Get a chance





「・・・・ナミさ〜ん、本当に、それ、やるんですか? ねっ、もう一度、皆でよく話し合えば、

もっと、良いアイディアが、浮かぶかも知れないですよぅ〜。 もう一度、話し・・・・・」

珍しく、サンジが、ナミに反論している。

「あーっ、いつまでも、グダグダ言わない! ・・・・・・サンジ君、もう、時間がないのよ。

・・・・それに、この近くに、買い物できそうな島影さえ見えない。 ・・・・・・・諦めなさい。 

運が、無いと思って、観念するのね。」

ナミは、そう言うと、サンジに見つからないように、くじで使った、紙紐のちぎった部分を、

ポケットに隠した。

「さっ、明日は、サンジ君、パーティーの用意が出来たら、あたし達の部屋に来て。 着替え

用意して置くから・・・・・・ 上手くいったら、サンジ君の誕生日にも、やってあげるからvv」

ナミは、最後の言葉を、こっそりとサンジに囁くと、見えないように、ペロリと、舌を出す。

「わかりました〜vvナミしゃんvv 俺、一生懸命、がんばります!!」

ナミの最後の言葉が効いたのか、サンジは、俄然、やる気を出した。

どこまでも、クルー達の扱いには、長けているナミであった。

「「・・・・・・サンジ・・・・・お前・・・・・・・・・・」」

ウソップと、チョッパーは、少し、サンジの哀れさを感じた。














+++++++++++++++++++++




今日は、11月11日。

元海賊狩りで、今海賊のロロノア・ゾロの誕生日である。

昨日の夕食の時、ふとしたきっかけで、クルー全員の誕生日の話になった。

「・・・・・・あっ、そう言えば、俺、明日、誕生日だ。」

ゾロが、思い出したように、口にする。

「「「「なにぃ〜!!!」」」」

ルフィ、ウソップ、チョッパー、サンジが、声を揃えて叫ぶ。

「えっ?! ミスター武士道、誕生日なんですか?」

「クエ〜ッ!!」

ビビ、カルーも、突然のことに驚いた。

「なんで、もっと早く、それを言わないのよ!! もぅ〜、ここの海域には、近くに、買い物で

きるような島は、見当たらないし・・・・・ 本当に、あんたって・・・・」

ナミは、呆れたようにゾロに向かってそう呟く。

「仕方ねえだろ? 船の上だと、日にちの感覚がねえんだから・・・・ それに、この年で、

誕生日もねえだろうが・・・・」

ゾロは、余計なことを言ったと苦虫を噛み潰したような顔でそう言った。

「あらっ、そんなことないわよ。 せっかくの記念日なんだモノ。 最近、退屈だったから、ちょ

うど、良いわ。 よし! 明日は、ゾロの誕生パーティーを、しましょう! ・・・・とは、言って

も、ここは海の上。 買い物は出来ないし・・・・・そうねぇ・・・・・何か、考えるわ。 皆、協力

してよね。」

「「「「「おーっ!!」」」」」

「クエーッ!!」

ナミの言葉に、退屈していたクルー達は、賛成する。

「はあ。 ようは、俺をダシにして、皆で、騒ぎたいだけじゃねえか。 ・・・・・アホらし・・・・・・

勝手にやってくれ。 俺、もう、寝る!」

ゾロは、そう言ってキッチンを出ていった。

「なんだ?あいつ・・・・・・・せっかく、ナミさんが、お祝いしてくれるって言ってるのに・・・・・

ところで、ナミさん、何か、良い知恵浮かびました??」

「あらっ、サンジ君、やけに乗り気じゃない? ふふふ。 いつもは、喧嘩ばっかりしてるの

に、どういう風の吹き回し??」

ナミが、にっこり笑って、意味ありげにサンジにそう言った。

「・・・・・・い、嫌だなあ、ナミさん。 俺も退屈でしょうがなかったから、ちょっと、皆で、騒ぎた

いなあって、そう思っただけですよぅ。 べ、別に、あいつの誕生日なんて、俺には、関係な

いですよ。」

・・・・・・・・うっ、ナミさん・・・・・もしかして、俺達のこと・・・・・・・・気付いてる??

ははは・・・・まさかなあ、俺、そんな素振りしたことねえし・・・・・・・・・・

・・・・・・・・でも・・・・・・ナミさん、勘鋭いから・・・・・・もしかしたら・・・・・・

サンジは、タバコに火を付けて、努めて冷静にそう答えた。

「・・・・・まっ、そう言うことにしといてあげるわ。 ねえ、それより、お金がかからなくて、ゾロ

が喜びそうな事って、何か、ないかしら・・・・・」

ナミが、そう皆に相談する。

「肉、食おう、肉!!」

「・・・・そうだなあ、パーティーぐらいしか、思いつかないな・・・」

「あたしも、他に思いつかないです。」

「クエーッ!」

「・・・・・俺も。」

ナミから相談されても、これと言って思いつかないクルー達。

「・・・・・ねえ、サンジ君。 サンジ君だったら、どんなお祝い方して貰ったら、一番嬉しいか

しら? サンジ君、ゾロと同じ年だし・・・・・・・」

「・・・・・・そうですねえ。 ・・・・俺だったら、やっぱり・・・・・・好きな奴と・・・・・・ 

いや、ナミしゃんとビビちゅうわんに、一晩中、お酌して貰って、一緒に、いて貰えればvv

それが、一番最高〜vv」

サンジは、瞳から、ハートを飛ばしながらそう答えた。

「はいはい、聞いたあたしが、馬鹿だったわ。 ん?! ・・・・・・でも、ちょっと待って・・・・・・

それ、それよ! もうこれしかないわ! 皆、ここで、ちょっと待ってて。 ビビ、ごめん、ちょ

っと、手伝ってくれない?」

そう言うと、ナミは、ビビを連れて、部屋に戻っていった。

「・・・・ナミさん、どうしたのかな?」

「・・・・俺、何か、嫌な予感がする・・・・」

「エッ、エッ。 何か、楽しいことするのかなあ?」

「クエーッ!」

「サンジ、明日、肉を、一杯、作ってくれよ。 骨付きの奴。」


「お待たせ〜vv さあ、皆、今から、何をやるか、説明するわね。 明日の夜は、この船は、

ゾロ専用のキャバクラになるのよ。 ホステスは、三人。 あとは、バーテンダー二人と、

その手伝い。 チョッパーは、まだ子供だから、お手伝いをお願いするわ。 良い?」

「えっ?! ナミさん、あんな野郎に、ホステスなんか必要ないですよぅ。 それに、三人っ

て・・・・・まさか、ルフィか、ウソップか、俺達も、ホステスに仮装するわけですか〜?」

サンジは、嫌な予感がして、ナミに、聞いた。

「あらっ、サンジ君、大丈夫よ。 皆、不公平にならないように、くじ引きで、決めるから。

くじの先に、赤い印が付いてる人が、ホステス役。 じゃあ、あたしから、くじ、引くわ。」

ナミは、にっこりと笑って、そう言って、くじを引く。

この時点で、ナミの言ったゴ−イングメリー号キャバクラ計画は、決定事項となった。

「はい、次は、ビビ。」

ビビが、ナミの手から、くじを引く。

「はい、次、サンジ君。」

サンジも、渋々、くじを引いた。

「はい、次、あっ、ちょっと待って。 目にゴミが・・・・」

ナミはそう言って、俯くと、皆にわからないように、素早く、紙紐に塗ってある赤い部分を手で

ちぎる。

「あっ、ごめん、ウソップ。 良いわよ、引いて。 ルフィも、一緒に引いて。」

そう言って、ナミは、残りのくじを二人に引かせた。

「じゃあ、一斉に見せて!」

ナミの言葉に、クルー達は、それぞれ引いたくじをテーブルに載せる。

ナミ、ビビ、サンジの出した紙紐に、赤い色が付いていた。

「・・・・・・決まりね。 じゃ、あした、皆、久しぶりに、騒ぎましょ!」

ナミは、明るくそう言った。

サンジだけが、顔面蒼白になり・・・・・・・・冒頭の記述となったのだ。

















+++++++++++++++++++



翌日。

ゾロの誕生日祝いのパーティーもつつがなく終わり、なにやら、慌ただしく、皆、準備をし始

める。

「???なんだ? なあ、チョッパー、皆、一体何してんだ?」

ゾロは、チョッパーを捕まえてそう聞いた。

「ああ、ゾロ。 もう少しだから・・・・・ ゾロは、今日、お客様だから、ここに座っててね。」

「チョッパー、これ、そっちに持っていってくんねえか。」

「・・・・・・・・わかった。 じゃ、俺、忙しいから・・・」

ウソップに呼ばれ、チョッパーは、ゾロにそう言うと、流しの方に、駆けていく。

「ウソップ〜、こっちの準備、できたわよvv ゾロを連れてきていいわ。」

いつの間に取り付けたのか、流しには、でんでん虫がいて、そこから、ナミの声がする。

「よし、わかった! じゃ、ゾロ、行くぞ。」

「・・・・てめえら、一体何企んで・・・・」

ルフィは、ゾロの呟きに耳を貸さず、ゾロの首を掴むと、有無を言わさずキッチンを出ていく。

そして、3人とも、格納庫の前に着くと、赤い蝶ネクタイを着けた。

「よく、いらっしゃいました! クラブ『ゴーイングメリー号』に、ようこそ!!」

チョッパーは、そう言って、格納庫の扉を開ける。

「な、なっ・・・・・」

ゾロは、言葉が出てこなかった。

いつも、小汚く、何もない格納庫に、簡易ソファーが、置いてあり、薄暗い照明も取り付けら

れ、さながら、街のクラブのような室内。

にこやかな表情で、ナミとビビが、ゾロの腕を取り、室内に招き入れた。

「よくいらっしゃいました。 さあ、今日は、ゾロの貸し切りよ。 お酒もいつものより、クレード

の高いモノばかりよ。 さあ、飲んで。」

「・・・ミスター武士道、今日は、楽しんで下さいね。」

そう言って、ナミとビビは、ゾロのとなりに座ると、ゾロに酒を勧める。

二人とも、何処で手に入れてたのか、お揃いのセーラー服を着ている。

ウソップ、ルフィ、チョッパー、カルーは、皆、蝶ネクタイをして、テーブルの上に、酒やつまみ

を並べていった。

「・・・・・てめえら・・・・ナミ、何企んでやがる。」

ゾロは、そう言って、ナミを睨み付ける。

「あらっ、そんな怖い顔しないで。 あんたの誕生日だから、ってそれだけよ。 他に、他意

はないわ。 それとも、あたし達だけでは、やっぱり、お気に召さないのかしら。」

ナミはそう言ってにっこり笑うと、急あつらえのカウンターに、入っていく。

「さっ、出番よ! ほらっ、ぐずぐずしないの!」

「え〜・・・・ナミさん・・・・これ・・・・この格好・・・・俺・・・・」

ナミの言葉に、泣きそうなサンジの声が聞こえた。

「いい加減、諦めなさい!」

ナミはそう言うと、サンジの腕を掴んで、強引にカウンターの影から、ゾロの前に、サンジを

引きずり出した。

「ブハッ!!」

ゾロは、思いっきり、飲んでいた酒を吐いた。

サンジが着ているのは、ナミ達と同じ、セーラー服。

しかし、ナミ達と比べ、異様に、スカートの丈が、短く、白い太股が、露わになっている。

顔には、うっすらと、化粧が施され、薄い唇が、誘うように、紅で、濡れていた。

ゴクリ・・・・・

思わず、ゾロの喉が鳴る。

「さっ、サンジ君、黙って突っ立てないで、今日は、ホステスなんだから、しっかり、ゾロにサ

ービスしてあげなきゃ。」

ナミは、ゾロを見てにっこり笑うと、サンジをゾロのとなりに座らせた。

サンジは、渋々、ナミの言うとおり、ゾロのとなりに座って、酒をつぎ始める。

ゾロは、まじまじとサンジの顔を見つめた。

「何、じっと見てやがる・・・・・俺だって・・・・嫌だったんだからな・・・・・こんなの、着る

の・・・・・こっち、見んな!」

サンジは、ゾロの視線に居たたまれなくて、顔を真っ赤にして俯き、上目遣いで、ゾロを睨ん

だ。

「・・・・・・・・・・・・皆、すまない。 ・・・・・・この部屋から、出ていってくれないか・・・・・」

普段のゾロからは聞けないような、真剣で、低い、ドスのきいた声に、クルー達は、凍り付

く。

ゾロが怒った・・・・・・・皆、そう思った。

「あ、あの、ミスター武士道??」

ビビが、恐る恐る声を掛ける。

「・・・・・頼む。 出ていってくれ・・・・・」

「・・・・・じゃあ、出ましょう・・・・・」

ナミの言葉に、クルー達は、項垂れて、出ていった。

「・・・・ごめんな。ゾロ・・・・・俺達、怒らせるつもり無かったんだ・・・・」

サンジもそう言って、席を立つ。

「・・・・・待てよ。」

そう言って、ゾロは、サンジの腕を掴み、胸に引き寄せた。

「てめえが出ていったんじゃ、他の奴に消えて貰った意味がねえ。」

そう言って、ゾロは、サンジを見て、ニヤリと笑う。

「・・・・ゾ、ゾロ・・・・・・まさか・・・・・・」

サンジが、その言葉の意味を理解して、ゾロの腕の中で、固まる。

「そう、そのまさかだ。 ・・・・・誕生日だしな。 せっかく祝ってくれるなら、てめえ一人で、

充分だ。 そんな格好で、俺を煽りやがって・・・・・・思わず、皆の前で、てめえを、押し倒す

ところだったぜ。 さっ、朝まで、ゆっくり、祝って貰おうか・・・・・」

ゾロは耳元でそう囁いて、サンジをそのままソファーに押し倒す。

「えっ、ゾロ・・・・ちょ、ちょっと、待って・・・・なっ・・・・・」

サンジは、思っても見なかった展開に、慌てて手で、ゾロを押し返した。

「・・・・・往生際が悪いな・・・・・・諦めな。」

ゾロは、サンジに体重を掛け、動けないように固定すると、手の甲に軽く口付け、サンジの

顔に視線を移す。

その顔は、深緑の瞳が、妖しく光り、さながら、どう猛な肉食獣のようで・・・・・

・・・・・・食われる・・・・・・・・

・・・・・・でも、俺・・・・・・その顔・・・・・どうしようもなく・・・・・・・好きだ・・・・・・・・・

その顔を見ただけで、サンジの背中に、甘い疼きが走る。

「っ・・・・・ゾロ、誕生日、おめでとう。」

サンジは、そう言って、口付けた。

「・・・・・・・サンジ、覚悟しろよ。」

そう言って、ゾロは、サンジに、深いキスを返した。














++++++++++++++++++



一方、こちらは、他のクルーが、しょんぼりと入ってきたキッチン。

ナミ以外、皆、一様に、ゾロを怒らせてしまったと、意気消沈している。

「皆、そんなにがっかりすること無いわよ。 ゾロ、怒ってないから。」

ナミ一人、明るく、そう言った。

「だって、ナミ・・・・・」

「・・・ゾロの奴、凄く怒ってたぞ。」

「そうよ、ナミさん。 やっぱり、ふざけすぎたのよ。」

「お、俺、やっぱり、謝って・・・・」

「クエーッ!!」

皆、そう言って、ゾロに謝りに行こうと席を立ち始めたとき、ナミが、テーブルの上に、でんで

ん虫を持ってきた。

「ちょっと、待って! 皆! これを聞いたら、あたしが言った意味、解るから・・・・・・」

ナミはそう言って、でんでん虫のつまみをいじる。

「はあん・・・・ヤッ・・・・・あん・・・・・ああん・・・・ゾロォ・・・・・もう・・・・・」

「まだだ、サンジ・・・・・」

でんでん虫から、あの最中の二人の声が、聞こえてきた。

皆、一斉に、耳まで、赤くなる。

「・・・・・ナミさん、これって・・・・・」

ビビが、顔を真っ赤にしてそう言った。

「・・・・そう、皆、良くわかったでしょ? ゾロが、あたし達をあの部屋から出した理由・・・・・

大方、あんな姿のサンジ君に、煽られて、あたし達が、邪魔になっただけなのよ。

あの、魔獣は・・・・・・・・」

ナミだけが、以前から二人の仲を知ってるかのように、平然と、皆に説明する。

「・・・・あの二人・・・・そうだったのか・・・・・知らなかった・・・・・」

「ん?! よくわかんねえけど、ゾロが怒ってないなら、まっ、いいか。」

「あの二人、交尾してんのか?!」

「・・・・トニー君・・・・・そんな直接的にいわなくても・・・・/////」


・・・・・・ヤリたいときの魔獣には・・・・・誰も敵わない・・・・・・


皆、先程のゾロの様子を、完全に理解した。

「さっ、これではっきりしたでしょ? 皆、今日は、もう、寝ましょう。 おやすみ〜vv」

ナミは、そう言って、でんでん虫を手に持って、部屋に帰っていった。

「・・・・・・ナミ、何で、お前、それ、持って行くんだ・・・・・」

ウソップが、ボソリと呟く。


ロロノア・ゾロの誕生日は、こうして、幕を閉じた。







 <END>





 <kikaku>         <


 



<コメント>

はあはあ・・・・・・『格好良いゾロ』が、書きたかったのに・・・・
なんで、こうなるんだろ・・・・・(TOT)
とりあえず、1本目! おしっ!(←・・・何、気合い入れてんだか。-_-;)
セーラー服サンジが気になる、あなた!!
むふふ、ちゃんと、格納庫のでんでん虫に記録残ってますぜ。
聞いてみる?? じゃあ、★を、ポチッと、押してみてvv
では★