Nothing!!


前編






「うふふ。 今日は、あちきの愛しいロロノアダーリンの誕生日vv

転校早々に、うちの剣道部の連中を、アッという間に、全員うち負かして、『何て、奴!!』と

最初思ったりした訳よ。 だけどさあ、試合が終わって、面をとった後の、あの精悍なお顔

に、ひ・と・め・ぼ・れvv ん〜もう、あちきのハートは、ズッキズキvv あの日から、ゾロちゅう

わんのこと、一日たりとも、忘れたことなんか無かったわ。 そう・・・・運命・・・・・・・あの日、

私達は、運命に導かれ、出会った。 ・・・・・・・はずだったのに〜!! 気付いたときには、

あの子が、そう、あのサンジが、ダーリンの隣にいるじゃない!! そこには、あちきがいる

はずだったのに・・・・・・ ダーリン、転校したばっかりで、あの子の外見に惑わされているの

よ。 ・・・・・・負けないわ。 あちきのこの燃えるような熱いハートで、ダーリンの瞳を、醒まさ

せてあげるわvv」










11月11日。 快晴。

ラフテル学園高等部特殊芸能コース3年、ボン・クレーは、その胸に、熱い闘志を燃やして、

学園に向かう。

その手には、綺麗にラッピングされた手作りの真っ赤なマフラー。

ご丁寧に、ゾロのネームまで、入っている愛情たっぷりのプレゼントである。

ゾロが、サンジと付き合っているというのは、学園中、周知のこと。

学園でも、とかく話題になる二人の熱々ぶりは、他者を寄せ付けず、憧れる者はいても、

誰一人として、恋慕する者はいない。

ましては、二人の仲を引き裂こうなんて、そんな命知らずは、この学園に、いるよしもなかっ

た。

・・・・・・・・・・そう、このボン・クレー、ただ一人を覗いては・・・・・・・・・・




「なあ、いい加減、諦めろよ。 お前が、敵う相手じゃないって。 サンジを差し置いて、ロロノ

アが、お前と付き合うなんて、絶対、天地がひっくり返っても、あり得ないぞ。 傷は、浅い方

が、良い。 違う奴、見つけろよ、なっ。」

クラスメートのジャンゴが、呆れ顔でそうボン・クレーに忠告する。

「冗談じゃないわよぅ。 ここまできて、あちきが、引き下がれると思ってるの?? ここで、黙

って身をひいたら、それこそ、サンジの思うつぼじゃない。 嫌!、絶対に、あちき、引き下が

らないんだから・・・・・・・・どんなコトしても、絶対に・・・・・・・」

ジャンゴの言葉に、ボン・クレーは、激しく言い返した。

「ふぅ・・・・・全く、強情な奴だぜ。 そんなに、ロロノアに相手にして欲しけりゃ、サンジにで

も、なるしかねえな。 無理なことだが。」

ジャンゴは、ため息を吐いて、ボン・クレーにそう言う。

「!!あんた、今、何て言った? そう・・・・・それよ、それ! あちき、良いこと思いついちゃ

ったvv あんた、発案者なんだから、あちきに、協力しなさいよ! いいわね!!」

ボン・クレーは、ジャンゴに向かってそう言うと、慌てて、2年のゾロのクラスに向かった。

そして、気付かれないように、注意深く、サンジの様子を伺った。

「・・・・髪は、ハニーブロンドで、耳の下位の長さ・・・・・眉毛は、ぐるぐる・・・・・っと。 瞳は、

薄い蒼色・・・・・・・・ よし! これで、完璧、ね! ぐふふ、見てなさい、放課後・・・・・」

そう呟いて、ボン・クレーは、教室に戻っていった。













・・・・・放課後・・・・・・



「なあ、ゾロ。 今日、お前、誕生日だろ? 部活済んだら、お前んちで、二人で、お祝いしね

え? ・・・・・//////お、俺さあ、今日・・・・・・帰らないって、家に連絡しておいたからさっ。」

サンジは、耳まで真っ赤になって、ゾロにそっと耳打ちする。

「本当か?! ・・・・・良いのか。 この前、家に帰らなかったとき、お前、さんざん親父さん

から怒られただろ? 親父さん、凄い剣幕だったからなあ。 お前の親父、マジ、怖ええか

ら・・・・・・よく、許してくれたな。」

ゾロが、驚いた様に、そう言い返す。

・・・・・・この前・・・・・というのは、エースが留学から帰ってきて、サンジにちょっかいをかけ、

それがきっかけで、初めて、サンジが、ゾロの家にお泊まりした日。

元々、泊まる気はなかったのだが、好きあう者同士、二人っきりで部屋にいれば、必然とそ

うなるわけでして、それが、初めての結びつきなら尚のこと、感情に流され、朝を迎えた。

・・・・・・・ということである。

「・・・・まあ、まあな。 あん時は、俺、何も言わずに泊まっちまったから、よけい、心配しさせ

ちまったんだ。 でも、今日は、ちゃんと、お前んちに、泊まるって、言ってきた。 あっ、そう

言えば、親父、お前に、もう一度、会いたいって、言ってたゾ。 お前のこと、結構、気に入っ

たんだな。」

サンジは、にっこりと笑って、ゾロにそう言った。

「・・・・・・・『会いに来い。』って、そう言ったのか、親父さん・・・・・・」

ゾロは、顔を少し引きつらせてそう聞く。

「ああ、言ってたぜ。 もう一度、話をしたいって。 良かったな、ゾロ。 親父さあ、あんまり、

人と話とかする方じゃないんだ。 お前、気に入られたんだよ。」

サンジは、ニコニコしてそう言った。



・・・・・・・・サンジ。

・・・・・・・・それ、絶対に、違うと思うぞ。

たぶん・・・・・・・いや、絶対に、親父さん、俺を牽制してるんだ。

怖ええ・・・・・・・俺、蹴り倒されるかもしれねえ・・・・・・・・

・・・・・・・・覚悟、いるよなあ、絶対・・・・・・



「・・・・・・わかった。 近いうちに、お前んち、行くから。」

ゾロは、深いため息を吐くと、そうサンジに伝える。

「おう! 親父に伝えとく。 ・・・・ところで、お前、顔色、悪いぞ? 部活、休んだ方が、良い

んじゃないか?」

サンジは、顔色が急に悪くなったゾロを見てそう言った。

「いや、部活行った方が、すっきりするから・・・・・・じゃ、あとで、体育館の前、な。」

ゾロは、自分の言葉が原因だと考えてないサンジの天然さに苦笑しながら、そう言って、部

活に行った。

「???変なゾロ。 じゃ、俺も行くか。」

サンジはそう言って、教室を出た。

廊下をサッカーの部室へと急いでいたサンジは、途中、3年生のジャンゴとすれ違う。

「・・・・・1・・・・2・・・・・ジャンゴ!!」

ジャンゴの言葉が、サンジの耳に届いた瞬間・・・・・・・・・・・サンジは、固まって動けなくなっ

てしまった。



・・・・・・なっ・・・何・・・・意識が・・・・・ゾロ・・・・・・



サンジは、ジャンゴの腕の中で、意識を失った。

「・・・・・・ボン・・・・・・これで、良いのか?」

「ええ、充分よ、ジャンゴ。 後は、あちきが、やるわ。」

ジャンゴの言葉に、ボン・クレーはそう言って、サンジを肩に抱えて、誰にも気付かれないよ

うに、体育館の倉庫の跳び箱の中に、サンジを隠した。

「ふふふ・・・・・・お休みなさい、サンジ。 起きたときには、あなたのゾロは、あちきのものよ

んvv 悪く思わないでねvv 恋は、人を残酷にするのよvv さてっと、あちきも、着替えなき

ゃ・・・」

ボン・クレーはそう言って、体操部の部室に戻ると、サンジに変装を始める。

特殊芸能コースのボン・クレーは、変装に長けていて、今まで一度も、その変装を見破られ

たことはなかった。

「・・・・・これで、良し! うふふ、後は、サンジになりすまして、このマフラーを渡して・・・・・

ああっ、めくるめく愛の一夜を共にするのよ〜んvv」

サンジに変装したボン・クレーは、サンジが、いつもゾロを待っている体育館前に立つ。

暫くして、部活を終えたゾロが、やってきた。

「ごめん、サンジ。 待たせたな。 さっ、行こうぜ。」

ゾロはそう言って、サンジ(ボン・クレー)の手を引っ張って、歩き出す。



いや〜ん、サンジってば、いつもこういう風に手を繋いで貰ってるわけ??

う、羨まし〜いvv ・・・・・それに、なんて、優しい瞳で、見ているの・・・・・・

ブフッ・・・・・堪らないわ・・・・・・・



サンジ(ボン・クレー)は、真っ赤になって、俯いた。

まともに、ゾロの顔さえ見れない。

「??どうした、サンジ。 お前、変だぞ?」

ゾロは、足を止めて、サンジ(ボン・クレー)の頬を両手で、挟む。



!!!!・・・・はわ・・・はわわ・・・・・・



サンジ(ボン・クレー)は、軽いめまいを起こした。

「こ、これ! 受け取って!!」

サンジ(ボン・クレー)は、持ってきたプレゼントをゾロに差し出した。

「サンキュー、開けて良いか?」

ゾロは、はにかみながら、そう言って、プレゼントを開けた。

「・・・・・す、凄い色だな。 でも、ありがとう、サンジ。 大切に使わせて貰う。」

ゾロは、サンジらしくない派手なマフラーの色に驚いたものの、にっこりと笑って、サンジ(ボ

ン・クレー)に礼を言った。



・・・・・・あちき・・・・・・死ぬなら、今が良い。

この幸せの中で、死ねるなら・・・・・本望・・・・・・



思わず、身体が、得意のバレエを踊ってしまうサンジ(ボン・クレー)・・・・・・

「・・・・・・・・・・・。」



・・・・・・サンジ・・・・・・・どうしたんだ、一体・・・・・・

俺が部活に行ってる間に、何が、サンジに起こったんだろう・・・・・・・



道ばたで、踊るサンジ(ボン・クレー)を見て、ゾロは、深くため息を吐いた。









一方、体育館の倉庫では・・・・・・・

「・・・・1・・・・2・・・・ジャンゴ!!」

体育館の倉庫にサンジを見つけたジャンゴは、そう言って、サンジの催眠を解いた。

「・・・・・すまねえな、サンジ。 ボンを・・・・・・ボンを許しちゃくれねえか。 あいつは、本当

は、良い奴なんだ。 ただ、今は、自分を見失ってるだけなんだ。 すまねえ。」

目を覚ましたサンジにジャンゴはそう言って、謝った。

「・・・・ジャンゴ先輩。 一体何言ってるのか、俺、わかんないんですけど・・・・・・

それに、俺、どうしてこんなところに・・・・・・・」

サンジは、ジャンゴの言ってる意味を理解できずにそう言った。

ジャンゴは、ボン・クレーが考えていた悪巧みを全て、サンジに話す。

「・・・・・そういうことですか。 ・・・・・でも、これだけは、ゾロだけは、ボン・クレー先輩には、

あげられません。 ・・・・・・失礼します。」

サンジは、そう言って、急いで、ゾロの家に向かった。













+++++++++++++++++++



「なに、そわそわしてんだよ。 少しは、落ち付けって。 初めて来たわけでもねえって言うの

に・・・・・さっきから、おっかしいぞ、お前・・・・・」

部屋の中で、うろうろして落ち着かないサンジ(ボン・クレー)を見かねて、ゾロは、声を掛け

る。

「あっ・・・・・あち、いや、俺・・・・・」

サンジ(ボンクレー)は、さっきから、ドキドキが止まらなくて、これから先のことを考えただけ

で、落ち着かない。

「・・・・俺、風呂、入ってくるわ・・・・・・お前も、一緒に、入る??」

ゾロはサンジ(ボン・クレー)に近づいてそう言う。

「う・・・・うぅ・・・・//////」

サンジ(ボンクレー)は、うなり声を上げ、その場に固まった。

「ククク・・・・・おもしれえ・・・・・嘘だ、嘘。 まだ、時間は、たっぷりとあるし・・・・・」

ゾロは、そう言って笑って、風呂場に向かった。

「あ〜、心臓が止まるかと思っちゃったわよぅ〜。 ダーリンってば、おちゃめvv

・・・・・・惜しいこと、したかしら・・・・」

サンジ(ボンクレー)は、少し残念そうにそう呟いた。







  
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<コメント>

ロロ誕で、こう言うの書くやつって、ルナしかいないよ・・・ね。(-_-;)
これじゃあ、ロロ誕と言うより、ボン誕だよ〜(爆) あはは・・・(←じゃねえ!!)
でも、誰からでも愛されるゾロ・・・・書きたかったもん。 ルナは、ゾロリストだから・・・
それにさあ、ロロ誕月間だから、ロロノア主役で良いのだ!
・・・・・・けど、どう見ても、ボン、主役・・・・・・(爆)
さっ、次行こう、次!!(汗)