Darling☆Panic その1. |
「くぉらーっ!! 寝グサレ腹巻ーっ!! さっさと起きやがれ!!」
劈くようなあいつの怒声と、腹にズキンと痛みが走る。 俺は、さも今、目覚めたような口調でそう文句を言った。 「てめえこそ、何度言っても聞かねえな。 俺様の料理が冷めちまうだろ! ほら、ぐずぐずし サンジは、そう言ってクルッと踵を返しキッチンに向かう。 俺は、ニヤニヤと笑いながら、サンジの後に続いた。 「あん? 何ニヤついてんだよ?」 そう言って、あいつが怪訝そうに立ち止まって振り向いたから。 「ククク・・・・・俺を起こすの、そんなに嬉しいか・・?」 って、グイッとその腕を掴んで引き寄せた。 「ばっ、ばっかじゃねえの!! なんで、俺が!!!」 「ククク・・・・・声、裏返ってるぜ・・・?」 「ククク・・・・・出来るなら、こうやって起こしてくれると俺としちゃあ嬉しいんだがな・・・。」 咥えている煙草を取り上げて、そっとその柔らかい唇に口付けた。 「んっ・・・・んんっ・・・・ぷはぁっ・・・・・・・・・・・・・このエロ剣士!!」
そう言ってサンジが必死で俺を引き剥がした。 「こ、このエロ腹巻!! て、てめえなんか一生そこで寝てろ!!」
膝をついて甲板に蹲った俺に、サンジはそう怒鳴って、そのままキッチンに入っていく。
「痛っ! ・・・・・・・・・・。」 「朝から飲むんじゃねえよ! ほれ、てめえの分だ・・・。」
スッと皿を差し出される。 本当は嬉しくて、すぐにでも頬張りたい位なんだが、ここはグッと感情を抑えてそう尋ねた。 「・・・・・・・・要らねえなら、食わなくて良いぜ・・?」 ニヤリとサンジが、笑う。 サンジから皿を取り上げ、ガツガツと食う。 「へへ・・・・美味いだろ・・・?」 そう言って、サンジはニカッと笑った。 「んぁ? ・・・・・なにガンつけてんだよ。」
そう言って、視線を逸らしたサンジ。 「ありがとうな、サンジ・・・。」 俺は苦笑して、滅多に口にしない名前を呼んだ。 「う・・・ぁ・・・・ああ・・・別に・・・。」
サンジは慌ててポケットに手を突っ込んで、煙草を咥える。 俺はサンジを引き寄せて、ギュッとその痩躯を抱き締めた。 「可愛いって言うな!可愛いって!!」
そう言って俺を睨みつけながらも、抵抗はしてねえ。 「ねえ、サンジィ〜。」
そういう声と共に、キッチンのドアが勢い良く開く。 「ッ・・・痛え・・・・・このクソコック!! てめえはちったぁ、可愛く素直になりやがれ!!」
俺はそう文句を言って、起き上がろうと身体を起こしたら・・・・・ ガクガクと身体を揺り動かされ、サンジが俺を呼んでいる。 「うっ・・・・・あ・・・・・?」
瞳を開けると、俺を心配そうに覗き込むサンジの姿。 「ふぇっ・・・・・良かったぁ・・・・ゾロ・・・・・良かった・・・。」 ポロポロと涙を零しながら、サンジが俺にギュッとしがみつく。 「ゾロ、大丈夫か? 俺に診せて・・・・」
サンジの隣りに居たチョッパーが、そう言って俺の頭を覗き込んだ。 そう言って立ち上がろうとして、気がついた。 「お、おい、クソコック・・・」
俺は、慌てた。
「ん? どうしたんだ、ゾロ? なぁ、本当に大丈夫か? ちゃんとチョッパーに見て貰とけ そう言ったまま、腕は俺の背中へ。 「どうしたんだ、てめえ?!」 俺は、ガッとサンジの腕を掴み、一緒に立ち上がる。 「い、痛えよ、ゾロ・・・・・ゾロこそ、どうしたんだよ? 頭打って変になったのか?」
そう言って不安そうにサンジは俺を見つめた。 「俺が変じゃねえ! てめえが、変だろ、クソコック!!」 「クソコック?!」 俺の言葉に、チョッパーが驚いたように声を上げる。 「あ? なんだよ、チョッパー??」 「だって・・・・・・ゾロ、一体どうしちゃったのさ。 サンジのこと、クソコックだなんて・・・・」 怪訝そうな俺に、チョッパーがそう言って首を傾げた。
「どうしたもなにも、俺はいつも、こいつにそう言ってるじゃねえか。」
「だって・・・・・ゾロは、いつも、サンジってそう呼んでいるのに・・・・クソコックだなんて・・・・ 「なっ・・・・・・なっ・・・・・・」 俺は、言葉を失った。 「これは、夢だ。 夢に違いねえ。 もう一度寝たら、大丈夫だ。 ・・・・・・寝よう。」 俺は一人ブツブツと呟いて、床に寝転がる。 「あ、ゾロ!! ダメだ、んなとこで寝るな!!」 サンジの怒鳴る声が聞こえる。 「・・・・・もう。 仕方ねえなぁ、ゾロは・・・・。」
俺の予想を覆し、サンジはクスクスと笑うと、事もあろうか俺に毛布を掛けやがった。 「どうしちまったんだ!!クソコック!! いつものてめえは何処行った?!」 ガバッと立ち上がり、俺はサンジに詰め寄る。
「痛っ!! 痛いよ、ゾロ・・・・・もう、なんなんだよ、さっきから・・・。 いつもの俺って・・・・ 「うん、わかった!」 サンジの言葉に、チョッパーが俺を引き剥がして、無理やり聴診器を当てる。 「・・・・・身体は異常ないみたいだ。 だとしたら・・・・・」 じっとチョッパーがつぶらな瞳で俺を見る。 「な・・・・なんだよ・・・。 俺は、どこも悪くねえ。 もう寝る!!」
俺はその視線に居た堪れなくてキッチンを出た。 俺は、ナミにそう聞いてみた。 「ハァ?? なにいきなり言い出すの? 失礼ね、あんた・・・」
俺の言葉に、ナミはムッとした表情をしてそう言い返す。 「・・・・・悪い。 クソコックの様子がおかしかったからてっきり・・・・」
「クソコック?! あんたこそ、どうしちゃったのよ? サンジ君のことそんな風に言うなん 「んぁ? 俺はいつもクソコックとしか言わ・・・・」
「あーハイハイ。 また犬も食わない痴話喧嘩でもしたのね。 あ、ゾロ。 今夜には島に着く 俺の言葉も最後まで聞かず、ナミはそう言ってにっこりと笑った。 「・・・・・・・俺の誕生日プレゼント?!」 言えた言葉はそれだけだった。
「・・・・・あのね。 本当、どうしちゃったのよ。 10日前から、あんた言ってたじゃない。 ナミは俺にひそひそと耳打ちして、そう言ってにっこりと笑う。 「なっ・・!・・・な・・・!!・・・・んな恥ずかしい事、俺が言う訳ねえーーーーっ!!」
俺は今までに無い位、絶叫した。 「どうしたんだよ? なにかあったのか?」 騒ぎを聞きつけて、ルフィとウソップがそう言いながら、俺の方へ歩いてくる。 「いや・・・・・・なんでもねえ。 俺、もう寝るわ・・・・。」
あまりの展開に、俺はなんか話す気力も消えうせて、そのまま男部屋に向かった。 「・・・・・・・・・こ、これは、一体?! なんでこんな部屋が・・・・」
いつものように男部屋に行くと・・・・・ 「あ、ゾロ・・・・」 「チョッパー、これは・・・・この部屋は一体?!」
「なに言ってんだよ。 ゾロとサンジの部屋だろ? 去年の誕生日にウソップが作ったじゃな 「・・・・・・・・・記憶?」 「ちょっと、来て!!」 首を傾げた俺をチョッパーは慌てて手を引っ張り、そのダブルベッドに座らせた。
「・・・・・やっぱりさっき、頭をぶつけたのが原因なのかな? 外傷はそんな重大には思えな 俺の頭に出来ている傷を診ながら、チョッパーがそう呟く。 「俺は全然普通だぞ。 病人でも怪我人でもねえ。」 「だったら、ゾロ。 俺の質問に答えてみてくれる?」 「ああ。」 それから、チョッパーは、俺にいろんな質問をした。
「やっぱり、記憶の一部分が欠如してる。 たぶん一時的なものだとは思うけど・・・いいか、 チョッパーが俺に話してくれた事は、俺の言葉を失くすには充分な内容だった。
「・・・・・・状況は、とりあえずわかった。 けど、まだ頭ん中がこんがらがってて・・・・すまね 「うん・・・・わかった。 なんかあったら俺を呼んでな・・・。」
チョッパーは、俺の言葉にそう返事して部屋を出て行った。 「・・・・・・・ゾロ、大丈夫か・・?」 暫くして、サンジがそっと入って来た。 「あのさ・・・・おやつ、持って来た。 ゾロ、これなら食べるってそう思って・・・・」
そう言って言葉といっしょに差し出されたのは、白いゼリー。 「・・・・・・・要らねえ・・・・」 思わず口が出た。 「えっ?! あ、でも・・・・」
「俺は甘いのが苦手なんだ。 おやつなんか食わねえの、てめえが一番知ってるだろう つい、声を荒げてそう言い返し、体勢を整える。
「あ・・・・・・そうだけど・・・・・・これは・・・・・これだけは、美味いって・・・そう言って食べてく だんだんとサンジの声が小さくなって涙声に変わっていった。 「ゾロの馬鹿ぁ!!」
俺の言葉を最後まで聞くことなく、サンジは俺にそのゼリーを投げつけて部屋を飛び出す。 「・・・・・・・・参った。」
毛布に散らばるそのゼリーを掬って口に放り込む。 |
<コメント> また性懲りも無くロロ誕駄文とは思えないこの話・・・。 間に合えば・・・部屋にあると・・・ 間に合わなかったら・・・企画部屋直行・・・(滝汗) 間に合いました・・・・(ボソリ) |