NG ダーリン OK ハニー


後編







「ふ〜ん。 この街には、カジノや歓楽街もあるのか。 結構、大きな街なんだな。」

サンジは、道行く人をカフェのテラスで眺めながら、一人そう呟く。

初めの計画では、この街を散策して、久しぶりにホテルに宿をとって、目一杯二人きりの

時間を過ごすはずだった。

そう、今、ここにいない剣士と共に。

「さてと・・・・・・・これから、どうしたもんかね。 カジノにでも行って、憂さ晴らしするか。

とりあえず、今は、あいつのこと・・・・・考えたくねえし・・・・・」

サンジはそう呟いて、カフェを出てカジノに向かう。

その途中、見慣れた後ろ姿を見留めた。

サンジは、わからないようにその後を付けることにした。

ゾロは、先程からその風体に似つかわしくない店の前のショーケースを眺めては、うろうろし

ている。

「あの店は・・・・・・宝飾店じゃねえか。 一体・・・・なにしてんだ?あいつ・・・・・・・」

サンジが、怪訝そうにそう呟いていると、店の主人らしき人物が、数人の屈強な男達を従え

てゾロの前に現れた。

そのうち、人だかりが店の前に出来始め、騒ぎに発展し始める。

「チッ。 ・・・・・馬鹿が。」

サンジは軽く舌打ちをすると、人だかりをすり抜け、ゾロの側に駆け寄った。

「ほらっ、ぐずぐずしねえで逃げんだよ!」

サンジは、飛びかかってきた男達に蹴りを加えながら、ゾロの腕を捕ってその場から離れる。

男達は、どうやら追い掛けては来ないようだった。

「てめえは、本当に、なにしてんだよ!! 朝っぱらから街に行ったかと思うと、あんな騒ぎを

起こしやがって・・・・・だいたい、街に用事って一体なんなんだよ! 俺にも・・・・・・俺にも言

えねえような事なのか!!」

サンジは、路地裏でゾロにそう言って、シャツに掴みかかる。

言葉の端がわずかに震えているのがわかる。

「すまねえ、サンジ。・・・・・あいつらが、勝手に俺のこと、強盗かなんかと勘違いしたみてえ

で・・・・」

「当たり前だ!! てめえみたいな野郎が刀ぶら下げて、店の前を何度も不審気にうろつい

てたんだ。 警戒するのは、当然だろ。 ・・・・で、あの店にいったい何の用事だったんだ?」

サンジの剣幕にも飄々として言い訳するゾロに、サンジは少々気が抜けた。

「・・・・・・・・・買い物。」

「あア??」

「だから・・・・・・・買い物しようとして・・・・・・けど、あんな店入ったことねえから、躊躇しちま

って・・・・・そしたら、店からあいつらが出てきて・・・・」

ゾロは、ばつが悪そうにそう答える。

「万年貧乏の金無し剣士がかぁ?」

「・・・・・・金なら、ある。」

ゾロはそう言って、腹巻きから10万ベリーを取り出しサンジに見せた。

「て、てめえ、その金・・・・・・まさか、賞金稼ぎ・・・・」

「馬鹿言え、ちゃんと労働で得た金だ。 だいたい、賞金首が、こんなはした金で済むわけね

えだろ。」

「そりゃそうだが・・・・・・・・なぁ、聞いて良いか。 もしかして、ここ2、3日てめえの様子がお

かしかったのは、その労働とかのせいか?」

「ああ。」

「けど、そんな慣れねえ事、なんで?」

「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・俺に言えないことなのか? ・・・・・・・わかった、もう良い。」

聞かれても黙りを決め込むゾロに、サンジは、そう言ってさっさと路地から一人出ていこうとす

る。

「・・・・・・・プレゼント・・・・・」

ゾロは、ボソリとサンジの背中に向けて呟いた。

「えっ?!」

サンジは、その言葉を聞いて振り返る。

「今・・・・・・なんて?・・・・・・」

「だーかーら・・・・・・・てめえに・・・・・・・プレゼント・・・・・・・・・・したかったんだよ。 チッ。」

ゾロは軽く舌打ちをし、頭を掻いて瞳を伏せた。

「・・・・・・・・・俺は、そんな物・・・・・・・・・望んじゃねえ!! なんで俺に勝手に、そんな

事・・・・・そんなコトするんだよ。 チクショー!! 俺の3日間、返せ! 馬鹿みてえじゃねえ

か! 俺・・・・・俺一人馬鹿みてえに・・・・・イライラして、うじうじして・・・・・チクショー!! 

俺の3日間を返しやがれ!!」

サンジは、そう叫んでドンドンとゾロの胸を叩く。

「痛て! 痛てえって! なにそんなに怒ってんだよ! てめえの誕生日にに何か贈りてえ

って思うのは、当然だろ? それが、悪いのかよ!」

ゾロは、叩くサンジの両腕を捕らえてそう言って睨み付けた。

「っ・・・・クッ・・・馬鹿ゾロ。 ・・・・ックッ・・・・悪いに決まってる・・・・・俺、言ったじゃねえか。

俺・・・・・てめえと一緒にいてえって・・・・・ヒックッ・・・・・ナミさんに我が儘言って・・・・・

ヒック・・・・・1週間、てめえと二人きりで・・・・ヒック・・・・・それなのに・・・・・てめえは・・・・

一人で勝手に街に行って・・・・ヒック・・・・・・俺はひとりぼっちで・・・・・ずっと・・・・・

ヒック・・・・・ずっと・・・・・何も知らねえで・・・・てめえにムカついて・・・・ひとりぼっちで・・・・」

サンジは、しゃくり上げながらゾロにそう言う。

サンジの泣いてる様を見て、ゾロは自分の考えの愚かさに気が付いた。

「・・・・・・サンジ、ごめん。 そうだよな。 俺・・・・・常識に捕らわれすぎてて・・・・・・物や形

有る物だけがプレゼントじゃないよな。 てめえが一番望む物・・・・・それを叶えるのが、一番

のプレゼントだよな。 わかった。 これからの俺の時間、てめえに全部くれてやる。 

さっ、何処に行く? カジノか? それとも、市場に買い物にでも行くか?」

ゾロは、サンジを優しく抱き締めて、そっと零れる涙を拭う。

「・・・・・・俺・・・・ふたりきりになれるとこ、行きてえ。」

サンジは、ギュッとゾロのシャツを掴むと、顔を真っ赤にして俯いた。

「・・・・・・・ダメか?」

いきなりなサンジの発言に硬直して言葉も出ないゾロにサンジは、真っ赤な顔のまま上目

遣いでそう言う。




・・・・・・・・落ち着け、俺・・・・・・

・・・・・・・・これは、サンジへの誕生日プレゼントなんだ。

・・・・・・・・その俺が・・・・・喜ばせて貰って、どうするよ。

・・・・・・・・クッ、ダメだ。

・・・・・・・・顔がにやける・・・・・・ダメだ・・・・・マジ・・・・可愛すぎる。

・・・・・・・・もう・・・・・余裕が・・・・・・・ねえ。




ゾロは、サンジを脇に抱えると無言のまま、一目散に宿屋に向かう。

「オヤジ! 部屋!!」

「ハイ! 102です!」

「金だ!!」

もの凄い形相のゾロに気圧されて、店の主人はさっと部屋の鍵を渡した。

ゾロは、その鍵を受け取るとそのまま、部屋に駆け込んだ。

「サンジ、サンジ、サンジ・・・・」

何度もサンジの名を口にして、サンジの顔中にキスを繰り返すゾロ。

「ちょ、ちょっと、たんま! ちょっと待てって!! 待てと言ってるだろが!!」

サンジは、性急な行動に慌ててゾロの顎を両手で挟んで止めさせた。

「あっ、悪い。 俺、また・・・・」

「いや、謝らなくても良い。 俺が、望んだことだから。 けど・・・・・・俺、風呂、入りてえん

だ。 一杯泣いたし・・・・それから、な?」

サンジは、そう言ってにっこりと微笑む。




・・・・・くはぁ。 ここでんな顔するか・・・・・




「・・・・・・・てめえ、わざとだろ・・・・」

「はぁ?? なにが?」

「いや、なんでもねえ。」

キョトンとするサンジの顔に、ゾロは、全身に残る理性をかき集め、必死で耐えた。

「変な奴・・・・」

サンジはそう呟いて、風呂に向かう。

「あ、そうだ。 なぁ、ゾロ。 ・・・・・・・一緒に、風呂入るか?」

風呂場のドアの前でサンジが、ゾロの方を見てそう言った。

その言葉は、ゾロの残されていた理性をあっけなく粉砕してしまった。

「・・・・ったく。 俺をこれ以上喜ばせてどうすんだ。 これじゃあ、どっちにプレゼントやってる

か、わかんねえよ。 ・・・・・覚悟しろよ。」

ゾロは、サンジの唇に噛みつくようにキスを落とすとサンジを抱いて風呂に入る。

「うわっ。 ゾロ、これじゃあ、俺、レディみてえじゃねえか!」

いわゆるお姫様抱っこされ、湯船に浸けられたサンジは、恥ずかしさで顔を真っ赤にした。

「いや、てめえは、そこいらの女なんか比べ物にならねえ位、可愛いぜ。」

「なっ・・・・・!! ・・・・・可愛いなんて、言うな! ・・・・・馬鹿ゾロ。」

「ククク・・・・そう言うのが、可愛いって言うんだ。 可愛い、可愛い・・・・」

「あ〜・・・・もう・・・・止めろって!! もう!!」

サンジはそう言って、ゾロの口から出る言葉を自分の唇で塞ぐ。

それはすぐに、ゾロからの深い口付けに変わり、浴室にピチャピチャと絡み合う舌と雫の音が

響いた。

「んっ・・・・ふ・・・・んんっ・・・・んっ・・・・・」

口内を丹念にゾロの舌で愛撫される度、サンジの背筋にゾクンと甘い痺れが走る。

「んんっ・・・・あっ・・・・あ・・ん・・・・あっ・・・」

ゾロは、サンジのサンジの甘い吐息に後押しされるように、下唇を軽く甘噛みし、唇を首筋か

ら下に移した。

そして膝を立て、その上にサンジを座らせると、ゆっくりと赤い印をサンジの柔肌に刻みつけ

ながら敏感な胸の尖りを口に含む。

「ひゃっ・・あ・・・・ん・・・・ゾロ・・・・ゾロ・・・ああ・・・ん・・・ヤァ・・・・・」

小さな胸の尖りを舌で転がす度にサンジの身体がビクンと震えた。

ゾロは、だんだんと口の中で固くなる先端を歯でつまみ、舌で擽る。

「ひゃっ・・・あっ・・・・あっ・・・あ・・・ん・・・・ヤァ・・・・ゾロ・・・・もう・・・・・」

サンジは瞳から涙を溢れさせ、ぎゅっとゾロの頭を胸に引き寄せた。

「あっ・・・あ・・ん・・・ゾロ・・・・お願・・・い・・・・・ねっ・・あっ・・・・」

サンジはそう言って、揺れる瞳でゾロを見つめる。

ゾロは、その瞳に誘われるようにサンジの背中を撫で、双丘に手を割り入れた。

お湯に浸かった後口は、なんなくゾロの指を呑み込んで、ゾロは、胸の尖りを口に含んだま

ま、ゆっくりと内襞を解していく。

そのうちに、内襞の中を蠢く指の数も次第に増え、サンジは、無意識に腰を揺すった。

「あん・・・・ああっ・・・・ヤァ・・・ダメ・・・・ゾロ・・・・・もう・・・・ダメ・・・・やだ・・・挿れて・・・・」

サンジの嬌声に煽られるように、ゾロは、自分の雄をサンジの中に埋める。

「あああっ・・・・あっ・・・んんっ・・・あ・・は・・・ん・・・・・ゾロ・・・・ゾロ・・・ヤァ・・・」

始めこそ指との質量の違いに緊張が走るものの、じんわりと甘い疼きがすぐに湧き起こり、

サンジは、自ら腰を揺すった。

「ックッ・・・・・サンジ、そう・・・・・煽るな。」

ゾロは、眩暈を覚えるほどの射精感を根性で押さえつけると、サンジの腰の動きに合わせ、

挿入を繰り返す。

「あああっ・・・・ヤッ・・・・ッロ・・・・ダメ・・・・・あっ・・・ああっ・・・・ああ・・ん・・・・ゾォ・・・ッロ」

ギュッとゾロの首筋に縋るサンジに、ゾロは、腰を両手で抱えて激しく腰を打ち付けた。

「ックッ・・・すげえ・・・・てめえ・・・・良過ぎだ・・・・」

「ああっ・・・ヤダ・・・・あ・・・ん・・・ゾロ・・・・・俺・・・ああっ・・・・ダメ・・・あっ・・・ヤッ・・・クッ」

耳元で切羽詰まったゾロの声に囁かれ、サンジはビクンと大きく身体を仰け反らせ、堪らず

白濁の精を吐き出す。

「っ・・・ック・・・・サンジ・・・」

ゾロも、その姿態に煽られるようにサンジの中に白濁の精を叩きつけた。

「サンジ・・・サンジ・・・・好きだ。」

ゾロは、はぁはぁと息が上がるサンジの身体を抱き寄せると、その顔中に触れるだけのキス

を繰り返す。

「んっ・・・ヤァ・・・・ゾロ・・・・・動かない・・・で・・・あ・・・ん・・・・」

サンジは、自分の中で息づくゾロの雄にフルフルと身を震わせた。

「っ・・・・・クッ。 ・・・・・ダメだ。 サンジ、俺・・・・・・・てめえを離せねえ。 許せ。」

ゾロは、そう言うなり、また腰を引く。

「あんっ・・・・ゾロ・・・・あっ・・・・ダメ・・・ゾロ・・・ヤァ・・・・ん・・・・」

ゾロとサンジは、そのまま、互いの熱を分かち合った。














「・・・・・・なぁ、ゾロ。」

「ん? なんだ?」

「あのさ、俺・・・・・・」

空が白みがかった時間、サンジは、ゾロの腕の中でそう話しかける。

心地よい気怠さと、温かなぬくもりの中で互いの存在を確かめるように抱き締め、、ゾロは、

ゆっくりと瞳を開けた。

「あのさ・・・・・やっぱ、俺・・・・・・プレゼント・・・貰う。 ・・・・欲しいんだ。 せっかく、ゾロが、

俺を想って慣れねえコトして作ってくれた金だもん。 やっぱり、記念になにか欲しい。」

サンジは、そう言ってゾロの肩に顔を埋める。

「・・・ククク・・・・・しゃーねーな。 じゃあ、後で買いに行くか?」

「おう!」

ゾロとサンジはそう言うと、互いの額をくっつけて笑い合った。











「ナミさ〜んvv みんな〜vv ただいま〜vv」

2日後、サンジは、ニコニコと上機嫌でゴーイングメリー号に帰ってきた。

その右手には、ゾロの左手。

そして・・・・・・ひっそりとポケットから覗く銀色のチェーンホルダーが、太陽に照らされて誇ら

しげに輝いていた。








<END>







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<コメント>

うっし、3本目!! これでもまだ、甘さが足りないか??
今回は、ちょびっと格好良くないゾロ。(笑)
サンジは、乙女全開っぽいんですがね。
全体的にコミカルにしてみたんですが。
ゾロが、ね。 ゾロが・・・・・(苦笑)
二人の想いが空回りして・・・・・って感じですな。
いつもと違うゾロ・・・お楽しみ頂けたら、幸いですvv