人は。誰しも秘めた想いの一つや二つは持っていて。
でも大半の人は、それが悲しく終わってしまう。
そんな中で。自分が好きな人が、その人も自分のことを思っていてくれるなんてことは。
奇跡のように素晴らしくて。
幸せなことなんだ。
だから。
それが叶ったオレは。
とても幸せ者なはずなんだ。
そのはずなのに――――――――――
オレは男で。
美しい女性が大好きで。
でも何でか、男に惚れてしまった。
しかもあのクソ剣士・・・・・
ずっと悩んだけど。
好きになっちゃったもんはどうしようもない。
きっとこの恋は一生成就しないだろう。
でも好きな人を煩わせることだけはしたくないから。
この想いはオレの胸だけに秘めておこう。
そう自分に言い聞かせて。
そっと心に押し込めてきた。
でもある日の夜。
偶然2人で月見酒と相成って。
オレは内心、ずごく嬉しくて。
この偶然に感謝したりしてた。
他愛ない話をしてるうちに。
ゾロの剣は亡くなった親友との誓いの証なのだと知った。
『親友』
それが男友だったとしてもきっとオレは嫉妬しただろう。
なのに。
それが「女友」だったと知ったとき。
もう本当にショックだった。
その人のことを話すゾロの瞳がとても穏やかで。
あぁ。この人はゾロにとってとても特別な存在なんだとわかった。
オレは。
今生きてゾロの隣にいるのに。
それなのにその人は。
亡くなってからも。
こんなにもゾロの中で大きな存在として生き続けている。
天と地がひっくり返ったようで。
もしかしたら「仲間」としては特別になれるかも、と微かに期待してもいたから。
とても悲しくて。
ショックで。
オレは泣いてしまった。
ゾロはいきなり泣き出したオレに驚いて。
『どうしたっ!?』て心配してくれた。
いつもからは想像もできないような優しさも。
その子の話をしていたからなのだと思ったら。
また泣いてしまって。
そしてつい口が滑ってしまった。
『オレだって、ゾロのこと好きなのに・・・・』
言ってからはっと気が付いて。
あたふたしていたゾロの手もぴたっと止まって。
オレはしまったと思って口をふさいだけど。
もう遅い。
あぁ。
終わった。
そう諦めた瞬間。
オレはゾロの腕の中にいた。
何が起こったのかわからなくて。
脳が理解できたのは、更に力強く抱きしめられたときだった。
なんでゾロがこんなことをするのかわからないから。
オレはこんな状態でいたらどんどん勘違いしてしまいそうだったから。
ゾロの腕から逃れようともがいた。
そしたら。
「サンジ・・っ!」
どこか切羽詰ったようにゾロに呼ばれて。
動きを止めてしまった。
(名前・・・・・・・・・・)
今まで「おい」とか「クソコック」とかしか呼ばれた覚えがないから。
ぼけーっっとなっちゃって。
「ゾロ?・・・」
見上げて呟いたら。
「俺もだ」って。
「俺もお前が好きだ・・・・・・サンジ」
そしてオレは。
自分の愛しい人が。
自分のことを想ってくれるってことがどんなに幸せなことなのかを知った。
だけど・・・・
今のゾロを見ると。
あのときのことは、夢だったんじゃないかと思えてくる。
翌朝。
確かに腰は痛かったけど。
でも起きて来たゾロはいつもと同じ。
本当にこの人が昨日オレを抱いたのかと思うくらい。
夕べのゾロは、普段からは想像もつかないくらい優しくて。
愛されてるんだってすごく感じれたけど。
別に機嫌が悪いって雰囲気ではなさそうだけど。
人を寄せ付けないオーラをものすごく放ってて。
そしてそのまま何も聞けずに1週間・・・・
今日は島へ上陸する。
町についたらゾロと一緒に買出しに行けるかな、とか。
どさくさにまぎれて手なんか繋げるかも、とか。
色々考えてたのに。
せっかくの島も却って騒がしい。
一人になりたいと思った。
だから船番も引き受けた。
「サンジくんいつも働いてくれてるんだから」
今日くらいゆっくりしてってナミさんは言ってくれたけど。
せっかくのありがたいお言葉だけど・・・
やんわり断って引き受けた。
「明日の昼ご飯までは外ですますから」
そう言ってくれて。
皆口々に労いの言葉をかけてくれながら。
町へ繰り出して行った。
ゾロは・・何時の間にか降りていたらしい。
わかっちゃいたけど、やっぱろオレは置いてけぼり。
丁度いい。
ゆっくり考えよう。
今日なら少しぐらい眠れるだろうか。
ここ数日、ずっと眠れなかったから・・・
買出しは明日の午後でいいって言ってたけど。
とりあえず倉庫へ行って在庫を確認した。
やっぱり一人で行くんだろうな・・・
もう期待はしないでおこう。
つらくなるのは自分だから・・
きっと。あの日のこともその場の勢いだったのかも・・
あまりにも情けないオレを哀れんでくれたのかも・・・
それでも、悲しすぎる。
もう潰れてしまいそうで。
とにかく悲しくて・・
キッチンへ入る前に泣き崩れてしまった。
そしたら。
誰かがオレを抱きしめて支えてくれた。
もう誰か帰ってきたのだろうか。
でも・・・ゾロの匂いがする・・・
「・・ひっく・ぅ・・・ゾロぉ・・・・・・・」
「俺が泣かしちまったのか・・・・」
びっくりして涙も嘔吐も止まった。
なんでこんなところにいるんだよ。
町へ行ったんじゃなかったのか。
オレを置いて・・
オレのことなんて、からかってただけのくせに・・・
それでもゾロを嫌いになれない・・
「・・・なんでっ!オレのことなんてほっとけよっ・・・!」
「不安にさせて悪かった・・」
「オレのことなんて好きでも何でもないくせにっ・・・!」
「!!何言ってんだ!」
「だって・・・・あれから何にも言ってくれない・・・っ!!」
「オレを哀れんで言ってくれたならもういいっ・・」
混乱状態でそう叫んでたら。
ぱしっとほっぺを叩かれた。
大して痛くなかったけど。
それよりも叩いたゾロのほうが痛そうな顔をしてたから。
「・・・ゾロ・・?」
「俺はお前が好きだ。同情でもなんでもねぇ。」
「だって・・・」
「いいから聞いてくれ」
「あの日。お前が漏らしてくれた言葉がすっげぇ嬉しかった。
俺もずっとお前のことが好きだったからな。
お前を抱きしめて、抱いて・・俺のモンだって思いたくて。
初めてなのに無茶させちまって・・・・。
その、な・・」
続きを聞きたい・・・
「お前に触れれば触れるほど、もっともっとお前に惚れちまって・・
もっともっと抱きたくなっちまって。
やれるからお前が好きなわけじゃねぇ。
けどな・・・・その・・」
何?
心なしかゾロが赤いような気がする・・
「お前見ると抑えがきかねぇ。
いつだって抱きしめて、キスして。
お前に触れてぇ」
けどお前は毎日忙しいし。
俺が邪魔するわけにはいかぇからな。
只でさえ無茶させちまったのに。
「こんな俺・・知られたくなくてよ・・
独占欲強くて・・仲間にまで嫉妬しちまってる・・」
・・・つまり?
俺をずっと求めてくれてたってこと・・・・?
「好きすぎて困るくらい好きだ。
いつだって一緒にいてぇ」
「・・・・ゾロっ・・!」
「こんな俺・・・嫌いになったか・・?」
んなわけない!!
「ばかっ!!嫌いになれるわけないっ!!」
そう言ってゾロの胸に飛び込んだオレを。
ぎゅって抱きしめてくれた。
「不安にさせて・・・ほんと悪かった・・でも・・」
でも?
「愛してる・・」
そう言ってキスしてくれた。
それが嬉しくて。
オレもゾロにキスしたら。
ビックリしたみたいだけど、すぐ優しく微笑んでくれて。
「お前にはもう隠し事はしねぇ」
そんなことする必要なかったんだもんな。
そう言って少し照れたように微笑んでくれた。
「そうだぞv」
なんにも恐くない。
オレたちはこれからずっと一緒なんだから。
笑顔でそう言って。オレからももうひとつキスをした。
ふわって体が浮いたなぁって思ってたら。
ゾロに抱き上げられていて。
いたずらっ子のようにニィって笑いながら。
「不安にさせちまった分・・・うんと可愛がってやる」
いいだろ?
そう宣言した。
いいよ。
すっごく寂しかったんだから。
「いっぱい可愛がってな・・?」
そう言って了承のキスを贈った。
オレたちの始まりはこれから・・・・・
宣言したゾロによって格納庫まで連れてこられて。
予備の毛布を敷き詰めた床へとそっと横たえられた。
いくら薄暗い格納庫とは言え。
まだ一日が始まったばかりの時間。
あぁは言ったものの。
今更ながらに恥ずかしくなってきて。
ゾロに訴えると。
「俺しか見てないから・・いいだろ?」
そう言って俺のジャケットを脱がして。
あったかいゾロがのしかかってきた。
「・・・ぞ、ゾロ・・・」
首筋に顔を埋めて。
この間は、初めてなのにずいぶん乱れちまったから。
首筋が弱いのもばれたようで。
「・・サンジ」
呼ばれて見上げると。
すごく優しい笑顔で。
「愛してる」
そう言って。キスしてくれた。
ゾロのキスはすごく幸せな気分になる。
ゾロの舌はまるで生き物のようにオレの口内を蠢く。
それにうっとりしていると。
「あんま可愛い顔してると・・・
どうなっても知らねぇぞ」
ニヤっと笑ってそう言った。
瞬間。
自分の顔が真っ赤になったのがよくわかる。
う゛・・・気障ゾロ・・・
でも・・・
「・・サンジ?」
「・・・・・どうなっても・・・・いいもん・・」
ゾロとなら。
恥ずかしかったけど。
そう言ったら。
一瞬ぽかんとして。
それからすっごく幸せそうな顔をして。
「好きだ」
オレの好きな笑顔で言ってくれた。
ぷちぷちとシャツのボタンを外していく。
恥ずかしかったからぎゅっと目を閉じていたけど。
じぃ〜っと見られてるのがわかる。
「・・・っ・・・そんなに見るなっ・・・」
「無理だな」
そして、ちょっとがさついた大きな手で。
胸の飾りを触った。
「やんっ・・・」
途端漏れた自分の声。
女の子みたいで、恥ずかしい・・
ゾロは・・・またぽかんとしてる。
もうっ。
「すげっ・・・・可愛い」
こないだだって聞いたじゃんか・・
「この前は・・・オレも余裕なくてよ・・
でも今日はじっくり聞かせてもらうからな」
あ〜あ。せっかくの男前がすっかり崩れっぱなし。
でもそうさせてるのが俺だと思うとなんだかとっても嬉しい。
そうしてゾロの手はどんどん下がっていって。
付いてくる唇で時々一際強く口付けられて。
ゆるく立ち上がってるオレ自身にたどり着いた。
「やぁんっ・・・あんっ・・ぁ・・」
「マジ可愛いのな・・お前って」
そんなことを言いながらもゾロの追い上げは止まらない。
「あんっ・・・ゾロっ・・だめ・・あ・・あぁぁぁんっっっ・・・」
ゾロの巧みな追い上げによって、オレはあっけなくイってしまった。
上がってしまった息を整えていると。
「よかったか・・・?」
いつもより低くなった声音でゾロが聞いてきた。
「・・・・うん・・・v」
そう言うと。
そっかって笑って。
オレの吐き出したもので濡れた手を後へ忍ばせてきた。
途端びくっと強張ってしまったオレに気づいて。
「ちょっと我慢してくれるか?」
そう言ってくれながら、ちゅっと小さなキスをたくさんくれて。
落ち着くように髪や肩を撫でてくれて。
そうしてオレの緊張が解けてきたのを見計らって、
つぷっと指を一本入れた。
「あふっ・・あ、あ、・・・ぞろっ・・・」
腰にまわっているゾロの腕にしがみついて。
指をたててしまった。
「あ・・ごめんっ・・・」
そしたら。
「気にすんな。男の勲章だからな」
って。
オレはまた真っ赤になってしまった。
そんなオレのほっぺをつんつんつついて。
「お?なんだ、照れてんのか」って。
当たり前だ!
もうっ。
本当にいつものゾロからは想像できない。
でも、これがオレだけが知っているゾロ。
オレだけのゾロなんだから。
そんなことを考えてたら・・・
「ひゃぁんっ!!」
「ここか・・・・?」
ゾロの指が触れた場所・・
なんだか・・・・オレ・・・
「ゾロっ・・・そこやぁ・・っ」
「やぁじゃなくてイイんだろ・・・?」
そう言って指を増やす。
意識を保てないような。
すごく感じちゃう・・・
「あぁん・・・あ・・・んん・・っ」
痛みはなくて。
それよりも甘い感覚が身体をまわり始めて。
何時の間にか3本に増えてた指を一まとめに引き抜かれる。
「・・・ゾロ・・・?」
見上げると。
すごく真剣なゾロがいて。
「サンジ・・好きだ。・・・誰よりも愛してる・・」
「!・・オレもっ・・好きっ・・・大好きっ・・」
嬉しくて。幸せで。
知らぬ間に涙がこぼれてた。
それを優しい仕草で拭ってくれて。
「・・いいか?」
最後の確認を。
だからゾロの広い背中に抱きついて。
了承の合図を送った。
「う・・ん・・・っぅ・・はふっ・・ぞろぉ・・」
「っ・・サンジっ・・深呼吸だ・・・」
「いたっ・・いたい・・ぞろっ・・」
そう言うオレに。
優しくキスをしてくれて。
弱々しくなってしまった俺自身に触れてきた。
「あぁんっ・・!」
力の抜けたオレを見計らって。
ゆっくりと。
でも確実に。
ゾロがオレの中に入ってくる。
痛かったけど。
それよりもゾロと一つになれることの方が大きくて。
「・・動くぞ・・」
俺も我慢きかねぇ。
そう言ってゆっくりと抽挿を始めた。
ぐんと入ってきたゾロの先端が。
さっきのイイところにあたって。
「あんっ・・・ひゃぁっ・・」
「?」
「お、オレ・・・」
「どうしたっ!?痛ぇかっ?」
焦るゾロをわき目に。
「ゾロぉ・・気持ちいぃ・・」
「マジかっ!?」
「もっと・・・してぇ・・・?」
「!!!」
「・・・もちろんっ」
それからは。
お互い一緒に登りつめるために。
「あぁぁんっ・・あん・・ぁ・・ぞろっ・・」
「っ・・サンジっ・・」
ゾロの大きいものが出入りするたび、ぐちゅっといやらしい音が聞こえてくるけど。
それすら煽られて。
硬い先端がさっきの箇所をするたびに。
嬌声があがってしまう。
「あっ・・あ・・・んぅっ・・やぁあん・・・!」
うっすら目を開くと。
何かに耐えるように食いしばって。
でもすごく色っぽくて。
そんなゾロに心が熱くなる。
そして・・
自身もオレたちの間ですられて。
「だめっ・・・イっちゃぅ・・」
「あぁ・・俺も・・」
「あ、あぁぁぁぁぁぁっ・・・・!」
「・・愛してるっ・・・」
「っ・・・っく・・」
強すぎる快楽に。
2人一緒に熱を吐き出した。
ゾロに身体をふいてもらって。
まだ昼だけど、2人で寄り添って。
「・・サンジ・・もう二度とほったらかしになんかしねぇ・・。
大事にする・・・」
「・・・ん・・・v」
明日の昼までは2人っきり。
いっぱい話をしよう?
苦しかったけど。
悲しかったけど。
今はこんなにも幸せ。
明日は。
一緒に買出しして。
手もつないで。
これからはずっと2人一緒。
「大好き・・・v」
「俺もだ」
言葉は大事。
時々不安になってしまうから。
でも、言わなくたって。
貴方の隣に導いてくれれば。
それだけで十分。
幸せだよ?
END
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