ローたん’S バースディー

by ANNIVERSARY


その4






「はあ〜・・・・・なんとか、間に合いそうだ。 ・・・・全く、TKカンパニーの社長も、なに考えて

んだか・・・・・ こっちは、良い迷惑だぜ。 ・・・・サンジ、まだ怒ってるのかな。 相変わら

ず、自宅は留守電のままだし・・・・携帯は、電源入ってないし・・・・・店に電話しても出ない

し・・・・ はあ・・・・・・俺、マジ、凹むぞ。 あ〜、サンジに会いて〜。 ラピスに会いて〜。

・・・・・声だけでも、聞きてえよ。 今日、俺、誕生日だぞ。 ・・・・それなのに・・・・・・クソッ。

ああ、人生で最悪で、最高に、寂しい誕生日じゃねえかっ! 日本に帰ったら、マジ、1ヶ

月、休み貰うぞ、俺は・・・・・ 休みとって、サンジとラピスと3人で、誰も邪魔されねえとこに

行くんだからな、俺・・・・・ それくらいしてもらわねえと割あわねえよ。 くそっ。 

今日は、もう帰って、酒飲んで、寝るっ!」

やっと仕事の段取りを終え、帰国の見通しが付いたゾロは、そう呟いて、誰も待つ人のいな

い部屋へと家路を急いだ。

「ゾォローッ!・・・・」

途中、同じアパートに住む6歳ぐらいの男の子に声を掛けられた。

その子は、名前をジョーと言って、こちらでは珍しく、剣道を習い、早朝、肩慣らしに素振りを

していたゾロと意気投合し、すっかり、懐いてしまっていた。

ゾロも、ラピスができてからというもの、よその子供でも、可愛がるようになり、とりわけ、

こっちに来てから、自分に懐いてくれたこのジョーを自分の子供のように可愛がっている。

「ジョー、剣道の帰りか?」

「うん、そうだよ。 ゾロはもう、お仕事、終わったの?」

「ああ、さっき、終わった。」

「じゃあさ、家に着いたら、俺と遊ぼうぜ。」

「ああ、少しだけならな。」

ゾロとジョーは、親子のように仲良く手を繋いで、アパートに向かった。










「あっ・・・・ローたん・・・・・・」

サンジと老婦人についてゾロが好きな日本酒を買いに行っていたラピスは、その帰り道、

街角に消えるゾロの姿を真っ先に見つけると、そう言って、サンジの手をすり抜け、ゾロめが

けて走っていく。

「あっ、ちょ、ちょっと待てよ。 ラピス、待てって。」

サンジは、慌ててラピスの後を追いかけた。

サンジには、ゾロの姿は見えていない。

「あっ、ごめんなさい・・・・・」

サンジは、慌ててラピスを追いかけていて、大きな荷物を持った女の子とぶつかった。

バラバラ、ゴロゴロ・・・・・と、荷物の袋の中から、果物が、道ばたに転がり、サンジは、

ラピスを気にしながらも、その女の子と一緒に、果物を拾い始めた。









「ローたん・・・・・ローたん・・・・・」

ラピスは、1歳8ヶ月の子供とは思えないような早さで、ゾロの側まで走っていくと、後ろから

いきなりギュッとゾロの足にしがみついた。

「!!!」

ゾロは、その感触にびっくりして、自分の足にしがみついているモノを見る。

「・・・・ラ・・・ピ・・・ス?・・・」

ゾロは、いるはずのない名前を呼んで、驚きのあまり、固まってしまった。

「?どうしたの? ゾロ・・・この子、だあれ?」

ジョーは、ゾロが固まって動かないのを不思議に思いそう声を掛ける。

「はぁ、はぁ・・・・メーッ・・・・ローたん、ラピの・・・・・メーッ、ローたん、ラピの・・・・」

ラピスはジョーの前に立ちふさがるように立って、何度もそう叫んで、ジョーがゾロに触れる

のを嫌がった。

ゾロは、自分のローたんだから、触っちゃダメ・・・・・

ラピスは、懸命に片言の言葉で、そう言っていた。

「はあはあ、ラピス・・・・どうしたんだよ。 いきなり走って、危ないじゃねえか・・・・・」

サンジは、息を切らしながら、ラピスの目線で、走ってきた。

「・・・・サ・・・・ン・・・・・ジ?・・・・・・」

そう呟くように聞こえた小さな声で、サンジは、顔を上げる。

「っ・・・・ゾロッ!!」

サンジは、そう叫んで、目の前で何が起こっているのか解らずに固まっているゾロに抱きつ

いた。

「っ・・・・ゾロ・・・・ゾロ・・・・会いたかったよぅ。 ・・・・・俺・・・・ゾロに会いたかった・・・・

ゾロ・・・・ゾロ・・・・・」

サンジは、ゾロの名を何度も繰り返し呼んで、ゾロの存在を確かめるように、ギュッと力一杯

抱きしめる。

「・・・・・これは・・・・・夢か? 俺・・・・・頭、おかしくなった?」

ゾロは、何度も、首を振った。

「ば〜か、夢なんかじゃねえよ。 俺も・・・・ラピスも、お前に会いにやって来たんだ。

それとも、俺達のこと、もう、覚えてない?」

サンジはそう言って、ゾロの唇にそっと触れる。

懐かしい体温が、ゾロの唇に広がる。

「・・・サンジ・・・・本当に、サンジなのか? なんで? なんで、こんなとこに??」

ゾロは、サンジをギュッと抱きしめ返した。

「ローたん・・・・・」

ラピスが、そう言って、ゾロのコートを引っ張った。

「ああっ、ごめん。 ラピス、ごめんな。」

ゾロは、サンジから身体を離すと、自分を見上げているラピスを抱き上げる。

「えへへ・・・・一日、遅くなっちゃったけど・・・・・ゾロ、誕生日、おめでとう!」

サンジはそう言って、もう一度、ゾロにキスをする。

それを間近で見ていたラピスが、小さな両手で、ゾロの顔を自分の方に向けて、サンジと同

じように、ブチュッとゾロの唇にキスをした。

「ローたん・・・・おめれとvv」

ラピスはそう言って、にっこりと笑った。

・・・・・ラピスとしては、ただ単純にサンジの真似をしただけだったのだが・・・・・・

ゾロは、初めてのラピスからのキスに、一人感動している。




・・・・天使だ・・・・・・天使がやってきた・・・・・・

・・・・俺の可愛い天使だ・・・・・

・・・・チクショーッ・・・・・絶対に・・・・・絶対に・・・・・

・・・・俺以外には・・・・・ラピスのチューは、絶対にさせねぇーっ!!




「っ・・・・ラピスッ! ありがとう・・・・・最高の誕生日プレゼントだっ!」

ゾロは、満面笑顔で、頬を緩ませて、ラピスをギュッと抱きしめる。

そして、自分も、ラピスの唇にチュッと、キスを返した。

「ローたん・・・・・ローたん・・・・・・」

ラピスは、きゃっきゃっと喜んで、またゾロにキスをする。

ゾロとラピスは、お互いの顔に、キスを繰り返す。

その間、ゾロには、目の前のラピスという名の天使しか、その瞳に映っていなかった。

初めは、仕方ないなあと言う感じで、見ていたサンジも、だんだんと腹が立ってくる。

相手が、自分の子供のラピスだろうが、腹が立つときは腹が立つのだ。

それよりも、自分がキスしたときよりも、感動して、ラピスにデレデレしているゾロのその態度

に、無性に腹が立った。

「・・・・・・・このっ!ロリコンセクハラおやじーっ!!」

「グッ・・・」

サンジは、ゾロの頭に、思いっきり踵落としを落とすと、ゾロの腕からラピスを奪い取り、

一緒に見ていた老婦人と共に、スタスタとアパートの老婦人の部屋に戻った。

「・・・・・ゾロ?・・・・・大丈夫?」

頭を押さえて、道にうずくまるゾロに、ジョーは、声を掛ける。

「・・・・痛てえ・・・・ああ、ジョー、大丈夫だ。 ・・・・しかし、サンジの野郎・・・・っ痛てえ・・・・

久しぶりに食らったな・・・・一瞬、意識ぶっ飛んだぜ。 ・・・・・威力全然、落ちてねえじゃん

か・・・・」

ゾロは、頭をさすりながら、ゆっくりと身体を起こす。

「なあ、さっきのゾロの家族? 凄い美人だな。 モデルかなんかなの? ・・・・それに、

凄く、強い。 ・・・・・強くて・・・・とても綺麗だ・・・・・・」

ジョーは、さっきのサンジを思い出しながら、ゾロにそう言った。

「ジョー・・・・お前の気持ちはわからんでもないが、サンジは、俺のハニーなんだから、

見るだけにしとけよ。」

ゾロは、苦笑しながらも、牽制することを忘れない。

ジョーだって、まかりなりにも、男なのだ。

サンジに近寄る男は、誰一人例外なく排除する。

・・・・・・それを6歳の男の子にまで、適用するのは、何とも形容しがたいところである。

「べ、別に、俺は・・・//////」

ジョーは、顔を真っ赤にして言い淀む。

「顔赤いぞ・・・・・もしかして初恋か? 本当、残念だったな、ジョー。 諦めて、新しい恋、見

つけろよ。 まっ、あいつ以上のってのは、難しいかも知れねえが、なっ。」

ゾロは、ジョーをちゃかしながら、ニヤリと笑った。

「そ、そんなんじゃねーっ! くそっ・・・・」

ジョーは、ますます真っ赤になって、ぼかぼかとゾロを叩く。

「痛いって・・・・・こら・・・止めろ・・・・ごめん・・・・ちゃかして悪かった・・・・・なっ・・・」

ゾロは、笑いながら、ジョーに謝った。

暫くして、プ〜ンといい匂いが、アパートの方から漂ってきた。

「おっ、サンジの飯の匂いだ。 ジョー、お前も、食べていくか? サンジの飯は、美味い

ぞー。 何たって、世界一だからな。 さっ、アパートに戻ろうぜ。」

ゾロは、そう言って、ジョーの手を繋いで、アパートに入っていった。









部屋の前で、サンジが、ゾロを待っていた。

その表情は、ムスッとしており、先程の件が、まだ尾を引いているらしかった。




・・・・・あちゃー・・・・まだ、サンジの奴、怒ってんのか・・・・・

・・・・・まずいな・・・・・・・




「ん? お前も食っていく? いいぜ、さあ、中に入れよ。」

サンジは、ゾロの後ろに隠れているジョーを見つけると、にっこりと笑ってドアを開ける。

「・・・良いの? うん、ありがとう。」

ジョーは、喜んで、部屋の中に入っていった。

ゾロも、サンジの様子にホッとして、続いて入ろうとする。

「・・・・・・誰が入って良いって言った? ・・・・・ゾロ・・・・ちょっと、こっちに来いよ。」

サンジは、にっこりと綺麗に笑って、低い声で、ゾロにそう言った。




・・・・・この顔は・・・・・・マジ・・・・・ヤバい・・・・・

・・・・・おっかねえよ・・・・・

・・・・・今は、逆らうの・・・・・よそう・・・・・




ゾロは、背中に冷たい汗が流れるのを感じた。

サンジは、無言で、ゾロの部屋の前まで行くと、ゾロに部屋の鍵を開けさせる。

そして、二人で、部屋の中に入った。

「・・・・ゾロ。 ・・・・・ここに座って・・・・」

「・・・・・・ハイ。」

「・・・・・ゾロ。 ・・・・・俺の言いたいこと・・・・・わかってる?」

「・・・・・・・ハイ。」

サンジの怒気をはらんだ声に、ゾロは、俯いて、小さな声で返事する。

何とも気まずい沈黙が、二人を包んだ。

「・・・・・・・プーッ・・・・ク・・・クク・・・・・あはは・・・もう、ダメ・・・・・あはは・・・・」

サンジが、堪らずに笑い出した。

「?・・・サンジ??」

ゾロは、キョトンとして笑うサンジを見つめた。

「あはは・・・・ゾロッたら・・・・・面白れえ・・・・『ハイ』だって・・・・ク・・ク・ク・・・・今時、小学生

だって、そんな素直に返事しねえゾ・・・・・あはは・・・腹痛てえ・・・・あはは・・・」

サンジは、ゾロの前で、笑い転げている。

どうやら、怒っていたのは、見せかけだけだったらしい。

「・・・・サンジ・・・・てめえ・・・俺をはめやがったなっ!」

ゾロはそう言って、サンジの腕を捕るとベッドに押し倒した。

「わっ、ギブ、ギブ・・・・参った、ごめんって・・・・」

サンジはそう言って、ゾロの腕をペチペチと叩く。

ゾロは腕を緩めると、今度はしっかりとサンジを抱きしめた。

「・・・・ゾロ。 ・・・・だけどな、さっきの、俺、結構マジ、ムカついたんだぞ。 今度あんなこと

やってたら、あのくらいじゃすまさねえからなっ。」

サンジは、そう言って、ゾロを抱きしめ返す。

「まあ、さっきのは、ちょっとやりすぎた。 ・・・・初めてだったんだぜ。 ラピスからチューして

貰ったの。 それでな、つい・・・・・・けど、俺は、こっちの方が、ずっと良いけど、な。」

ゾロはそう言って、サンジに口付ける。

「・・・・ゾロ、誕生日おめでとう。 一日遅れの誕生日だな。 ・・・・本当は、昨日、お祝いし

たかった・・・・・俺達の結婚記念日も・・・・・・・」

サンジは、そう言って寂しそうに笑う。

「?サンジ、お前、何言ってんだ? 俺の誕生日は、今日だぞ。」

「えっ?! だって、昨日が、11日だったじゃないか。 だから、今日は・・・・・」

「ああ、日本は、一日早いからな。 お前、日付変更線越えてやって来ただろ? だから、

ここじゃあ、今日が、11日だ。 全然問題ねえよ。」

ゾロは、不思議がるサンジにそう説明する。

「・・・・・そうなんだ。 ・・・・・知らなかった。 良かった、間に合ったんだな。」

サンジは、本当に嬉しそうに微笑んだ。

「じゃあ、せっかく、目の前にプレゼントがあるんだから、いただきますか・・・・・」

ゾロはそう言って、サンジの首筋に唇を落とすと、サンジの服に手を掛ける。

「えっ? あっ、ちょ、ちょっと、待った・・・・・待てって・・・・・おい、止せ・・・・」

サンジは、慌てて身を捩り、ゾロの顔を両手で挟む。

「ん? なんだよ、まだなんか言いたいこと有るのか?」

ゾロは、渋々中断してそう言った。

「・・・・あのなあ、下で、ラピス達が、待ってんだぞ。 老婦人も俺達のこときっと、待ってる

し・・・・・」

「・・・・・忘れてた。 ・・・・けど、俺・・・・こっちの方、先に食いてえんだがなあ・・・・・」

ゾロはそう言って、サンジの唇を甘噛みした。

「・・・・/////もう、あとで、ちゃんと食わせてやるから・・・・・・・ほらっ、さっさと、どけっ。」

「・・・・ちゃんと? だったら、腹一杯になるまでたっぷりといいのか?」

そう言って、ゾロはなかなかサンジに上からどこうとしない。

「ああ、たっぷりだろうが、腹一杯だろうが、てめえの気が済むまで、付き合ってやるよ。

・・・・だから、どけよ、早く・・・・・」

サンジは、自分達を待っている老婦人達の事が気になって仕方がない。

言葉の意味も深く考えないで、ゾロにどいて貰おうと、必死だった。

「・・・じゃ、仕方ねえか。 ・・・・我慢する・・・・」

ゾロはそう言って、やっと、サンジの上から離れた。

「ほらっ、急げ、ゾロ・・・・皆、待ってるぞ・・・・・」

サンジは、ゾロをせかして、老婦人達の待つ部屋に向かった。





「「遅くなりましたっ!!」」

ゾロとサンジは、慌てて部屋に入った。

「Happy Birthday ゾロッ!!」

「Happy Birthday ロロノアさん!」

「「そして、結婚2周年、おめでとう ゾロ! サンジ!」」

パンパンとクラッカーが鳴り響き、ジョーと老婦人が、お祝いの言葉をゾロに掛ける。

「「ありがとう、みんな・・・」」

ゾロとサンジはそう言って、照れたようにはにかんだ。

「ローたん、ローたん・・・・」

ラピスが、ゾロに抱っこをせがむ。

「じゃあ、早く食べましょう。」

老婦人のその言葉を合図に、楽しいパーティーが、始まった。

美味しい料理と美味しいお酒、楽しい話・・・・楽しい時間は、アッという間に過ぎて、ゾロと

サンジとラピスは、老婦人にお礼を言って、ゾロの部屋へと戻った。

「はあ、楽しかったな、ゾロ・・・・・」

サンジは、そう言って、寝てしまったラピスをベッドに寝かせる。

「・・・・なあ、サンジ、ところで、お前、なんでここに来たんだ? 何か用事あったんじゃねえ

のか?」

ゾロは、ふと疑問に感じてそう尋ねた。

「ああっ! 忘れてた・・・・・・ シャンクスに、書類渡すように、頼まれてたんだ。」

サンジは、ゾロの言葉に、ここに来た理由を思い出し、バッグの中の茶封筒をゾロに渡す。

「?? 一体、何の書類だ?」

ゾロは、そう呟いて、封筒の中の書類に目を通す。

『指令書』

『ロロノア・ゾロ殿。』

『貴殿に、今年いっぱい、ロスへの海外出張を命ず。』

『ヒーローカンパニー 社長 シャンクス。』

『いよう、お疲れ! このイベントが済むまで、お前、日本に戻ってくんな。

いやな、TKカンパニーのミホーク社長が、どうしても、お前にイベント終了まで、立ち会って

欲しいんだと。 うち、会社小さいじゃん。 どうしても、大手さんには、断りきれないのよね

〜。 だから、今年一杯、そっち、よろしく頼むわ。 あっ、そうそう、会社止めて日本に戻って

きて貰っても困るから、お前の家族、そっちに行かせるな。 だから、家族で、よろしく頼む。

泊まるとこも、そのアパ−トじゃなんだから、俺の家、貸してやるよ。 そこからすぐ近くだか

ら。 これ、鍵な。 なくすなよ。 手入れはちゃんとしてあるから、すぐ引っ越せるぞ。

それから、ミホーク社長が、屋敷に遊びに来いって言ってたぞ。 本当、お前、気に入られて

るな・・・・・少し妬けちゃうぜ。 じゃあな、あと、よろしくvv』

「・・・・・あの馬鹿社長・・・・・・」

ゾロは、こめかみをヒクつかせて、そう言うと、その書類をグシャッと丸めた。

「ん? どうした、ゾロ。 なんかまた、悪いことでも書いてあったのか?」

サンジは、ゾロの顔を見ながらそう言う。

「・・・・・いや、そうそう悪いことでもないんだが・・・・・ サンジ、俺達、今年一杯、日本に戻

れねえぞ。」

ゾロは、ため息混じりにそう言った。

「ええーっ?! なんで? ・・・・・でも、ゾロ・・・・俺達って・・・・達って・・・それって

まさか・・・」

「そう、お前の考えてるとおり、俺・達・だ。 シャンクスの野郎、初めからそのつもりで、お前

をこっちに寄越したんだ。 はぁー。 あの人は、本当に、何考えてんだか・・・・・・

サンジ、恨むんなら、あんな社長ンとこに就職させたおやっさんを恨んでくれ。」

ゾロはそう言って、サンジを抱き締める。

「・・・・別に・・・・俺は、かまわねえよ。 まあ、日本を離れるのは寂しいけど、ゾロと一緒だ

ったら、どこだって良いんだ。」

サンジはそう言ってにっこりと笑った。

「・・・・サンジ・・・・・」

「・・・・・ゾロ・・・・・」

二人は、そのまま、ソファーに横たわる。

そして二人が口付けを交わそうとしたその時、

『メ〜ルだよん、メ〜ルが、届いたよん・・・・・メ〜ルが・・・・・』 

パソコンの前に置いてあるボイスマスコットが、メールが届いたことを告げた。

「クソッ。 ・・・・なんだってこんなときに・・・・」

初めは無視しようと思っていたのだが、あまりにその声がうるさいので、ゾロは、仕方なく、

メールを開いた。

ゾロとサンジは、パソコンを覗き込む。

それは、会社からの映像メールだった。

『おっすっ! お楽しみの時間に悪いねぇ〜。 俺だ。 シャンクスだ。 ちゃんと書類見た?

へへ、それだけ確認したかっただけなんだけど・・・・邪魔しちゃったかな? まあ、明日から

も、ずっと一緒なわけだし・・・・・あっ、邪魔? ハイハイ、もう終わりますよんvv

・・・・・それからな、ゾロ。 サンジ、ずいぶん痩せてたぞ。 この間、俺に抱きついたときなん

か、すっげえ、細くて、俺、参っちゃってさ・・・・・そっちで、いいもん、食わせろよ。

ああ、ごめん、邪魔したな。 さらば〜vv』

映像の中のシャンクスは、いたずらっ子のように、笑っていた。




・・・・・・痩せてる?

・・・・・・抱きついた?




メールを読んだゾロの顔が、だんだんと引きつっていくのがわかる。




・・・・・・まずい・・・・・ヤバ・・・・・・

・・・・・・ゾロ・・・・・・怒って・・・・るよな・・・・・・




サンジは、そっと、ゾロの側から、離れようと、身を屈める。

「・・・・・おい。 何処行くんだ、サンジ・・・・・・」

ゾロの低い静かな声がサンジの背中から聞こえた。




・・・・・ひえぇ〜・・・・・・この声・・・・・・

・・・・・すげえ・・・・・怒ってる・・・・・・

・・・・・どうしよ・・・・・あれは・・・・・勝手に身体が感謝の意を伝えてって・・・・・・

・・・・・ああ、そんな事言っても・・・・・通じねえよな・・・・・




サンジは、ビクビクしながら振り返り、おずおずと上目遣いで、ゾロの顔を見る。

「あ、あのな・・・・・・だ、抱きついたなんてもんじゃねえんだ、あれは・・・・・・あれはな・・・・

こっちに来れるのが嬉しくて・・・・・つい・・・・・身体が勝手に、感謝の意を伝えたという

か・・・・・なんというか・・・・・その・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゾロ・・・・・怒ってる?」

サンジは、必死に言い訳した。

しかし、ゾロの額からは、青筋が、一向に消えてくれない。

「・・・・・・サンジ。 ここに座れ。」

「・・・・・・・ハイ。」

「サンジ・・・・・俺の言いたいこと、わかってるよな?」

「・・・・・・・ハイ。」

完全に、パーティー前とゾロとサンジの立場は逆転した。

このあと、サンジは、きっちり、身体で落とし前をつけられ、色々なご奉仕する羽目となった。

翌日、グッタリしてソファーから動けない眠っているサンジにキスして、ゾロは、ラピスと共

に、朝食のパンを買いに出かける。

「ゾローッ! 昨日は、どうもありがとう。 凄いね、サンジって。 ・・・・・ところで、ゾロ。

何か良いことあったの? 凄く嬉しそうな顔してる・・・・ あっ、もしかして、誕生日プレゼン

ト、凄いモノ、貰ったんだ・・・・・良いなあ・・・・・」

ゾロの姿を見かけて、ジョーが、声を掛けてきた。

「・・・まあな。 最高のプレゼント、貰ったぜ。 ・・・・今日から、ずっと貰えるけどな。」

ゾロはニヤリと笑ってそう言った。

「?ずっと?? 誕生日プレゼントは、年に一度だよ。 ・・・・変なの・・・」

ジョーは、ゾロの顔を眺めてそう呟く。

「まっ、お前も、好きな奴と暮らすようになれば、わかるようになるさっ。」

そう言って、ゾロは晴れやかな笑顔で、ラピスと共に、パン屋に向かった。





・・・・・そう、これからは、ずっと、一緒だ。

・・・・・ずっと、ずっと、ずっと・・・・・・一緒だ。






 <END>





   
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<コメント>

ねっ、言ったでしょ?長いって・・・・・(-_-;)
このゾロとサンジは、なかなかに愛着があって、どうしても、
長くなってしまう・・・・・
シャンクス、いい味だしてるでしょ??
まだね、この二人の話には、色々な話があって・・・・・
例えば、TKカンパニーのミホーク社長のゾロにまつわる話だとか、
老婦人のゼフとサンジのまつわる話とか・・・・
あと、ラピスの話とか・・・・
ゼロの話だとか・・・・・
いっぱい、いっぱい書きたいこと、あるんだけどね・・・・
ら、来年・・・・・時間ができたら・・・・
ぼちぼちと・・・首を絞めない程度に・・・・(汗)
では、ここまでありがとうございました★
良かった〜vv ロロ誕、間に合って(笑)