The butterfly of a phantom

 

小さな森の奥深くに狐と小さな虎が住んでいました。

狐の名前は、サンジ。

虎の名前は、ゾロと言いました。



普段静かな森も今日は、特別に賑やかです。

森に住む動物達がお祭りの準備で大忙し。

新しい年を迎えた2人は、とっておきの着物に着替え

森の中で開かれるお祭りに参加する事にしました。



『今日は、1年に一回のめでてぇお祭りなんだ。お粧しして行こうな』

そう言ってゾロの服を脱がせとっておきの着物に着せようとしました。



『めんどくせぇ。こんな着苦しい服』

『1人でろくに着れねえくせにつべこべ言うな。

折角の祭りなんだから。腹巻とシャツじゃみっともねぇよ』


ブツブツと文句を言っているゾロを押さえつけ

着物、袴、雪駄と順番に着せていきます。

サンジの膝に小さな足を掛けて着替えさせていると

そこへ見た事のない色をした1頭の蝶が舞ってきました。


太陽の光に当てると透き通る様に薄い羽をしていて

全体に黒く光の加減によってうっすらと青色、

紫色、白っぽくにも見える珍しい蝶でした。



『蝶だ』

『珍しい色の蝶だな。知ってるか?この蝶は、姿を現すのが珍しいと

言われているくらいの幻の蝶なんだぜ?願い事が叶うとか聞いたな』

『うさんくせぇ話だな』

『そんな事ねぇよ。ジジィだって叶ったって・・・』

『ハイハイ』



順番に着せられた小さな身体にピシッと決まった着物に袴

小さな足には、雪駄 今小さな侍が誕生しました。

ゾロは、呆れた様な言葉を言い放つと

森の中へ消えようと足を運び始めました。




黙っていれば小さくて可愛い子供なんだけどなぁ・・・・


・・・・しょうがねぇか・・・・





・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・





昔、俺がまだ小さい頃に話してくれたジジィの話の中に

この蝶の話が良く出てきた。

幻の蝶と呼ばれる生き物は、何年に1度と言う確率でしか

見る事が出来ない。出会うのは、本当に難しいらしい。

見た事のある人は、ごくわずかしかいないと聞いた事がある。



ジジィもその確率の中でこの蝶と出会った。





本当に起こるのだろうか。

もし、本当なら願いを聞いてくれるだろうか。




どんな願い事も叶うと聞いたけど・・・。


俺の願いは、ただ一つ




ゾロと幸せになれます様に


いつまでも一緒に・・・・・・






サンジは、そう心の中で願いました。



『早く行くんだろ?置いて行くぞ?!』

『・・・んぁ?・・・あぁ。待て!待てってば!!

お前すぐ迷子になるんだからよ?!』



前を歩いていたゾロの側へ走り寄って

『迷子になるから』と離れない様に小さな手を握りしめました。

仲良く手を繋ぐ2人は、森の奥深い中で開かれている

賑やかなお祭りへ歩いていきました。



『あの蝶へ願い事かけたのか?』

『ん?さぁな〜?』

『・・・気持ち悪い奴』






サンジが心の中でひっそりと願った願い事は、

空に舞い上がる一頭の蝶だけが知っています。





ゾロと幸せになれます様に


いつまでも一緒に・・・・・・・・。






−心から願いを込めて−








END



 


 


<コメント>

こちらは、あやめ様から頂きました年賀イラストです。
童話風ミニお話つきという事でvv
やっぱ、あやめちゃんのイラストは綺麗だニャーvv
着物の柄とか凄い緻密で・・・・・しかも、今回は・・・
パンツ!!子ロロのパンツ!! グハッ!!
犯罪的な可愛さだよ、これ!!
んー、可愛いvvめちゃ可愛いよぅvv
新年早々、良いモノを頂きましたvv
あやめちゃん、本当にありがとう♪

こんな素敵なイラストが満載のあやめ様のサイトへはLINK2-4からどうぞvv

<treasure>