって、よ。 そこでスッ転んで、気を失っていただけだ。

・・・・それをこいつらが、大騒ぎしちまってよ・・・・・チョッパーは呼ぶわ、てめえに電

話するわで・・・・・ その後、てめえんちに連絡入れても、誰も出ねえしよ・・・・・

全く、とんだお笑いものだぜ、俺は・・・・・」

ゼフは、ため息混じりにそう言って苦笑いした。

「・・・ほ、本当に、なんともねえのか? チョッパーには、ちゃんと見て貰ったのか?

頭は打たなかったのか? 骨折れてねえ・・・・」

「あーっ!もう・・・・うだうだと・・・・わかってるって。 ちゃんと、チョッパーに診察して

貰った。 何処も異常ねえそうだ。 バリバリの健康体だと。 本当に、俺をなんだと

思ってやがる。 俺は、このバラティエのオーナシェフ、泣く子も黙る、ゼフだぞ。 

それをこいつらときたら・・・・」

ゼフは、うんざりと言った表情で、サンジの心配する声を途中で遮って、そう言った。

「・・・・・なんだ・・・・・良かった・・・・・俺・・・・・俺・・・・・」

サンジは、心底ホッとした表情で、涙声でそう言う。

「おい、おい。 勝手に、俺を病人にしたりすんじゃねえ。 ・・・・・本当に・・・・てめえ

達には、すまねえ事をしたな。 悪かった、心配掛けさせて・・・・・わかったら、さっさ

と帰れ・・・・と言いたいところだが、せっかく来たんだ。 一日だけでも、泊まってい

け。 店も、もうすぐで、終わるから・・・・ おらっ! さっさと終わらせるぞ! 

何ちんたらしてやがる・・・・・ヘボコック共めが・・・・・」

ゼフは、そう言って、コック達に檄を飛ばした。

「・・・・ジイ・・・ジ?・・・」

それまで、サンジの後ろに隠れていたラピスが、恐る恐るゼフに声を掛ける。

「おう! なんでちゅか?ラピチュ・・・・」

ゼフは、先程のコック達に聞かせていた声と雲泥の差の甘い声を出す。

久々に聞く孫のラピスの呼ぶ声に、目尻を下げ、三つ編みにした髭をヘニョンと下げてラピス

の視線まで、腰を下げて、その顔は、親バカならぬジジバカ。

それを横目で見ていたコック達は、一様に、皆、忍び笑いをする。

「・・・・・てめえら・・・・笑う暇有ったら、さっさとやりやがれ!」

「ククク・・・・だって・・・オーナー・・・・『なんでちゅか』って・・・・ククク・・・ひゃはっ

は・・・あー、腹痛てえ・・・・・」

「そうですよ、オーナー・・・その顔は・・・・・反則っす・・・・あははは・・・・」

「う、うるせえ! てめえら、どうやら、正月休みは、いらねえようだな。」

「そりゃないっすよ・・・・・オーナー・・・・・もう言いませんから・・・・・・」

「・・・・わかったら、さっさとしやがれってんだ・・・・」

「「「へ〜い・・・・・」」」

厨房内に、賑やかな笑い声が響きわたった。




・・・・・・良かった・・・・・本当に、良かった・・・・・・

・・・・・・一時は、倒れたと聞いてどうなることかって、そう思ったけど・・・・・

・・・・・・本当に元気そうで・・・・・・良かった・・・・・・




「あっ、俺、ゾロに電話しなくちゃ・・・・ゾロも心配してこっちに来るって言ってたんだ。

来なくて良いって伝えなきゃ・・・・ オヤジ、ラピス、見てて、な・・・・」

サンジは、そう言って、電話を掛けに店の中に入る。

「・・・ジイジ・・・・」

ラピスはそう言って、ゼフに抱っこをせがみ、ゼフは、ジジバカ丸出しの顔で、ラピスを抱き上

げた。

「ジイジも・・・・チューvv」

ラピスは、そう言ってゼフの髭を両手で掴み、ゼフのほっぺにブチュッと唇を寄せる。

「Σはわっ!!!!」

ラピスの突然の行動に、ゼフは、固まってしまった。




・・・・なんだ・・・・なにがおこった?

・・・・俺のほっぺたに・・・・・何か温かいもんが・・・・当たったような・・・・・




「ジイジ? ・・・ジイジも、チューvv」

ラピスは、そう言ってもう一度ゼフにキスをする。




・・・・・ラピスが、俺に・・・・・チューだと?!

・・・・・そんな・・・・・そんな・・・・・こと・・・・・・

・・・・・夢じゃあるまいな・・・・・・




ゼフの顔は、コレまでに見たこともないほど、ジジバカだった。

厨房が、しんと静まり返り、コック達は、何も見なかったことに決めた。

「ん?どうした、皆・・・・・やけに静かだな。 なんかあったのか?」

サンジが、ゾロに連絡を済ませて、厨房に戻ってきた。

「うわっ! オヤジ・・・・どうしたんだ? やっぱり、頭打って、今頃、その症状が、

出てきたんじゃねえのか。 やっぱり、入院して一度、ちゃんと検査して貰った方

が・・・・・」

サンジは、ゼフの顔を見て慌ててそう言う。

「・・・/////バカ。 違う・・・・・ラピスがな・・・・・俺に・・・・・・俺にだな・・・・・・

チュー・・・・チューをだな・・・・・」

ゼフは、しどろもどろしてサンジに言い返す。

「ああ、ラピスが、チューしたのか? こいつ、余計なもん、覚えてしまってよ。 

まあ、あっちじゃ、挨拶代わりみたいなもんだからって、俺は、放っておいたんだ

が・・・・ オヤジ、もしかしてめんくらっちまったとか?」

サンジはそう言って、にっこりとゼフの顔を見て笑った。

「うっ。 ・・・・挨拶でも、女の子が、自分から、キスなんかするもんじゃねえ。 

変な誤解を与えて取り返しのつかねえ事態になったらどうするんだ。 俺や、家族は

ともかく、他の奴にするなんて・・・・言語道断だ。 俺は、絶対に許さねえからな。」

ゼフは、苦り切った表情でサンジにそう告げる。

「ククク・・・・オヤジも、ゾロと同じ事言うんだな。 本当に、ゾロもオヤジも、もし、

ラピスにボーイフレンドが出来たって言ったらどうなるんだろうな。」

サンジは、笑いをかみ殺してそう言った。

「なにーっ?! できたのかーっ!!」

ゼフは、つばを飛ばしながら、そう叫ぶ。

「・・・・・落ち着けよ、オヤジ。 もしもって、そういっただろ? こんな幼児に、そうそう

ボーイフレンドなんか出来るかって言うんだ。 あっ、けど、一人だけ、ジョーって言う

6歳の子供とは、よく遊ぶよな。 いろいろとな、ラピスの面倒もよく見てくれるし、

ラピスも結構懐いてるし・・・・・・オヤジ??」

サンジは、そう言ってゼフを見る。

「・・・・・一度、見といた方が・・・・・いや・・・・まだ若いし・・・・・・」

ゼフは、サンジの言葉に独り言を繰り返していた。

「ふぅ〜、全く、呆れるほど困ったジジ達でちゅうね、ラピス・・・・お前、苦労するな。」

サンジは、少々呆れ気味にそう呟いて、ラピスを抱き抱える。

「・・・・じゃあ、久しぶりに店に来たんだ。 厨房手伝うか?」

「ああ、良いぜ。 その代わり、ラピスと一緒に遊んでくれよ。」

「おう! わかった。」

サンジは、素直に、ラピスのお守りをしたいと言い出せないジジバカ、ゼフに苦笑しながら、

そう言って、久しぶりの厨房を手伝った。








 
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<コメント>

またまた登場しました。 ロロノア一家・・・・
相変わらずなメンバーで、さて、今回は、Xsmas・・・・
いきなり、ゼフ、危篤か?!で、始まりましたねvv
いいや、このジジイが、このくらいでくたばるはずがありません。(笑)
一体、何が、起こるのか・・・・ラピスの可愛さに、
ジジバカ炸裂してますが・・・・(笑)
ともあれ、幸せ一杯のロロノア家・・・・
続きをお楽しみ下さいませvv